2024年6月20日
1.県民の暮らしと物価高騰対策について
(1)中小企業支援について
(2)生活保護や生活困窮者への支援の拡充について
2.大阪・関西万博へのこどもたちを招待することについて
(1)可燃性ガスによる爆発事故が起きた万博会場の危険性についての認識
(2)教育機関への説明内容について
(3)大阪・関西万博への参加について
4.陸上風力発電所の建設について
(1)森林法に基づく手続きについて
1.県民の暮らしと物価高騰対策について
《質問》奥村規子
県議
議長のお許しを得ましたので、通告にしたがって4つの大項目について質問いたします。
大項目1は、県民の暮らしと物価高騰対策に関して、2点お尋ねします。
政府は、特定大企業に対しては莫大な公費を投入し、一方、私たちの周りでは物価の高騰で次々と閉店や事業を縮小せざるを得ない状況が起こっています。大変、不公平な税金のつかい方だと感じることがしばしばです。
特に、小規模事業者のみなさんは、商品やサービスの価格が上がれば当然、消費税の負担額も増え、「これ以上お客様に負担をかけられない」と苦しんでいます。「一度きりの定額減税ではなく、減税するなら消費税を」「まじめに申告するのがあほらしい。特権のように裏金を使う政治家が許せない」と怒りの声が広がっています。しかし、国は全く聞く耳を持ちません。
さらに、インボイスで収入が奪われ、重い事務負担に廃業を考える事業者、個人事業主が少なくありません。インボイスや消費税で事業がつぶれるなど、本末転倒ではないでしょうか。「長年頑張ってきた商売をやめたくない、続けたい。働きたい」。この中小業者のみなさんの、怨嗟の声に応えなければなりません。和歌山県は、人口1万人当たりの小売店数が全国4番目に多く、活気ある和歌山県にしてゆくためにも、中小企業の営業を守っていかなければならないと思います。
東京商工リサーチの集計によれば、2023年度の全国の企業の倒産状況の推移は、件数も負債総額も2年連続で前年度を上回ったと公表しています。和歌山県の倒産件数は89件で、前年度から約2割増え、コロナ危機の2020年度を上回っています。コロナ対策で実施された無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が償還期限を迎え、経営の困難がいっそう増しています。ぜひ、インボイス中止・消費税減税を国へ求めるようお願いして、県としての支援についてお聞きします。
(1)中小企業支援について
政府の2024年度当初予算の中小企業対策費は1693億円、前年度比マイナス0.6%の11億円減と聞いています。中小・小規模事業者のみなさんが、激しい物価高騰やコロナ禍で負った過剰債務、23年10月から強行されたインボイス制度と必死に格闘している最中にも、中小企業対策費は削減されています。
物価高騰対策の目玉「所得税・住民税の定額減税」にも、効果を期待する声はほとんどありません。給与明細の記載で、無理やり効果を演出しているように思います。所得税法56条で差別されている女性や、若者は減税の対象外です。
裏金議員85人の収支報告書への不記載額を課税対象にしたら、5年間の所得税・重加算税・住民税の合計で、約1億3534万円にもなると報じられています。「1円単位で所得申告し、領収書1枚にも気を使っている、まじめに税金を納めているのに」と、怒りの声があちこちから湧き上がっています。
内閣府は「物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地方公共団体が地域の実情に合わせて必要な支援をきめ細やかに実施できるよう」措置したとしています。物価高騰対策として、これまでの事業が継続できるような個々の事業者の状況に応じた支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。
《答弁》 商工労働部長
県では、エネルギー価格や原材料価格の高騰による影響を受けた中小企業や小規模事業者に対し、国の物価高騰対策関係の交付金を活用し、国の支援対象外であった特別高圧電力料金等の光熱費に対する補助金などを行ってきたところです。そのほかにも、本交付金を活用し、新分野への参入や業種・業態転換といった前向きな取組を支援してまいりました。
