村岡キミ子議員の質問(十二月十日)   1999年12月議会表紙に戻る
【1】合併浄化槽問題について
@ 浄化槽設置届け出の窓口一本化の是正を
村岡 合併浄化槽設置では建物の面積による槽の大きさが決定されてきたが、居住人員を加味して決定されるようになるなど、改善も行われてきた。
 浄化槽の機能を維持するため、専門的な知識と技術、加えて信頼できる事業者が求められる。昭和五十八年、浄化槽法の制定によって、和歌山県浄化槽保守点検業者の登録に関する条例が施行され、浄化槽保守点検は県知事の登録業者で、しかも専任の管理士が営業所ごとに置くことが昨年二月一日改正条例で新たに義務づけられた。現在、その登録業者は和歌山市を除いて、県下に二百二十一社、人。登録申請には、不当にも清掃連合会会長の推薦状などの提出を強要、さらに申請書類の提出先が知事および和歌山市長であるにもかかわらず、水質保全センターに一本化されたうえに、その水質保全センターの確認印がなければ登録申請すらできず、ある業者はこうした不当性を指摘し、是正するよう改善を求めたが、逆に二回も登録更新を拒否され、六年間、保守点検業から排除されるというきわめて異常な行政が横行していた。この不当性を容認した県行政の姿勢に許せない怒りさえ感じるが、条例改正によって、廃止されたことは評価したい。
 見直しを求めたいのは浄化槽設置に関する指導要綱。建築基準法に基づく建築確認申請と浄化槽のみを設置する場合の届け出では、その報告を届け出、審査、指導にかかわる提出書類は浄化槽協会の指導を受けたのち、提出することを原則として義務づけている。いずれも行政のおこなう業務を浄化槽協会に窓口一本化するものであると考える。関係部長の所見は?
 ■大井生活文化部長
  保健所等に提出する書類の一部に浄化槽協会の指導を受け、経由することとしているが、  経由を義務づけたものでは ない。本要綱は現在、改正に向けて県や和歌山市、関係団体と 協議を始めたところ。議論の中で、役割分担についても 検討する。

A 県立施設等の保守点検の委託契約について
村岡 県立学校の委託契約について。県立高校や養護学校などの県立学校は、県浄化槽協会と県清掃連合会の二業者による指名競争入札をおこない契約を続けてきたと聞いているが、土木工事の発注などでは、二社による入札などありえないのではないのか。不公平そのものといわざるをえない。今年度から学校の貯水槽、消防、施設の保守点検の委託契約を各学校長の責任で地域の業者の指名競争入札に切り替えたと聞くが、浄化槽の保守点検の委託契約も公平性を確保する立場から競争入札制へと改善してはどうか。
 ■小関教育長
  よりよい学習環境を保つためには、各学校の自主性に基づき施設の適正な保守管理をおこ なうことが肝要。こうした観点から、消防用設備の保守点検などの委託事務については、本年 度から各学校で行うこととしたところ。今後、(浄化槽の)保守点検についても、各学校におい てその事務を行うことができるよう検討してまいりたい。

B 県営住宅団地での浄化槽点検について
村岡 県営住宅団地においても登録業者の公平性を確保するため、一般競争入札へと改善を。土木部長は去る九月議会で金田議員に、保守点検業者にランク付けはない、浄化槽協会以外にも県営住宅浄化槽の保守点検のできる能力をもった業者はいると答弁している。この答弁の具体化を。また、委託契約の研究はどのように進んでいるのか。
 ■大山土木部長
  維持管理業務が適正に実施されるか、費用が妥当か等の観点から、現在採用している方  法より適切な方法があるかどうか、研究課題として取り組んでいる。県営住宅の浄化槽の規 模が大きいこと、事故が起こった場合に被害をこうむる住民が多数に上る等のため、一般競争 入札により業者を選定することは不適当と考える。

村岡 川永団地の保守点検、清掃費の委託契約問題について。県は去る八月一日に、浄化槽協会と、住民の了解あるいは事前連絡もなく、一方的に契約した。住民は県が一方的におしつける業者と高い料金の見直しを求めると同時に、自ら業者を選択することを要望してきたが、県は誠実に答える姿勢にない。十二月七日、川永団地住民は改めて西口知事に団地に住む世帯の七割以上にあたる三百四十世帯分の署名と共に要望書を提出。同じ保守点検業務でありながら年間負担額が大幅に少なくなることを願って、委託業者の変更を求めている。
■大山土木部長
入居者の方々に理解をいただき、早期に解決するよう努力していく。

