2024年12月和歌山県議会
令和5年度決算の認定に対する反対討論
奥村規子
録画中継(7:40~)
2024年12月18日
日本共産党のわたくし奥村規子から、議案第142号及び議案第143号に対する反対討論を行います。
まず、議案第142号「令和5年度和歌山県歳入歳出決算の認定」について申し上げます。
令和5年度、2023年度一般会計はその年2月の「財政危機警報」の発出による「財政見直し元年」として、2月議会で創設した「公債費臨時対策基金」に積み立てた83億5000万円から19億5000万円を繰り入れました。予算編成過程で15%シーリングなどが動き出すのは次の年度からですが、公債費償還財源確保スキームといわれる仕組みを整えたのがこの年になります。2022年3月に策定された「新中期行財政経営プラン」で150億円規模を維持すると見込んでいた財政調整基金と県債管理基金の残高が、「財政危機警報」では2025年度にはマイナス5億円、26年度はマイナス120億円になるとされました。物価高騰や金利上昇を強調していますが、国直轄事業負担金など投資的経費の増額に伴う県債借入金の増加が影響しているのではないかと指摘しておきます。
同じく2023年2月に創設された「日本国際博覧会基金」では16億6000万円を積み立て、23年度は1億4400万円を取り崩しました。事業内容としては関西パビリオン内の和歌山ゾーン展示に係る委託、出展にあたっての関西パビリオン建設費等の負担金、空飛ぶクルマの調査委託などです。大阪・関西万博については、建設業の時間外労働の上限撤廃、当初の1.9倍に膨れ上がった会場建設費2350億円やインフラ整備7500億円に対する国民負担、会場・夢洲のメタンガス爆発事故や土壌汚染、地盤沈下、災害時の避難の問題、カジノ誘致とともに推し進めていることなどから開催には反対です。ましてや危険な万博会場に「教育旅行」と称してこどもたちを連れていくなど許されるものではありません。
先ほども指摘しました国直轄事業負担金は、2023年度は前年度比24.1%増額の161億円にのぼり、県財政の将来の大きな負担となります。国に負担の減額や廃止を引き続き求めていただきたいと思います。
その中で、毎年指摘してきた下津港湾和歌山北港区の関西電力LNG発電所は計画が行き詰まる中で南防波堤建設だけが進められてきましたが、昨年12月に関西電力が建設中止を発表しました。総事業費300億円のうち、和歌山県はこれまで38億円を負担しました。これだけの県民負担を費やした南防波堤が「負の遺産」となったことは大変な問題です。
コスモパーク加太対策事業では、毎年6億円規模で県土地開発公社に賃借料を支払ってきましたが、土地の売却で2022年度決算では5億6290万円に、23年度決算では4億8650万円と減額してきました。23年度にはまとまった土地が売れたため、今年度予算額では1億5490万円まで下がっています。しかし、今年4月には土地開発公社の債務231億円を県が保証し、代位弁済しました。24年度決算のことになりますが、見通しの甘い大型開発失敗の後処理を県民に背負わせた結果になったことを申し上げておきます。
2023年度では、新型コロナウイルス感染症が2類相当から5類感染症に移行され、あらゆる感染対策支援が打ち切られました。現在でもコロナに対応する地域医療機関の経営が厳しい状態に置かれています。
また、2014年には12,540床あった病床を25年までに3,000床以上減らす「地域医療構想」によって、これまで1,435床を減らしました。特に昨年度は1年間で391床も削減しています。
今後の新たな感染症に対応するためにも、地域医療体制を守るためにも「地域医療構想」を撤廃するよう求めます。
コロナ禍を経て、中小零細事業者の割合が高い和歌山県では、個人経営の飲食店にお客さんが戻らないなど経営難が続いています。経営に苦しむ中小企業への直接支援を求めます。
政府は2023年度にマイナンバー法の改正で社会保障制度、税制、災害対策の行政事務についてもマイナンバー利用の推進を図ることを可能とし、マイナンバーの利用と情報連携についても省令改正で可能としました。それに基づき、和歌山県でもマイナンバーの利用が拡大されてきました。マイナンバーによる個人情報の漏えい問題が海外にまで発展し、医療機関でも様々なトラブルが頻発しています。国民の所得、資産、社会保障給付を把握し、徴税強化と給付削減を押しつけるマイナンバー制度の廃止を求め、その利用拡大には反対します。
教育では、教員の不足と長時間労働が深刻です。小・中・高とも少人数学級を推進するとともに、長時間労働を解消してこども一人ひとりと向き合えるよう、教員の増員を独自に進めるべきです。同時に、非正規教員である定数内講師を正規教員に置き換えていくよう求めます。児童・生徒が増え続けている特別支援学校・学級の教室と教職員を早急に増やすべきです。順位で過度の競争と管理を押しつける学力テストの中止を訴えます。
中小企業振興資金特別会計では、収入未済額52億6700万円のうち9割近くが中小企業高度化資金によるものです。その6割以上が同和行政のゆがみによる貸付金であり、未償還額は29億4600万円にのぼります。さらにそれとは別に2023年度までに12件、50億1200万円の債権を放棄してきました。償還に向け懸命に取り組まれていることは承知していますが、とても県民理解を得られません。
国民健康保険特別会計では収支差引額が2022年度52億円、23年度50億円の黒字決算です。一方で23年度の国保料・税は、40代夫婦と中1・高1のこどもの4人世帯のモデルケースにおいて17市町で引き上げられ、県平均も引き上げとなりました。県の主導でこどもの均等割の負担軽減や無料化などを進め、国保料・税の引き下げを検討するよう求めます。
次に、議案第143号「令和5年度和歌山県公営企業決算の認定」について申し上げます。
土地造成事業会計では、呼び込み型開発失敗で出た損失に、2009年度より毎年一般会計から1億5700万円を繰り入れています。同年度に、工業用水道事業会計から借り入れた長期借入金15億円は返済できず、2029年9月30日には償還期限を迎えます。売れない土地を抱えてきた総括と反省が必要であり、認められません。
以上で、決算の認定に対する反対討論を終わります。
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