2025年9月県議会 福祉環境委員会
奥村規子委員の質問概要記録
2025年9月22日
【環境生活部】 【共生社会推進部】 【福祉保健部】
【環境生活部】
《質問》奥村規子 委員
横断歩道での車の一時停止について、和歌山ではこどもが横断歩道を渡ろうとしても、あまり車が止まってくれない印象かある。その指導の現状について、説明してほしい。
《答弁》
県民生活課長
信号機のない横断歩道等についての自動車の一時停止率は、令和6年にJAFが実施した調査において、和歌山県では36.2%となっており、全国平均の53%を下回っている状態であり、全国でワースト5位という状況である。
それに対して、現在、秋の交通安全運動の期間であるが、各季の取組の中での啓発や、小学校での交通安全教室などで、サイン+サンクス運動という、横断歩道を渡るときには手を挙げて、運転者に渡る意思を伝え、止まってくれたら「ありがとう」と会釈などで伝える運動にも取り組んでいるところである。
《要望》奥村規子 委員
運転者に対する啓発なども、事故を減らすために、引き続き力を入れてもらいたい。
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《質問》奥村規子 委員
水道管について、国土交通省が下水道の老朽化調査で1年以内に早急に対策が必要な箇所の割合を発表したが、水道管の老朽化について、先だって発生した西浜での事故等も含めて、現状と取組について教えてほしい。
《答弁》
生活衛生課長
老朽化の現状については、本県の上水道管の法定耐用年数40年を超えた管路延長は、令和5年3月末現在で、全管路延長7,596キロメートルのうち1,893キロメートルであり、約24.9%となっている。全国平均が23.6%であり、若干全国よりも進んでいる状況である。今後、老朽化はますます進んでいくことが見込まれるため、計画的に更新を実施する方向で進めていかなければいけない。
水道事業は住民に必要不可欠な生活インフラであり、本県では県営水道はなく、市町村が水道事業を独立採算で行っている。前提として市町村が水道事業を担っているが、県としても、昨今の頻発化する自然災害への備えとして、老朽化プラス耐震化に向けて、市町村の底上げをしていかなければならないこともあり、国の補助制度やDX技術を活用した漏水調査等の新技術の横断的な情報提供や、市町村等と共に国の助成制度の採択要件の緩和や補助率の引上げを引き続き国に要望していきたい。
《要望》奥村規子 委員
老朽化対策を行う市町村も大変な状況であり、県として財政的なことも含めた十分な支援をよろしくお願いする。
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《質問》奥村規子 委員
紀伊半島三県のツキノワグマの頭数が400頭以上になったと聞いた。例えば熊というと、昨年亡くなった和歌山城動物園のベニーであったり、童謡にも歌われているような、こどもたちに親しまれてきた動物だと私は思っている。
愛護という立場から質問するが、ツキノワグマ管理計画を作成し捕獲することについて、県民にどのように周知していくのか、こどもたちへの思いも含めて説明してほしい。熊の居湯所がなくなってきたことが問題なのか、環境の変化などいろいろなことも含めて、なぜこのようなことになっているのかを説明することが必要だと思うが、どのように考えるか。
《答弁》
自然環境課長
ツキノワグマ第二種特定鳥獣管理計画において、人間と熊のすみ分けを図る目的でゾーニングを計画している。また、育成不良の人工林については、広葉樹林化を行うことで、生物多様性が豊かな森となるよう整備を行っている。これにより、奥山の生息環境は改善されると考えている。なお、人の生活圏に熊が出没した場合、原因となる誘引物質を特定、除去するなどの指導を行っている。
県民に対しての周知は、県ホームページ等で熊に出会った時の対応などを周知しているので、さらにこれをバージョンアップしていきたい。
《質問》奥村規子 委員
こどもたちの思いも含め、教育委員会や保育所なども、熊の生態や、自然の変化、食べ物がなくなっていることの原因などを一緒に考えられるような形で周知してもらいたいと思うが、その点についてはどう考えるか。
《答弁》
自然環境課長
現在は人的被害の防止を最優先に考えており、町なかに出てきた個体については有害捕獲という形で考えている。ただ、奥山に生息している熊については、特に捕殺等を考えていないので、そのような啓発をしていきたい。
《要望》奥村規子 委員
丁寧な対応をお願いする。
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《質問》奥村規子 委員
コスモパーク加太の太陽光発電所設置計画の説明会に行ってきた。
環境白書には、地域住民への十分な説明を行った上で、事業計画についての知事の認定を受けることを義務づけているとあるが、この「地域住民への十分な説明」という点をどう考えたらよいのか、事業者にはしっかりと対応していただかなければならない。