【2】紀伊丹生川ダム問題について
村岡 紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会は九月二十七日、近畿地建にたいし「本ダム事業についいては妥当である」という結論を最終意見として提出。審議会は治水、利水両方について妥当としており、治水上の有効性については、「紀伊丹生川ダムの建設を考える会」が建設省に対して詳細な公開質問状を提出しているように、今後も検討する必要がある問題だが、今回は利水面について質問をする。
 大阪への分水について、審議会は「和歌山市及び大阪府の水需給計画については、当該自治体が責任を持ち、長期的な視野に立って作成したものであり、その計画は、水道事業者として供給義務に対する安全性を考慮し、極めて慎重な立場で作成されたものであると思料されることから、本委員会としては基本的にその計画を尊重して良いと考える」。
 審議会は、ダム建設事業の必要性そのものを検討する役割をおっていながら、「大阪分水」や和歌山市の水需要の的確性については審議する必要がないという。さすがに、審議会も、、水需要予測について、見直しも含めて更に綿密な調査・検討を行うことなどについて、委員の間から意見があったことも付け加えている。
 大阪府の水需要予測について、検討してみたい。大阪府の水需要計画は、一九八〇年の時点で、九〇年には一日あたりの最大の水需要が府営水道で、二百六十五万トンに達するとの「第七次拡張計画」が立てられ、このうち、紀ノ川からは二十五万トンを受け入れるということになっている。ところが、最初の目標年次の九〇年が二〇三万トン。九五年は百九十六万トン。大阪府は、目標年を二〇〇三年にのばしたが、達成されそうにない。九七年になって今度は、二〇一〇年には二百六十五万トンになるだろうとの見直しをおこなったところ。
 水需要の実績をパネルにしてみると、九四年の二百十二万トンを最高に、九五年が百九十六万トン、九六年が百九十九万トン、九七年が百九十八万トン、昨年が二百万トン、そして今年は百八十九万トンになると見られている。十年後にこれが、二百六十五万トンになるという大阪府の予測が、審議会のいうように、「慎重な立場で作成されたもの」といえるのか。今後大阪府営水道の水需要がこのように急激に伸びるとは考えられない。知事は審議会委員として、どのように考えるのか。
 大阪府の「明日の水資源を考える九八」というパンフは紀の川利水の必要性を四点あげている。一点目は、「南大阪地域での空港立地に伴う水需要増大に対応」、二点目は、「水源複数化による安定供給」、三点目は「淀川から府南部への遠距離送水の解消」四点目は「良質な水源水質の確保」となっている。「良質な水源」という問題では、今度大阪府が八百八十億円をかけて高度浄水施設を建設し、今年から本格稼働していることや、水質の点でも、近年は、淀川と紀ノ川の水質に大差がないことから根拠がない。
 大阪南部の水需要は、岸和田以南の自治体の一日最大給水量は、ほとんど変化がない。岸和田市、貝塚市、泉佐野市、熊取町、泉南市、阪南市、岬町を合わせた最大給水量は、九三年が二十五万五千トン、九月に新空港が開港した九四年が二十六万四千トン、次の九五年が二十六万六千トン、九六年も二十六万六千トンと、ほぼ横ばいの状態。「空港立地にともなう水需要の拡大」は全くの期待はずれ。
 「水源複数化による安定供給」といっても、紀ノ川から予定している水量は、大阪府営水道の十%にも満たないものであり、また、それぞれの自治体が自己水源をもっており、理由にならない。
 「遠距離送水の解消」というのは、紀ノ川から取水しても淀川からの送水が必要なくなるわけではなく、とても解消とはいえない。
 この十月二十八日の大阪府の企業水道常任委員会で山田勇知事は、二〇一〇年に二百六十五万トンの水が必要な理由として、「一人一日あたりの水需要が伸びるとか、市町村営水道が府営水道に振りかわることなど」をあげている。一人一日あたりの水需要が伸びると見込んでいるのは、実態に合わない。大阪府の一人一日あたりの平均給水量は、九二年が四四〇リットル。九三年が四三三リットル、九四年が四三四リットル、九五年が四二八リットル、九六年が四三四リットルと、まったく変化がない。しかも、大阪府のこの平均給水量は全国平均より、約一〇%も多い。福岡県の約四割も多くの水を大阪府民は使っている。
 まだまだ伸びると予測するのは、水の利用としてはムダ使いを促すことになるのではないか。そのために、紀ノ川からの水を求めるのは、ちょっと筋違いの話ではないかと考える。これが、大阪府が慎重に計画した水需要予測だとは考えられない。
 ■西口知事
  大阪府の責任において計画されたものであり、尊重すべきだと考える。審議会は十二回の 審議を経て、基本的にはその計画を尊重してよいと考えるという意見をとりまとめている。
 ■安居企画部長
  大阪府の平均給水量が全国平均を上回っていることは承知している。大阪府も節水の呼び かけに努めている。

