議案に対する反対討論  奥村規子
   録画中継(27:10~)
 2025318

 日本共産党の奥村規子から、議案第1号、3号、7号、8号、16号、57号、58号、81号に対する反対討論を行います。
 最初に、議案第1号「令和7年度和歌山県一般会計予算」について申し上げます。
 県民が安心してくらし続けるためには、地域の平和をはじめ、高齢者への生活支援、若い世代がこどもを生み育てられる環境の充実が欠かせません。いま、物価の高騰が県民生活をはじめ、中小企業や農林水産業などの生業に大打撃を与えています。しかし、残念ながら国の政策は国民の願いに応えるものにはなっていません。このようなときに自治体に求められることは、国の悪政から住民を守ること、国に政策の転換を求めること、県として県民の願いに応える政策を実施することだと考えます。
 このような中、令和7年度、2025年度和歌山県予算が、県民の願いに応えるものとなっているかどうかが問われています。
 最初に国の物価高騰対策である「重点支援地方交付金」の使途について指摘しておきます。この交付金が和歌山県には43億円交付され、2024年度補正で12億円、25年度当初では31億円が計上されました。国の支援対象外であるLPガス料金や特別高圧電力、社会福祉施設の光熱費等の高騰対策支援に充てられています。このこと自体は歓迎するものです。
 しかし一方で、学校給食費無償化が引き続き実施されることは大変うれしいことですが、その財源をみると、事業費14億4000万円の全額を、重点支援地方交付金で充当します。単年度だけでなく今後も続けていく事業については、臨時的な交付金でなく、一般財源から確実に財源を確保するべきではないでしょうか。
 また、保育料等の無償化を実施する既存事業の「紀州っ子いっぱいサポート」も約2億4000万円の財源のうち1億円近くが重点支援地方交付金です。
 この交付金は県民が日々の生活に苦しんでいる物価高騰への緊急対策として使われるべきです。例えば、大変厳しい状況が続いている県内中小企業の経営への対策です。つなぎ融資の限度額引き上げや返済猶予、物価高騰対策としてのゼロ金利融資、コロナ対策融資の条件変更や柔軟な借り換え、家賃やリース代など固定費への補助などを実施することが急務ではないでしょうか。
 商工労働部関係では、新規事業として、企業誘致や成長する新規創業、宇宙関連事業、成長分野のビジネス創出への支援が計上されています。成長産業分野だけを引き伸ばすのではなく、地域に根差してきた地元産業を底から支える施策を柱にしてこそ地域の活性化につながることを指摘しておきます。
 福祉保健部関係では、介護保険制度で報酬改定などにより訪問介護事業者の撤退が増えています。県内において訪問介護事業所が1カ所のみという自治体が7町村もあり、4月からはなくなる自治体も出る見込みです。事業者の撤退が進むようであれば、行政が直営で必要なサービスを提供するなど、緊急に支援策を講じるべきです。本人負担の拡大により必要なサービスを受けることが困難になり、保険料も上がり続けています。介護保険制度のさらなる改悪をやめるよう政府に意見するよう求めます。また県独自で介護職員の賃金を引き上げ、人材確保に努めるよう求めます。
 地域医療構想による病院の統廃合、病床の削減が進んでいます。2014年には1万2,540床あった病床が23年度までに1,435床も減らされました。25年度でも病床再編経費に4億円以上が計上されています。新型コロナ感染症では入院すべき人が高齢者施設や在宅での療養を余儀なくされ、命が失われました。その教訓を生かし、新たな感染症や災害に備え、医療体制を充実させるためにも、地域医療構想を撤廃するよう求めます。
 後期高齢者医療の保険料は2024年度から所得割、均等割が値上げされています。平均所得52万円で平均保険料が73,900円と所得の14%にあたり、何らかの保険料の軽減を受けている人が74%にのぼります。23年度末で23.5億円となっている県の財政安定化基金を保険料引き下げに充てるべきです。
 こどもの医療費助成制度についても、県はいまだに就学前までとなっています。全市町村が中学卒業まで、ほとんどの市町村が高校卒業まで無料となっています。市町村のこども支援策が充実できるよう、県として対象年齢を引き上げるよう求めます。
 万博推進事業では万博基金16.6億円の最終年度となり、残る9.8億円で和歌山ゾーンの運営や会場内での催事、空飛ぶクルマの実用化に向けた調査などで使い切ります。
 その中で、県内の小中学生を大阪・関西万博に動員する「教育旅行参加支援事業」が進められています。学校行事としての教育的効果が不明な上に、事故防止や安全確保も保証されません。メタンガスの爆発事故の対策は一部の換気と検知器設置にとどまり、駐車場の敷地の下には猛毒のPCBが大量に保管されています。熱中症対策もまったく不十分です。会場夢洲へのアクセスは橋とトンネルの2ルートしかなく、災害時には15万人が孤立し、地盤沈下や液状化の危険もあるなど、多くの問題を抱えています。教育意義もなく、命が危険にさらされる大阪・関西万博にこどもを連れていく教育旅行の中止を求めます。
 県土整備部関係では、南紀白浜空港滑走路の2,000メートルから2,500メートルへの延伸のための空港基本計画作成と経済波及効果算出に4400万円が計上されています。延伸には、数百億円かかると言われています。県は「財政のやりくり」を言いながら、一方で巨額の財政支出をともなう事業に進んでいこうというのですから、つじつまがあいません。現空港の利用が目一杯で、延伸がどうしても必要とは言えません。この予算は撤回するべきです。
 関連して、先日、知事が受け入れを表明した特定利用空港では、空港のインフラ整備に滑走路の延長や駐機場の整備があげられ、「自衛隊・海上保安庁のニーズにも考慮して整備について判断する」としています。国の補助金を期待しての指定受け入れであるとすれば許されません。県民の安全を脅かす特定利用空港の指定受け入れの撤回を求めます。
 教育では、県の学力テストについて、中学生への実施を終了すると発表しました。このこと自体は歓迎するものですが、いっそのこと小学生でも終了すべきです。
 教員定数約7,000人のうち、450人以上の非正規教員である定数内講師について、5年で半減する計画はどうなっていますか。正規教員に置き換えていくよう改めて強く求めるものです。

