2.高校における教員の安定確保について
(1)教員不足の現状と、教員の働き方改善への取り組みについて
(2)35人学級の早期実現について
3.貴志川高校への高等支援学校の併設について
(1)高等支援学校新設に至る背景と内容について
(2)貴志川高校のこれからについて
4.コスモパーク加太におけるデータセンター建設について
(1)データセンターとはどういうものか
(2)住民への説明や住民合意について
5.大阪・関西万博について
(1)万博開催実績について
(2)建設費未払い問題について
1.「高額療養費制度の自己負担限度額引き上げの中止を求める」ことについて
(1)和歌山県の市町村国保における高額療養費制度の利用状況について
《質問》奥村規子 県議
議長のお許しを得ましたので通告に従って大項目5点について一般質問をさせていただきます。
1つ目は,「高額療養費制度の自己負担限度額引き上げの中止を求める」ことについて、お尋ねします。
高市政権は「高額療養費制度」の自己負担限度額を引き上げようとしています。この制度は1973年(昭和48年)10月に健康保険法等の改正によりに創設され、国民健康保険では、1975年(昭和50年)10月から実施されたものです。高額療養費制度は、誰にでも起こり得る、がんや長期治療の病気、突然のけがなどのとき、医療費の家計負担が重くならないように、一定額を超えた医療費の自己負担額を軽減するためとして始まりました。
令和5年度の国資料の利用者推計では約823万人とお聞きしていますが、そのうち約660万人が負担増の見通しと聞いています。必要な治療をあきらめる人が増えるのではないかと大変、心配するところです。
来月からは、新たに少子化対策に充てる「子ども、子育て支援金」が医療保険に上乗せされ、さらに負担が増えることになります。そこで、お伺いします。
和歌山県の市町村国保における高額療養費制度の利用状況についてお教えください。
《答弁》 福祉保健部長
和歌山県内の市町村国保における令和6年度の高額療養費の支給件数は、医療給付件数約368万件の約4%に当たる15万5,000件となっており、支給金額は、医療給付費約733億円の約13%、97億7,500万円となっております。
《コメント》奥村規子 県議
15万5,000件もの多くの方に利用されていることがわかりました。
(2)自己負担限度額の引き上げについて
《質問》奥村規子 県議
次に、物価高止まりで節約生活が続く中、自己負担限度額の引き上げについて知事にお聞きします。
子育てと働きながらのがん治療を通じて、収入減や重い治療費負担によって、すでに困難な状況にある方や、負担増によって「子どもと自分の命を天秤にかける状況」に追い込まれるなど、深刻なお話を聞きます。
国内最大のがん患者団体である「全国がん患者団体連合会」のアンケートでは、患者・遺族の悲痛な声がびっしりと書き込まれています。
「スキルス胃がん患者です。小さな子どもがおり、この子を遺して死ねません。高額療養費制度を使っていますが、支払いは苦しいです。死ぬことを受け入れ、子どもの将来のためにお金を少しでも残す方がいいのか追い詰められています」。
悪性リンパ腫と白血病を患っている方は「高額療養費制度には、かなり助けていただいている。それでもぎりぎりの生活です。今、何とかがんばって、以前と同じくらいの生活水準に戻ろうとしています。社会復帰して、世の中に貢献できる制度として残していただきたい」。
ステージ4のがん患者さんは「抗がん剤が効いている限り治療は続きます。入院を伴うため仕事を休んでおり、毎月収支はぎりぎりです。いのちを続けるための治療なので、やめるわけにいきません。負担額が上がってしまうと、それすら危うくなってしまいます」と、治療と生活を両立させる厳しさを訴える切実な声です。
「お金の切れ目はいのちの切れ目」にならないようにしなければなりません。県民のいのちを守る立場から、今回の高額療養費制度の自己負担限度額の引き上げについて、知事はどのようにお思いでしょうか。お答えください。
《答弁》 宮﨑知事
自己負担限度額引上げについての質問でございます。
高額療養費制度は、高額な医療費が発生した場合でも、家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合に、その超えた額を支給する制度であります。
高齢化や高額薬剤の普及等によって医療費が増加する中で、高額な医療を必要とする場合の重要なセーフティネットでありまして、高額療養費制度を将来にわたって堅持していくという観点から、国において制度の見直しが進められています。
見直しに当たりましては、高額療養費の利用回数の多い患者に対して負担を引き下げる仕組みを維持した上で、年間の上限額や、年収200万円未満の課税世帯に対する負担軽減措置を新たに設けるなど、特に、治療の経済的負担が厳しいと考えられる長期療養者や低所得者に対するセーフティネット機能が強化されているところであります。
