151--総務委員会-09 2001/05/24

○委員長(溝手顕正君) 休憩前に引き続き、行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題とし、質疑を行います。

 質疑のある方は順次御発言願います。

○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。

 きょうはまず最初に、NTTの六万人人員削減の問題について大臣に伺いたいと思います。(NTTの人減らし合理化問題について質問のあと)

  次の問題は地方公務員の問題であります。

 地方公務員は、時間短縮、サービス残業を根絶するという問題でありますけれども、四月の六日に厚生労働省が労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について、こういう通達を出し、ガイドラインを示されました。

 私どもサービス残業を根絶するために法案も今国会にも提出をさせていただいておりますが、大変こういったガイドラインをつくっていただいて通知をしていただくというのは大事で、総務省におかれても、この基準に基づいて適切に対応されるよう都道府県にも通知を出され、都道府県から各市町村にもこの通達の送付と周知の徹底をされまして、地方公務員の職場におきましてもいわゆるサービス残業を根絶するという、そういう姿勢を強くお示しになったと思いますが、大臣、それでよろしいでしょうか。

○副大臣(遠藤和良君) 地方公務員の勤務時間につきましては、各地方公共団体におきまして適切に把握して管理すべきものでございます。正規の勤務時間を超えて勤務を必要とする場合は当然時間外勤務命令によるべきものでありまして、その場合は時間外勤務手当を支給されるべきものである、こういうふうに基本的に考えております。

○八田ひろ子君 私が伺ったのは、この通知という点ですばらしいと思って、その御決意を大臣にお聞かせいただきたかったんですが、また後でもいいです。

 そこで、今おっしゃるように当然時間外手当は支払うべきということなんですが、総務省が通知を出されましたのは私は非常に適切だと思ったのは、実はなかなか、それが当然なんですが、思い違いをされている、こういうところも職場においてはあるわけですね。

 私はここに、きょう、和歌山県の県議会の議事録を持ってまいりました。これを見ますと、これはここはことし三月に子ども障害者相談センター、医科大学附属病院、精神保健福祉センターに労働基準監督署から時間外労働についての是正勧告が出されたところであります。これは勧告の出される前の十二月の県議会でありますけれども、超過勤務手当の予算額を実際必要となる超過勤務手当で割った率をここでは充足率と呼んでおりまして、要するに八割から八割八分、これだけしか超過勤務手当を払っていないということで残業の未払いがあるんじゃないか、こういう質問に対して総務部長の稲山さんとおっしゃる方が、予算の制約のある中で、充足率を用いて超過勤務手当を支給する方法は職員の意思を代表する職員組合と合意の上で実施してきたという経過がある、だから個々の職員の請求権がどうなるのかはこれは吟味しなければならない問題で、過去にさかのぼって支給義務はない、こういうふうにお答えになっているんです。

 私はこれを読んでほおうと。さっき副大臣がおっしゃったのとちょっと違うんですが、地方公務員というのは組合と合意しますと超過勤務手当を支払わなくてもいいという、こういう何か特約とか特例があるんでしょうか。

○政府参考人(板倉敏和君=総務省自治行政局公務員部長=) お答え申し上げます。

 正規の勤務時間を超えて時間外勤務命令を発して勤務をさせた場合におきましては、時間外勤務手当を支給すべきものでございます。時間外勤務手当を支給しなくてもよいというような協定を認める規定は存在しておりません。

○八田ひろ子君 そうですね。私も法と条例に基づいてきちんと払うべきだと思いまして、サービス残業の賃金不払いというのはれっきとした犯罪でありまして、通達でも定額制、不払いはだめだよと、こういうふうにあります。

 私、今名前を読み上げましたが、この和歌山県の総務部長さんというのは実は旧自治省から出向されている方です。「日経地域情報」を見ましたら、四十七都道府県の総務部長さんに中央省庁からは二十六名いらっしゃるんです。いわゆるサービス残業は違法ですから、使用者の側からありますよという報告はやりづらいんですが、昨年の自治労連の組合員へのアンケート調査も見せていただいたんですが、二五%の組合員が不払い残業があると。ですから、一層総務省がお出しになった通知に基づいて適切な対応が私は必要だなということで最初に大臣にお聞きしたんです。

 大臣、こういった不払い残業、この通達では長時間労働になるからいかぬ、無論不払い残業は犯罪ですからいかぬに決まっているんですけれども、そのために私は一千八百時間の労働時間の実現、第九次雇用対策にも閣議決定にもありますが、公務員の職場、地方公務員では当然労働基準法の適用がありますから、一千八百時間を目指すということが大事だと思いますが、大臣どうでしょうか。

