議案に対する反対討論 奥村規子
録画中継(16:40~)
2025年9月26日
日本共産党のわたくし奥村規子から、議案第120号及び議案第125号に対する反対討論を行います。
議案第120号は「令和7年度和歌山県一般会計補正予算」、議案第125号は「和歌山県地域振興基金の設置、管理及び処分に関する条例の一部改正」です。これらはともに、「企業版ふるさと納税」として集められた企業からの寄付金を地域振興基金に積み立て、これまで単年度で使い切っていた寄付金を複数年度にわたる事業でも使えるようにするものです。
2008年度に創設された「ふるさと納税」は、地方自治体に寄付をした場合に、所得に応じ一定額まで寄付金のほぼ全額が税の還付で戻ってくる制度です。ふるさとへの応援や、被災地支援などは積極的な意味をもっていますが、高額所得者に有利であること、高価な返礼品を送る自治体に寄付が集中すること、寄付額の相当部分が返礼品の費用で消えるなどの弊害もあります。本来の趣旨から、返礼品競争の過熱防止や富裕層優遇とならない仕組みに見直すことが必要です。
一方、2016年度に創設された「企業版ふるさと納税」は、地方自治体に寄付をした企業の法人税等の税負担を軽くする制度であり、2020年度の税制改正で寄付額の最大9割が税額控除される仕組みに大幅改変されました。これによって適用件数は急増し、2019年度の寄付実績34億円に対し、23年度は470億円にのぼります。寄付をした企業と取り組む事業への還元を減税で支援するのですから、利益誘導になりかねません。
他県の例で申し上げますと、ある大手企業による「企業版ふるさと納税」を通じた寄付金が、そのグループ企業が保有する施設を中心としたエリアの再開発に用いられています。企業は寄付を行う前から事前に寄付金の使途の計画について自治体と打ち合わせをし、市長と企業側のトップでプロジェクトを進め、運営に関しても企業が担います。企業側の意向を大いに反映する形で事業を進めることが可能になり、本来法人税として徴収されていたはずのお金の用途を、企業の利益として使えるようになります。
また、福島県国見町(くにみまち)では「企業版ふるさと納税」の見返りとして、入札において便宜を図る官製談合が起きました。便宜を図られた企業が有利となるように製品の仕様を調整し、その子会社に再委託の発注が行われたことから、認可が取り消されました。
「企業版ふるさと納税」は、自治体と企業との癒着や不正を生み出す可能性があり、税収の偏在を地方交付税で調整するべき本来の国と地方の税制のあるべき姿をゆがめるものでもあります。
これらのことから、「企業版ふるさと納税」の利用を拡大する今回の条例改正と補正予算には反対します。以上で、反対討論をおわります。
2025年9月議会 奥村規子プロフィール、質問一覧
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