目次

 ねぶた祭り見物旅費返還住民訴訟

 入札情報の公開裁判

 OB県議補助金不適切使途問題

 知事に公開質問(県議政務費値上)

 会員寄稿:木村知事の4ヶ月

 コピー用紙カラ購入裁判で証言

 裁判情報

 今後の予定

No.23

発行日2001年 1月15日

 昨年12月12日、和歌山地裁で判決が言い渡された「ねぶた視察旅行旅費返還住民訴訟」は、全面勝利判決でした。

 

 本裁判は、市議や助役らが和歌山市園部地区でカレー毒物混入事件が発生して間もない11日後の98年8月5日から同7日にかけて、視察と称して青森・ねぶた祭り見物旅行していたことから、当会では、多くの死傷者をだして苦しんでいる最中のこの時期に行うことは非常識であり、また、旅行そのものも「視察に名を借りた物見遊山」であり許されないことを指摘して、住民監査請求を行い、右請求が棄却されたことから提訴に及んでいたものです。

 

 請求は、市議、助役ら21名に対し、旅費・日当として支給された公金総額約220万円の返還を求めていました。  判決は、①旅行の日程上単なる観光旅行と相違を示すものとしては、函館と青森の各市議会事務局による事情説明などを挙げて、これらは合計してもわずか2時間程度に止まっていること、②復命書の記載は、提供を受けた資料の丸写しが大半を占めていること、③事前の依頼文書がずさんなものであったことなどを指摘して、当初から、形式だけを整えるためのものとしています。そして、視察目的としていた「観光行政に対する視察」の意識の低さをも指摘し、さらには、民間人である笹本誠昭が単なる参加者として旅行に同行することが予定されていたことなどから、旅行の実態は、視察に名を借りた観光旅行だと断じました。私達の主張にそった画期的な判決でした。

 

 なお、市議らは、本判決に従い、旅費を返還することが伝えられています。しかし、反省の弁は聞かれません。反省のない返還では、市議らの対応は不充分と考えます。このことは、まだまだ、市議らの公金使途に関し市民の厳しい監視が必要なことを示していると言えます。

 

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 県の公共工事の入札に係る予定価格や最低制限価格が記載されている予定価格調書の開示を求めて訴えていた行政裁判の控訴審判決が昨年12月26日に大阪高裁で言い渡されました。

 

 高裁判決は、私達が勝利した和歌山地裁判決を支持し、県側の控訴を棄却しました。

 

 本裁判は、入札談合を防止させる活動の一環として当会が行った県、県企業局、県教委に対する「97年度の5000万円以上の公共工事に関する予定価格や入札最低制限価格が記載されている公文書(予定価格調書)の開示請求したところ、県側が非開示処分をしてきたことから、右公文書の開示を求めて提訴していたものです。

 

 高裁判決は、また、高裁段階で県側が主張していたことについても、すべてしりぞけました。特に、情報公開条例第9条の『実施期間は、公文書の開示の請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報が記録されているときは、公文書の開示をしないことができる。』との規定の解釈に関し、県側は、「開示してはならない」規定だ、と情報隠しに都合よく解釈する主張していました。しかし判決は、その文言からしても、また、同条1条に掲げる目的(県民の県政に対する理解と信頼を深め、県政への参加を促進し、もって開かれた県政を一層推進することを目的とする)規定などに照らして、「開示しないことができるし、場合により開示することもできる」という効果裁量を認めた規定だとしました。 これは、県側の、情報公開の精神である「県民の県政に対する理解と信頼を深め、県政への参加を促進し、もって開かれた県政を推進」しない考え方をいさめたことにもなります。

 

私達は、知事に対し、1、2審の判決に従い、直ちに公開して、これまでの情報隠しの姿勢を改め反省することを求めます。

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 木村良樹県知事は、県監査委員がなした県議会退職議員の親ぼく団体(以下「和歌山県友会」という)に対する県の補助金の不適切使途に関する調査及び不適切額確定と返還などの措置を求めた勧告に対し、措置結果を昨年12月27日付けで通知してきました。

 措置は、不適切支出額を南紀熊野体験博覧会視察事業に関し41万1232円、総会後の懇親会に関しては28万4083円の合計金69万5315円と確定させて、同月18日付けで和歌山県友会に対し返還を命じた、とする内容でした。