○国務大臣(片山虎之助君) 言われるように一千八百時間というのを法律でもちゃんと根拠を与えているわけでありますから、私はそれを守るべきだと思いますし、基本的には地方公務員の場合にもできるだけ残業をしないということです。正規の勤務時間の中で効率を上げる、こういうことがまず第一で、残業を少なくする、残業をしないということ。したらそれは払うというのは、今、遠藤副大臣や公務員部長のは当たり前の話なので、そこはさらに徹底してまいります。

○八田ひろ子君 本当にそのとおりで、千八百時間を目指していただきたい。

 総務省も今、大臣がおっしゃったように目指そうということで毎年通達を出していただく、もうすばらしいなと思うんですが、この通達によって時間外勤務がどれだけ縮減されたのか、年次有給休暇の使用の促進はどれぐらい進んだのか、過去五年間で結構ですので数字でお答えください。

○政府参考人(板倉敏和君) 地方公務員の時間外勤務の実態でございますけれども、定期的な調査は行っておりません。ただ、平成六年に地方公務員の勤務時間短縮方策に関する研究会というところの報告書の中でアンケート調査を実施しておりまして、その回答のあった二十九団体の都道府県知事部局の平均の時間外勤務時間が一カ月当たり十四・五時間であったという調査結果の報告がございました。ちょっとそれ以外には数字がございません。

 また、地方公務員の年次有給休暇の取得状況につきましては、これは毎年調査をいたしております。平均でございますが、平成七年、十一・九日、平成八年、十一・六日、平成九年、十一・五日、平成十年は十一・六日、平成十一年は十一・四日というふうになっておりまして、最近の状況はおおむね十一日半、十一・五日の前後で推移をしているというふうに理解をしております。

 なお、国家公務員の年次休暇の取得状況ですけれども、平成十一年の調査では十一・四日、また民間でございますが、平成十一年の労働省の賃金労働時間制度等調査によりますと九日、こういうふうになっておるようでございます。

 今後とも、私どもといたしましては、時間外勤務の縮減や、年次有給休暇の計画的な取得を促進するための方策につきまして情報提供等をやってまいりたいと考えております。

○八田ひろ子君 私の聞き違いでなければ、横ばいというよりも平成七年に十一・九日の有給休暇の取得で、平成十一年は十一・四ですから、これは平均なものですから、有給休暇の取得がとりにくくなっている、とれなくなっている、とっていないというふうに聞こえるわけですね。

 時間外勤務、これは調査をしていないということで平成五年の例を出されましたが、私もそれを見ました。これを見ますと、平成五年の六月一カ月だけお調べになっているんですが、時間外勤務が五十時間以上の方が三九・七%。これは研究会報告書に載っておりますけれども、すごいなというふうに思いました。

 入るときは公務員の方も、一分おくれても出勤簿がなくなるからだめですけれども、帰りはどうもきちんとなっていない。総務省が出されたこの通知にもありますように、労働時間管理をきちんとして長時間労働にならないようにすべきなんですね。

 この同じ調査の中で、五十時間以上の方に、手当がもらえても嫌だと、こういう方が半分以上です。手当がつくなら構わないという方が五%、やむを得ない人は五%なんですよ。だから、そういった意味でも、これ六年も前ですから、きちんと、今総務省としても通知を出されているんですから、時間外勤務の縮減のためにも実態をお調べになる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(板倉敏和君) 地方公務員の時間外勤務の実態を調査せよと、こういうことでございます。

 この場合、年次有給休暇の取得状況の調査とは異なりまして、毎月の各個人のデータから年間の時間外勤務の時間数を計算する、それを全員についても集計をするという必要がございます。職員の数を考えますと膨大な調査になるということでございまして、各地方公共団体に対して相当な負担になるだろうというふうに考えます。そういうことでこれまで全数調査というものはやってこなかったと、こういうことでございます。

○八田ひろ子君 これまではそうですが、今総務省としても通知も出されていて、先ほど大臣のお答えもありましたが、千八百時間を目指してやっていこうというこういうときですので、調査しないという、実態も調べないで、地方公務員というのは例えば交付税の算定基準ではどれだけの仕事とやっているわけでしょう、実態が全然わからないのに算定基準で定数を決めているなんというのは非常におかしいと思うんですね。

