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【金田真議員一般質問】
一 合併浄化槽の保守点検及び清掃費について
金田 六月議会での村岡議員の質問に引き続いての質問になるので簡潔に行う。
 県営住宅において、県浄化槽協会と契約を結ばなければならない条例上の根拠があるか。
 ■大山土木部長
  条例に規定されているものはない。

金田 六月議会で土木部長は、委託の理由を「過去の実績や 技術力、施設に異常が発生した場合の緊急対応能力」をあげているが、他の業者にはその 能力、資格がないというのか。
 ■大山土木部長
  和歌山県浄化槽協会以外にも県営住宅の浄化槽を維持管理する能力を有する保守点検  業者はある。

金田 浄化槽の保守点検は、浄化槽法第十条第三項において登録を受けた者に委託するとなっているが、特定の業者団体だけを契約の対象にしているのは契約の一般競争入札の原則に反するのではないか。
 ■大山土木部長
   県営住宅の浄化槽の維持管理業務については、浄化槽の規模が大きいこと、常時適正 に稼働していることが不可欠であること等から、一般競争入札により業者を選定することは不 適当である。過去の実績や技術力、施設に異常が発生した場合の緊急対応能力等を勘案し 、和歌山県浄化槽協会に業務を委託している。

金田 二百以上ある浄化槽の登録業者にはランクづけがなされているのか。
   ■大山土木部長
    ランクづけは行っていない。

金田  「協会では、実際に協会の会員業者等の指導監督を行いながら、保守点検及び清掃業務を的確に実施しております」との答弁は、協会が各地域の支部や加盟している業者に実際の業務を一括下請させているということか。もしそうであれば、建設業法で禁止されている一括下請であり、違法ではないか。
  ■大山土木部長
  和歌山県浄化槽協会においては、会員業者に対する業務の的確な指示、確認を頻繁に行 うとともに、浄化槽に異常が発生した場合二備え、二十四時間緊急対応できる体制を整えて おり、協会では実際に協会の会員業者の指導監督を行いながら、協会として維持管理業務 を的確に実施している。したがって、一括下請にあたらない。

金田 教育委員会の資料によれば、県立高校、養護学校の単独及び合併浄化槽の保守点検は和歌山県清掃連合会と和歌山浄化槽協会の二つの登録業者が独占している。その理由を聞きたい。
 ■小関教育長
  県下全域に設置している県立学校の浄化槽について、確実な保守点検を行うためには、県 下各地域の業者が加入している登録業者と契約することが適切であると考えている。

金田 県の委託している値段は、和歌山市内のある業者の見積もりと比べて二倍から三倍である。県はなぜこの業者の見積もりを却下したか。
 ■小関教育長
  他の業者からの見積もりについて、見積もりの提出業者は、当時「県浄化槽保守点検業者 の登録に関する条例」による登録業者ではなかったこと、数名のみが加入する共同組合とし ての見積書であったことなどから、先に答えた登録業者と契約したところだ。

金田 川永団地の合併浄化槽の見積もりを和歌山市内の業者にしてもらった。県浄化槽協会の見積書との間に相当の開きがある。値段について団地自治会と業者との契約というのなら、団地自治会が自由に契約の相手を選べる仕組みにすべきだ。県が委託の相手先を選ぶのであれば入札を行って業者を選定するのが当然だと思うが、どうか。契約については研究課題にするということだが、六月議会後どのように研究したか。
  ■大山土木部長
  過去に幾つかの団地について、ある業者から見積書の提示があった件だが、当該業者   が見積もりを提示してきた時点ではすでに契約を行っており、契約を更新する時点ではなか ったことから断ったところである。
   浄化槽の維持管理業務の契約については、維持管理業務が適正に実施されるか、費用 が妥当か等の観点から、より適切な方法があるかどうか、今後の研究課題として取組んでい るところだ。
  また、川永団地の浄化槽の維持管理費用については、入居者が全額を負担している近畿 の他県における調査から、妥当なものであると判断している。

二 一般及び産業廃棄物処理について
1 県の「ごみ処理広域化計画」における新宮広域ブロック
金田 RDF化の撤回と「ごみ処理広域化計画」の見直しについて
 新宮市において、RDF(固形燃料)計画は白紙に戻された。採用実績が多く、安定した技術と信頼感から焼却炉方式の改良型による新宮市独自の焼却施設建設の方向に進んでいる。県のRDF化方式による広域化計画の見直しがどうしても必要。県の対応はどうか。
  ■大井生活文化部長
  新宮広域ブロックでの意見がまとまれば、このたびの変更は広域化計画の趣旨を逸脱する ものではないため、一部手直しすることもやむを得ないものと考えている。

