目次

「石泉閣』賃貸借契約は無効
   公金支出差止、返還を求めて
公私混同旅田市長、公金返還監査請求
県、臨時被用者の情報開示を求めて
会員投稿
    政治家だった市長
    電脳雑感
裁判情報
当面の予定

No.28

発行日2001年 11月19日


 

 

  10月5日,和歌山市が観光客向けの迎賓館として借り上げた同市和歌浦の老舗料亭「石泉閣」の賃貸借契約が違法無効なものとして,旅田卓宗市長と小橋義實助役に対し,これまで支出された公金約6000万円の返還と今後予定される約8億円の支出の差止めを求める住民訴訟を和歌山地裁に提起しました。

 同契約が違法無効だとする理由は次のとおりです。

 第1に,賃貸借契約などのように長期にわたり債務を負担する契約を締結するときには,当該契約行為を「債務負担行為」として,その他の予算とは別に慎重な議会の審議による議決を求めています。しかし,電気やガスの供給契約と同等の不動産を借りる契約は,「長期継続契約」として債務負担行為の例外とする規定を悪用し,当該石泉閣賃貸借契を長期継続契約だと恣意的な解釈をして,債務負担行為としての議会の議決を経ておらず,本来,当該契約は,債務負担行為とした議決が必要であったにもかかわらず,これを怠ってなされています。

 第2に,同契約の相手方は,兄弟の女性と男性の2名で契約されているところ,建物の所有数が男性11棟に対し女性1棟,また,床面積では約2000平メートル対60平メートル,さらに固定資産税額比では2850万円対40万円と圧倒的に権利が少ない女性に,賃貸借料は,47万円対93万円と女性に極めて多く支払われることになっている不自然な契約です。

 第3に,上記賃貸料の問題は,1個の物件で共有持分登記であるなら,配分と考えることがあり得ても,この件は,登記は個別になされています。だから,配分の問題ではないのです。本来,それぞれに賃貸借契約を交わすのが常識です。そして,それぞれに契約したとすると,60平メートルでしかも評価額が僅か40万円しかしない物件に約月額93万の年額1116万もの賃料を支払う根拠は全くないからです。

 第4に,旅田市長が先の4月に職員2名伴って視察してきたとされる海外大学視察(実際は,視察に名を借りた単なる旅行)旅行に,この女性を同行させていたことが明らかになりました。このような事実からすると旅田市長とこの女性とは特別親しい関係にあり,同契約が特別親しい情に基づいてなされたと考えられます。

 よって,旅田市長は,特別親しい女性に恣意的に膨大な公金を使途するものと言わざるを得ず,かかる恣意的な公金運用を許さないために本訴の提起に及びました。


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 「大学視察なのにラスベガス」として,旅行後当初から海外旅行の公務性に疑問が投げかけられていた旅田卓宗市長(和歌山市)らの視察旅行に関し,同旅行は,およそ公金の使途として許されることのない視察に名を借りた単なる旅行だったとして,9月28日,職員2名に対し支出された公金約140万円の返還を求める監査請求を行いました。

 同旅行は,旅田市長(私費)と市職員2名(公金)の3名で4月5日〜12日の7泊8日の日程で海外大学視察研修を目的として北アイルランド,アムステルダム,ボストン,ラスベガスなどを旅行してきたとしていたものです。

 当初から,ラスベガスもさることながら,民間人同行の噂があったことから,これまで調査を進めてきました。

 その結果,次の事実が明らかになりました。

 第1に,同旅行に,視察とは無関係の旅田市長と特別親しい関係にある和歌浦の老舗料亭「石泉閣」の女性オーナーと和歌山市の指名業者たる楠本建設鰍フ男性社長の2人が日程上明らかにされていた同じ航空機に搭乗していたことが証明されたことにより,民間人同行の噂が真実となったこと。

 第2に,当初から,旅費90万円を要する旅田市長の特別親しい友人を伴った私費による私的な旅行として計画されていたこと。

 第3に,私的旅行として計画された後,職員の随行を決めたこと。

 第4に,90万円の旅行であったにもかかわらず65万円とする虚偽の見積書で公金を支出させていること。

 第5に,旅行自体も,大学視察と称するのは,北アイルランドマギー大学で2時間,バブソン大学で1時間の都合3時間しかしておらず,旅行日程7泊8日のうち視察と称するのは僅か3時間だけだったこと。