また、物価高騰等により経営環境が悪化し、資金繰りに困っている事業者に対して、借換資金や運転資金に利用できる融資制度を用意し、その資金繰りを支援してまいりました。
なお、経営に関する相談窓口として、商工会・商工会議所、また、わかやま産業振興財団に設置された「よろず支援拠点」などで、個々の事業者の事情に応じた相談を受けており、積極的にご活用いただけるよう、引き続き周知を図ってまいります。
今後も、国の経済対策の動きなどを注視しながら、県内事業者の実態に則した施策を講じてまいりたいと考えております。
《要望》奥村規子
県議
いろいろなメニューをおっしゃっていただきましたが、小規模事業者の方々を底支えするメニューが本当に少ないと思います。ぜひ、県内の事業者さんの実態を県として把握し、交付金等の活用についても状況に応じたメニューを考えたり、県民の意見を聴いていただきますよう、よろしくお願いいたします。
私としては、家賃や光熱費、リース代への補助なども考えていただきたいと要望します。
(2)生活保護や生活困窮者への支援の拡充について
《質問》奥村規子
県議
次に、生活保護利用者や生活困窮者への支援の拡充についてお尋ねします。
物価高騰が、さらに命まで危険な状況に追い込んでいく心配があります。「食事の質を落とさないとやっていけない。食事を抜くこともある。栄養面が心配」「コロナ禍では消毒薬やマスクの出費が増えた。障害のあるこどもがマスクを嫌がるので好きなキャラクターのスタンプを買い、それを押したらやっとつけてくれた」「風呂は週2回、食費は1日500円から700円」「具のないラーメンを食べている」「バスの減便で通院に4,000円もかかる」・・・・・・県は、県民の暮らし向きをどのように把握しているのでしょうか。
社会保障にかかわる負担や給付の減少は、生活不安や将来不安にもつながります。ひいては、消費と経済への大きなマイナスともなります。国民年金保険料は1990年度では月8,400円が、2020年度には1万6,540円と約2倍、国民健康保険料・税(1人当たり)や介護保険料(1人当たり)も引き上がり、健保本人の窓口負担も1割から3割に増えています。一方、年金支給額は2013年度から2023年度で実質7.3%減らされています。私は、国が社会保障予算を削ってきたことに原因があると思います。その結果、大変な負担増が国民に押し付けられ、そのことが経済全体にも大きな打撃になっています。
社会保障は経済の重要な部分を占めているという観点からも、様々な対策に取り組むべきだと申し上げて、質問させていただきます。
昨今の異常な気温上昇による熱中症への予防対策として、生活保護利用者がためらわずエアコンを利用できるよう、県ではどのような対応をされているでしょうか。福祉保健部長にお聞きします。
《答弁》 福祉保健部長
熱中症対策のためのエアコン等の適切な利用については、国においても推奨されているところであり、生活保護受給者には、エアコンの購入にかかる費用の支給や貸付などで支援しています。
また、生活保護受給者には、昨年度及び今年度の臨時的・特例的な対応として、「世帯人員一人当たり月額1,000円の加算」により物価高騰に対する支援を行っています。
県においては、昨年度、「生活保護のしおり」を改定したところであり、生活保護の申請を検討している方や受給中の方に向けて、制度内容をより分かりやすく説明するよう取り組んでいます。
引き続き、生活保護制度の周知や関係各所との連携により、きめ細かな支援に努めてまいります。
《要望》奥村規子
県議
新規で生活保護を受ける場合はエアコンの購入費用を出していただけますが、生活保護を受けられている方が買い替えるとなると費用が出てきません。また、暑いのに電気代がかかるためエアコンを点けずに、結局脱水症状になるなどのことが起こってくるので、この夏場に向けて対策をとっていただきたい。生活保護世帯や低所得・生活困窮者、高齢者等にきめ細かな支援をお願いします。
2.大阪・関西万博へのこどもたちを招待することについて
(1)可燃性ガスによる爆発事故が起きた万博会場の危険性についての認識