 措置通知書によると、平成11年度すべての事業に係る支出を調査したことを述べて、前述の2事業以外には、不適切支出はなかったとしています。

 不適切額を認めた内訳内容は次とおりとしています。
① 南紀熊野体験博覧会視察事業  支出総額は216万7565円、うちバス借上げ料など適正な支出95万7700円、自己負担金等79万8633円であるとして、右支出総額からこれらを差し引いた残金41万1232円が不適正使途。
② 総会後の懇親会   支出総額は53万5779円、うち会場費、記念費など適正な支出25万1696円であり、残金の28万4083円が懇談費であるところ、和歌山県友会から全額を返還する旨申し出あったことから、懇談費全額。

 

  ところで、木村知事の本件措置決定は、不充分だと言わざるを得ないものです。それは、
①南紀熊野体験博覧会視察事業に関しては、多額の不適正支出があったことからしても、視察とは名ばかりで実質は物見遊山の観光旅行であったと指摘せざるを得ず、そうすると、自己負担金を差し引いた補助金支出額136万8932円は返還すべきであり、
②総会後の懇親会費に関し、総会後の懇親会は毎年行っていたことが半ば当然であり、懇談費の平成11年度に関し、自主的返還の意志を示したのであれば、全年度について自主的返還すべきであるからです。

この件に関して、県に対し、平成11年度以前についても調査をすべきことを求めて申し入れをしていたところ、「まず、平成11年度分を調査する」と回答していました。県の調査でも不適切支出が判明し、必要な措置が済んだことから、平成11年度以前についても不適切支出の調査を検討するよう申し入れてきました。みなさんも厳正な調査をするよう声をあげましょう。

 

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 県議らに対し、報酬とは別に交付されており、とかく「ヤミ給与」との疑惑が絶えない政務調査研究費(以下単に「調査費」という)が、平成12年度予算において、11年度の1億2972万円から1億6920万円に3948万円も大幅アップしていたことが、当会の調査で分かったことから、大幅アップを認めた知事に対し、その理由を質して公開質問状を1月10日提出しました。

 これは、議員一人あたりにすると月額23万円から30万円とする7万円のアップで、アップ率では、30%に相当します。

 また、この大幅アップは、県民に秘密裏に行っていました。

当会では、次の理由により、大幅アップを認める根拠がないと考えています。
① 県が厳しい財政難に陥っている状況下で、県職員は来年度給料2%カット、県民も秋の県民総合体育大会、来年度休止するなどして支出削減に取り組んでいることから、県議としても、経費減に協力すべきである。
② 調査費は、とかく「ヤミ給与」との疑惑が絶えない。また、県知事も県議会も議会情報を非公開にしてひた隠しにしていることからも、調査費の不正使途の疑惑が拭えない。不正あるいは不適正使途が存すればアップする必要がない。むしろ減額すべきだ。

 

 そこで、大幅アップを認めた知事に対し、まず、公開質問状することにしたのです。質問内容は次のとおりです。
① 大幅アップを認めた理由と根拠を明らかにすること(根拠資料の添付)。
② 調査費の使途に関するチェックの内容と結果の公表及び調査費の使途を示す資料、過去3年分の開示すること。
③ 予算額がわかる資料が不存在されたことから、不存在の理由を県民に分かるように説明すること。

 提出するにあたり当初、木村知事に直接面談を求めましたが、応えてくれず、西芳男総務課次長が対応。面談の際、次回の機会には、木村知事との直接面談を強く求めました。  また、西次長は、「他府県の状況を参考にした。議員活動に必要な経費で他府県に比べても高くない」との考え方を示したので、「他県と比べるだけで、アップの必要性や内容は検討していないのか」と問いただしたところ、「もちろんそれらも検討している」、このことについては、「後日、文書で回答する」と応えました。

 

 なお、回答期限を2週間以内としています。

 

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木村知事の四ヶ月

  N・T・生

 木村良樹和歌山県知事が誕生してから四ヶ月たった。「県政を二分するような戦いを県民は望んでいない」という地元代議士や与党幹事長らの意向を反映して、共産党を除く全野党相乗り選挙で当選した木村知事だけあって、選挙も当選後の動きも至極温和な四ヶ月だったように思う。

