和歌山県知事                    2002926

木村良樹殿                    

日本共産党和歌山県議団

団長 村岡キミ子

 

県民のくらし、福祉をまもるための緊急要望について

 

長い不況で県民のくらし、雇用は深刻な状態であり、今後の補正予算、来年度予算の編制にあたっては、県民のくらしと福祉、地域経済の振興を強く要望するところです。以下は知事との懇談にあたり、党県議団としての緊急要望であり、来年度予算にあたっての要望は後日提出する予定です。

 

1、国に対し、国民のくらしを守る課題で以下の事項を要請されたい。

@        国民の暮らしを壊し、景気後退をまねく消費税の引き上げは絶対におこなわないこと。

A        年金や児童扶養手当などの物価スライドの実施は、年金生活者などの生活破壊につながるものであり、凍結を継続すること。

B        赤字の中小企業にまで課税する外形標準課税を導入しないこと。

C        10月からの老人医療費の患者負担増、来年4月からの健保本人の3割負担実施は、健康を破壊し、個人消費を冷え込ませるもの。これらの医療保険制度の改定を中止すること。

D        国立大学の独立行政法人化は、地方の国立大学の衰退につながりかねない。国立大学の独立行政法人化の法制化は中止されたい。

E        すべての県に教員養成大学・学部を存続されたい。

F        小規模自治体の財政を圧迫する地方交付税「段階補正の見直し」をおこなわないこと。

G        「緑の雇用事業」を恒久対策とすること。

H        無登録農薬が今後販売されないよう法改正を含めた対策を講じること。

 

2、地域経済の振興、雇用確保をすすめるために。

@      公共事業は土木型から社会保障の充実を主としたものに重点を移されたい。

A      中山間地における小規模な河川改修や道路改良、防災工事は、生活環境整備として重要なだけでなく、雇用確保としても大きな役割を果たしていることから、大規模なトンネル工事など多額の事業費を要する工事は減額してでも、必要な事業費を確保されたい。

B      地域経済の振興をはかるための基本条例を制定されたい。

C      都市部における県行政独自の失業者対策事業をつくられたい。

D      15年度固定資産税の評価替えにあたっては、地価の下落を反映させるよう指導を徹底されたい。また、12年度から実施されている農業用施設用地の評価については、市町村が積極的に適正な評価を実施するよう指導を徹底されたい。

E      鳥獣被害対策に関する調査、対策の研究を本格的にすすめる必要があり、県の農林水産総合研究センターの中に、鳥獣害対策のセクションを早急に設けられたい。

 

3、医療や福祉の充実をすすめるために

@      県単老人医療費補助制度の補助対象の所得制限は、生活保護基準をも下回るものであり、福祉の後退である。ただちに補助対象基準を元に戻すこと。

A      介護保険料や利用料の県独自の減免制度を早くつくられたい。

B      特別養護老人ホームへの入所待機者を解消するための施設設置計画をたて、早急に実現すること。

C      乳幼児医療補助制度の対象を外来についても就学前にも拡大されたい。

D      障害者支援費制度の実施にあたっては、一人の障害者の方も福祉サービスの後退とならないよう、的確に対応されたい。

E      被爆者の介護保険料、利用料の自己負担を公費負担されたい。

F      国民健康保険証の取り上げは「悪質な滞納者」以外にも広くおこなわれ、不況や倒産などで収入が激減し、滞納している加入者にも「資格証明書」が発行されている。生命に関わることであり、国保証取り上げをやめるよう市町村を指導されたい。

 

4、教育行政について

@  高校学区制撤廃は、生徒、保護者に強い不安を与えており、適切な対応をとられたい。

A  全国で22道府県が何らかの少人数学級に取り組んでいる。子どもたちにゆきとどいた教育をすすめるために、早急に30人学級を実施されたい。

B  那賀郡においては、高校新設が緊急課題となっている。いつまでも放置することなく、早急に検討に入られたい。

C  県内の小中教員の年齢構成は、20代がきわめて少なく、子どもと教育に大きな影響を与えている。早急に青年教員の採用を拡大されたい。

D  県同和教育基本方針を早急に廃止されたい。

E  教員の「児童生徒支援加配」制度による教員加配は「学習指導上,生徒指導上及び進路指導上特別の注意が必要である児童生徒または生徒に対して、学校生活を円滑に営むための特別の指導が行われる学校」に対しての加配であり、従来の「同和加配」制度とほぼ同様に取り扱われているのは、制度の趣旨に反したものである。実態に即した加配をおこなわれたい。

 

5、同和行政について

和歌山県は「同和差別が存在するかぎり、同和行政をおこなう」ことを基本姿勢と表明している。これは同和差別がなくなっていないと主張する人が存在するかぎり,同和行政を永続させることになる。同和地区と一般地区との較差是正を目的とする同和対策の理念からも、旧来の同和対策につながる特定地区にかかる事業は、実態的にも廃止し、住民福祉の施策は全住民対象の事業として普遍化することを基本とすべきである。

同和対策の高度化事業や大型作業所、畜産団地など、現在においてはいくつかの問題を抱えている同和対策事業についての真摯な総括をおこない、県民の前に明らかにすべきである。

 

6、市町村合併問題について

@    市町村合併の推進を県振興局がすすめることは、市町村の自主性を損なうものであり、各種協議会の事務局を振興局内におくことはやめること。

A    県職員が市町村合併問題について講演する場合には、事実と科学的な見通しにもとづいた資料によることとし、憶測にもとづく「地方交付税半減予想」などを吹聴することのないようにされたい。

B    合併を促進することは、ひいては地方自治体の財政弱体化、地域の衰退につながることは明白であり、県としての推進姿勢は改めることを求める。

 

7、住民基本台帳ネットワーク

住民基本台帳ネットワークの運用については、今後個人情報の保護という観点から、市町村の意見を尊重されたい。

以 上