《質問》奥村規子
県議
岸本知事は、2月の予算特別委員会において、海外にも目を向けてほしいという思いから、こどもたちを万博に招待する提案をしていると答えられました。その後、3月28日には会場となる夢洲(ゆめしま)の建設現場で、爆発事故が起きました。続いて、日本国際博覧会協会が安全だと明言していた、パビリオンなどが建つメイン会場の2区、IR予定地の3区もメタンガスが検出されています。検出されたのは大屋根リング東側の4か所で、児童生徒の校外学習や音楽演奏などで大勢の来場者が訪れる施設や、世界各国から国王、大統領、首相など迎える迎賓館のすぐ近くです。万博協会は「低濃度」だとしていますが、迎賓館付近で検出された濃度は、爆発下限対策基準5%を上回っています。
工事再開は、すべての区域で作業前にガス濃度を測定し、基準値以下になったことを確認して作業が開始されることになっています。
事故があった夢洲1区は廃棄物最終処分場で、一般廃棄物と産業廃棄物、焼却灰、下水汚泥が持ち込まれてきた区域で、猛毒のPCB汚泥の巨大な土嚢3,000袋が埋められていて、本来は立ち入り禁止区域ですが、50センチの盛土で利用が可能になっている区域です。万博期間中は、ここが駐車場になります。
2区や3区は、地盤沈下・液状化対策が必要です。IRカジノ予定地の3区では、780億円をかけた地盤改良工事が始まっています。大阪万博後の2区でも同額程度の対策費用が必要で、負担は青天井です。
アクセス問題も重大です。夢洲へは、隣の舞洲(まいしま)からの夢舞(ゆめまい)大橋と、咲洲(さきしま)からの夢咲(ゆめさき)トンネルの2ルートしかありません。大規模災害等でこの2ルートが使用不可能になった場合は、夢洲が陸の孤島になってしまいます。今現在、避難計画は作成されていません。
このように、万博会場は命が危険にさらされていると考えますが、知事は如何がお考えでしょうか。
《答弁》 岸本知事
奥村議員のご質問にお答えをいたします。
まず、和歌山のこどもたちをですね、大阪・関西万博に招きたいというのは、やはり私が前の万博の時に中学2年生だったんですけれども、近いこともあってよく行きましたけれども、そこで初めて外国のパビリオンを見てですね、初めて外国っていうものを身近に感じるようなことがあって、いい経験ができたということですので、できれば和歌山のこどもたちもですね、行ってもらいたいなあという思いがあります。
ただ、和歌山県も南北に長いので、和歌山市内だったら割と近いですけれど、紀南とかですね、橋本は南海電車ありますかね、紀南の方だとやっぱりお金もかかるということで、できればチケット代とですね、そういう遠隔の場合のバス代の差額とかですね、なんか応援させていただけないかという思いで、今、検討して前へ進んでいるところなんですけれども、ただ、今、奥村議員がおっしゃった心配はですね、全く同感であります。共有しております。
それで私も今朝の朝刊を見て知ったんですが、万博協会の防災計画の中では、例えば南海トラフが起きた時は、おっしゃるようにアクセスが途絶えますので、15万人ぐらいのお客さんがいたとして、3日間で船なんかで避難すると、その間は、1日目は例えば食べ物屋がたくさんありますので、1日目は15万人であれば、会場の食べ物屋さんの食べ物でしのぐと、あとは2日目、3日目は60万食ぐらい備蓄があるそうですので、それで3日間つないで避難するというような計画、大変詳細な計画ができております。
ところがですね、その中でおっしゃるですね、夢洲のメタンガスの話なんです。メタンガス噴出の危険があるということについてはですね、私も今ずっと調べたんですけれども、出てこないんです。万博協会の防災計画には出てこないんです、メタンガス。あえていうとですね、その他の災害の欄の、さらにその他の事案というのがあって、そこにガス漏れ事案というのが出てるんですね。このガス漏れというのが意味がわからないです。それは項目だけで事務文書というか説明がないんです。これ後で検索してみていただければと思うんですけれども、ガス漏れ事案が何のガスなのか、恐らく夢洲って電気もガスも水道もきていないんですけれども、ガスをひいたとき、そのガスはプロパンなのか、恐らくメタンではないのかもしれません。