 このような事実からすると,同旅行は,真実視察目的があったとは解されず,視察に名を借りた物見遊山の単なる旅行であったと言う他ありません。

 特に,旅田市長の親しい女性を伴った私的旅行に公金で職員を随行させた責任は重大だと考えます。

 よって,公然とウソをついていた旅田市長への責任追及と公金返還を求めて監査請求に及びました。


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   N.T.生

 前回「市長の道楽」で、和歌山市長・旅田卓宗氏の政治家から政治屋に変貌した姿を描いた。今回は政治屋に転落する前の氏が、どんな政治家だったかを語らねばならない。

 端的に、彼が政治家として最も輝いていたのは第一期市長時代に、横暴を極めたし尿処理業者が、し尿処理サービスの向上をめざし、浄化槽清掃の区域割りを撤廃して自由競争を導入するとの市の方針に反対してボイコット戦術に出たのに対し、自らバキュームカーに乗って陣頭指揮した雄姿ではなかろうか。

 このほかにも第一期市長時代には、「黒い川」と言われた内川に流れ込む工場廃水の水質を規制する「色抜き条例」の制定、市内特定美観地域での空缶、タバコの吸殻などのゴミ捨てを禁止する「ポイ捨て禁止条例」などで「美しいまちづくり」へ一歩進めたこと。乳幼児の医療費無料枠を二歳から三歳児まで拡大、全国多くの市町村で七十歳以上となっている老人医療費無料化の六十七歳以上堅持などで「やさしいまちづくり」をも一歩進めたことなど。

 それらの施策が市民から歓迎され、旅田市長の声価をいやが上にも高め、広範なファン層を形成した。この人気に乗じて、第二期の任期途中の一九九四年、翌年の知事選への出馬声明をやってしまった。自信過剰の勇み足だった。ファン層はともかく、これが反対陣営から猛反発を受けた。

 しかもこれに追い討ちをかける形で、過去に暴力団組長と同席した場面を写した「黒いビデオ」が反対陣営から市議会に提出され、ごうごうたる非難の大合唱は旅田候補のイメージを傷つけることに成功した。結局旅田氏の低下したイメージは六万票の差となって、西口候補に勝利を譲らねばならなかった。

 しかし私は、奢りや野心や軽挙妄動が混在していたとはいえ、旅田氏の中に政治家が健在すると確信して、その支援に回らざるをえなかった。戦後一貫して県庁一家が県政を牛耳り、萎靡沈滞して発展の要素を喪失してしまった和歌山県に、「継承か変革か、今起ち上がらなければ和歌山県は変わらない一と唱えて打って出た旅田候補に、政治家魂が充満しているのを見た。

 「過去の延長の上に和歌山県の未来はありません」「和歌山県庁に新しい風が求められている」「しがらみ、つき合い、習慣、これらを一度白紙に戻してしまわないと新しいすばらしい和歌山県をつくり上げられせん」「政治の原点は弱い立場にいる人にあたたかい手をさしのべることです」「私の政治活動をささえてくれる人々は常に庶民大衆だった」−−これらの言葉に感動し共鳴した私は、この政治家を支援擁護して県政変革の希望を託そうと決心した。友人知人に手紙を書いて支援を要請した。後援会事務所を訪れ陣中見舞いを差し出した。

 数々の失策や軽挙妄動にもかかわらず、和歌山政界に払底している政治家が健在していると信じたからこそあれほど必死になって応援した旅田氏の、その政治家が変質して、いま無残な姿をさらしていることに私は言いようもない無念の思いにとらえられる。



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 県の農林水産関係の数部署に対し,「賃金」科目で支出された関係資料を公開請求したところ,一部非開示処分とされたので,これに対し,7月24日異議申立を行いました。現在審査中です。

 「賃金」は,臨時職員を雇用した際に支払われる賃金の支出科目です。ゆえに,同支出関係書類には,被用者の氏名,住所,就労日,金融機関名及び口座番号などが記載されています。県は,これらの情報が「個人情報に該当する」として非開示としました。これまでも県は,個人の住所,氏名が記載されている事実をもって,一律に非開示としてきました。これを是正させる取り組みです。

 開示請求に至った動機は,匿名ですが,「農林水産課のある部署で,賃金として振込支出した金をバックさせている」との情報が寄せられたことからでした。この事実関係の調査には,どうしても被用者の情報が必要です。だから,開示請求を行ったのです。

 県は,非開示の理由として,条例第9条第2号の「個人に関する情報であって特定の個人が識別され,又は識別され得るもの。」とする,いわゆる個人識別型の規定を根拠にしています。