金田 住民合意を前提とした柔軟に対応する見直し計画を
 新宮市がRDFを断念するならば、串本町、古座町、古座川町の計画も余儀なくされ、太地町では固形燃料を焼却する施設がないという状況だ。新宮市だけでなく、古座、古座川、串本、太地町でも計画の見直しが必要になる。いろいろな要望や計画に柔軟に対応して積極的に調整すべきだ。県の対応を聞く。
 ■大井生活文化部長
  住民の合意並びに構成市町村の意見が集約されれば、厚生省とも協議しながら広域化計 画の一部手直し事務を進めてまいる所存である。

金田 厚生省と財政支援への取組み
 焼却能力が一日百トン未満の焼却施設整備への財政支援がされなければ自治体の財政負担は大変なものになる。厚生省などへの積極的に働きかけていくことが必要だ。当局の考えを聞く。
 ■大井生活文化部長
   県としても、広域化計画に位置付けられた施設について、整   備に当たり市町村の財 政当局が軽減されるよう国に働きかけて   いるところだ。

2 産業廃棄物の処理場・業の許可についてー地元住民の声を反映したものに
金田 第一種中高層住宅専用地域の新宮市清水元において、現在建設業者が産業廃棄物の自社処理を行っているが、新たに中間処理業の申請が行われ、反対運動が住民の中におきている。住民は、県に二、三回の反対陳情を行い、反対署名もすでに一万を超えたと聞いている。
 一九九七年に廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正が行われた。地元住民の意向が適切に反映され、地域の生活環境の保全に配慮するよう施設の設置許可手続きの見直しを行ったもの。
 県は法改正の趣旨に沿い、地元市町村や住民の意見を尊重すると同時に、申請者への指導も大切だ。処分場の許可に当たっては法に基づいて十分な審査が必要だ。どうか。
 自社処理といえども、生活環境が脅かされていると住民が訴えている限り、行政は積極的に住民の中に入って努力する姿勢が求められる。どうか。
  ■大井生活文化部長
   県としては、許可申請の審査に当たっては、地元住民の意見を集約した市町村長の意見 を十分尊重し、慎重に審査していく。さらに、不適性な自社処理についても、廃棄物処理法に 定められた処理基準を満たすよう指導していく。

 県の「産業廃棄物処理に関する事務取扱要領」の改正
金田 廃棄物の処理及び清掃に関する法律が、一九九二、九七年改正がされているが、和歌山県の産業廃棄物の処理に関する事務取扱要領は一九八七年のままである。早急に策定することが必要だが、どうか。
 ■大井生活文化部長 
  県においては、すでに見直し作業中で、できるだけ早期に策定していきたいと考えている。

三 佐野川の早期改修について
1 佐野川改修の進捗状況
  二十年かかって半分の一・五qの河川改修について
  完成はいつになるのか
  今後の佐野川、荒木川の事業計画について
金田 新宮市にとって佐野川は大変重要な河川だが、大雨の時には水があふれ、生活道路の通行止めや農地への被害が繰り返されている。河川改修は緊急の課題であり、住民の長年の願いである。
 佐野川の改修計画三キロに対して約一・五キロ、五0%の進捗状況、二十年かかってやっと半分だ。同時に進められている荒木川の改修についても九百メートルの計画に対して三分の一しか進んでいない。あまりにも遅すぎるのではないかという地元の不安と行政に対する不信の声があがっている。佐野川、荒木川の改修計画はどうなっているか。
 ■大山土木部長
  今年度は、佐野川について、第五佐野橋の下部工並びにこの上下流の護岸の施行及び用 地の取得を行ってまいる予定。今後とも、引き続き地権者及び地元の協力を得ながら、佐野 川及び支流の荒木川の一日も早い完成を目指して鋭意事業を実施してまいる所存。