従いまして、私としてはですね、ぜひ国際博覧会協会に対しては、今おっしゃったようなメタンガスの噴出への対策ですね、どうするんだと、あるいはそのメタンガスが爆発した時にどのようにするのだということについての対応についてはですね、示してくれということは申し入れたいと思っておりますので、ぜひ、県議会の先生方にもご協力をいただいて、安全が確保されるということ前提にですね、こどもたちにぜひ万博にも行ってもらいたいなと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
《再質問》奥村規子
県議
例えば学校行事として万博へ行き、爆発事故が起きた場合は、どこが責任を負うことになるのか、その点はいかがですか。
《再答弁》 岸本知事
仮にですね、それは万博に限らないと思うんですけれども、学校行事において、何か事故が起きた場合、当然その場合は不可抗力の場合等につきましては、保険に入っていますので、責任問題というよりも保険でですね、カバーされるという建付けで学校行事が行われているんだろうと思いますけれども、学校側あるいは引率した側に責任がある場合は、その学校関係が責任をとると、もしその行った場所の何かの不具合で行った場所で事故が起きたら、行った場所の管理責任者が責任を負うということになろうかと思います。それはケースバイケースなので、行った先の管理責任者に責任があるのかないのか、そういうことについてもケースバイケースなので、一概には申し上げられないと思います。
《要望》奥村規子
県議
メタンガスは、万博開催中も排出され続けます。コンクリート等で地表を覆えばメタンガスが地中に滞留して、さらに危険になる恐れがあります。そんな所にこどもたちを招待すべきではないと思います。
(2)教育機関への説明内容について
《質問》奥村規子
県議
文部科学省は3月14日付で「修学旅行における2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の活用について」の通知を、各都道府県教育長・各都道府県知事等に出しています。内容は万博について「最先端の知見や世界の考えを示す機会であり、日本を代表するプロデューサーによるパビリオン展示や、海外の国や国際機関によるパビリオン等の準備が進められているので、各都道府県教育委員会は市町村教育委員会に対して、大阪・関西万博の開催について周知していただくとともに、各学校においてその見学を計画するに当たっては、早期にその準備を進め、宿泊施設や交通機関の手配などについて遺漏のないようご指導をお願いする」としています。
県において「大阪・関西万博教育旅行参加支援事業」に取り組もうとされており、教育機関に対し、説明会を開く予定と聞いております。どのような説明をするのか、知事室長にお聞きします。
《答弁》 知事室長
大阪・関西万博へこども達を招待する、教育旅行参加支援事業を実施するにあたり、県内の小中学校をはじめ関係者の方々に対する説明会を本日から開催することとしています。
説明会では、まず、万博のテーマや、どのような国かあり、どのような企業パビリオンが建設されるかなど万博の概要を説明し、次に、バス予約や会場予約等の手続き面やスムーズにバス乗降ができるよう万博会場の入退場におけるルール、また、学校ごとの担当相談窓口を設置するなどサポート体制の説明をします。
加えて、災害時の交通アクセスなど、一部報道等にある懸念される点につきましても、現状の博覧会協会における検討状況を説明することとしております。
今後、博覧会協会による災害時における対策・対応について、先ほど知事が申し上げました申し入れをし、今後新たな対応が発出されましたら、県としても整理を行い、教育機関や関係機関の方々に対し丁寧に説明をし、こども達が安心・安全に万博を体験できるよう取り組んでまいります。
《要望》奥村規子
県議
私は、万博協会の姿勢というものに対して、非常に疑問を持っています。ガス爆発をどのように扱い、どのように責任を持って、経過も含め説明されているのかがわかりません。