村岡 建設省の河川審議会の今年三月の提言では、「社会経済情勢の変化」をあげて、「かつての右肩上がりの経済成長の下では、水利利用も大幅に増加してきたが、近時の状況は大きく変化してきている」とし、「都市用水の中には、経済発展や人口増加の鈍化により計画需要と実需要―実際の需要―が乖離し、計画通りの需要が当面は発生しないところも出てきている」「量の確保から水質の安定に向けた要望が増大している」と指摘している。また、水資源の有効活用をはかる観点から、既存の水利使用に関する情報交換・検討の必要性を強調している。十月十七日の「朝日新聞」では、淀川に設定されている水利権は一日の最大給水量として千七万立方メートルだが、実際に使われているのは最大の日でも七百二十四万立方メートルに過ぎず、その二割を活用すれば、新たなダムなどの開発をおこなわなくても良いとしている。淀川流域の水利権を持つところが互いに情報を交換し、水利権の譲渡、調整をおこなえば、新たな水源開発は必要ないことになる。和歌山県も大阪府とそれぞれの水需要の実態についても情報を交換し、分水の必要性そのものについて、大阪府と協議する考えはないか。
 ■西口知事
   両府県で設置した阪和開発連絡協議会、阪和水問題検討委員会において水需要を含め た府県間の水問題について協議している。

C 玉川峡の保全について
村岡 紀伊丹生川ダムは県立自然公園内に予定され、その一部が水没する玉川峡は県が名勝として指定している潮の岬や藤崎弁天、百間山渓谷など六カ所しか指定されていない名勝地。玉川峡は十六キロの渓谷と二つの滝が戦前、一九三五年に名勝として指定され、文化財保護条例が施行後、一九五八年に再び名勝指定を受け、年間二十五万人が訪れる。ダムが建設されると、上流部分三分の一がその中に入るが、名勝地では、現状変更には文化財保護審議会の審議が必要となるとのこと。数少ない貴重な名勝地をダムによって失うことがあってはならない。
 審議会は「水没等多大な影響を与えることは十分認識しつつも、治水、利水上の必要性から見て、止むを得ないと考える。なお、事業実施にあたっては、自然環境の創出に配慮することが望まれる」としているが、利水についてその必要性を審議もせずに、「やむを得ない」というのは、まったく理解できない。県として玉川峡を含む県立自然公園の保全についてどのような見解をもっているのか。
 ■小関教育長
   県指定名勝の現状変更等については、県文化財保護審議会に諮り、その結論を待って対 処したい。
 ■大井生活文化部長
  ダム計画により見直しが必要な場合には、自然環境保全審議会に諮問し、その答申を踏ま えて対処したい。

【3】産業廃棄物処分場問題について
村岡  御坊市の楠井地区で問題になっている産業廃棄物処分場について。この最終処分場は、大栄環境株式会社が同市楠井地区の山間に、公簿面積十二万五千四百七十七平方メートル、産業廃棄物の埋め立て予定面積は八万九千平方メートルと聞く。管理型処分場として、廃プラスチック類、ガラス陶器屑類、建設廃材、金属屑、ゴム屑、木屑、繊維屑を処分し、中間処理施設としてガラス類の破砕機、木屑破砕機、リサイクル施設が計画されている。
 現地は源氏蛍が乱舞する大変美しい自然が残されているとのこと。住民が「愛郷会」をつくり、産廃処分場から美しい環境を守ろうと立ち上がっている。埋め立て容量は一期、二期合わせて四百五十万立方メートルであり、香川県豊島(てしま)のほぼ十倍に及ぶ大規模なもので、二十年間にわたって埋め立てるというのだから、住民の心配は当然だ。
 こうした大規模な最終処分場が住民や自然環境にあたえる影響は大きく、企業は住民の理解を得るためには十分な説明をおこなう必要がある。業者に対して、住民から計画の説明を求める要請があった際には誠実に対応するよう指導していただきたい。大栄環境は地元説明会で会社のパンフレットは配布しているようだが、処分場の具体的な内容は明らかにしていない。
  ■大井生活文化部長
  御坊市長は、事業計画の内容について住民に説明を行うこと、住民の意見、危惧等には事 業者の責任で誠意をもって回答し、十分な理解を得るとともに、区としての同意を得ておくこと との意見を述べており、この意見を踏まえて事業者を指導している。説明が不十分であれば  改めて県として指導していく。
  現地の山林の一部は土砂流出防備保安林に指定されている。産廃処分場をつくるために指 定解除することは、保安林指定の趣旨からいって、不適切と考えるがどうか。
 ■島本農林水産部長
  昭和三年に土砂流出防備保安林に指定され、指定・解除の権限は国に属する。今回の開  発計画においては保安林の解除は困難と考えられる。事業者に対して、保安林を除外するよ う指導している。

