和歌山県知事
     防災の名で日米共同演習合理化

  オスプレイ参加
住民が撤回要求


2014516
 和歌山県白浜町など田辺・西牟婁地方を中心に10月19日に実施される県防災訓練に米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが参加する問題で、県民の間に批判と不安の声が広がっています。            (赤旗和歌山通信部・川崎正純


 昨年12月県議会一般質問で自民党県議がオスプレイを旧南紀白浜空港に誘致して訓練させよと求めたのに対し、仁坂吉伸知事は「県がかかわるものではない」と明確な答弁をさけました。しかし議会終了の翌日、知事は県防災訓練へのオスプレイ参加を発表しました。

 ◇ 広がる運動
 日本共産党和歌山県議団はただちにオスプレイ参加撤回を要求。2月県議会で高田由一Facebook県議は全国知事会の決議を示し、「決議の『安全性についていまだ確認ができていない現状』というくだりはいまだに解決していない。『関係自治体の意向を十分尊重して』というくだりも沖縄の現状をみればそのようなことは決して言えない」と迫りました。→2月県議会高田由一一般質問
 県地評や平和委員会、母親大会連絡会、新日本婦人の会なども次々と参加撤回を申し入れ、安保県民会議は5月10日、和歌山市で「防災訓練にオスプレイは不要だ!学習会&アピール行進」を実施。防災訓練が実施される田辺・西牟婁地方では、5月24日午後7時半からビッグユー(田辺市)で小泉親司・元参院議員を招き、「講演と意見交換のつどい『防災訓練とオスプレイ』」が開かれます。

 ◇ 事故率隠す
 仁坂知事は、防衛省資料のMV22オスプレイの事故率1.93(10万飛行時間あたり1.93回)を示し、「安全性の低い飛行機ではない」と繰り返しています。しかし、防衛省資料は事故率13.47の空軍所属の同型機CV22を無視して作成されたもので、県危機管理局の担当者は取材に「(海兵隊と空軍では)運用の仕方が違うから」と説明。これは、使い方次第では事故が起こりかねないことを認めるもので、オスプレイの安全が確認されたことにはなりません。
 また知事は、大規模災害時に「できるだけ多くの方面の協力を得ることはありがたい」とオスプレイ参加を合理化しますが、知事が災害出動を要請できる自衛隊と違い、米軍へは知事から何もできません。「危険なばかりでなく、出動要請すらできないオスプレイを防災訓練に参加させることに何の意味があるのか」と批判があがっています。

 ◇ 自衛隊主導
 これまでの県防災訓練には、消防や警察、海上保安庁などのほか、自衛隊は大阪府和泉市にある陸上自衛隊信太山駐屯地の部隊が参加する程度でしたが、今回、陸・海・空すべての自衛隊と、さらに在日米軍まで参加が予定されるもと、県主催の防災訓練が自衛隊主導に変質するのではと懸念されています。
 天候を理由にオスプレイ参加が中止になった2月の日米共同総合防災訓練では、高知県沖に停泊する海上自衛隊の空母型護衛艦にオスプレイが着艦する訓練まで予定されていました。
 このような、災害に名を借りた日米共同演習が和歌山でも展開される可能性が高まるなか、「日本が海外でアメリカといっしょに戦争する国づくりを先取りするもの。防災訓練へのオスプレイ参加は、沖縄のみならず全国にオスプレイの軍事訓練実施を拡大させる下地づくりにほかならない。オスプレイは和歌山に来るな」の声が広がっています。

    県政情報・提案と見解    日本共産党和歌山県議団