談合事件の真相解明を求める申し入れ
和歌山県知事
仁坂吉伸殿
日本共産党和歌山県議団
団 長 村岡キミ子
雑賀 光夫
藤井健太郎
松坂 英樹
木村良樹前知事らが官製談合や収賄で逮捕された事件は、県政に対する県民の不信を募らせています。談合による高値落札は、県民の税金をゼネコン業者などが掠めとる犯罪行為であり、今回の談合事件は、長年の県政と建設業界の談合体質から生じたものと考えられます。県民は、なぜあのような談合事件が起きたのか、その説明を県に求めており、二度と不正事件を起こさせないためにも、県行政として談合不正事件の全容を解明し、県民への説明責任を果たすことが必要です。
知事は1月17日の臨時県議会において、藤井健太郎議員の事件の真相解明を求める質問に対し、“再発防止のシステムを作るためには、当然あの事件がなぜ起こったか、どのようにして起こったか、あるいはそれがどういうインセンティブでどうなって、こうなったのか、ということはきちんと頭に入れておく必要があります。従ってその限りにおいて、実態把握をするのはあたり前であります。公共調達検討委員会においては、なぜああいうことがおこったかということは、当然作業の一つとして、それがビルトインされていると考えていただいていい”と答弁しました。また、“真相解明にとどまることなく、それを改善するための制度を”つくるとも答えられました。
1月10日に第1回会議が開かれた「公共調達検討委員会」では、@予算の効率性の向上、A工事の品質確保、B談合不正の排除、C建設業界の健全な発展の4項目を検討することになっています。知事の答弁は、4項目の提言を作成する上で、事件の全容を解明することが不可欠であるとの認識に立っていることを示したものであり、重要な意味をもっています。
知事が本会議での答弁を実行し、事件の真相を解明するためには、疑惑が指摘されている工事入札の調査や談合事件にかかわった業者からの聴取、建設業者が会員に入っていた木村前知事の親睦会の全容を解明することなどが不可欠と考えます。
日本共産党県議団は、知事が事件の真相解明に向けて取り組むことを強く求めます。
2006年1月26日
木村知事の逮捕にあたって
団長 村岡キミ子
昨夜、木村良樹知事が競売入札妨害(談合)容疑で逮捕されました。知事公舎の家宅捜索がおこなわれていたことから、知事の逮捕は時間の問題と見られていましたが、現職知事の逮捕という事態は県民の県政への信頼を損ねるものであり、木村県政を支えた自民、公明など与党の責任も問われなければなりません。
逮捕容疑は、一昨年の11月10日に入札がおこなわれた「紀の川中流流域下水道(那賀処理区)那賀幹線管渠工事で、先に逮捕された水谷聡明容疑者らと共謀し、前回知事選挙で木村容疑者を支援した海南市の業者に便宜をはかったというものです。県民の税金を使った公共工事で、選挙での見返りをするなど、とうてい許されるものではありません。
木村容疑者は12月2日付けで辞職することになっていますが、逮捕されながらなお、知事の座にとどまることは許されず、即時に辞職することを求めます。
また、県議会としての百条委員会の設置は不可欠の課題であるとともに、職務代理者は迅速に調査委員会等を設置するよう求めます。
来月17日に投票される県知事選挙において、談合事件の全容を解明し、県民の福祉やくらしを優先する県政実現へ、「ゆたかで住みよい和歌山県をつくる会」とともに全力をつくします。
以上
トンネル談合疑惑の全容解明を
日本共産党県議団
団長 村岡キミ子
10月12日にトンネル談合疑惑で水谷出納長が逮捕された事態を受け、本日(10月16日)、議員全員協議会が開かれました。談合に関与したとされる井山容疑者と水谷容疑者を引き合わせた時期や理由などの事実確認、水谷容疑者を出納長に任命した木村知事の監督責任、内部調査をおこなう考えがあるのかどうか、知事自身の政治責任をどう認識しているのかなど、30項目にわたり、議会を代表して議長が質問をおこないました。
知事は、井山容疑者とは大阪府の総務部長か副知事時代に知り合い、知事選挙前後に和歌山県内の情勢などの情報を得ていたことを認めましたが、水谷容疑者の潔白を信じ、自らの関与も否定し続けています。また、井山容疑者および談合疑惑の企業からの資金提供は否定しましたが、談合疑惑で名前のあがっている地元企業の経営者などから政治献金を受け取っていることを認めました。
これまで捜査機関の捜査を見守るとしていましたが、はじめて外部有識者、専門家による調査機関を設置する考えを明らかにしました。
