政務活動費とは     

 

本来、地域住民に役立つ視察を含む情報収集のために必要なお金を、議員に補助するものです。ところが実際は、第二の給料とも批判されるように、不適切な使用も多くみられます。支給されるようになった経緯は?


 47年の地方自治法制定当時は、多くの地方自治体で、議員に対していかなる手当を支給しても違法ではないと解釈され、調査研究費などの名目で議員個人に支給されていました。

 

 56年「地方行政の運営を合理化する」などとして地方自治法が改正され、個人に対しては報酬など以外に自由に金銭を支給できなくなりました。しかし、地方議会関係者は会派に支給するなら良いと手前勝手に解釈し、「会派活動には議会を活性化し住民意思を反映させる点で公益性がある」などと理由づけし、多くの自治体で調査研究費、調査交付金等の名称で補助金が支給されるようになりました。

 


 

政務調査費が創設

~透明性が確保されるはずだったが~

 99年、地方分権一括法が成立し、00年に地方自治法が改正されました。その時に、県議長会などからの要望があり、政務調査費制度が創設されたのです。政務調査費に関する規定(第100条)の骨子は以下の通りです。▼議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派または議員に対し、政務調査費を交付することができる▼調査の交付の対象、額および交付の方法は条例で定めなければならない▼交付を受けた会派または議員は、収入、支出の報告書を議長に提出するものとする。


 施行に際し出された旧自治省の通知では、「情報公開を促進し、その使途の透明性を確保することも重要」「額に関しても、第三者機関の意見をあらかじめ聞くなど、住民の批判を招くことがないよう配慮すること」となっていました。


 同法では、議長への収支報告書の提出を義務付けていましたが、その内容や領収書の添付などについて具体的な規定はなく、透明性の確保は地方自治体に委ねられたのです。その結果、同法施行後に領収書添付を義務付けたのは二府県のみでした。また、使途基準も極めて曖昧なものが多く、地方自治体の情報公開もまったく積極的ではありませんでした。


 

住民監査請求で次々と明らかにされた政調費の不適切使用

 

 近年、市民オンブズマンなどの情報公開制度を活用した住民監査請求で、不適切な政務調査費の使用が、全国各地で次々と明らかになってきました。市民からの批判が高まるにつれ、領収書などの支出を裏付ける証拠書類の添付の義務付けが進み、都道府県レベルでは全都道府県(最後は岡山県の2015年)で、1円以上の領収書の添付が必要とされ公開されるようになりました。使途基準の具体的な例示や詳細なマニュアル化も、少しづつ増えてきてはいますが、まだまだ、一部にとどまっています。また、和歌山県では、「領収書の非公開部分は議員が黒塗りして提出」(他に愛知県と岡山市)されています。


 

政務調査費から政務活動費に改称

 

 12年8月、政務調査費の支出について「調査研究に資するため」と定めていた地方自治法100条14項が「調査研究その他の活動に資するため」と改められました。同時に名称も「政務活動費」となりました。この名称の変更と「その他の活動」が加えられた意図ははっきりしませんが、支出対象に「その他の活動」が加わったことで、支出項目が増えることだけは確かです。案の定、全国オンブズマンの調査で、13年政務活動費の執行率は、12年政務調査費に比べ46%の地方自治体で1%以上上昇していました。


 

全国の自治体の詳しい状況は、全国市民オンブズマン 政務調査費・政務活動費 特設ページ をご覧ください。

自治体別の最新の状況、各地での政務調査費に関する住民訴訟判決、先進例などが見れます。