県としましては、高額療養費を含む医療保険制度の見直しに当たって、必要な医療の受診抑制につながることのないよう、国の責任において、特に低所得者に十分配慮した制度を検討するよう、全国知事会を通じて国に強く要望しており、今後も引き続き国に働きかけてまいります。
《再質問》奥村規子 県議
この制度は、患者・家族のいのち綱です。この綱を細くするというのはどういう発想なのか、大変理解に苦しみます。
高市首相は、昨秋の自民党総裁選では「引き上げるべきではない」としていました。その言明を守るよう知事からも強く求めていただきたいと思いますが、いかがですか。
《再答弁》 宮﨑知事
奥村議員の再質問にお答えしたいと思います。
医療費は年々増加しておりまして、これからも医療保険制度を維持していくためには、制度の一定の見直しは避けられないところであります。
ただ、先ほども申し上げたように、高額療養費制度は、患者の生活を守るセーフティネットとして、重要な役割を担っております。従いまして、制度の見直しに当たりましては、過度な負担や急激な変化によって、長期療養者や低所得者の方が、必要な医療を受診できないようなことにならないように配慮が必要であります。今の改正ではそれがある程度なされているというふうに思いますが、まだまだ足らないと思われる方もたくさんいらっしゃると思います。
今後とも、全国知事会でも議論をしっかりとしながら、継続して、国に対して働きかけてまいりたい。そのように考えております。
《コメント》奥村規子 県議
命を削る負担増は撤回し、大軍拡をやめ社会保障費を抜本的に増額することこそ必要です。
2.高校における教員の安定確保について
《質問》奥村規子 県議
2つ目は、高校における教員の安定確保についてお聞きします。
人間的で豊かな営みである教育は、子どもの「人格の完成」をめざし、その尊厳を尊重しながら発達を支える豊かな営みです。教育はこどもの権利であり、教育の機会は平等に保障されなければなりません。
1947年に制定された教育基本法では、前文で「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」と述べています。教育は普遍的な真理・真実を追求する学問の成果に連なり、過去と今をつなぎ、今と将来を結ぶ営みだと聞きます。「主権者として育っていく子どもたちが日本の未来をつくる」これが憲法の求める教育のあり方ではないでしょうか。
国や地方自治体の役割は、教育の自由と自主性を大切にし、予算を使って条件を整備することだと考えます。全日本教職員組合は、教育行政の責任で配置されるべき教職員が配置されていない状況の実態調査をされました。
2025年の10月1日時点の調査では35都道府県・13政令市の実態が把握されたと聞いています。今回の調査で未配置数は合計4,600人を超えているということです。内訳は、産休・育休や病休の代替者の欠員が2,000人以上に加えて、年度当初に教育委員会が配置すべき教員定数を満たせていない「定数の欠員」も700人以上とお聞きします。
加えて、年度途中の退職や短時間勤務の時間講師の欠員、国・自治体による加配措置が配置できないなどもあるということです。小・中・高・特別支援学校で、少なくとも合計184人の担任未配置も確認されています。少人数指導の解消や管理職による担任の代行、授業だけを担当する非常勤講師配置で「未配置の解消」としている自治体も想定されるといわれています。
社会問題になっている教員の長時間労働解消のため必要な教員数を配置することが急務の課題です。
(1)教員不足の現状と、教員の働き方改善への取り組みについて
教員不足の現状と教諭と定数内講師の割合はどのようになっていますか。非常勤講師の任用状況はどのようになっていますか。教員の働き方改善への取り組みについてもお聞きします。
(2)35人学級の早期実現について
また、2026年度から私立も含めすべての「高校の授業料無償化」が始まり、教育を受ける権利として重要な前進です。みなさんの運動の成果だと思います。
欧米をみれば、20人程度の学級が当たり前になっています。多人数の学級では、少なくない子どもが理解しなくても授業は先に進みがちです。コロナ禍の分散登校で一時的に20人以下の学級で教わり、方程式が理解できたある生徒は「自分はばかではなかった」と思わず声に出したと聞きます。そして、暗記型でない、みんなで深く考えあう豊かな授業は、少人数でこそ可能です。教員は子ども一人ひとりの個性を理解し、子どもの変化を感じ取りながら向き合えます。分散登校のとき、不登校の子どもが教室に顔を見せたと各地で語られたと聞きました。
少子化をチャンスに、高校も35人学級の実現に力を注いでいただきたいと思います。教育長のお考えをお聞かせください。