四 土地開発公社の長期の土地保有と財政圧迫
@ 現在の土地保有状況と今後の計画
  コスモパーク加太計画の総括について
  今後の土地開発公社の保有土地に対する解決策について
金田 現在、県土地開発公社の保有地の状況は、十年以上の長期保有土地が、簿価で百五十七億円のうち利子が七十三億円、利子で簿価が倍近くにふくらんでいることがわかる。そのなかで簿価の七割が塩漬けという状態はすでに公社としての機能が正常に果たされていないといえる。私は、公社の経営悪化の最大の原因は、コスモパーク加太の事業の失敗ではないかと考えるが、コスモパーク加太計画に現在までどれだけの費用が投じられ、回収できた金額はいくらで、未回収、現時点での累積赤字額はいくらになるのか。
 巨額の県費を投じて進められたこの計画は、約三百二十三億円の赤字をうみだした土砂売り渡し価格問題、大手企業十四社の撤退などいろいろな面から反省と教訓があったと思うので、現在どのように総括しているのか質問する。また、塩漬け土地問題で、公社の保有地対策をどうするのか聞きたい。
 ■安居企画部長
  加太開発整備事業の平成十一年末現在の総執行額から土砂売却収入等を差し引いた額 は、約五百六十八億円となっている。
   総括について。コスモパーク加太計画は、県、和歌山市及び県土地開発公社により設立 された加太地域開発整備推進協議会が基本構想を策定し、官民によるコスもパーク加太推 進機構により土地利用計画の検討を進めてきたところだが、社会経済の大きな変化の中で  民間参画での開発が困難になった。今般のコスモパーク加太土地利用計画は、県土地開発 公社が事業主体となり、区画整理事業の手法により区域内の基盤整備を進め、複合機能都 市の形成を図るもので、平成十二年に市街化区域編入の都市計画決定、土地区画整理事  業の認可を受け、事業に着手し、計画の早期実現に努力してまいる。
  また、公社の保有している土地については現在随時分譲を行っているところであり、今後も 路線価格等を参考とした分譲価格の見直しや積極的なPRの展開などによる売却を進めてい く。
  さらに、公共用地については、関係部局とも連携を図りつつ、再取得(県が買い取ること)の 促進や先行取得事業の一層の拡大など、中長期的な視野にたった施策を展開してまいりた い。

A 広域スポーツ施設についてー計画の遅れと今後の取り組みについて
金田 新宮市の地元新聞、一九九四年十月の報道によれば、「県営スポーツ公園建設に向けて、県土地開発公社が今年度中に中心部を用地取得、七年度に基本計画策定、八年度事業着手の見込み」とあり、市民の多くの皆さんが期待をしていた。しかし、実際は公社が平成七年度、八年度に用地を取得したきり進展がない。
 なぜそのような状況になっているのか。また、新宮周辺広域市町村圏事務組合から要望も出ているが、県はこの用地をどのように活用していくつもりか。
 ■大山土木部長
  平成七、八年度に買収した土地は、新宮市からの要望を受けて、将来の公園用地として県 公社に依頼して先行取得したもの。広域利用のためには周辺の土地の確保が必要、その用 地確保については新宮市が対応することになっている。同時に事業計画の策定についても  新宮市が周辺の町村と協議しながら進めていくことで検討がなされていたが、新たな用地確 保についてはいまだ進展していない。施設内容についても合意に至っていない。
  県市とも財政状況が厳しいので、追加買収しない暫定利用として事業計画の策定を新宮  市と協議しながら進めていく。

【再質問】
一 合併浄化槽の保守点検及び清掃費について
@ 契約のあり方と改善について
金田 契約については県条例に規定されず、業者にはランク付けがなく、浄化槽を維持管理する能力を有する保守点検業者があるとするならば、当然一般競争入札を行うべきであり、過去の実績を理由に業者を選定していることは県民の利益にならない。少なくとも串本や橋本は、地元の業者との契約になっているが、これは、一般競争入札ができることを示しているのではないか。
A 浄化槽の維持管理料金・保守点検費について
 今後、更新時に見積書が提出された場合、どのような対応をするのか。
 ■大山土木部長
  何ゆえ一般競争入札が不適当であるかという趣旨の質問だが、規模の大きな浄化槽の維 持管理業務については、すべての保守点検業者がその能力を備えているとは考えていない ため一般競争入札により業者を選定することは不適当であると考えている。
  見積書が新たに更新時に提出された場合は、積算内訳を分析してみないとなんともいえな いが、今後の研究課題の資料にはなりうる。浄化槽の維持管理業務の契約については、よ り適切な方法があるかどうか今後の研究課題として取り組んでいく。

二 土地開発公社問題
 加太関係に使った費用は約一千四百億円だと思われるが、私は、過去を振り返っての総括をもとめた。答弁は経過報告であり総括がない。
 総括が現在できていないのか、する必要がないのか、発表する段階でないのか。そのうちどれであるのか答弁を求める。
 ■安居企画部長
  議員指摘の点について、私ども十分理解しているところであるが、今後そういったいろんな 情勢変化等にも対応しながら、中長期的な取り組んでまいりたい。
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