 就任後、梅の生育不良問題、雑賀崎沖埋め立て計画問題、橋本市の産業廃棄物中間処理場問題を三大懸案問題と位置づけ、住民との対話と迅速な対応の重要性を語った知事は、その言葉を裏付けるように、雑賀崎沖埋め立て環境調査費執行停止を表明し、現職の知事として初めて梅の木現地視察を行った。

 まあこれだけのことでも、今ま でのような県職員出身知事では考えられず、輸入知事だからこそできたことだと言えるかもしれない。しかし私としては、多少でも県の内部事情に通じているだけに、出発点において着手しておかねばならないことがある ではないかと言いたい。県の組織そのものの見直しと改革である。

 木村知事は所信表明で、「時代の変化に敏感に対応しながら、外にむかって進んでいく開かれた県政」などともに「県庁のあり方を抜本的に変革する必要性」をも指摘した。だがその必要性の具体化に着手したとの報道にはまだ片鱗だにも接していない。

 前にも書いたことがあるが、戦後2代目の大橋正雄知事が、県会議長だった平越孝一氏と熾烈な選挙戦を展開して辛勝し、就任後「県民の立場にたって仕事をしよう」「新しい感覚で仕事をしよう」などと訴え、職員のアイデアを募集したり「意見箱」を設置したりして職員の意識の改革に努力された。意識の改革がいかに難しいかは、それが実を結ぶことなく終わるとともに、後を継いだ仮谷、西口両知事が現状埋没型県政に堕したことでもわかるが、あの改革の志は今こそ生かされなければならない。

 和歌山県政とくらべて、就任後三ヶ月たった長野県の田中知事のあり方は、前回で述べたように選挙のあり方も大違いなら、就任後のあり方も月とスッポンほどの違いがある。

 先ず当選の弁として、「透明でしなやかな、何ら県民をだますことのない県政を行いたい」 と述べ、その実践として知事室をガラス張りにした。それは往年の坂本勝兵庫県知事が「ツバメと県民は自由に出入りせよ」と簾を吊ったことが思い合わされ、このような県政なら情報開示も県政の浄化も問題なく、オンブズマンの仕事も不要になるだろう。

 田中氏を支持した八十二銀行茅野実頭取が「長野県民は、以前は向上心があって意欲ある県民だったが、お上が面倒をみる体制が長く続き、だらしなくなってしまった。長野県民一人ひとりの自立心が今回の結果につながった」と言っていたが、この言葉の前半は和歌山県民にもあてはまるが、自立心は残念だが和歌山県民は持ち合わせていないようだ。

 昨年12月5日ヤミ手当(カラ宿泊)返還求める裁判と同時進行しているコピー用紙カラ購入を追求する裁判において、当会の畑中正好事務局長が原告本人尋問として証言台に立って証言しました。

 尋問は、10時半からおよそ1時間40分行われました。 今回の尋問の中心は、裁判の前提として なした監査請求が公金支出日より1年以内にしていない分について、「正当理由」があったことを立証することでした。

 

 畑中事務局長は、まず、県職員側が、当初「不正はない、不正はない」と否定しておきながら、否定できなくなると、不正は容易にわかり時日を要せずにできたはずと主張していることに対し、「盗人猛々しい」 主張と批判しました。

 

 また証言は、正規の手続き書類を整えなされていた支出関係の公文書から不正の具体的事実を解明するのに相当の手間と時日を要したことを縷々述べました。 そして最後に、この裁判は、全庁調査の信用性を問うものであること。県側は、「不正はない、不正はない」とウソを突き通し てきたいわば『ウソつき集団』であり、そのウソつき集団の内部の者達だけで調査し、その調査資料を廃棄したというのでは信頼できず、言いつくろいと返還額をへらすことに腐心する姿からは、厳しい反省は見られない、是非、県職員らに対し、きびしい審判を下されること求める意見を述べて終了しました。

 

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真実に裏打ちされた証言

西村則夫

 

 不正の追及にあたり情報公開請求により県から開示された資料の分量は段ボール箱数箱にも及ぶ膨大なもので事務所に運ぶだけでも軽トラを用意するなど大変だったようだ。

 