村岡 現地は海岸から二キロメートル程度と思うが、印南漁協、御坊市漁協が海への排水を心配し、反対の意思を表明しているようだが、許可条件に漁業権をもつ漁業者の同意が不可欠と考えるがどうか。
 ■島本農林水産部長
  漁業権者の権利内容に影響を及ぼすと判断されるときは、事業者から漁業権者に事業内容 を説明し、十分な理解を得るよう指導するとともに、その徹底に努める。

村岡 大栄環境は日高川上流の中津村大又地区の山林にも大規模な最終処分場を計画する説明会を開き、村民が「考える会」を結成して計画中止を求める署名運動をおこなっている。署名では日高川が六万数千人の飲料水の水源となっていることに心を痛め、処分場建設は断じて容認できないと訴えている。水源地域については環境汚染のおそれのある産業廃棄物処分場の設置計画が入り込む余地のないよう、県として水源保護の条例制定などを検討、あるいは、市町村への指導をおこなっていただきたい。
■大井生活文化部長
  こうした条例は、串本町で水道水源保護条例が制定されたように、それぞれの地域事情に 沿って、水道事業体である市町村が制定するのが適当であり、県での制定は考えていない。

【再質問】
○川永団地の浄化槽保守点検について
村岡 住民は(保守点検費を)払わないとは言ってない。業者の選定について、あるいは料金があまりにも高過ぎる、別の業者に見積もりをとったところ、余りにも差が大きすぎるではないかと。住民が払うわけですから、業者も料金についても県が決めるのではなく、団地の人たちが決定すべきだと思う。今までの、選択の余地を与えないような県行政のあり方を住民は問うている。県営住宅の住民は本当に納得をして払える制度に変えていただきたい。川永団地の場合には県が一方的に委託契約を結んでいる。この契約期間が来年三月三十一日であり、可能な限りそれまでにその研究を終えることが今の課題になっている。いつの時点で問題を解決しようとしているのか。
 ■大山土木部長
  費用についてだけでなく、維持管理業務が適正に実施されるかどうかという観点からも慎重 に研究する必要があると考える。

○紀伊丹生川ダム問題
村岡 大阪府の問題と言うが、和歌山県や九度山や橋本にこれがつくられようとしている。大阪の水需要が今ほとんど横ばいの状態で、まして節水すればもっと要らなくなるという状態のもとで、本当にダムが必要なのかどうかということを提起している。和歌山県からも積極的に大阪の水問題を提起していただきたい。
 ■西口知事
  十一月に開催した阪和開発連絡協議会におきましても大阪から要請があった。九月の定例 会においては、その計画を見直す考えはないという大阪の答弁があり、目下のところは大阪  の主張を尊重している。ただ、紀伊丹生川ダム全体の問題については、これからそういうこと も含めて十分研究しなきゃならないと思っている。

【再々質問】
村岡  (紀伊丹生川ダム計画)県の重要な地域につくられるという点からも今後全体としてもっと研究をしていただきたい。
(川永団地合併浄化槽問題)土木部長の答弁は納得できない。住民を抑えつけて行政が事をすすめるというその対応の仕方が問題だ。どのような方法がいいのか、点検についてはどういう業者を選定するのか、登録業者が仕事をしていく上で本当に平等に公平性が保たれているのかどうかが今、川永団地で問題提起されている。住民の願いに応えられるような成果を期待する(要望)。
1999年12月議会表紙に戻る