しかし、知事は自身の任命した出納長が「官製談合」疑惑で逮捕された問題の重大性、政治責任の重さを自覚していない他人事のような姿勢に終始したことから、今後も議会全体で対処していくこととしました。
党県議団はこれまで、県庁が家宅捜査を受けた直後の9月21日に声明を発表して知事に自らが全容解明の先頭にたつことを求めました。出納長が逮捕された12日には臨時議会の招集を知事と議長に要請し、会派代表者会議では100条委員会の設置を提案するなど、疑惑解明に奮闘してきました。今後とも疑惑の全容解明にむけて全力をあげるものです。
申し入れ
木村良樹知事殿
日本共産党和歌山県議団
団 長 村岡キミ子
本日午後、水谷聡明県出納長が大阪地検によって、競争入札妨害(談合)容疑で逮捕されました。木村良樹知事が親交のあった河内長野市のゴルフ場経営会社の井山義一元代表らも逮捕されました。水谷容疑者の逮捕容疑は、04年11月におこなわれた4つのトンネル工事の2つで、水谷容疑者が落札業者の事前決定に関与した、「官製談合」であり、それらの落札業者から井山元代表に多額の現金が渡ったとされています。
大阪地検の家宅捜索の開始にあたって、党県議団は4つのトンネル工事がいずれも高率の落札率であることを指摘し、当局自身の解明を求めていましたが、あらためて、県当局自身が自浄作用を発揮することを求めるものです。
以上の状況から、以下の点を申し入れるものです。 記
1.出納長による官製談合容疑逮捕という県政史上前代未聞の重大事態であり、知事の監督責任が問われる問題です。知事自身が、「捜査当局に協力する」といった姿勢ではなく、疑惑の解明に対して積極的にとりくむこと。
2.木村知事は「県民の皆様にご心配をかけたことに対し、深くお詫び申し上げます」とのコメントを出しましたが、県民および議会への説明責任を本当に果たす気持ちがあるならば、ただちに臨時議会を招集して、井山容疑者との関係を含めて、説明責任をはたすことを求めます。
3.なお、議長にたいしても、県政史上例をみない重大事態との認識にたって、臨時議会を招集する手だてをすすめられることを求めました。
2006年10月12日
トンネル工事入札にかかる談合疑惑について
日本共産党和歌山県会議員団
団長 村岡キミ子
9月20日、大阪地検特捜部は県庁で、知事室や出納長室などの家宅捜索をおこないました。大阪地検の捜査容疑は、2004年11月入札の「国道371号(仮称平瀬トンネル)特殊改良1種工事」で、ゼネコンらの間で談合がおこなわれた競売入札妨害の疑いがあるというものです。知事室などを捜索された木村知事は、「今後の捜査の進展を待ちたい」と同日の本会議で答弁しましたが、予定価格に限りなく近い落札が横行してきた県工事の入札を放置してきた責任は重大です。
問題とされている工事は、予定価格の12億3628万9950円に対し、ハザマ(株)などのJVが落札した金額は12億2377万5000円(落札率99・0%)であり、その差は1251万4950円にすぎず、その中に6つのJVが入札するという、常識的には談合なしには考えられないものでした。このトンネル工事は、同年度中に県土整備部がおこなった落札価格1億円以上の65件中、4番目に高い落札率となった工事でした。一部報道では、この工事に応札した他のJVで、談合がおこなわれたことを認めたところも現れており、談合がおこなわれた疑いは濃厚となっています。
また、この年に入札がおこなわれた10億円以上の4件のトンネル工事は、問題となった工事以外でも、仮称切畑トンネル(国道168号)が98・6%、仮称梨子ノ木トンネル(国道480号)が97・1%、仮称上ノ城トンネル第二工区(紀州サンリゾートライン)が96・8%という、異常に高い落札率となっています。
こうした状況から、以下の点を求めるものです。
@、今回の捜索が知事室を中心におこなわれたことからも、木村知事との関係が指摘されている大
阪河内長野市のゴルフ場経営者との交友関係について、知事自身が詳細を明らかにすること
A、高額、高率の大規模工事について、改めて談合の疑いがないのか、県として調査をし、県民に 明らかにすること。
B、予定価格が明らかになっていることから、談合で落札するには他のJVの協力が不可欠であり、 談合に協力した企業については、落札の如何にかかわらず、入札から排除する措置をとること。
以 上
2006年9月21日
トンネル談合事件・「しんぶん赤旗連載」
(06年10月11日〜14日)
和歌山県発注の談合−トンネル工事に群がるゼネコン