説明会では、加太の住民を対象にしているので、質問は控えてくださいと言われた。
また、説明会開催の周知が、加太の住民の方に十分行き渡っておらず、知らないという人もかなり多かったようで、2日間開催されたが、参加者は合わせて三十数人だったらしい。
県条例の「十分な説明を行った上で」とは、具体的にどのようなことを言っているのか。
《答弁》
環境管理課長
コスモパーク加太の太陽光発電事業については、県太陽光条例の事前協議の手続きを本年5月に終了しており、現時点で本申請には至っていない。
この事業は和歌山市の太陽光条例の許可も必要で、市条例、県条例及び固定価格買取制度に基づく説明会を兼ねた形で開催していると聞いている。
また、説明会の開催形式については、基本的には地元和歌山市及び連合自治会と協議したとも聞いている。説明の中身に関しては、県条例で詳細に求めておらず、なるべく広い範囲に知らしめるようお願いしている。今回の事業についても住民に広く分かっていただけるような説明会をするように指導している。
《要望》奥村規子 委員
加太は、和歌山市民の方々に親しまれている場所だと思うので、住民の思いや意見も丁寧に聞いてもらいたい。今後、県条例で申請された時には、その点も含めて慎重な審査をお願いする。
【共生社会推進部】
《質問》奥村規子 委員
「人権を考える強調月間」が11月11日から12月10日までということで、街頭啓発などの取組をこれまでも実施してきたが、人権意識の高揚や変化につながる取組として、今年度実施する特徴的なものや、さらに深めるようなものがあれば教えてほしい。
ジェンダーの問題について、世界的にも、日本としても意識が向上しており、DVの根絶が必要だと思う。
ストーカーによって命を失うような事件かあり、非常に危機感を持つが、そういったことが起こらないような環境づくりについて、どのように取り組んでいるのか。
また、DVの状況についてはどうか。
《答弁》
人権施策推進課長
県としては、様々な人権問題の解決には、県民一人ひとりが正しく人権問題を自らの課題として捉えて、人権を尊重する必要性を正しく理解し 日常生活の中で他人の人権にも十分配慮した行動が取れるということが重要だと考えている。
強調月間に関しては、今年度特にというものはないが、人権啓発の工夫としては、単に聴講するだけの事業ではなく、啓発の効果をさらに高めるために、知識習得だけではなく、年齢や発達段階に応じた参加体験型の人権啓発活動を行っている。
例えば、今年度は、障害のある人の人権に関して、就労支援事業所の方々と県民の方々の交流イベントを予定しており、そのほかには、年齢層や発達段階に応じた啓発として、こどもの人権に関して、感性が発達する幼児期に、思いやりやいたわりの心を育み人権を尊重できるこどもを育てる「人権感覚を育てよう」プログラムを作成しており、各幼稚園、保育所、認定こども園等を訪問して、このプログラムを実践することとしている。
《答弁》
多様な生き方支援課長
DVの相談状況について、令和6年度に県DV相談支援センターで対応した相談件数は470件で、女性が453件、男性が17件であり、令和元年度の587件と比較すると減少傾向である。
県としては、DVが起こらない環境づくりのための直接的な取組ではないが、これまでも高等学校での出前講座やセミナー開催、県民の友、街頭啓発などにより、県のDV相談支援センターでの支援について周知啓発を行い、DV被害を受けた場合にはためらわず相談するよう取り組んでいる。
《要望》奥村規子 委員
DVをする側への対応や対策が不十分に思われるため、人権週間や人権に関する月間などの中で何か取り組めることがあればよいと思うので、よろしくお願いする。
【福祉保健部】
《質問》奥村規子 委員
議案第128号「権利の放棄について」は、本人が亡くなって、債権放棄もされたという話であったが、かなりの高額になっている中で、ケースワーカーなどがどういう関わりをされたのか教えてほしい。それを今後に生かしていかなければならないと思うが、どうか。
《答弁》
社会福祉課長
議案第128号の債権放棄の件については、生活保護を受給中に仕事をしており、その収入を正しく申告しておらず、約400万円を不正受給したということで返還が必要となっていた。一部は返済されたものの、完済前に亡くなったということで、2名の相続人に請求することになったが、どちらも相続放棄をしたということで、債権放棄を行うこととなった。亡くなった債務者は、亡くなるまで生活保護を受給していたので、主にケースワーカーが介護等の支援をしていた。
《質問》奥村規子 委員
今後、ケースワーカーとの関わりの中で、早期にそういったことが防げるとか、いろいろできることもあるのではないかと思ったので、質問した。
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《質問》奥村規子 委員
