2025年6月県議会 福祉環境委員会
奥村規子委員の質問概要記録

2025年6月24日
【福祉保健部】 【環境生活部】 【共生社会推進部】
【福祉保健部】
《質問》奥村規子 委員
和歌山県訪問看護総合支援センターを設置したことについて、訪問看護師の資質向上等のための相談活動や研修などに取り組んでいくと思うが、このセンターで開催する研修費用などはどうなっているか。
《答弁》 医務課長
訪問看護総合支援センターについては、県から看護協会に委託しており、研修費用等は委託先である看護協会が負担することになる。
《質問》奥村規子
委員
新たに訪問看護に従事される若い人たちへの、いろんなハラスメントの問題もあり、利用者側の理解も必要ではないかと思う。この訪問看護総合支援センターでも、利用者側の教育にもぜひ取り組んでいってほしいと思うが、その点についてどうか。
《答弁》 医務課長
訪問看護ステーションからの相談だけではなく、利用者からの相談も受け付けるような形になっており、そういうことも含めて取り組んでいきたいと考えている。
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《質問》奥村規子
委員
点字図書館及び聴覚障害者情報センターの指定管理に係る債務負担の設定について提案されているが、限度額はどのように算出しているのか。
《答弁》 福祉保健政策局長障害福祉課長事務取扱
債務負担行為の限度額の内訳は人件費と管理費である。人件費は県の指定管理に係る標準人件費に基づいている。管理費は直近3か年の実績平均値である。
《質問》奥村規子
委員
賃金の引き上げや正規雇用など、近年の社会情勢は加味されているのか。
《答弁》 福祉保健政策局長障害福祉課長事務取扱
人件費の高騰も加味して積算している。
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《質問》奥村規子
委員
物価高対策として、特別高圧を受電する医療機関とあるが、対象はどこか。
《答弁》 医務課長
今回の支援の対象は、県立医科大学附属病院と日赤和歌山医療センターの2つである。
《質問》奥村規子
委員
公的な医療機関の経営が非常に大変であり、全国的に昨年の夏時点で25%が赤字経営の状況であることから、医療機関団体より請願や要請が県に届けられている。今年度はそれ以上に大変厳しいという話も聞いている。県立医科大学の経営状況や物価高の影響についてはどうか。
《答弁》 県立医科大学事務局次長
令和5年度の経常損益は8億円余りの赤字であった。現在、令和6年度の決算作業中であるが、令和5年度以上に赤字が大きくなる見込みである。原因として大きいのが人件費の増であり、これまでも県の人事委員会勧告に準じて改定してきているため、その影響は大きい。また、医薬材料費の増もあり、かなり経営を圧迫している状況である。
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《質問》奥村規子
委員
看護師確保の状況はどうか。
《答弁》 県立医科大学事務局次長(病院担当)
看護師の確保は、昨今の人手不足という傾向があるが、いろいろ工夫して取り組んでいる。令和6年度は、採用予定者数が100名のところ93名、9割程度の採用ができた。少しばかり採用実績者数が採用予定者数を下回っているため、現場の声を聞きながら、いろいろ工夫して取り組んでいきたい。
《質問》奥村規子
委員
最近の看護師の傾向として、卒業してすぐに訪問看護を希望する人が多くなったと聞いている。私が看護師をしていた時代には考えられなかった。病棟でいろんなことを経験して、それから訪問看護に移るという状況だったが、最近は美容関係に進む人も多いと言われている。
そういった傾向について、新卒生の意識をどのように把握しているか。
《答弁》 医務課長
具体的に実態を把握するのは難しい。調査によると令和5年度の新卒者の離職率は7%となっており、恐らく増えているものと思われる。
《質問》奥村規子
委員
365日、患者に医療を提供していく継続した仕事ということで、和歌山県の医療提供体制の中で看護師がよく不足していると聞いているが、必要な数に対して今どれだけ不足しているのか。
《答弁》 医務課長
医務課で例年実施している看護実施状況調査の令和6年度の結果によると、病院の要望ベースで436名が不足している。
《質問》奥村規子
委員
先ほどの傾向の話においても、選択する場合に時間の面で、夜勤の平常時からの3交替、2交替勤務というのが、非常に働きづらい状況になってきているのではないかと思う。
県としても、看護師確保の問題では賃金も含め、働く環境をもっとよくして、子育てもしながら、家庭生活も十分に成り立つような環境をつくる必要があると思うがどうか。
