復活狙われるムダの架け橋
   「紀淡連絡道路」構想
  四国への3本橋 大赤字なのに









2014228
 ムダな大型公共事業として凍結された紀淡(きたん)連絡道路が、国士強靭(きょうじん)化のかけ声とともに復活しようとしています。県民からは「そんなものが何の役に立つのか」など批判の声があがっています。 (和歌山県・川崎正純)

08年以降は凍結
 構想は、紀淡海峡(約11キロ)に2.5キロという世界最大級のつり橋、紀淡海峡大橋を架けて和歌山市と兵庫県洲本市を結ぶ40キロの道路をつくるというものです。本州と四国の間にはすでに3本もの橋が架かっています。3つの橋を建設・管理した旧本州四国連絡橋公団は約3兆8000億円もの借金をかかえて2005年に民営化されました。民営化に際して1兆4000億円の税金を投入されましたが、その後も国や周辺自治体の財政支援は続き、やっと2014年度に支援を打ち切る予定です。会計検査院は支援打ち切りで、2050年度までに債務を返済するには今の2倍の交通料金が想定されると試算しています。
 紀淡連絡道路について関西財界などは「大阪湾環状交通体系の要」、「環状交通網が、経済圏の拡大・活性化につながる」とばら色の夢をふりまきましたが、四国につながる4本目の橋を架けるというあまりにもばかげた構想の化けの皮がはがれて2008年以降は凍結されました。凍結されるまでの間に紀淡など6ヵ所の「海峡横断プロジェクト」に調査費だけで約68億円もの巨費が道路特定財源から投入されました。

「強靭化」の名で
 自民党は防災を名目に10年間で200兆円の投資をすると政権公約でかかげ、和歌山県選出の二階俊博衆院議員が会長をする同党国土強靭化総合調査会がまとめた国土強靭化基本法が昨年の臨時国会で成立しました。こうしたなか紀淡連絡道路の復活も喧伝(けんでん)され、昨年9月には「関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会」が結成され和歌山県の仁坂吉伸知事が会長に就任しました。仁坂知事は紀淡連絡道路について、「凍結されたが、計画が廃止とか、結論が出たわけではない」、「第一番目には、いわゆる第二国土軸としての国全体のリダンダンシー(多重性)の確保だ」と防災を前に押し出して構想復活をぶちあげました(昨年12月県議会答弁)。
 日本共産党和歌山県議団は1月の知事との懇談で、「不要不急の紀淡連絡道路建設よりも県内生活道路の整備・維持修繕をすすめるとともに、災害対策では命を守ることに直結する施策をすすめよ」と要求。紀淡連絡道路反対の論陣を張っています。

    県政情報・提案と見解    日本共産党和歌山県議団