2024年6月議会 意見書案に対する反対討論
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 わたくし奥村規子は、和議第25号「地域における『こども誰でも通園制度』の制度拡充等を求める意見書(案)」に対する反対討論を行います。
 「こども誰でも通園制度」は、生後6カ月から3歳未満児を対象に、保護者の就労要件を問わず、時間単位で保育を利用できる制度です。現在、実施されている試行的事業の本格実施を見据えた要綱案では、1人当たり月10時間を上限に、施設や月、曜日、時間を固定する定期利用、もしくは固定しない自由利用、またはその組み合わせ方式を採用することができ、設備基準や保育内容、職員配置は一時預かり事業と同様の基準とされ、利用者負担は1時間300円程度となっています。
 自由利用方式では、アプリを使い全国どこでも臨時に保育が利用でき、1時間単位で別の事業所に預けることも可能です。保育士にとっては日替わり、さらには時間ごとに、新たなこどもを受け入れざるを得ない負担があり、こどもにとっては、特定の大人との安定した関りが必要な発達段階にあるもとで、深刻なストレスを受けます。
 さらに、保育における事故発生率は預け始めが多く、34%が入園・入所から1カ月の間に集中しています。預け始めの状態が継続されるもとで、保育士の体制が通常より半分でよいとされる基準では、こどもの安全は保障されません。
 本意見書案では制度導入を前提に、職員配置や設備基準を満たし、地域事情を配慮した利用時間、医療的ケアに必要な職員加配への財政措置などが求められていますが、私は「こども誰でも通園制度」そのものに問題があると考えるため、賛成できません。
 「こども誰でも通園」というのであれば、現制度のもとで、保護者がどれだけ働いているかなどで対象を絞る「保育の必要性」の要件を見直し、全てのこどもに質の確保された保育を保障できるようにすべきです。そのためにはまず、保育士を増やすための賃金引き上げ、労働環境の改善、看護師の配置、それらを実現するための十分な予算の確保など、公的な保育の仕組みを抜本的に強化することこそ必要です。
 日本政府は、国連こどもの権利委員会から、こどもの権利の保障が不十分であるという勧告を繰り返し受けています。こどもの権利条約を批准してから28年たちますが、その精神を生かした施策や普及が進んでいません。こどもの権利条約に掲げられた、生命、生存及び発達に関する権利、こどもの最善の利益を保障する姿勢に立って、こども・子育て政策を進めるべきであることを申し上げ、反対討論を終わります。


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