《答弁》 医務課長
働きやすい環境整備については、病院内保育所に対する支援を行っている。県としてそのほかに何ができるかは、検討が必要である。
《要望》奥村規子
委員
そういう点を病院任せにはせず、和歌山県の医療供給体制をしっかりつくっていくこと、看護師だけではなくいろんな働く環境を改善していくことを、ぜひとも力強く取り組んでいってもらいたい。また、対策を考えるに当たっては、現場の声をしっかりと聞いてもらいたい。
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《質問》奥村規子
委員
医療体制では地域医療構想でのベッド削減や、全国で11万床を削減して4兆円削減するといった大変なことが進められている話を聞くたびに、コロナなどのパンデミックに対応するのが非常に難しくならないかと心配している。
次の地域医療構想はこれから議論されると思うが、県としてパンデミックのことをどう捉え、ベッドの状況についてどのように考えていくのか、基本的な考え方を教えてほしい。
《答弁》 医務課長
2026年度から策定を開始する次の地域医療構想は、在宅医療や介護との連携も含めたものになる見込みである。具体的にパンデミックの際の病床確保については、国から具体的なガイドライン等が出されていないため、今後、国の動きを見ながら考えていきたい。
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《要望》奥村規子
委員
県内の医療機関の経営が厳しい点について要望する。
医療機関でコロナの支援金などを受けていても、10年で返済しなければならない状況がある。また今、物価高の状況にあって、全国的にも医療機関の閉鎖や経営が成り立たない話を聞いている。地域の医療を守っていくためには、やはり経営資金の問題がある。県でも医療機関から資金に関する相談を受けてもらい、県による資金援助は難しいかもしれないが、県としてできることがないか考えてもらいたい。
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《質問》奥村規子
委員
物価高騰状況下における生活保護制度の問題について、生活保護を利用できる範囲内の生活状況であっても、なかなか生活保護を活用できていない。生活保護を活用できている方がどれぐらいいるかの捕捉率が、日本は非常に低いと言われている。
昨今の物価高で大変な状況のなか、県はどのような対応を考えているのか。
《答弁》 社会福祉課長
生活保護制度の捕捉率であるが、生活保護が必要とされる世帯数が分母となり、分子が生活保護を受給している世帯数になると思うが、実際、生活保護が必要な世帯がどれだけいるかについては、単に所得が多いか少ないかだけではなく、資産をどれだけ持っているか、周りの親族等からの支援がどれぐらいあるのか、いろいろな制度の中で利用できるようなものがあるのかなど、そういったことを含めて全体的に判断するので、なかなか把握しづらいと考えている。
生活保護を受けていないが、生活に困窮している世帯については、現在、和歌山県も含め、国全体で、そのような方々と接する機会の多い民生委員・児童委員や、社会福祉協議会、いろいろな民間の支援団体、市町村といった機関が一緒になって、市町村域ごとで福祉事務所が主となり支援会議をつくっている。この支援会議でそれぞれが地域住民と接した情報を持ち寄って、定期的に情報交換をしている。
例えば民生児童委員が地域の方から生活に困窮しているという相談を受けた場合は、民生児童委員から福祉事務所に情報共有し、福祉事務所が主になって支援会議の構成メンバーで支援調整会議を開くことになっている。そこで相談のあった方について、生活保護も含めてどう支援していくかを協議する。また、生活に困窮している方に対し、生活などで困っているというような相談を福祉事務所にしてくださいという呼びかけをするために、「生活などのお困りごと相談」という案内を県民の友の7月号に掲載する予定であり、この先も定期的にこのような案内を掲載しようと考えている。
また、生活保護に関して、様々な誤解があったり、申請することに躊躇する方が多くいる。それらを解消するために、生活保護の相談があった場合に、相談に来られた方へ最初にお渡しする「生活保護のしおり」の表現内容を一昨年に改めた。例えば、車を持っていると生活保護を受けられない、援助してくれる親族がいると生活保護の申請はできないなどの誤解をなくすようにしている。
《要望》奥村規子
委員
自殺の問題も含めて相談活動を民間レベルで行っているところもあると思うが、民生児童委員も含めた団体ともいろいろな情報を共有している支援会議は非常に大事なところだと思うので、今後もよろしくお願いしたい。
