1999年9月議会表紙に戻る
【高田由一議員一般質問】
一 発電所問題
@ 二つの火力発電所計画と地球温暖化問題
高田 二酸化炭素の排出量は、御坊第二火力と和歌山LNG火電ができると、今の県全体の排出量が六百九十万トンでプラス七百万トンだから二倍になる。間違いないか。
 ■大井生活文化部長
  議員試算の通り。

高田 地球温暖化防止の世界的な流れに逆行している。口では温暖化防止を言いながら、実際やっていることは電力会社のいいなりでは、温暖化防止の目標は達成できない。二つの発電所計画に同意を与えた知事の見解を聞きたい。
 ■西口知事
  発電所計画については、適地性、安全性、地元の同意という電源立地の基本的な考えに基づき、地域振興の立場で対応してきた。地球温暖化問題は、国全体として取り組むべき課題であり、県としては、県民や事業者への省エネルギーの普及啓発などに取り組んでいきたい。

A 電力需要と新エネルギーの活用
高田 通産省の資料では、約四十の発電所計画が示されている。作り過ぎになる。御坊発電所は、この間の年間稼働率が、一昨年で十四%、昨年で十%と極端に落ち込んでいる。太陽光発電は、夏場のもっとも冷房が必要な時間帯にもっとも能力を発揮する全くクリーンなエネルギーだ。和歌山県は日照量も多く条件は最適だ。今後、太陽光発電など新エネルギーの導入について県はどう対応、普及していくか。聞きたい。
  ■安居企画部長
  県は、平成九年三月に「和歌山県新エネルギービジョン」を策定し、太陽光発電などの新エネルギーについて、現況や今後の取り組みについて取りまとめた。太陽光発電は、発電能力が火力発電などに比べて小規模でコストも割高なため電力の主要な部分を担う状況にないが 、クリーンなエネルギーとして導入の促進が期待されているところだ。県としても太陽光発電はじめ新エネルギーの導入促進に努めるとともに、普及啓発に積極的に取り組んでいく。

B 原発計画について
高田 地球温暖化防止を口実に原発推進が進められようとしている。政府は、二○一○年までに現在五十一基ある原発をさらに二十一基ふやすという計画をしている。この計画に日置川原発が含まれているのか。
 世界的な流れから見て、原発を躍起になって推進しようとする国は少数派になっている。こういう状況からすれば、日本政府の温暖化防止のために原発推進というのは特殊、異常なことだ。日高町や日置川町の町民の間では原発はすでに決着済みと思われている。通産省は両町を開発促進重点地域に指定したままだ。なぜいつまでも町民の意思を無視した計画がまかり通るのか。県は、町民の立場でものをいったことがあるのか。知事に聞きたい。
 ■西口知事
  原発立地問題について、県としては、適地性、安全性、地元の同意という三原則を基本として慎重に対応してきたところであり、なかでも地元の意向というものが特に重要で、地元の合意なしに計画が進むものでないと認識している。
 ■安居企画部長
  平成十一年度の電力供給計画によると、二○一一年度までに二十一基新増設すると予定されているが、日置川町、日高町の両候補地点については、この計画に盛り込まれていない。 原子力発電の取り組みについて、世界各国にはさまざまな事情があり、差異がある。我が国はエネルギー資源が乏しいという事情もあり、原子力発電はベース供給力を担う電源のひとつとして位置付けられる。

C 御坊第二発電所計画について
高田 九月一日付けで、田辺市管内の梅衰弱症被害状況がまとまった。原因究明がなされていない今、御坊第二火電の計画についてはいったん凍結すべきだという立場を前提に、具体的な質問にはいる。
 御坊発電所、御坊第二発電所に関する環境保全協定書の内容説明が美浜町や御坊市議会には、協定締結前に報告されているのに、県議会にはなぜされないのか。
 新燃料オリマルジョンについて、環境庁の見解として、重金属が重油と比べてもたくさん含まれている、また、この燃料に含まれている界面活性剤は生分解性に乏しく、毒性が懸念され、世界的に見ても使用が抑制されつつある物質であることが指摘されている。事業者である関西電力は、どう具体的対策を講じようとしているのか。県は、関西電力にオリマルジョンの漏洩対策について検討を求めた。どう検討され、どう対応することになったのか。
 大型の油回収船は、今でも事故が多発している紀伊水道に必要だ。その導入の見通しを聞きたい。
 ■大井生活文化部長
  環境保全協定については、現在、当事者間で最終の協議を進めている段階だ。今後、地元 御坊市と美浜町の対応状況を踏まえ、県議会に報告するなど必要な手順を踏んでいきたい。
  オリマルジョンについての関西電力の対応は、オリマルジョン中の重金属等微量物質の環境保全上の措置について、御坊第二発電所の運転開始前後でモニタリングをすることとしてい る。界面活性剤の環境影響についても知見の収集に努め、より影響の少ない界面活性剤の開発を燃料生産者に働きかける。

