加太菜園や防波堤

和歌山県議団が視察



2009年5月13日

   日本共産党和歌山県議団は13日、県が誘致しカゴメ(名古屋市)などが建設したトマト栽培の加太菜園(和歌山市)と、住友金属和歌山製鉄所沖に建設中の防波堤を視察しました。
   藤井健太郎奥村規子雑賀光夫松坂英樹の4県議と渡辺忠広和歌山市議は、加太菜園の羽布津真典社長の案内で施設を視察、3期施設中止の経緯などを聞きました。
   また、国土交通省和歌山港湾事務所の横山茂雄副所長の案内で、船から防波堤を視察。同防波堤は、住友金属沖埋立地に建設予定の関西電力LNG火力発電所へのタンカー入港を主な目的に建設しているものですが、発電所計画は延期を重ね着工の目処すら立っていないなか、防波堤だけが総事業費約300億円(国、県、関電が負担)で建設中です。







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《加太菜園に関する記事》

和歌山・コスモパーク加太  県民負担さらに増

  
菜園3期施設  カゴメが中止
                                                            2009年5月13日
   和歌山県最大の不良債権「コスモパーク加太」(和歌山市)利用策の突破口と喧伝(けんでん)されたトマト栽培の「加太菜園」について、食品大手のカゴメ(名古屋市)は3期施設の中止を発表。巨額の投資や奨励金を出し企業誘致した上、企業の身勝手に振り回される県の甘さに批判が高まっています。

  コスモパーク加太全体図 (PDF)

                                    

コスモパーク加太とは、関西空港第1期工事の土砂採取跡地に「未来型複合都市」をつくるとしたもの。県土地開発公社が事業主体となり1989年から91年に土砂採取を実施し、採取に約1,156億円かかった土砂を原価割れの約833億円で売った赤字をかかえたまま、計画はとん挫。残ったのは金融機関などへの約381億円(県融資を含む)という借金だけでした。(今年3月末現在)
 破格の低賃料
   252ヘクタールにも及ぶ広大な荒地の一部を、県は加太菜園のため約20億円かけて造成。県とカゴメは、約37.3ヘクタールの造成地(道路を含む)の20年間の賃貸契約を結びますが、土地所有する県土地開発公社に払う賃料のうち1平方メートルあたり年間460円を県が肩代わりし、カゴメ側は100円という破格の賃料にしました。県の地代肩代わりは年間2億円近くにのぼり、さらに奨励金約1億円支給しました。
 正規雇用8人
   このように税金を湯水のように注ぎ込んだ加太菜園に施設がつくられたのは1期の10.7ヘクタールのみ。2期7.2ヘクタールは一昨年に無期限延期され、さらにカゴメは今年4月末、3期17.9ヘクタールの中止を発表。3期分は今後5年間賃料を払ったのち解約と契約が変更され、県は新たな企業誘致をよぎなくされました。
   「20年間の経済波及効果は5,803億円。雇用は300人」と県が胸を張った加太菜園での雇用は140人で、うち期間を定めない正現雇用はわずか8人。コスモパーク加太と同様、甘い見通しに立ち税金を投入、県民負担ばかりが増すという県の企業言いなりの姿勢がまたも露呈した形となりました。

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《住金沖南防波堤に関する記事》

北港沖の南防波堤工事

目的延期されても続行

2009年6月10日
   住友金属和歌山製鉄所(和歌山市)沖合の埋め立て地で防波堤工事が進められています。
   埋めて立て地に建設予定の関西電力LNG(液化天然ガス)火力発電所に燃料を届けるタンカーのためのもので、総事業費300億円のうち半分を関電が負担し電力料金に反映され、残り半分はエネルギー港湾事業として国と和歌山県が負担します。しかし肝心の発電所計画は2001年に計画が延期されて以降、建設のめどはなく、いつ中止になってもおかしくない状態です。そうしたなか今も続く工事に「なんのための防波堤か」と批判が高まっています。
 住金が大もうけ
   そもそも埋め立て地は、住金が周辺住民に被害を及ぼしている自社の公害を沖合に移転するしかないと公有水面の埋め立てを申請し「産業廃棄物処理と公害工場の移転」で許可されたものです。住金や県などで第3セクターの県環境保全公社がつくられ廃棄物を埋め立て地に受け入れました。住金は81年から93年の間に産廃1,430トンを搬入し正規料金なら約240億9,000万円かかるところを約11億4,000万円ですませ、さらに94年から96年、作業委託費として約21億5,000万円を公社に支払わせました。
   ところが埋め立て途中の91年、住金は工場移転をほごにし、埋め立て地に発電所を誘致。その売却価格は約900億円と言われます。和歌山弁護士会公害対策・環境保全委員会は「電力事業用途として埋立免許申請がなされていたとすれば、埋立免許が付与されなかった蓋然(がいぜん)性がある」と指摘します(97年「西防沖埋立地問題を考えるシンポジウム」)。
 公共岸壁使用
   こうして県民を二重三重に裏切ってすすめられた埋め立て地に今つくられているのが和歌山下津港北港沖南防波堤です。
   2000年に始まった工事は現在、46%を建設。防波堤として初めて「根入れ式鋼板セル工法」を採用し、1,000メートルの防波堤のうち210メートル分の鋼板セル製作工事を受注したのは住金でした。
   県は公費負担する理由に埋め立て地の一部を公共岸壁にすることをあげています。しかし隣接する和歌山下津本港の貨物取扱量には余裕があり、新たな岸壁の必要性はなく、現在埋め立て地の公共岸壁を利用しているのは住金だけ。その住金でさえ埋め立て地北側にある住金専用岸壁で年間1,863万トン扱っているのに公共岸壁は3万トンにすぎません。
   県はすでに約24億円を支出。最終50億円程度の負担額が見込まれます。事業化されていないものの、南防波堤と同じ長さの北防波堤も計画されています。
   日本共産党県議団は当初から同防波堤の公費負担に反対。県民の税金を無駄遣いするなと主張してきました。



「提案と見解」

和歌山県議団TOP


加太菜園を視察する、和歌山県議団ら=5月13日、和歌山市
建設中の北港沖南防波堤
防波堤を視察する、和歌山県議団=5月13日、和歌山市
加太菜園第1期温室
住友金属和歌山製鉄所(正面)と、南防波堤(右端)