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《質問》奥村規子
委員
国民健康保険料の負担が重いという話を以前からしているが、国民健康保険料の現状と保険料引き下げについての県の考えを教えてほしい。
《答弁》 国民健康保険課長
市町村国保の保険料は、様々な項目から算定し、決定されているが、費用としての医療費を賄うための財源として、国、県、市町村が負担する公費と、現役世代からの支援金等があり、これらを除いた残りの部分が保険料となる。
費用を賄うための財源確保の努力と、費用としての医療費をいかに適正化していくか、その2つの努力によって保険料の引き下げにつながっていくものと考えている。
ただ、医療費については毎年上昇傾向にあり、それに比例して保険料も上昇傾向にある。
物価高騰対策については、県独自で保険料を引き下げるのは難しいが、国の制度で低所得者層及び中間所得者層の保険料に対して一定程度配慮がなされている。まず、物価上昇に伴う給与等所得水準の上昇の影響により、保険料の軽減が受けられる低所得者世帯の範囲が縮小しないよう、判定基準の見直しが実施されたところである。あわせて、高所得者の負担は増えるものの、中間所得者層の保険料負担が著しく増えないよう、賦課限度額の引き上げについても改正がなされたところである。
《要望》奥村規子 委員
医療費がだんだん増加している中で、やはり国民の命に関わることであり、県だけでどうこうできる問題ではないが、国保財政に対し国の財源を充実させていくのも必要なことだと思うので、県としても今後より一層の努力をお願いしたい。
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議案に対する採決
議案第102号 令和7年度和歌山県一般会計補正予算
議案第111号 令和7年度和歌山県一般会計補正予算
は全会一致で原案可決
【環境生活部】
《質問》奥村規子
委員
地域猫対策について「不幸な猫をなくすプロジェクト」として取り組まれているが、その目的や成果、今後について説明願う。
《答弁》 生活衛生課長
「不幸な猫をなくすプロジェクト」は、今年で10年目を迎えている。殺処分される猫や野良猫による生活環境被害の減少を目的に、このプロジェクトを立ち上げた。また、新たな飼い主への譲渡も併せて促してきたところ。
特に地域猫対策の推進については、当初から地域住民、ボランティア、行政が三つ巴になりながら連携して取り組んでおり、現在では県内に広く浸透している。
今年の4月1日現在において、県内855地域で2,056名が参画し、9,330匹の地域猫が認定されており、プロジェクト開始からの不妊去勢手術数は既に累計1万匹を超えた。
成果としては、プロジェクト開始前の平成27年度と比較して、令和6年度の殺処分数は約9割減、苦情数は約半減となり、生活環境の改善が図られるとともに、譲渡数は4.5倍となる455匹と増加し、譲渡可能な猫については、令和2年度以降殺処分ゼロを維持しているところ。
これらの成果は、地域住民やボランティアの方々の連携の賜物であると考えており、今後とも密接な連携のもと、地域の実情に応じてアプローチを心がけ、人と動物が共生する社会を目指していく。
《質問》奥村規子
委員
大変効果が出ており、関係者の努力の成果が見受けられる。
855地域のほとんどでうまく進んでいると思うが、特定の地域では猫が増えてしまい、餌の費用がかかるなど困っている事例もある。コミュニティとして皆でやっていこうとなれば良いが、うまくいかない場合もある。少数の実施者、特に高齢者に負担がかかっている事例がある。和歌山市の事例だが、市の動物愛護管理センターがうまくいくよう地域に働きかけほしい。県としても助言していただきたいが、いかがか。
《答弁》 生活衛生課長
855地域すべてが順調にいっているわけではなく、ケースバイケース、地域の実情に応じて諸課題が顕在化している。その中で県立保健所及び和歌山市動物愛護管理センターにおいても、ボランティアの方々を含めて、様々な知恵を出し合いながら、生活環境の改善を図っていきたい。和歌山市動物愛護管理センターから相談があった場合は、県のプロジェクトでもあるため、県として様々な後方支援をさせていただく。
《要望》奥村規子
委員
関係者の方々の努力や自治会もしっかりと関わっていただき、当事者の方が理解を深めていくことも重要と考える。引き続きサポートをお願いする。
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《質問》奥村規子
委員
日本製鉄内の共同火力に隣接している地域のことで和歌山市に相談しており、低周波被害なのかどうかを含めて調査をしてもらいたいのだが、県と和歌山市の関係において、県としてどのようなことができるのか。