D 産業振興について
高田 和歌山県のように電力を他府県に移出している県には、国から電力移出県等交付金が交付される。十一年度予算で三億円。この交付金の使い道は、工業団地の造成や産業近代化のための新規技術の調査、製造業企業への資金貸付などだが、農林水産業や新たな環境ビジネスの研究施設の整備などにも使えそうだ。交付金の投資先を見直して農林水産や環境といった分野にも配分してはどうか。
 ■上山商工労働部長
  この交付金の趣旨は、雇用の創出を中心とした地域の振興にあり、本県では今日まで雇用 の創出に直接的な効果をもたらす企業導入のための工業団地の造成や工業技術の振興とい った面を中心に充当してきた。その結果、大きな成果をあげた。今後とも、基本的にはこの方針で行きたいと考えているが、経済状況、企業立地の状況を見ながら、多方面への活用も検討したい。

二 すさみ町産業廃棄物処理場の問題
高田 西牟婁郡すさみ町内で廃タイヤの焼却処理をしている産業廃棄物処理場がある。管理状態が悪くて、ことしはタイヤの内部にたまった雨水にボウフラが大量発生して、付近の住民は大変な思いをした。この処分場の現状は、保管の数量、方法などについて廃棄物処理法違反だと考えるが、どうか。
 ■大井生活文化部長
  廃棄物処理法に定める保管基準に基づき、囲い及び掲示板を設置し、廃棄物の飛散や流出等の防止措置並びにねずみ、蚊、蝿等の発生防止措置を講じなければならないことになっている。
  この処分場は、一部これらの基準を遵守せず廃タイヤを長期保管しており、保管基準に違反している状況にある。今後は法的措置も含め、厳正に対処していく。

高田 期限を切った指導を
 廃棄物処理法の改正に伴う厚生省通知では、違反者に対して行政処分等速やかに行うなど厳格な対処を求めているが、この「速やか」とはどれくらいの期間のことか、期限を切った指導を求めるものだが、答弁願う。
 ■大井生活文化部長
  厚生省通知によると「速やか」について、明確に期間が示されていないが、県では、許可業者に処理基準違反があった場合の指導の手順として、まず口頭で改善を指導し、従わない場合は文書で勧告及び警告、それでも従わなければ期限を定めて改善を命ずるなど法的措置を講ずることとしている。

高田 処分委託者に対しても指導を
 廃タイヤの処理を委託している排出事業者にも適切な指導が必要ではないか。法改正でマニフェスト制度が義務付けられた。産業廃棄物の流れがきちんとつかめるようになっている制度だが、県は年一回管理伝票を事業者に提出させることになっている。排出者が誰であるかすぐわかる。排出事業者にも適切な指導をするよう求める。答弁願う。
 ■大井生活文化部長
  調査の上、処理委託者に対して、受託者の処理能力を考慮して産業廃棄物の委託を行うよ う指導してまいりたい。

【高田議員再質問】
高田 企画部長に聞く。太陽光発電など新エネルギーの導入について、都道府県レベルの公共施設について調べてみると、すでに約半数の都道府県で、導入実績があり、近畿で実績がないのは奈良と和歌山だけだ。県の公共施設への導入の決意について再度聞きたい。
 生活文化部長には、御坊第二火電の環境保全協定の件で再度聞く。報告された後、県議会の意見はその協定書に反映することができるのか。この点について再度答弁を願う。
  ■安居企画部長
   県有施設については、平成十年度に県立医科大学において新エネルギーの手法であるコージェネレーション設備が導入されている。太陽光発電の導入について検討していきたい。
  ■大井生活文化部長
   環境保全協定は修正環境影響調査書にのっている数値を保証するため、当事者の合意によって成立するものである。御坊市及び美浜町の対応状況をふまえて、報告をするなどの必要な手順を踏んでいきたい。 
                                  1999年9月議会表紙に戻る