 先ずはパソコンの操作が出来る三人で手分けして入力することから始めたようだが、三人ともれっきとした職業をもつ働き盛りのいそがしい人達。仕事の合い間の夜間や休みの日にしたようだ。 気の遠くなるような煩雑で面倒な作業をコツコツやるのだから、完了するまでにかなり長い日数を要したのは止む得ないことであったと、私は理解できた。

 

 また、不正の解明は、正規に支出されたように職員らがグルミで関係種類を整えられていたのであり、その書類を分析して、不正をあぶりだすのであるから、後で聞くとたやすいようなことでも難解であったことは容易に推測し得た。

 

 悪いのは、不正をしている方であり、仮に、不正を追及する市民の苦労に、それなりの期間が認められないとすれば、不正を追及する道を閉ざしてしまい、悪をのさばらせてしまう結果になり、到底許されないと思う。

 

 主尋問の最後に、これでは県民が不幸だと意見を熱っぽく語った場面では、思わず拍手を送りそうになった。場所が法廷だけにそれは控えたが、心の中では大きな拍手を送っていた。これまで県側の証人として出廷した県のお役人、みえすいた嘘と思える証言をしているときには、やはり人の子、流石に後ろめたさを感じているらしく、おずおずとした口調になり、しどろもどろになることが度々あった。

 

 だが、この日の畑中氏の証言は言語明瞭、喩旨また理路整然としていて実に立派だった。不正を追及する正義に裏打ちされていたからであろう。改めて、この事件勝利しなけらばこの世は闇だ、と思った次第だ。

証言を聞いて

井上壮一

 

 私は、ヤミ手当(カラ宿泊)やコピー用紙カラ購入を追求し始めた頃はまだオンブズマンの会員ではなかったので、畑中氏の証言を聞きながら改めて、不正の事実解明にたいへんご苦労されたことを知った。

 

  畑中氏によると、情報公開により開示された関係する資料だけでも、ヤミ手当の件でおよそダンンボール六~七箱分、コピー用紙カラ購入の件でおよそダンボール三箱分あったそうだ。そして、見ただけでは、正規に手続きをなしたように整えられていたので具体的な不正関係はわからず、資料に記載されているすべてのデーターをパソコンに入力して分析をすすめたそうだ。特に、コピー用紙カラ購入では、三名で購入商品ごとの品名など入力が大変だったようだ。

 

 また、カラ宿泊の解明では、「特泊命令」が不正とわかったのは、宿泊施設のないところに特泊命令を付して、宿泊費や日当をだしていたことからであったのだそうだ。そのことが判明するまでは、分析にいろんな方策をおこない苦労したようだ。

 

 大変なご苦労に、ボランティアで不正を追及する畑中氏をはじめ会員の緻密な調査活動と、それを支える不正を断じて許さない燃えるような正義感には、まことに心打たれるものがあった。 また畑中氏は、匿名の内部告発者から、「不適正」支出額は一三億円どころではない、その三倍ないし五倍はある、との話を聞いたそうだ。

 

 そして、当時県は、内部告発者探しに躍起になっていたとも言うのだ。県の姿勢には、反省の態度が微塵も見られないと断じた。  畑中氏をじっと見つめる裁判官たちに毅然として証言する畑中氏の真摯な姿勢には、実に感銘を受けた。そして証言は、傍聴席の市民を充分納得させ、感銘を与え、世の不正、不条理と闘う強い姿勢を傍聴席にはっきりと伝え、私達に不正を許さない決意を新たにさせてくれた証言でもあった。

  各土木事務所におけるヤミ手当(カラ宿泊)と
  コピー用紙カラ購入にかかる追及裁判

 この間、12月5日に裁判があり、畑中事務局長が証言しました。その詳細は別途掲載していますので参照下さい。  次回は、2月20日午前10時からの予定です。この日は弁論です。

 

   議会情報の開示を求める裁判                                     

 

 県側は、全面的に争う姿勢を示しています。  次回は2月14日午前10時からです。

当面は双方の主張が書面でやりとりが続きます。

1月24日 PM6:00~ 第5回全員会議

2月14日 AM10:00~ 議会情報の開示を求める裁判

2月20日 AM10:00~ ヤミ手当(カラ宿泊)追及裁判 コピー用紙カラ購入追及裁判 内容 弁論

3月28日 PM6:00~ 第6回全員会議

 

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