《答弁》 環境管理課長
まず、和歌山市内の騒音を含む公害関係の法令は中核市である和歌山市が所管しており、県に指導の権限はない。
県と和歌山市の関係については、県は和歌山市と共に日本製鉄と環境保全協定を締結しているが、これは日本製鉄及びその関連企業を含む敷地全体から発生する公害の目標値、つまり協定値の設定と、モニタリング方法について定めたものであり、個別の事案については法令に基づき、権限を持つ和歌山市が対応している。
ただし、委員から指摘のあった件は、これまでも話を聞いており、その都度、和歌山市、日本製鉄に伝達し対応をお願いしてきた経緯かある。
さらに、和歌山市が測定した低周波の機器は、県の環境衛生研究センターから貸し出したものであり、使用方法や評価方法についてレクチャーするなど、可能な範囲で協力や対応をしている。
《質問》奥村規子
委員
和歌山市が実施した測定結果の評価など、専門的なところについての相談には、県として対応できるのか。
《答弁》 環境管理課長
測定や評価の方法も含めて、環境省がマニュアルを作成しており、それに基づいて調査が実施されるものと考えている。
和歌山市の調査結果について確認したが、おそらくそのマニュアルに基づいて実施されたものであり、それが基本的な調査方法であると考えている。
《質問》奥村規子
委員
そのマニュアルが適切なのかどうかも含めて考えなければならないということか。
《答弁》 環境管理課長
環境省が定めている内容であり、マニュアルそのもの、その内容については国で判断されるべきものと考えている。
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《質問》奥村規子
委員
コスモパーク加太に建設される予定のGoogle関連会社のデータセンターは、環境アセスメントの対象になるのか。
《答弁》 環境管理課長
データセンターの詳細が分からないので、環境アセスメントの対象になるかどうかの判断はできない。
【共生社会推進部】
《質問》奥村規子
委員
先だっての人権・少子高齢化問題等対策特別委員会においても発言したが、ジェンダー平等の推進について、男女の賃金格差の問題を、ぜひ是正していかなければいけないと思っている。今年度で考えている取組はあるか。
《答弁》 多様な生き方支援課長
賃金の格差を是正するための直接的な方策ではないが、啓発の取組として、女性活躍企業同盟において団体や企業に対して様々な取組事例を紹介したり、優れた取組を行う企業を表彰し、その取組を共有している。
《要望》奥村規子
委員
そういった取組の中で、実際に企業の理解が進み賃金格差が是正されていくようお願いしたい。生涯賃金において、男女の賃金格差が1億円もあるというデータもあるが、賃金だけでなく、性的マイノリティの問題なども含め、誰もが自分らしく生きることができ、一人ひとりが尊重されることがジェンダー平等の取組だと考えている。
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《質問》奥村規子
委員
子ども会の活動で、和歌山市の職員が何年か前に自死されたことで、いろいろなことが起こっていると思う。それに関連して、子ども会活動には県も補助金を出している関係がある。
子ども会の運営や活動の適正な把握、補助金の活用の実態などは、どのようになっているのか。
《答弁》 こども未来課長
補助金の適正執行の確認については、補助金交付市町から県に提出される実績報告書で確認しており、それに加えて、令和2年度から市町への立入検査も行っている。
《質問》奥村規子
委員
令和2年度からの立入検査で、帳簿などで活動履歴を監査するということだと思うが、5年前から行っているということでよいか。
《答弁》 こども未来課長
そのとおりである。
《質問》奥村規子
委員
令和2年度から検査をすることになった目的やきっかけ、経緯を教えてほしい。
《答弁》 こども未来課長
和歌山市において、令和2年2月18日付けで公金の不適正な支出について記者発表があったことを踏まえて、県でも立入検査を行った。これが令和2年度から立入検査を始めたきっかけとなっている。
《質問》奥村規子
委員
それまでがどのようになっていたかの追跡調査は特にしていないか。
《答弁》 こども未来課長
これまでの補助金の検査については、大半の補助金と同様、市町から提出される実績報告書により、県で確認をしていた。
《要望》奥村規子
委員
今後の件も含めて、やはりこの件は人の命にまで関わったことになっているので、厳正にやってもらいたい。
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