次に、先ほど部長から説明があった中で、特に医療・福祉・介護について質問する。米について、5キロで4,000円余りとか5,000円近くするなど、値段が下がらない。そういった物価高騰がずっと続いている大変な状況の中で、健康被害にもいろいろと影響かあり、高齢者への医療・福祉・介護が総合的に役割を発揮することが非常に大事だと思う。
物価高騰により、いろいろな影響を受けることが全般的に起こっている中で、県としては総合的に、物価高騰対策で県民の命や暮らしを守る複合的な機能が必要であると思うが、保健福祉という観点から、県民への支援の在り方について教えてほしい。
《答弁》
社会福祉課長
いろいろなお困りごとを抱えた世帯に対する効果的な支援制度として、生活困窮者自立支援制度かある。同制度に基づいて、各市部、各郡部の福祉事務所に民生委員・児童委員や社会福祉協議会、地域包括支援センターといった様々な分野の支援組織などと連携して支援会議というものを設けている。
さらに、生活困窮者の相談に応じる相談支援員を設置しており、地域で生活に困っているというような相談が上がってきたときは、相談支援員が対応して、様々な分野の支援機関と連携して支援するという制度になっている。
《質問》奥村規子 委員
相談があって、効果的にそれぞれの分野の人たちが関わって、支援会議がなされているということだが、各振興局で実態としてどのように取り組まれているのか。
《答弁》
社会福祉課長
例えば民生委員・児童委員がその地域で困っている方からの相談を受けたときは、町村役場を通じて県の振興局の相談支援員に情報が集約されることとなる。相談が寄せられた時点で振興局の相談支援員は、相談のあった家に出向いて話を聞くこととなる。その上で、内容に応じて連携している様々な支援団体や支援機関につないで、その方にとって、その時点でどのような支援策を採るのが最適なのか協議をして対応していくこととなる。生活に困窮して生活費もないというような場合であれば、生活保護への適用も検討されるし、介護であれば包括支援センターなどに関わってもらうといったように、相談内容によって、様々な機関が役割に応じて関わることになる。
《質問》奥村規子 委員
困っていることが確認できれば、支援に当たる仕組みがあることは分かった。しかし、事前に困っていることが確認できていない方で、物価高騰で生活に困窮しており、例えば食事を1日2回にしていたり、入浴するのを隔日や3日に1回にしたりするなど、節約する生活を強いられている方が非常に多い。そういった、物価高の大変な状況をどうやって乗り越えていこうとしているかについても、県は実態の把握をしてもらいたい。困っていることを言い出しづらい世帯も多いのではないかと思う。先ほど説明のあった仕組みでは、救い切れていない状況もあるのではないかと思っている。
最近、国勢調査が始まったので、この機会に、気になっていた人や今まで気付かなかった人など、見守り協力員だけに任せてしまうのではなく、行政も含めた様々な観点からの気付きの情報が集まるようなシステムにはならないのか。
《答弁》
社会福祉課長
相談に来られない、声を上げられないような困窮している方への支援については、自治会が見守るというような形で取り組んでいる地域もある。その見守りの中で、自治会や民生委員・児童委員などが巡回して何らかの問題に気づいたときは、生活状態や健康状態も含めた情報を福祉事務所に共有してもらい対応していくことになる。ただ、見守り活動というのは市町村が中心になって行うようになっており、地域によって、見守り活動や巡回などの頻度にはばらつきがある。県としては市町村に対し、民生委員・児童委員や自治会など地域の方々で連携し、見守り活動や巡回といった支援体制をつくっていくよう、呼びかけを行っているところである。
《要望》奥村規子 委員
高齢者が安心して、住みたいところに住み続けられるよう、実際それが行き届くようによろしくお願いする。
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《質問》奥村規子 委員
医療提供体制について、物価高騰の状況のなか、公的病院の経営状況は、県立医科大学も含めて大変な赤字になっているとのことだが、今後どのようにしていくのか。
《答弁》
医務課長
県内の病院の経営は苦しいという状況にあるが、その理由としては、物価の上昇に合わせて診療報酬が上がっていないということがある。診療報酬に関しては、「社会経済情勢を適切に反映した診療報酬となるような改定を行うことや、物価や賃金の上昇に応じて適切に診療報酬をスライドさせる仕組みを導入すること」などの要望を全国知事会から行っているところである。
診療報酬は2年に1度の改定となるため、ほかにできることとして、各地域において、例えば小児医療や周産期、救急などの地域医療提供体制を維持していくために、各病院の連携を強化すること、病床数のダウンサイジングや必要な医療機能への転換など、地域での医療機関同士の話合いを、県として支援していきたいと考えている。
《質問》奥村規子 委員