万博協会は事故翌日に、プレスリリースにおいて「会場予定地ではGW1区のみ一部、管理型廃棄物処理場となっており可燃性ガスが発生しています。他のエリアでは建設残土等で埋め立てされており、可燃性ガスの発生はありません」と言われました。記者会見はしていないので、なかなか伝わってこなかったと思います。
しかし、私ども日本共産党が大阪市に事実確認を求めたところ、万博会場の中心である2区でも、IRカジノ予定地の3区でも、メタンガスの発生を認めているという報告があります。どういう事故で、なぜ起こったのか、事実を情報発信してこそ、安全・安心な方向へいくと思います。情報をきちんと提供する姿勢ではない、ずさんな姿勢であることを感じて仕方がありません。だから余計に心配しています。
万博協会は事故から4時間35分も消防へ連絡していなかったこともわかりました。直後にどんな対応をして、どうたったのかということを、和歌山県としてもしっかり掴んでいただきたいと思います。
そういうことも含めて、説明会の中でも明らかにしていくよう要望します。
(3)大阪・関西万博への参加について
《質問》奥村規子
県議
万博の開催期間は、4月13日から10月13日までの半年間です。学校では通常、5月に遠足が計画されます。6月は梅雨、7月から9月は暑すぎる、10月は中間テストがあるなどの理由からです。5月に来場できるのは一部の学校で、パビリオンも振り分けられ、どこになるのか、いつになるのかわかりません。パビリオンが決まっても、下見にいけるのか明らかではありません。遠足には念入りな下見を行い、休憩所、トイレなどの位置を把握し、医療的ケアの必要な児童生徒の緊急的な対応についても、完全に把握しなければなりません。現在、万博会場に今あるのは「壮大」なリングのみで、パビリオンは全くありません。
関西6府県から、たくさんの児童生徒が来場します。確保できる観光バスがあるのか疑問です。繁忙期は、バス1台で19万円を越えます。
PCBが埋められた駐車場から入り口ゲートまで約800メートルの距離があり、集団で動く低学年の児童では約30分かかります。炎天下では、パビリオン見学どころではありません。
昼食休憩については、2,000人程度が収容可能な団体休憩所が予約制で用意されていますが、大阪府の児童生徒だけでも1万4,000人と想定しているので全く足りません。それ以外にも、関西5府県からは優先受付枠を、1日当たり2万2,500人を上限に想定しています。入れ替え制となる予定ですが、これでは昼食がとれない児童生徒がほとんどです。芝生広場やリング下などでも昼食が可能ですが、雨の日は屋根がなく食事ができません。その団体休憩所は、ガス爆発事故現場のそばに設置されています。
会場内は、基本的にキャッシュレス決済です。自動販売機で水など購入できません。当局は熱中症対策として「水筒をたくさん持たせてください」といいますが、低学年では重くて見学どころではありません。
学校行事は学校が独自に判断すべきもので、押しつけであってはいけません。ましてや、安全が確保されていない、避難計画もない夢洲に、こどもたちを参加させるわけにはいきません。各学校が、大阪・関西万博への教育旅行参加の有無を判断するにあたり、現段階では情報が少ないことについてどのように考えるか、教育長にお伺いします。
《答弁》 宮﨑教育長
大阪・関西万博は、次代を担うこどもたちが、世界各地の英知を結集した最先端の技術等に直接触れることができる貴重な機会であり、学校教育の充実を図る上でも意義深いものになると考えております。
各学校が参加の有無を判断するにあたっては、今後、博覧会協会から提供される、安全対策や避難計画等の情報を注視して進めていかなければなりません。
県教育委員会といたしましては、知事部局の万博推進課と水の問題とか、歩く距離の問題とか、そういったことを十分協議しながら、市町村教育委員会にすべての情報を共有し、県内の児童生徒が安全・安心に万博を体験できるように、取り組んでまいります。
《再質問》奥村規子
県議
教育長が今回の事故をどう認識しているかということが、答弁の中で触れられていないのが残念に思います。教育長として、その事故についてはご存じでしょうか。
