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金田真議員の質問
【1】新宮港第二期整備事業(佐野湾埋立て)について
金田 新宮港の第二期整備事業(佐野湾埋立て)については、一九九七年三月の新宮市議会において、市議会議員二十名中七名もの反対があったし、地元市民の反対も強い。自然を破壊する、将来の見通しのないむだな港湾事業であり、売れる見込みのない土地造成によって多額の借財を後世に残すだけだという理由で、事業の中止を望む声が根強くある。
 その中で、水深十一メーターバース一つとマイナス七・五メーターバース二つの合計三つもの岸壁をつくり、工業用地を造成する新宮港第二期整備工事(佐野湾埋立て)は必要なのか、将来の見通しはあるのか、現在の取扱量利用状況からみて甚だ疑問である。
 この第二期整備後の計画貨物量は百八十七万トンと想定されている、一昨年(九七年)の取扱量九十五万トンの二倍にもなっている。
 どのような根拠からこうした計画貨物量となったのか尋ねる。
 ■大山土木部長
 新宮港第二期整備計画による将来の取扱貨物量については、企業ヒアリングや需要予測により推計した。その結果外貿貨物量は林産品等で五一万トン、内貿貨物量は林産品・化学工業品等で百三十六万トン、計百八十七万トンと予測している。

金田 港湾整備の充実によって、投資に見合うどのような経済効果が期待できるのか伺う。
 ■大山土木部長
 総事業費約二百三十億円と想定している。投資に見合う経済効果については、建設による投資波及効果や埋立地の生産活動による経済効果及び雇用促進の効果などが期待される。過疎や高齢化、就労の場の確保に悩む新宮市を中心とした熊野地域にとって、この事業は地域経済の活性化のため極めて重要であると考えている。

金田 港湾利用計画や埋立用地売却の見通しが甘い、多額の金を浪費し財政赤字をつくり出す佐野湾埋立ては中止も含めた見直しをすべきである。当局の見解はどうか。
 ■大山土木部長
 新宮港は、紀伊半島南部地域唯一の外貿港湾として新宮地域のみならず三重県や奈良県を含めた地域の拠点港湾である。地域経済の活性化を図るためにも、第二期整備事業の早期供用が急がれていると考えている。

【2】ごみ処理広域化計画について
金田 厚生省の生活環境審議会廃棄物処理部会で検討されている廃棄物行政プロジェクト報告案。第一に循環型社会の形成を目指し、安全性に万全を期して廃棄物を処理する体制を構築する、第二に廃棄物減量化の取組み強化、第三に支援策の強化・拡充、第四に不法投棄対策の強化をその内容とするが、この報告案は、和歌山県のごみ処理広域化計画に影響するか、計画の見直しが必要となるか。
 ■大井生活文化部長
 和歌山県の「ごみ処理広域化計画」は、このプロジェクト報告案に示されている分別収集、リサイクルなどを盛り込み、循環型社会の形成と安全性の確保を基本としていて、同様の趣旨であるので、ごみ処理広域化計画の推進には影響がないものと考えている。

 県のごみ処理広域化計画の中の新宮ブロックについて。
金田 市長がかわったこともあって新宮市がRDF(固形燃料)化施設・燃焼施設の建設計画が白紙に戻されたことが、県のごみ処理広域化計画に影響を与え、計画の変更もあり得ると思うが、当局の見解はどうか。今大切なことは、県当局が住民の声をくみ上げ、柔軟に対応していくことだが具体的にどう取り組みを進めるのか、尋ねる。
 ■大井生活文化部長
 新宮市の計画が白紙となった場合には、当ブロックにおいて計画しているRDF燃焼施設の確保が重要な課題であり、ごみ処理広域化計画の趣旨にのっとり、関係市町村と十分話をし、指導してまいりたい。

金田 処理コストを抑え、安全で安定的に処理するためには新宮圏域内に最終処分場、産業廃棄物処分場の設置が強く求められるが、当局の考えを聴く。
 ■大井生活文化部長
 一般廃棄物の処理については、市町村による区域内処理が原則であるので、最終処分場の設置についても、ごみ処理広域化計画の推進にあわせ、その対応について指導している。産業廃棄物については排出事業者処理責任が大原則であるが、中小企業の個々の事業者の努力のみでは限界があるので、業界、地域等での共同処理等が望ましいと考えている。

【3】同和問題について
金田 同和の垣根のない和歌山を実現するために、今こそ同和事業そのもものを終結させる時期に来ている。いつまでに同和事業を終結させるのか、当局の見解を聴く。
 ■小西福祉保健部長
 これまで本県では、同対法施行以来積極的に同和対策に取り組んできたところであるが、今なお、教育・啓発、産業・就労等に解決すべき課題が残されており、また市町村間、地区間においてその課題が異なることから、その背景の分析を十分に行い、適切な施策を今後とも講じる必要があり、差別を生み出す要因をなくすために一層の努力が必要であると考えている。

【4】新宮地方への県立救急センターの設置について
金田 新宮周辺広域市町村圏事務組合から県に対して、以前より県立救急医療センター建設の要望書が提出されている。ぜひ設置してほしいがいま新宮市民病院の新築工事が約百二十七億円をかけ、二○○一年三月の開院を目指して進められているので、この病院に救命救急センターを設けてはどうかと思うが、当局の所見を聴きたい。
 ■小西福祉保健部長答弁■
 心筋梗塞・脳卒中などの重篤救急患者に対応する救命救急センターの三次救急医療については、厚生省指導基準が、人口百万人に一カ所、特例としておおむね人口三十万人以上の二次医療圏で一カ所となっていて、和歌山市内に設置されているので紀南地域に設置することは非常に難しい状況である。
 県としては、新宮市民病院を含めた救急医療体制について、二次救急医療として救急告示病院や休日・夜間における病院群輪番制産科病院を充実するよう働きかけるとともに広域的な取り組みをしてまいりたい。

再質問
【1】新宮港第二期整備事業(佐野湾埋立て)についての問題中、チップの計画取扱貨物量の需要予測について
金田 全体として、第二期整備後の計画貨物量は、百八十七万トンと一昨年の約二倍の見込みだが、とくにチップについては、昨年の取扱量五万トンに対し将来の想定貨物量は七十二万トンと十四倍にふえると予想している。この計画は、三重県の製紙工場の分を見込んでのことと思うが、一つはチップの増加に大きく依存する計画であるという点、また、三重県の一企業のために和歌山県が膨大なお金をつぎ込むことにならないかという点について土木部長の答弁を願う。
■大山土木部長答弁■
 チップについては、輸送コスト削減を図る製紙業者の企業ヒアリングより推計している。チップ需要は新宮港背後の製紙工場を主として考えている。

再々質問
金田 三重県の一企業に対して行うことについてどう考えているのか。
 ■大山土木部長答弁■
 平成九年には米国よりチップ三万七千トンが輸入された実績がある。一社だけとは考えていない。
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