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金田真議員の質問(十二月八日)
【1】コンピュータの二〇〇〇年問題について
金田  『和歌山県コンピュータ西暦二〇〇〇年問題危機管理計画書』によれば、計画の目的は「コンピュータ西暦二〇〇〇年問題に起因する何らかの問題が発生した場合に、その及ぼす影響を最小限に抑え、和歌山県の業務の遂行及び県民生活の安全を確保するため、関係機関等との協力、連携のもと、あらかじめ構ずべき対策を定める。」としています。
 計画期間としては、一九九九年八月十九日からとし、一九九九年から二〇〇〇年への移行する十二月三十一日から一月四日と、二〇〇〇年二月二十八日から三月一日のうるう年の動作確認の時、さらに一九九九年度から二〇〇〇年度への移行時の三月三十一日から四月三日の期間。
 計画の全体像では、県行政の運営に直接影響する「行政における問題」と特に社会経済の基礎となる電力・水道・交通・通信など生活・生産基盤に生じた問題により県民生活に影響を与える「地域における問題」。十月二十九日の高度情報通信社会推進本部(小渕首相が本部長)決定では、「大きな混乱は生じない。万一の場合に備えて、国民一人一人が念のため準備を行うことは重要」。こうしたなかで、二〇〇〇年問題に対するカウントダウンが進み、国民の関心が高まる中において、いたずらに危機感を募らせて、社会全体をパニック状態に陥らせたり、住民に戸惑いや不安を抱かせてはならない。最悪のシナリオを想定し準備を整えることは大切なことであり、県民が混乱しないためにも正確な情報を把握し、情報を公開し提供するなど最後の一瞬まで粘り強く対策を続けることが必要だ。
 新聞では自治体によっては「積極的に準備する自治体」と「じっと過ぎ去るのを待つ自治体」があるとか。関西はのんびりしているのに対し、関東は着々として点検表配布や説明会を開催していると報道。
 最初に県の二〇〇〇年問題など危機管理に関する取組み姿勢や現在までの到達状況について本部長である副知事の見解を。
 二〇〇〇年問題のために費やされている人、時間、お金の実態は。また、コンピュータのシステム修正と模擬テストの実施状況はどのようになっているのか。
 和歌山県は庁内ネットワークシステムの対応が遅れていたと報道されたが、遅れた原因は何か。
 厚生省はこの六日、救急救命センターなどすべての重点医療機関で対応が完了したと発表したが、民間もふくめた医療機関の対応状況はどうか。同時に中小企業のみなさんへの対応や市町村との連携について心配はないか。そして,二〇〇〇年問題については、欠陥商品を売り付けられたのではないかとしてメーカーの責任を問う声もあるが、アフターサービスや保証などメーカーの対応はどうか。
 この項の最後に、二〇〇〇年問題への対応と言えば、コンピュータの対策と思われがちな面もあるが、行政にとつてなりよりも大切なことは、県の危機管理計画書においては「地域における問題」すなわち県民の日常的生活に関わる事。県民の中にある、具体的にどうしたらいいのかという疑問や不安に具体的に答えていくことが求められる。
 ■高瀬副知事
  何らかの障害が生じる可能性が皆無とは言えず、県として危機管理計画を定めた。六月に対策本部を設置し、第一版を八月に、第二版を十一月三十日に決定した。県や市町村の システム修正や模擬テスト等の事前の対策についてはほぼ終了した。
 ■安居企画部長
  情報システム課の大型コンピュータのシステム修正に九年度と十年度で三千五百万円  余り、年末年始に四百人が待機する。県内市町村のシステムは今月中旬ですべて完了する。

【2】土地開発公社の長期の土地保有と財政圧迫について
金田 県土地開発公社の資産の大部分は公有用地、完成土地、未成土地だが、その保有地の状況は今年三月末で、面積で約二百四十六ヘクタール、簿価で約七百三十六億円。そのうち、事業開始年から五年以上経過している完成土地、未成土地は二百二十九ヘクタール、全体の九三%、金額にすれば六百四十八億円で八八%。全国市民オンブズマンの資料でみると和歌山県の塩漬け土地保有度は面積で全国六位、金額で四位、塩漬け割合では、七〇・七%で全国一位。また、この五年以上保有している土地の百二十七億円が金利分であり、この利息負担額でも、全国第四位と群を抜いている。公社が長期保有している土地は、売るに売れない不良債権化した土地になってしまっているのではないか。実質的に債務超過、倒産状態になっているのではないか。
 九月議会において土地開発公社の経営悪化の最大の根源は、コスモパーク加太の失敗ではないかとして、反省と教訓を汲み取るために総括が行なわれるべきではないかと質問したが、答弁がなかった。
 コスモパーク加太は、現在までの投資額五百六十八億円だけではなく、今後十年間の利息八十億円、新たに土地区画整備として百七十億円、幹線道路などの三十二億円を合わせて八百五十億円以上の事業になろうとしている。一九八五年の「コスモパーク加太開発構想」から一九九七年の新たな土地整備計画策定までの第一期工事を総括して、そこから教訓や反省を引出し検討を加えた上で第二期工事ともいえる土地区画整備にかかることか順当なやり方だと思うから、総括を求めている。巨額の県費を投入したこの計画は、約三百二十三億円の赤字を生み出した土砂売り渡しなど、その見通しの甘さが指摘される。
 第一期の失敗についてパブルの崩壊を免罪符にするのでなく、県民に対してその責任を明らかにすべきではないか。同時に企業もその責任を問われるのはではないか。土地開発公社の抱える借金六百五十三億円のうち百十六億円余は、県の貸付金。現時点では無利子の貸付で返済の目途が立っていないから、カラ約束になる心配がある。
 例えば、コスモパーク加太では『コスモパーク加太土地利用計画』の計画策定にあたってによれば「この構想を進めるために、昭和六十一年以降土地区画整理事業調整等を行ない、・・・官民共同で土地利用計画等の検討を進めてきた。しかし、・・・社会経済の大きな変化の中で、民間の開発意欲が冷え込み、・・・行政主導による計画へと九四年三月に方向転換をしてきた」としているが、民間が手を引くという事は、当面成功の見通しがないことを意味するものではないか。同『計画』でも「相当きびしい情勢が続く」としていることからも、いま貸している公社への金利負担分約八十二億円、今後の見込み額金利分八十億円も返してもらえないのではという不安を否定できるのか。加太の開発のみならず、土地開発公社が破綻すれば、公社の債務は県の負担になり、それはすなわち県民の負担になるのではないか。公社の長期保有土地の対策と経営の健全化への対応策を示されたい。
 ■安居企画部長
   完成土地は借入金がなく、簿価は路線価格を下回っている。未成土地は資産額が負債額を上回っており債務超過ではない。加太については「加太開発地域整備推進協議会」が 策定した土地利用計画の事業推進の中で、企業誘致等について強く協力を要請していく。公社の経営健全化については、土地分譲につとめ、人員の適正化、組織のスリム化、事務 事業の見直し等の健全化計画を検討中である。