《再答弁》 宮﨑教育長
存じております。
《要望》奥村規子
県議
それであるならば、学校の方へもしっかりと説明していただきたいと思います。
これは参考にお伝えします。1970年の大阪万博以降、大規模な万博は1992年まで22年間、開催されていません。その間にも、ウィーンとブダペストの共同開催が予定されていましたが、懸念があって住民投票で中止になっています。
再度、こどもの命に関わる問題ですので、考え直していただきたいと要望します。
3.食料自給率の目標を持つことについて
《質問》奥村規子
県議
国は「食料・農業・農村基本法は、農政の理念や政策の方向性を示すものです。(1)食料の安定供給の確保、(2)農業の有する多面的機能の発揮、(3)農業の持続的な発展と(4)その基盤としての農村の振興、を理念として掲げ、もって国民の安定向上の及び国民経済の健全な発展を図ることを目的としています。制定からおよそ四半世が経過し、昨今では、世界的な食料情勢の変化に伴う食料安全保障上のリスクの高まりや、地球環境問題への対応、海外の市場の拡大等、我が国の農業を取り巻く情勢が制定時には想定されなかったレベルで変化しています。こうした情勢の変化を踏まえ、令和4年9月以降、基本法の検証・見直しに向けた検討を行い、令和6年常会に改正法案を提出しました。改正法は同年5月29日に成立、6月5日公布に至りました」としています。
この法改正の最大の問題は、38%(カロリーベース)に落ち込んだ食料自給率の回復・向上を、国政の課題から投げ捨てていることです。
また「食料自給率の目標」が「食料安全保障の確保に関する事項」に書き換えられています。輸入自由化が進み、安い農産物が大量に輸入されてきました。基本法は輸入自由化を改めるどころか「安定的な輸入を図る」などと書き込んでいます。国内生産の土台を掘り崩すことになります。「農業で生活できない」「担い手がない」という声が広がっています。政府の責任で、所得補償をすべきです。
日本の食料自給率は、世界最低水準です。国民が命を保つ上で必要なカロリー自給率は名目上38%ですが、農業生産に必要な肥料野菜の種子、石油の90%前後は輸入にたよっています。外国にたよらず、自らの手で農業を育てていく必要があります。
そこで、農林水産部長にお聞きします。食と農業を守り、県民が安心できる食料を供給することは、最優先で取り組むべきことだと考えます。県として、明確に自給率の向上に取り組む必要があると思いますが、農林水産部長としてどのようにお考えでしょうか。
《答弁》 農林水産部長
改正後の食料・農業・農村基本法においては、「食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する事項の目標」を定めることとされており、食料安全保障の観点から国全体で食料自給率の向上を図ることは、重要であると考えております。
一方、各都道府県では、気候、風土、地形など、その土地に適した作物の生産が行われており、本県においては、傾斜地を生かした高品質な果実の生産や、温暖な気候を生かした施設栽培、稲作と露地野菜の複合経営など、収益性の高い農業が実践されております。
仮に、本県でカロリーベースの食料自給率を目標とした場合、麦、大豆などの穀物やイモ類、畜産用の飼料米などの導入を図る必要かありますが、平野部の少ない本県ではこのような作物は収益性が低く、農業経営の継続が困難となることから、県単位で食料自給率の向上に取り組むことは、現実的ではないと考えます。
県としましては、今後も引き続き、スマート農業の推進や、高品質な農産物のブランド化、国内外への販路拡大により、農業の収益性の向上を図りまして、農業経営の継続を支援してまいります。
《要望》奥村規子
県議
日本の食料自給率は38%ですが、この30年間で10ポイント近くも下落しました。暮らしと経済の基盤の1つである食料を、外国にたよっていることが本当に問題です。
ウクライナ侵略など国際情勢の危機において、脆弱な経済にしてしまっていることが浮き彫りになりました。
米作りをしている方が「米作って、飯食えねえ」とよく言われます。これを解消するため、価格保障、所得補償を国にしっかり求めていただきたいと要望します。
