同和行政のツケ税金で
債権26億円放棄  融資完済法人にも投入

2008年7月5日

―― クローズアップ ――――――――――――――――――――
   和歌山県議会で継続審議となっていた中小企業高度化資金約26億4000万円(うち同和融資23億8000万円)の債権放棄が6月議会で可決され、乱脈な同和行政のツケを税金で尻ぬぐいすることが決まりました。しかし同和融資の問題はそれだけにとどまるものではありません。仁坂吉伸知事は県議会で「地域改善対策で、すでに返したものもある」と答弁しましたが、完済法人のなかに多額の税金が投入された実態が日本共産党県議団の調査でわかりました。
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  不良債権処理で

 国・県・和歌山市から高度化資金計約13億円の融資を受け1977年に設立された協業組合宏和は81年に休業。返済額はわずか約7000万円にしかすぎませんでした
   ところが96年、和歌山市は皮なめしなどをする大型共同作業場を建設するとして宏和の土地を「時価の2倍以上」と指摘された約19億5000万円で購入。これにより焦げ付きが償還されました。和歌山市は土地購入について「地元から雇用対策のため建設してほしいとの要望があった」としていますが、建設計画が持ち上がった当時、地元業者らは「人手不足の深刻な皮革業界で雇用対策など無意味」「協力企業以外の皮革会社は廃業に追い込まれる」と建設反対の陳情をしました。
   また負債処理の分配をめぐり宏和関係者間で争われた裁判で、「和歌山市に売却して清算する話が持ち上がり」と市の土地購入が融資返済目的であったことがあきらかになり市議会でも問題になりました。

   130人の雇用を創出するとした同作業所には現在36人しか働いていません。

  過大な住宅建設

 税金を投入し焦げ付いた高度化資金を「回収」したのは宏和だけではありません。
   約14億円を融資し約3億円しか返していなかった和歌山タンニング協業組合に和歌山市は土地代約9億円と、すでに休業しているにもかかわらず移転補償として約8億円の計17億円を払い、その土地に同和住宅を建設しました。同じく休業中の協業組合レザーセンター(融資額約13億5000万円)には土地と移転補償合わせて22億円を払い2つの同和住宅をつくりました。

   こうした住宅建設によりこれら協業組合があった同地区には同和住宅が集中。97年当時で、同地区世帯数1488(96年国勢調査)に対し、住宅戸数は1662戸あり、その後さらに増えました。
   また協業組合カトルス東邦(融資額約7億円)の場合は、別の協業組合のための移転先として土地と移転補償に計約10億円払いました。償還後、東邦は解散しました。

   高度化資金同和融資分で償還が終わっていないのは24法人。そのすべてが不良債権化しています。未償還額は計約92億円に達し、さらなる税金投入が懸念されています。

   県議会で反対討論に立った藤井健太郎県議は「手続きは適切であったとするばかりで、その根拠は示されておらず、説明責任を果たしていない」と批判し、実態が不明瞭なままの債権放棄に反対しました。



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