和歌山県防災訓練にオスプレイ 全国初 市街地飛行に怒りの声
   
                                     「オスプレイはノー」とこぶしを突き上げる参加者=白浜町             20141019
 和歌山県は10月19日、南海トラフ巨大地震の津波被害を想定した防災訓練を行い、米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイ(普天間基地所属)が2機参加しました。オスプレイが自治体主催の防災訓練に参加するのは全国で初めて。2機は県管理の民間空港である南紀白浜空港や、本州南端の観光地として知られる広場に離着陸し、沖縄配備後に初めて基地外での訓練実績をつくりました。
 南紀白浜空港への進入時、オスプレイ1機が役場や学校がある白浜町中心部の温泉街上空を飛行する姿が、日本共産党の高田由一Facebook県議をはじめ、住民多数に目撃されました。県は、訓練時に住宅地上空を避けるよう米軍に要請し、「米軍は応じると回答した」と9月に県議会で答弁していました。
 訓練には県内外から118機関、約6,400人が参加。陸海空の自衛隊約1,500人に加え、海上自衛隊の護衛艦「いせ」も同県串本町の沖に展開し、オスプレイや防災ヘリコプターの洋上拠点となりました。
 白浜町で開かれた抗議集会には、監視行動とあわせて約700人が参加(主催者発表)。防災を名目にしたオスプレイの訓練拡大や、日米合意を無視した市街地上空の飛行に怒りの声が相次ぎました。

 ごう音・強烈プロペラ風 オスプレイは救難に不適 海自艦同乗記
 
                                                                     南紀白浜空港に着陸する、米軍オスプレイ
 重く低いプロペラ音とエンジン音と思われる高い金属音が混じる独特のごう音を響かせながら、米軍オスプレイは和歌山県沖に展開した海上自衛隊の護衛艦「いせ」へ着艦しました。南海トラフ巨大地震を想定して10月19日、県南部を中心に実施された「津波災害対応実践訓練」。艦上で他の防災ヘリなどと比べてみるとオスプレイの異質さは際立っていました。

 着艦直前の低空飛行時には、プロペラからの強烈な下降気流で海水が波しぶきのように上空に舞い上がり、海上救難機として不適当であることを物語りました。
 防衛省は当初、高知県での日米共同防災訓練時にオスプレイから海上遭難者を救助することを検討したものの断念。今回の訓練でも、オスプレイの役割は物資輸送・患者搬送にとどまり、海上救難への使用は回避されました。
 「災害の時にすぐ飛んでいける」(左藤章防衛副大臣、10月19日の会見)などと強調しても、最も急を要する人命救助には使えず、オスプレイでなければ果たせない災害対応能力があるわけでもありません。

  欠陥機の印象 払しょくねらう
    
 今回の米軍からの参加は、和歌山県によれば10人のみ。防災訓練参加へのねらいは米軍との協力強化というより、事故多発の欠陥機とのイメージを払しょくし、飛来を国民に慣れさせることにあります。
 当初、日米両政府は低空飛行訓練や自衛隊との軍事訓練での本土飛来を想定していたものの、安倍政権は国民の根強い安全性への懸念を背景に、防災訓練やイベント展示などを通して、国民への浸透を図る戦略をとりつつあります。
 10月26日には航空観閲式(茨城県)で実機が展示され、11月の防災訓練(宮城県)にもオスプレイが参加する予定。さまざまな口実を利用し、オスプレイは着実に全国民の日常へと近づきつつあります。   (池田晋)

 抗議集会に各地から
 和歌山県白浜町の南紀白浜空港で米軍輸送機オスプレイ2機が全国で初めて防災訓練に参加したことを受けて10月19日、「防災訓練への米軍オスプレイ参加反対!10・19抗議集会」が同町で開かれ、各地からのべ700人(主催者発表)が集まりました。さまざまな民主団体でつくる同集会実行委員会が主催しました。
 同集会実行委員長で和歌山県地方労働組合評議会西牟婁(むろ)支部の山本智久議長があいさつ。
 「ゆたかで住みよい和歌山県をつくる会」の、はたなか正好知事予定候補は「オスプレイの防災訓練への参加を認めた(仁坂吉伸)知事は許せない。次の知事選挙で、オスプレイの参加を認めない市民派知事を誕生させよう」と訴えました。
 日本共産党の高田由一県議は、住民の安全のためにオスプレイは海上を通るよう、県議会で約束していた(9月県議会 高田議員一般質問)にもかかわらず、2機とも市街地上空を飛行してきたことに怒りを感じると述べました。
 田辺市から参加した女性(49歳・製造業)は、「日本には憲法9条があり、危険なものは必要ない」と話しました。
 参加者は同集会アピールを採択し、こぶしを突き上げて「オスプレイはノー」とコールしました。

    県政情報・提案と見解    日本共産党和歌山県議団