 このような個人識別型の規定は,情報公開条例の原則公開の原則に反し,許されません。
それは,個人の氏名,住所等の記載されている事実だけをもって,特定の個人が識別される情報として,無条件に非開示を許すことになり,結果的に,個人の氏名,住所等が特定される情報の開示義務が免除されることになるからです。そうすると,情報公開の基本理念である原則公開の精神より,例外規定である個人の氏名,住所等が特定される情報の非開示が優越することになり,情報公開制度自体が形骸化してしまうからです。

 従って,個人情報の開示,非開示の判断にあたっては,原則公開の原則を充分に尊重して,記載されている事実により個人が識別されることだけでなく何故非開示にするのか厳格に解釈することが求められます。そのような観点から本件処分をみると,本件処分の理由は,記載事実をもって,特定の個人が識別されるとするだけであり,他に何ら理由を挙げていないことからすると本件処分には理由がない,と言わざるを得ません。

 また,本件非開示処分の個人情報は,個人に関する情報に該当しないと考えるのが合理的です。

 つまり,被用者は,公務たる事業(作業)に従事するために直接和歌山県知事との契約により雇用されます。従って,作業に従事するものは,公務事業を遂行する者として,当該公文書に表示されているにすぎないと判断されます。さらには,公的な事業(作業)に従事するために,公的な契約の事実を記しているのであって,私人間の契約に基づく事実を記載したものでもなく,また,私生活上の事実を記載したものでもないことから,一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる情報に当たらないからです。

県は,情報を非開示にすることで,引いては,県民に知られないことを奇貨として何を行っているか怪しい限りです。


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阪谷昇良  

 昨今の新聞や、テレビを見ていますと、本当に多くのパソコンがらみの記事、コマシャルが急激に目につくようになりました、IT時代がまさに始まりつつあることを感じさせられます。

 七〇年以上の歴史を持っておった、英字毎日新聞も今年の夏で新聞としての発行は廃止し、以後インターネットのWebサイトで読まれるようになり我々の日常生活の周りにもIT化の波がひしひしと、押し寄せている時代です。

 私も丁度英字毎日と同じような年の生まれで、長い間アナログの世界で育ってきて、今更デジタルの世界に馴染む気もなく、従来の生きかたを守りITだパソコンだと、いう社会は、私には関係のない別の社会で今のままでも充分生活に何の不便も感じることもなく、ついこの間まで過ごしてきました。

 ところが、オンブズマンの会員となり会議に出席し畑中事務長の多忙さを見て、ただ会議で発言するだけでなく、私には自由時間が多くあるので、その時間を使って私の出来る範囲で何かお手伝いが出来ないか。いろいろ考えた結果、時間のかかりそうな資料あるいはニュース原稿などパソコンへの入力のお手伝いが一番いいだろうと思い立ったことから、一念発起、遅ればせながらパソコンを始めなくてはならない破目になりました。

 早速パソコンを始めてみますと、これがまた非常によく出来た"すぐれもの"、なにをさしても便利にこなし、今までのデジタル拒否症候群も何処へやら、メールだ、インターネットだと、無我夢中、畑中氏から頼まれるオンブズマンの仕事のインプットを得意げにこなし、その間にも色々とパソコン操作を畑中氏からご指導を受け、これでパソコンのことは一応マスター出来たものと或る程度の自信を持っておりました。

 ところが先月平成八、九、十年度の和歌山市発注工事の工事名、請負価格、業者、予定価格、最低制限価格一覧表の入力依頼を受け、その資料たるや相当量(一年度分約六五〇〜七〇〇件)のもので早速作業にかかり二ヶ年度分を仕上げ、最後の一〇年度分も半分以上入力しいよいよ終わりに近付い頃、パソコンをオフにしたところ、どうしてもオフにならずああでもない、こうでもないといろいろやっているうちに、とうとう画面が消えてしまいました。今度は如何にしようが再起動が不能になり如何ともできず、今迄の自信も消え失せ、呆然自失ただただ、手を拱くのみでした。