《答弁》 今西教育長
高等学校の教諭につきましては、今年度当初に欠員は生じておりません。
また、今年度当初の教諭の定数に対する定数内講師の割合は5.2%となっており、過去5年間の割合は3%台から5%台を推移しております。
非常勤講師につきましても、今年度のべ400名程度任用しており、専門性や実務経験等を活かして生徒の学びを支えるなど、学校現場の重要な役割を担っております。
教員の働き方の改善への取組につきましては、本年1月に「県立学校教職員の業務量管理及び健康確保措置実施計画」を策定し、学校に対する苦情等への対応におけるスクールロイヤー制度の活用推進や、ICTの活用、支援スタッフ等の配置による教員の業務負担軽減を図るなど措置を推進しております。
35人学級の実現につきましては、生徒の学びの質の向上や教員の負担軽減に資する重要な施策であり、教員数の確保にもつながっていくものと考えております。
今後も、その早期実現に向け、全国知事会や全国都道府県教育長協議会など、機会を捉え、引き続き働きかけてまいります。
《コメント》奥村規子 県議
国の来年度教育予算は、学校給食費の負担軽減などで増額があるものの、文教関係費は軍事費の半分しかありません。教員の定数減は放置され大変残念です。教員の増員で少人数学級の拡大、教員の労働時間短縮の早期実現について、国への働きかけをいっそう強めていただきますよう求めます。
茨城県では教員の産休・育休などで欠員が生じた場合に代替で雇う臨時的任用教員について、9割以上に当たる約1,600人を2032年度までに段階的に正規化する方針を決めたということです。代替教員を探す現場の負担軽減や教員雇用の安定確保につなげるとしています。ぜひ、和歌山県もご検討ください。
3.貴志川高校への高等支援学校の併設について
(1)高等支援学校新設に至る背景と内容について
(2)貴志川高校のこれからについて
《質問》奥村規子 県議
3つ目は、貴志川高校への高等支援学校の併設についてお聞きします。
貴志川高校の校地に「高等支援学校」を併設する計画が発表されましたが、新設に至る背景と、どのような内容なのかお教えください。また、併設することによる貴志川高校のこれからについて、どのようにお考えでしょうか。お聞きします。
《答弁》 今西教育長
近年、中学校の特別支援学級や特別支援学校の中学部に在籍する生徒が増加傾向にあり、生徒一人一人の自立と社会参加を実現する教育の一層の充実が求められています。
こうした背景をふまえ、県民総参加プログラムの導入などを通じて策定された和歌山県総合計画において、障害のある生徒の希望を叶えるキャリア教育の充実に向けた取組として、高等支援学校の設置推進を掲げました。
高等支援学校では、企業や地域と連携し、産業現場等における実習の機会を積極的に取り入れ、資格取得を見据えた専門的な学びや貴志川高校との共同学習など、特色あるカリキュラムの開発を進めてまいります。
貴志川高校は、これまでも地域に根差した教育活動を実践しています。今後も多くの方々に応援をいただき、高等支援学校とともにさらなる充実、発展を目指してまいります。
《コメント》奥村規子 県議
高等支援学校の設置についてキャリア教育の充実を掲げられていますが、私は、早期に職業的選別や企業に都合の良い人材を育成することにならないようにするために「人間としてどう生きるか」「自分らしい生き方を主体的に選択する力」を育むことが大切だと考えます。将来働くうえで必要な「労働法制」や「権利」についての知識を学べるようにすることが大切だと考えます。
SNS上では「貴志川高校がなくなる?」などの文字が目につきますが、教育長からは高等支援学校とともに更なる充実・発展を目指すという答弁がありました。貴志川高校は、お互いを認め合い、尊重しあって「つながり」を大切にした教育活動を推進していると聞きます。インクルーシブ教育がさらに前進することを願っています。
4.コスモパーク加太におけるデータセンター建設について
(1)データセンターとはどういうものか
(2)住民への説明や住民合意について
《質問》奥村規子 県議
4つ目は、コスモパーク加太におけるデータセンター建設についてお尋ねします。
データセンターは「新総合計画」においても重要インフラとして位置づけられています。 大規模なエネルギーを消費する施設で、機器からの排熱が屋内にこもらないように冷やして外に出す巨大エアコンが必要と聞きます。データセンターとは、いったいどういうものでしょうか。住民の生活や地域環境への影響などに多くの懸念があります。データセンターとはどういうものでしょうか。