(上)
絶大な力ふるう大林組を捜索
4工事で入札疑惑
和歌山県庁知事室への捜索で始まった談合事件は、関西の土木工事で長年談合の中心にいたといわれる「大林組」本店(大阪市中央区)に捜索が入り、また県幹部の関与による官製談合が取りざたされるなど泥沼の広がりを見せています。
和歌山県発注のトンネル工事をめぐる談合疑惑が発覚したのは大阪府阪南市のし尿・汚泥処理施設をめぐる談合事件の捜査過程でした。大阪地検特捜部は、ゴルフ場経営会社「大和開発観光」(大阪府河内長野市)の井山義一元代表Hが和歌山県発注の「国道371号(仮称平瀬トンネル)特殊改良一種工事」入札で、県側から得た入札情報を準大手ゼネコン「ハザマ」(東京)に提供し、見返りに五千九百万円が井山元代表に渡ったことを示すメモを押収したといいます。
関係者によると井山元代表は、大阪南部のフィクサーで、これまでも和歌山県の公共工事への関与が何度も取りざたされてきました。手口は公共工事の設計業務を受注した業者から事前に図面を入手。それをゼネコンなどに渡す「図面の運び屋」として謝礼を受け取り、またメーカーや下請け業者をゼネコンに紹介して斡旋料を取るといわれています。井山元代表は事件発覚後の九月三十日、大和開発観光の代表取締役を辞任しました。
◇◇◇
井山元代表と木村良樹和歌山知事との親密な関係はよく知られています。県庁が家宅捜索受けた九月二十日、取材陣に囲まれた木村知事は「(井山元代表とは、総務部長や副知事をしていた)大阪にいたときから知っている。仲はよい。しかし最近はあっていない」と関係を認めました。また「木村知事が当選後、経営者(井山元代表)は当選祝いのため県を訪れ、知事から当時、審議監だった水谷聡明・出納長を紹介された」(九月二十一日「読売」)ことや、いまも県庁に強い影響力があるといわれる元県出納長(一九九六年辞職)で県内最大手建設会社「淺川組」の中西伸雄副社長(71)が大和開発観光の役員に名を連ねるなど井山元代表は県とのつながりを強めそれを誇示。木村知事誕生後、急速に「和歌山で仕事をするなら彼に頼まないとスムーズに進まない」と業者間で言われるようになりました。
◇◇◇
県庁捜索の対象になった平瀬トンネル工事と同じ日に入札があった別のトンネル工事入札についても談合の疑いがもたれ、合わせて四つトンネル工事入札を主導した疑いが大林組幹部にかかっています。幹部は、関西土木業界で「天皇」と呼ばれた関西の談合仕切り役だった大林組元常務の故・平島栄氏(西松建設元相談役)が業界内の権力争いに敗れ失脚した後、実権を握ったといわれています。
大阪地検特捜部は四日、大林組本店(大阪市中央区)や幹部宅(大阪府吹田市)など数カ所を競売入札妨害の容疑で捜索しました。和歌山から始まった談合事件は、大林組が絶大な力をふるう関西の談合構造に全体にメスを入れることができるのか、注目が集まっています。
(中)大林組と木村知事と・・・
ちらつく「解同」の影
大阪地検特捜部は十二日、和歌山県出納長の水谷聡明容疑者(60)を逮捕。事件はいよいよ官製談合の様相をおびてきました。事件を追いかけると大林組を頂点とする談合構造、木村良樹知事を始めとする県行政との関わり、そして不公正乱脈な同和行政に巣くう「解同」(部落解放同盟)の影が見え隠れします。
◇◇◇
〇四年四月、「BSE隔離牛肉」の買い上げ事業につけこんだ補助金詐欺でハンナングループ総帥・浅田満被告が逮捕されて以降関西では、大阪市発注の造園事業で「解同」系の大阪府同和建設協会(同建協)加盟業者による競売入札妨害や「解同」飛鳥支部長による横領事件などこれまで隠蔽(いんぺい)されてきた「解同」関連の事件が一気に吹き出ています。
土木建築業界でも関係者は「大阪の主要な公共事業の八割は『解同』系企業など浅田と結びついた業者が独占してきた。とくに大和川(大阪市と堺市の境)から南は浅田の独壇場」といいます。 今回のトンネル談合でもその影は濃厚で、県庁が捜索された平瀬トンネル工事は、ハザマ・地崎・三友JV(共同企業体)の落札ですが、地崎工業(東京)は、同建協の会員だったことが過去の名簿から分かっています。
◇◇◇
〇二年五月二十二日、IT総合センター(田辺市)建築工事を東急・淺川・田中JVが落札しました。落札額二十億千万円、最高制限価格である予定価格に対する落札率は97.21%という高値です。談合構造は今回のトンネル談合と酷似。東急建設(東京)が大和開発観光元代表の井山義一容疑者(55)に二千万円を提供した疑いがもたれています。