 次に、議案第3号は「中小企業振興資金特別会計予算」です。収入未済額41億6900万円のうちほとんどが中小企業高度化資金によるものです。その約6割がゆがんだ同和行政による貸付金であり、未償還額は24億5500万円にのぼります。それとは別に今年1月までに14件、52億4300万円の債権を放棄してきました。
 さらに今議会では、議案第81号において、2件で1億9500万円の元金分の債権を放棄します。償還に向け懸命に取り組まれていることは承知していますが、とても県民理解を得られません。

 次に、議案第7号は「国民健康保険特別会計予算」です。
 国民健康保険料・税の値上げは、あらゆる世代にとって大きな負担となっています。国は「保険料の統一化」の名で公費繰入をやめさせる圧力を強化しています。県においても法定外繰入はやめるよう指導しています。2024年度の保険料・税は、夫婦40歳代でこども2人、所得200万円、2割軽減世帯のモデルケースにおいて、前年度より16市町村で引き上げられました。
 また県は2030年度に保険料水準の完全統一を目指すとしており、それに向けて27年度までに各市町村の納付金に医療費水準を反映させない納付金ベースにおける統一を目指すとしています。2024年度に統一化した大阪府では全自治体が値上がりしました。市町村独自の施策を後退させるとともに、保険料・税の引き上げにつながる保険料・税及び納付金の統一化には反対です。現状でさえ国保料・税は加入世帯の生活の限界を超えています。国庫負担の大幅増額や均等割の全面廃止などを国に強く要望するとともに、県としても国保料・税の引き下げに努力するよう求めます。

 次に、議案第8号は「県営競輪事業特別会計予算」です。県が公営ギャンブルを運営することには反対してきました。加えて今議会では、議案第57号と58号において、県営競輪施設の老朽化が進んでいるとして、競輪施設整備等基金と新たに設置する運営基金により効率的に資金管理し、施設全体を計画的に再整備するとしています。競輪事業に県予算をつぎ込むことには反対です。

 最後に、議案第16号は「土地造成事業会計予算」です。呼び込み型開発失敗で出た損失に、2009年度より一般会計から1億5700万円を繰り入れており、当初予算でも同額を繰り入れます。また09年度に工業用水道事業会計から借りた長期借入金15億円は返済できず、2029年9月30日には償還期限を迎えます。売れない土地を抱えてきた総括と反省が必要であり、認められません。


 以上で、議案に対する反対討論を終わります。



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