また、データセンターの建設計画が急増し、それによる電力消費が増大するということで、国は原発の再稼働を進めようとしています。世界的にも電力消費の増加が問題となっているいま、台湾・アイルランド・シンガポールでは新設が停止されました。ドイツでは新設計画でエネルギー効率の上限を設定し、省エネが義務化されていると聞きます。住民への説明や住民合意についてどのようにお考えでしょうか。
《答弁》 企画部長
データセンターとは、一般的には大量のサーバーやネットワーク機器を安全かつ安定的に稼働させるための専用施設であり、議員ご指摘のとおり、通常は大量の電力を必要とします。また、機器から発生する大量の熱を効率よく取り除くことが必要であり、施設によって、空冷や水冷など様々な冷却手法が用いられています。
コスモパーク加太におけるデータセンターについては、令和6年2月に、県土地開発公社が、Google社の関連会社であるAsa合同会社へ約37ヘクタールの土地を売却しており、現在、企業側で、必要となる電力や冷却手法をどうするのかなど、省エネ等最新の技術を踏まえて、建設計画の検討が進められていると認識しております。
データセンター建設計画の方向性かある程度固まった段階で、周辺地域の生活環境に大きな影響が想定される場合には、企業に対して、計画の概要や対策等を周辺住民の方々に説明し、十分な理解を得るように求めてまいります。
《コメント》奥村規子 県議
水の供給問題や活断層における地震の影響など、気になることがたくさんあります(資料1、資料2)。重要インフラの施設として本当に適地なのかどうか、住民が求めればきちっと説明をしていただきたいと思います。
5.大阪・関西万博について
(1)万博開催実績について
《質問》奥村規子 県議
大阪・関西万博が2025年10月13日に184日間の会期を終え、閉幕をしました。
万博は人類の進歩や展望を示す公衆教育の場であり、今回のメインテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」と掲げられ、サブテーマは「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」でした。
関西パビリオン内の「和歌山ゾーン」の来館数が大きく目標を上回ったとお聞きしています。改めて運営スタッフやボランティアのみなさんの努力の結果であると感じています。
いま世界を見ると、戦争をはじめ災害や気候危機などによる人類生存にかかわる問題の解決が迫られています。そういった点から、どのような未来へのメッセージを残すことができたのでしょうか。日本国際博覧会協会会長は「来場者は愛知万博を超え、運営費も黒字が見込める。子どもたちが未来を想像する機会になった」と閉幕前の記者会見で語っています。そこでお聞きします。
県が把握している最終一般来場者の人数の想定と実績、入場券の累計販売枚数の目標と実績、運営費等についてお教えください。
《答弁》 知事室長
万博の実績についてでございますが、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会の資料によりますと、累計来場者数は目標2820万人に対しまして、2902万人、関係者の入場を除きますと2558万人となってございます。
また、入場券販売数は、目標2300万枚に対しまして、約2225万枚となっております。
次に、運営費等につきましては、万博は国家プロジェクトとして大きな費用負担があることは承知をしておりますが、そのうち万博会場の建設費は約2282億円の執行見込みでございます。また、会場運営費につきましては、約1110億円の執行見込みに対しまして、約1480億円の入場券販売等の収入があり、最大で約370億円の黒字見込みとなってございます。
(2)建設費未払い問題について
工事費の未払いは、万博開会直後から表面化しました。
県内において、元請けなどから未払いになっている下請事業者の事例はありませんか。国家プロジェクトで起こった未払い問題について、どのように感じていますか。
《答弁》 知事室長
未払い問題についてでございますが、同じく博覧会協会の資料によりますと、協会や関係行政機関に対しまして工事代金の支払いについて相談があったものは、11か国の海外パピリオン工事となっております。
県内事業者につきましては、県建設業協会から県内で同様の相談は受けていない旨、報告を受けているところですが、多くの関係者が協力して取り組んできた中で、このような問題が発生したことは残念なことでございます。
早期解決に向け、国等の関係者により事案に応じて対応が図られていくものと考えております。
《コメント》奥村規子 県議
万博協会の決算がまとまるのは2028年3月以降と聞いています。経済効果やイベントの取り組み、会場設定、建設プロセス、公費投入実態などを把握し、県民に公表するよう求めます。
工事未払い問題が解決しなければ万博が終わったわけではないと申し上げ、一般質問を終わります。