 その時私は、デューカ作曲の交響詩「魔法使いの弟子」の曲を思い出しました。それは魔法使いの弟子が先生の留守に箒に魔法を掛け自分の代わりに水汲みをさすのですが、その魔法の解き方を知らないから、水がどんどん増えてくるのです。やむ終えず、その箒を半分に折ったところ、水の運ぶ量が倍になりとうとうその弟子は水に溺れそうになった時、魔法使いが帰って来ると言う曲です。まさに今回その通りで早く魔法使いが帰ってきてくれないかと祈る思いでしたが、魔法もコンピユーターには通用しそうにもなく、本を読んだり、パソコンに精通している人に電話で聞いたりして、最後はこの器機を工場出荷時状態にしなければ駄目との結論になりました。この作業にまるまる二日間かかりきり、やっと再稼動させましたが、今迄に入力していた住所録など無論、先に入力した一〇年度発注工事請負一覧表を含む全てのデーターが消失し又最初からデーターの打ち直しの破目になりました。

 従来の方法の資料であれば、一瞬の内に消え去るようなことは起こらなかったが、文明の利器は便利な反面一度使い方を間違えば大変なことになることを、しんみじみ思い知らされました。

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    各土木事務所におけるヤミ手当(カラ宿泊)と
  コピー用紙カラ購入にかかる追及裁判

 9月25日に判決がありました。残念ながら,両事件とも,結論的には,私達の請求を認めない「請求棄却」でした。

 その内容は,基本的に私達の求めた請求額が平成9年8月5日に公表した不適正執行額13億4443万8000円(副知事を委員長とする予算執行調査改善委員会の調査)に含まれて返還されている,とするものでした。

 私達は,和地裁・裁判官のこの判断を到底認めることは出来ません。それは,返還された中に含まれるとする直接の証拠は意図的に廃棄されており存在しないのです。直接的な証拠が存在しないのだから,含まれていないと解する以外にないものです。それは,一般的にお金の貸し借りの場合,返済したことを示す資料(領収書など)がなければ,口頭でいくら言っても相手に否定されると返済が認められません。本件も全くそのケースなのです。

 また,本裁判は,実質的には行政(県)の説明責任のあり方を問いかけていました。それは,公金を不適切に使途していた事実関係を示す調査資料を廃棄しておいて,その不適切支出額が適切な調査の元になされたか否か県民として全く検証のしようがないのです。県民への説明はこのような不充分な説明で許されるのか。これを,実質面から問いかけるものでした。

 廃棄したことからすると,真実,調査を行ったかどうかさえ疑わしく,また,他の物品を購入したとする証拠も調査以前から存在しなかったことも充分考えられるし,不適切額も言われている額にとどまるかどうかさえ疑わしいのです。

 このような前提をみないでなした今回の判決は,調査資料の廃棄を認め,不充分な説明を追認する結果になっています。
 県民への説明責任として,このような不充分な説明で許されるはずがなく,和地裁の判決は誤っているとしか考えられません。

 そこで,控訴をおこない,大阪高裁でさらに追及していくことにしました。今後もご支援お願いいたします。

    和歌山県議会補助執行支出公文書(補助金実績報告書等)
  非開示取消訴訟

 9月18日にあった判決は,非開示処分を取り消して開示を認める当方の全面勝利でした。

 10月からは条例が改正され,議会も実施機関となりましたが,それまでは,議会関係文書は,「不存在」(知事部局には当該文書を保管していない)を理由にすべて拒否されていました。しかし,議会の文書でも,予算に関する補助執行文書については,予算の執行権限は知事にあるところ,予算執行の補助者としてなした補助執行文書には知事に管理権限があるので,いつでも,これを取り寄せることができるのだから非開示処分には理由がないとして,裁判に訴えていたものです。

 なお,当該文書は,OB県議の親睦会に対する補助金に関する事業報告書などです。同補助金に関しては,私達の監査請求に対し「使途が一部不適切」として,監査委員が勧告し,勧告を受けた知事の調査に基づいて,約70万円を返還した経緯があります。

 県は,当該判決を不服として控訴しました。大阪高裁で裁判は続きますので,今後もご協力をよろしくお願いします。

   談合入札損害賠償請求住民訴訟

 10月11日に第2回裁判が行われました。相手方は,談合の事実関係については争っていません。

 争点は,住民監査請求の請求期間1年間の制限規定の適用を仮に受けるとした場合の「正当理由」と請求損害金の根拠などについて,当方が立証を行うことになっています。

 次回期日は,12月19日午前11時30分からの予定です。

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    次回会員会議のご案内                       

   日 時 11月28日(水)午後6時〜
    場 所 和歌山市勤労者総合センター
    (和歌山市役所西隣 TEL 073-433-1800)

       こぞってご参加下さい


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