 【3】県道あけぼの広角線改良事業について
金田 昭和六十二年に都市計画決定され、昭和六十三年度から県事業として進められている。市街地中心部に集中する交通の分散化を図り、交通混雑の解消と円滑な交通の確保を図るものとして地元では早期完成を待ち望んでいる。特に、ジャスコが出店したこともあり、市街地中心部を通過する交通量は増加する一方であり、朝夕の慢性的な渋滞だけでなく、土日や祭日も熊野大橋から三輪崎方面に向かう交通の混雑緩和が早急に求められている。
 県当局もその重要性からも一昨年からは補助事業してその推進をしているが、到達状況と今後の計画について。
 県道あけぼの広角線に関わる用地取得の方法とその後の管理のあり方について。第一種中高層住宅専用地域である新宮市清水元において、現在建設業者が産業廃棄物の自社処理を行っており、今年、中間処理業の申請をしていることから、産業廃棄物中間処理場および自家処理場の建設に反対する住民運動が展開されている。その隣接地である建設業者が所有する新宮市字松山の二千百二十六平方メートルが県道あけぼの広角線の用地として九八年三月三日に県に買収されている。
 しかし、その建設業者は現在もその用地を産業廃棄物処理場の一部として使用し、県は騒音や煤塵など迷惑をかけている者に手を貸すのかと、住民から行政に対する不信の声が上がっている。こうした行為は許されない。なぜこういう事態になったのか。早急に塀など構造物を撤去させるべきではないか。また、なぜその用地取得だけが、近隣住民には説明もされていない時期に急いで行われたのか。
 ■大山土木部長
  県道あけぼの広角戦バイパスは六十三年に事業着手し、平成九年度までに国道四十二号線取り付け部六百八十メートル区間について用地取得が概成し、一部工事を実施。残る千三百四十メートル区間は国立公園、保安林内を通過するため、環境庁、林野庁と協議中。地権者に対し、買収残地への通行のため、工事完了まで使用を許可している。建設資材の置き場として使用している問題では、早急に撤去を指導した。

【再質問】
金田 県道あけぼの広角線改良事業は、来年度も大幅な予算を確保されたい。建設資材置き場として使用というが、塀などを造り産業廃棄物処理場の一部として使用していたと思う。こうした行為が、他の地権者に不信を抱かせたり、地元の人々に事業に対する誤解を与えている。

○開発公社について。塩漬け土地の不良債権化についてですが、たとえば土地造成事業の完成土地において事業開始年度は昭和五十六年で六十一年に事業完了となっている打田町打田第二の有効面積三千四百八十三平方bがいまだにそのまま残っていたり、同じ打田町の未成土地、北勢田も昭和五十六年に事業を開始して有効面積九万六百五十七平方bのうち一割しか売れていない。こうした状況を見ると不良債権に近い状態ではないか。

○コスモパーク加太についての答弁は経過報告であり、土地利用計画の説明の一部だと思うので再度総括をお願いしたいし、総括が必要でないのならその理由は?。
 企業の責任があるともないとも答えがない。企業の社会的、道義的責任は追及されてもしかたがないと考えるので、再度答弁を。
 ■安居企画部長
  打田、北勢田については、単価の見直しや積極的なPRで分譲に努める。
  加太は非常に厳しい情勢にあるのは残念。『計画』等を通じ、あるいは土地区画整理事業を導入しながら新しく展開をはかっていく。企業責任については、新しく進展をはかるなかで 、企業にも進出についても理解を求める。


【再々質問】
金田 コスモパーク加太の総括や企業責任については、私の質問に対して答えていない。何の反省も総括もしないで事業を進めるやり方は無責任。最終的に県民にツケを回すのではないか、不安だ。 
 打田町の土地などについて、分譲価格が書かれていない。売るに売れない土地ではないか。不良債権に近い土地ではないかと心配する。抜本的に早急に対策を立てる必要があるのではないか。
 ■安居企画部長
   関係する市町と関係団体との調整が必要であり、現在その整理にあたっている。

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