 そこで、私、厚生労働省に伺いますが、この千八百時間という状態ですが、厚生労働省のモデルケースはどういうふうになるんでしょうか。

○政府参考人(鈴木直和君=厚生労働大臣官房審議官=) 千八百時間のモデルケース、千八百時間になるようなパターンというのはいろいろあろうかと思います。ただ、昭和六十三年に経済審議会の国民生活部会の報告、この中で、我が国の総実労働時間の千八百時間、このモデルケースを当時の経済企画庁が試算をしております。

 これによりますと、所定内労働時間が千六百五十四時間、所定外労働時間が百四十七時間、週休日が百四日、それから週休日以外の休日、祝日等になりますが、これが十五日、年休が二十日というような前提で計算されております。なお、この所定内労働時間、これは六十二年の毎月勤労統計調査の平均の七時間二十五分、これに出勤日数を掛けたものでございます。

 モデルケースとしては、公表されているものとしてはこういったものがございます。

○八田ひろ子君 ありがとうございました。

 私は、それを地方公務員の皆さんで計算をしてきました。(図表掲示)ちょっと遠くから見にくいかもしれませんが、左にありますのが今労働省がおっしゃった千八百時間のモデルケースですね。一年三百六十五日で、土日、祝日、年末年始は百十九日、勤務すべき日数と一日の労働時間、これ、違いますのは、公務員の場合は一日八時間、さっきの労働省のケースは一日七時間二十五分に残業が四十分という計算です。そうしますと、当然時間数が違いますね。公務員の場合ですと八時間で、残業も何にもなくて一千九百六十八時間になるんですよ。さっき労働省からお示しいただいたように、じゃ有給休暇二十日全部とったらどうかと。これは百六十時間ですから、これを引きましてもやっぱり千八百八時間で、千八百にならないから、欠勤とか何かでもう一日休まないと全部で千八百時間にならないんです。ちなみに、労働省のモデルケースというのは千八百一時間になるんですね。

 私、これ計算をして大変驚いたんですが、有給休暇を全部とって残業を一時間もやらなくてやっと千八百時間に到達ができるわけであります。先ほど、有給休暇をなかなか今とる日数が少なくなっているとか、残業のことを伺っているのは、こういった総務大臣がおっしゃった千八百時間を目指しておられる実態がこういう中身だということなんですけれども、こういうふうにすれば、家庭的責任や社会的、また健康の面でもいいなということで、公務員もやっぱりこういうふうに目指していると理解しても、片山大臣、よろしゅうございますよね。

○国務大臣(片山虎之助君) 今の超過勤務、時間外勤務のお話もありましたし、年休も今二十日で、繰り越しが二十日だったですかね、が十一・五というのも余り改善されていませんね、そういう意味では。

 ただ一方では、大変失業率がこういう状況ですし、私はそういう意味では、昔からワークシェアリングという言葉もありますし、やっぱり法律なりいろんなことで決められた目標というものはそれはしっかり守っていく方が正しいと思いますが、地方団体の場合にはそれぞれの団体の事情がありますし職員構成の問題もありますから一概には言えませんが、基本的には委員が言われるように年次休暇を消化する、時間外勤務はできるだけ少なくすると、こういうことだろうと思います。

○八田ひろ子君 本当に一致しますね、大臣とね。

 やっぱり私、三月に児童相談所の児童福祉司のことで交付税算定を見直していただいてというお話もしましたけれども、病院の医師や看護婦とか児童相談所の福祉の関係の方、もう日常的に超勤が非常に多いんですよね。だから、配置人員の交付税措置の見直しというのも財政的裏づけを持ったものが必要だと思うんです。だから、私はきちんと調査を、全調査じゃなくても抽出でもいいですから、きちんと調査をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、もう一問大臣に伺いたいんですが、五月二十一日に人事院が女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針というのを出していただきました。私、これ四月にも大臣に大変いい答弁をいただきましたのですけれども、こういった指針の趣旨を地方公務員においても取り組むべきでありますので、私は、ぜひ先ほどのサービス残業根絶の指針と同じように各地方に出していただいて、徹底をして、男女共同参画社会が公が先頭に立ってやっていただける、こういうふうにお願いしたいのですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(片山虎之助君) この小泉内閣も女性閣僚が五人もいて大変華やかで活発でございまして、大変内閣自身の支持率を高める一つの要因になっていると思いますが、五月二十一日に指針ができたばかりでございますから、その取り扱いは十分関係の皆さんと相談して、できるだけ委員の御趣旨に沿うような対応を考えて検討してまいります。

○八田ひろ子君 ありがとうございました。