4.陸上風力発電所の建設について
(1)森林法に基づく手続きについて
《質問》奥村規子
県議
近年、日本の各地で記録的大雨による災害や、違法な残土処理・盛土による土石流が発生しています。国では2025年7月に、既存の残土処理場についても厳しく「盛土法」を適用していく考えだとお聞きします。特に、和歌山県では近い将来、南海トラフの大地震も発生する確率が非常に高まっているこの頃です。今年元日に襲来した能登の大地震は、県にとっても大きな教訓です。
こうした中で、事業者による乱暴な開発は、災害を増加させる「増災」になります。いま県がなすべきは、将来の災害をいかに減らすかという「減災」の考え方が主流となっていると思います。
そのような観点からは、中紀第2ウインドファーム、ドリームウインド、印南日高川風力の、3つの巨大風力発電計画をすすめさせるべきではないと考えます。その上、巨大風力発電事業は、地球温暖化防止という点でもほとんど役立っていないのが現状です。それぞれの環境アセスの段階で「著しく適さない」「当該地での事業の廃止も含め、抜本的見直しを」「貴重な自然環境や安全で快適な生活環境を損なってまで実施されるべきではない」と、知事意見を述べていただいています。
しかし、それでも事業者はどんどん進めています。中紀第2ウインドファーム、ドリームウインド、印南日高川ともに、事業地は県の指定する崩壊土砂流出危険地区がほとんどを占めています。また、地層的に非常にもろく、傾斜も非常にきつい。こうしたところは、林地開発要件の(ア)災害の防止、(イ)水害の防止、の観点から許可には合致しないと考えます。
「白馬山脈の風力を考える会」による資料「6月6日岩場地滑りによる崩落写真、修理川・宇井苔地区の山地災害の危険性」をご覧ください。
白馬山脈の風力を考える会の調査によれば「白馬山脈において広範囲に山稜部の森林伐採、地形改変(切土・盛土)が行われ、植生を育む山稜が失われると、森林の生態系が維持できなる可能性が高い。地形的、森林の自然景観が著しく失われる。計画地はブナ林を中心に学術的に貴重な多様な生態系、自然環境が保全されている。白馬山脈は白馬山を中心に、紀伊山地の地形形成にかかわる学術的に重要な地形群(和歌山レッドデーターブック2022年版)である。隆起が著しく急峻な山地で、狭長な山稜、深い谷と急斜面が発達している。また、南海トラフでは近い将来、マグニチュード8~9規模の巨大地震が予測されている。過去には、伊勢湾・室戸台風などにより、甚大な被害をもたらされた。巨大地震による地盤変動とともに、戦中から戦後の復興期に大規模な森林伐採があり、山地災害の大きな要因となったと思われる。山稜部に大型の風力などの建造物をつくることは、大変不適切だと考える」とされています。
そこで、お尋ねします。中紀第2ウインドファーム、ドリームウインド、印南日高川風力発電計画について、森林法に基づく手続きはどうなっていますか。また、地元住民の意見の確認方法について、農林水産部長にお聞きします。
《答弁》 農林水産部長
議員ご質問の森林法に基づく手続きにつきましては、保安林内で計画されている場合は、保安林の解除、それ以外の森林で1haを超える湯合は、林地開発許可が必要となります。
現時点で、事業者から申請はなされていませんが、申請がなされた段階で、山稜部に限らず、国や県で定めている基準等に適合しているか、厳格に審査してまいります。
また、地域住民の意見につきましては、地元自治会等との合意形成が図られているかについて、書面により確認してまいりたいと思います。
《要望》奥村規子
県議
周辺の方は、いったん建設されれば、低周波被害などで生涯苦しい思いをすることや、危険な災害が起きる心配をし続けることで、この先ずっと悔やまないといけません。
この地域は保安林が多いとお聞きしています。1級地は保安林を解除しないとなっていると思います。崩れやすい、災害が起こる可能性がある、などの要件があれば1級地として考えられていくと思います。
どうあればいいのかについて、住民の方と話し合う場を持っていただき、公聴会を行うなど、しっかりと住民の声を聞いていただきたいと要望します。