連携していくことは非常に大切なことだと思う。ただ、連携することと併せて、医療需要に応じて病床数を適切に決めていくことも大切である。結果的に病床数が減ることはあるだろうが、病床数の削減は地域の需要によって決められるもので、一律に削減することを目的としたものではないというのが、これまでの考え方だと思う。
具体的に、地域の医療需要をどのように反映させ、病床数を決定しているのか。
《答弁》
医務課長
病床数の適正化については、各医療圏域において調整会議があり、医療機関や医師会等が入って話合いを行っている。
和歌山県全体では、急性期病床が余っていて、回復期病床が少ない状況となっているため、圈域ごとに、回復期病床が少ないのであれば急性期病床からの転換を促すなど、具体的な話合いを行っているところである。
《質問》奥村規子 委員
12月に閉院する病院があると聞いて、そこの住民の方は不安に感じている。県民のそういった意見も反映させる調整会議ということか。
《答弁》
医務課長
病院がなくなれば、それだけの病床もなくなるということなので、その患者がどこに行くかというのは、在宅医療も含めて各地域での話合いによると考えている。
《質問》奥村規子 委員
医療を計画していく上で、住民の方の意見が反映される仕組みになっているということか。
《答弁》
医務課長
調整会議自体は、具体的に住民と直接話し合う場ではないが、各医療機関が入院状況や患者の状況を見ながら病院を経営しているので、各医療機関を通して地域の状況が分かるようになっている。
また、調整会議には保健所が参加しており、各地域の医療の状況を把握している。
《質問》奥村規子 委員
保健行政として、保健所は地域の医療需要等を把握しているということか。
《答弁》
医務課長
そのとおりである。
《要望》奥村規子 委員
地域住民にとっては、医療が身近なところにあるのが大切であるため、保健所を通して、ぜひ住民の意見を反映させてほしい。
また、診療報酬が上がれば自己負担も上がるということなので、医療にかかりづらくなってしまう可能性がある。最近、外来患者が少なくなってきていると一般病院の方から聞くこともある。
経済状況や様々な要因で医療機関に行けないとなると、命に関わってくることなので、ぜひとも現状をつかんでもらいたい。
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《質問》奥村規子 委員
病院を訪問すると、看護師不足の問題で、看護師を紹介してもらうために非常に高額な紹介料が必要で大変だという話を聞いた。学生に奨学金を出して確保することになっても、専門学校が閉校して大学に行く方が多くなる中で、4年間で大体700万円が必要ということも聞く。半数の人が経済的な困難を抱えていることも聞いているが、奨学金貸与の人数や金額も現状に合わせてぜひ再考してほしい。そういった面も含めて、学生の生活実態を把握してもらいたいと思うがどうか。
《答弁》
医務課長
学生の生活実態までは把握していないが、県では、県内に就職し、5年間働けば免除するという修学資金の貸付けも行っており、そういった取組も含めた県内就職率が約7割の状況である。できるだけ和歌山の学校を出た方は和歌山の病院で働いてほしいので、修学資金の見直しを検討していきたい。
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《質問》奥村規子 委員
介護事業所の介護報酬について、処遇改善として介護職員1人当たり5万4,000円の支援を進めてきていると思うが、他産業と比べてまだまだ改善されていないと耳にする。実際、現状はどうなっているか。
《答弁》
介護サービス指導課長
令和7年3月に開催された社会保障審議会介護給付分科会の資料によれば、介護職員と全産業平均を比較すると、介護職員の賞与込み給与が月額8万3,000円低い状況にある。
介護職員の処遇改善については、国において、これまで数次にわたる見直しや措置が行われており、最近は、総合経済対策に基づき、常勤介護職員1人当たり年額5万4,000円相当の支援を実施した。令和6年度の介護報酬改定においても、介護職員の処遇改善に関する加算も含めて見直しがなされてきた。
県としては、全国知事会などを通じて、介護職員の処遇改善に関し、国において必要な措置が講じられるよう強く要望しているところである。
《要望》奥村規子 委員
まだまだ全産業と比べて介護職員の賃金が低い状況にあるということだが、賃金が引き上がる仕組みについても課題があるのではないかと考えている。
ぜひ、改善を進めてもらいたい。
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議案に対する採決
議案第128号 権利の放棄について
については全会一致で原案可決
2025年9月議会 奥村規子プロフィール、質問一覧
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