同建築工事入札が実施の前年、二〇〇一年六月県議会で「解同」和歌山県連副委員長の松本貞次県議が一般質問に立ちました。当時、総合教育センターだった計画が、二〇〇〇年九月に初当選したばかりの木村良樹知事によってIT総合センターに変更され、基本設計ができあがっていた設計事務所との契約を解除、「ていのいい随意契約」と批判のあるプロポーザル方式によって昭和設計(大阪市)と業務委託契約が結ばれました。
松本県議は「木村知事、大阪府羽曳野市のH畜産株式会社社長Aとは、副知事当時から友人と聞いております。A氏の会社は、市内中央区南船場にもあります。住居は藤井寺です。ここまで言えば、わかると思います。このA氏の紹介で知事は昭和設計の社長と面識を持たれたのではないか」(二〇〇一年六月議会議事録より)とただしました。H畜産とはハンナン畜産、A氏とは浅田満被告。知事はこのとき珍しく気色ばみ、声を荒げ浅田被告や昭和設計との関係を否定しました。その後、知事との間で何があったのか松本県議は、この問題を追及せず、今日まで一度も一般質問にすら立っていません。
昭和設計と井山容疑者との関係は業界で周知の事実として語られています。井山容疑者の関与が指摘される県内の主な公共工事は、今回のトンネル工事のほか、県立医大解体撤去工事、IT総合センター建築工事、国保橋本市民病院移転改築工事、県庁南別館機械設備工事など。うち橋本市民病院も当初の設計事務所を昭和設計に変更しています。
(下) 落札率99%
長年の高値張り付き
トンネル談合の疑いは、その落札率(予定価格に占める落札額の割合)からも濃厚です。最初の県庁捜索の対象となった「国道371号(仮称平瀬トンネル)特殊改良一種工事」では、落札率は98.98%。ハザマの共同企業体(JV)による落札額と予定価格の間、わずか1%に他の六つJVがひしめいています。
この限りなく予定価格に近い高値落札は長年、県発注の公共工事入札で繰り返され、談合の常態化が指摘されてきました。「市民オンブズマンわかやま」の畑中正好事務局長は「落札率90%以上の工事入札は談合の疑いがある」と強調します。
◇◇◇
ところが長年に渡った高値張り付きの状況は、公共工事の縮小で談合を仕切るうまみがなくなった大手ゼネコン四社(鹿島、大成建設、大林組、清水建設)による昨年末の突然の「談合決別」宣言と、談合への制裁を強化した改正独占禁止法の今年一月施行によって一変します。
二〇〇四年度に和歌山県が発注した予定価格一億円以上の工事は六十七件で平均落札率は94.82%。談合が疑われる落札率90%以上のものは六十二件と全体の93%に達します。二〇〇五年度の二〇〇五年四月から法改正施行前の同年十二月までの平均落札率は91.54%。落札率90%以上は四十七件中三十四件で全体の73%でした。
これが今年、二〇〇五年度の二〇〇六年一月から三月までの平均落札率は、例年より約10%下がり80.16%。落札率90%以上は十五件中六件と激減しました。落札率下位の五件は「最低制限価格もしくは調査基準価格」を割り込む落札額で、談合を前提としない「たたき合い」が見て取れます。今年度の二〇〇六年四月から九月までの落札率はさらに下がり平均落札率は76.36%。落札率90%以上は三十七件中十二件で全体の32%。最低価格を割り込んだのは五割を超える二十一件に達しています。
◇◇◇
逮捕された大和開発観光(大阪府河内長野市)元代表の井山義一容疑者(55)は、「国道371号(仮称平瀬トンネル)特殊改良一種工事」受注を決めたハザマから五千九百万円、「国道168号(仮称切畑1号トンネル)道路改築工事」受注の東急建設から六千万円を受け取ったことなどが判明しています。「税金をかすめとる犯罪」といわれる談合でさらに県出納長の水谷聡明容疑者(60)が逮捕。官製談合に発展した前述の井山容疑者が金を受け取った二つ工事の落札率は98.98%と98.61%。まさに談合価格、税金のムダ使いそのものという批判が県民から上がっています。
約39億円の節約が可能
オンブズマン畑中正好事務局長の話 オンブズマンの全国調査でも、談合防止策を徹底していると平均落札率が75%前後になることが分かっています。予定価格張り付き状態で放置してきた木村知事の責任は重大です。県が、昨年度全国で一番低かった長野県の74.8%なみに談合を防止していたとみなすと、約三十九億三千万円の節約が可能だったからです。巨額の公金の損失です。落札率から見ても、木村知事は、談合たる犯罪行為を容認する姿勢にあったと充分非難に値します。(おわり)