目次

和歌山市職員海外派遣旅費返還を求めて
和歌山市公共工事入札執行状況を分析
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    白内障手術
裁判情報
当面の予定

No.29

発行日2002年 1月15日

 

 


 

 昨年4月5日から同月12日の7泊8日の日程で,職員海外派遣研修と称して,北アイルランド,アムステルダム,ボストン,ラスベガスなどを旅行した諸費用(旅費,宿泊費,日当等)として支出された市職員2名分計139万1460円について,当該職員2名と旅田市長に対し,和歌山市に返還するよう求める訴えを和歌山地裁に12月21日提出しました。

 この件に関し監査請求をしたことについては,前号でもお知らせしました。しかし,11月26日同監査請求が棄却されたことから,提訴に至ったものです。

 ところで,私達の請求を棄却した監査内容は,極めてズサンで公平さを欠く偏頗なものでした。それは,私達が請求した内容は,旅行日程上の問題もさることながら,旅田市長に同行する形で,同旅行が実施されたこと。また,旅田市長には,民間人2名が同行していた事実なども指摘していました。にもかかわらず監査は,前述の事実関係からすれば,もっとも事情聴取が必要である旅田市長の事情聴取は行っておらず,かつ,指摘した民間人が同行する私費による旅行者と公費による旅行者が混在した旅行にかかる公務性については,まったく監査を行っていなかったからです。市監査委員らは,最早,監査の職責を没却してしまい行政側の追認機関になりさがっている,と批判せざるを得ない状況です。

 なお,現在の監査委員は,元市議の伊藤松雄,同じく元市議の伊藤隆通,現市議の井口弘,同じく現市議の浅井武彦の4名です。

 さて同旅行は,旅田市長が,公私混同し,その実質は自らの親しい友人2名を伴った旅田市長の私的旅行の世話をさせるために,職員海外派遣研修であるかのように装うべく虚偽の旅費見積書を添付するなどして決裁書類をねつ造し,職員2名に対し出張命令をなして随行させたもので,市長としての職員に対する指揮監督・職務命令権限を著しく逸脱しており,しかも,旅行日程上も,大学視察と称するのは,マギー大学(北アイルランド)の2時間と,4月9日のバブソン大学(ボストン)の1時間のみであり,そうすると,7泊8日のうち研修と称するのは僅か3時間だけだったことからすると,およそ公金の使途として相応しい公務性がない単なる海外旅行であり,旅田市長が同旅行に要した費用を公金から支出させ費消したことは明らかに違法であるとして返還を求めています。



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 和歌山市の平成8〜10年度の3年分にかかる公共工事入札執行状況を調査・分析を行い,談合による損失金を算出しましたので報告します。

 調査は,入札にかかる工事名,落札業者,落札金額,予定価格,最低制限価格の各データーをパソコンに入力し(尚,この入力は阪谷昇良会員が担当),予定価格に対する落札金額と最低制限価格に対する落札金額の二通りの落札率(つまり,落札金額について,落札を許す最高価格を基準とした率と落札を許す最低価格を基準とした率)を算出し,算出した落札率を1%毎に落札件数の分布状況をまとめて分析を行いました。その結果次のことがわかりました。

 平成8年度は,公共工事の総数が703件,うち最低制限価格の設定されていないのもあったことなどから,予定価格と最低制限価格とも設定されているケースが655件でした。その655件の予定価格を基準とする落札率分布状況は,予定価格と同額の13件を含め予定価格に近い100%〜95%の6%の間に位置するのが547件と,予定価格から15%離れた85%〜83%の狭い3%の間に位置するのが104件でした。そして,その中間たる94%〜86%の9%の間に位置するのが僅か4件しかなく,しかもこれらの間に連続性がなく大別されていました。また,この大別は,45件あった最低制限価格が設定されていないケースの予定価格を基準とする落札率分布状況をみるとよりはっきりします。つまり,100%〜97%の4%の間に35件と,予定価格から20%以上大きく離れた80%〜48%の間に10件と言う状況で,中間たる96%から81%の16%もの間には1件もなく,大別されているからですグラフはここをクリック!

 また,最低制限価格を基準とする落札率の分布によっても同じことが言えます。すなわち,最低制限価格に近接する100%〜101%の2%の間に位置するのが104件と,最低制限価格から12%以上離れた112%〜120%の間に位置するのが547件でした。そして,その中間たる102%〜111%の間には僅か4件しかなく,しかもこれらの間には連続性がなく大別されています。

 次いで,平成9年度は,630件のうち同様のケースが581件ありました。その581件の予定価格を基準とする落札率分布状況は,予定価格と同額の9件を含め予定価格に近い100%〜95%の6%の間に位置するのが417件と,予定価格から16%離れた84%〜79%の6%の間に位置するのが156件でした。そして,その中間たる94%〜85%の10%の間に位置するのが僅か8件しかなく,しかもこれらの間に連続性がなく大別されていました。また,この大別は,最低制限価格が設定されていないケース45件の予定価格を基準とする落札率分布状況をみるとよりはっきりします。つまり,100%〜95%の間に39件と,予定価格から19%以上大きく離れた80%〜48%の間に6件という状況で,中間たる94%から81%の14%もの間には1件もなく,大別されているからです。

 また,最低制限価格を基準とする落札率の分布によっても同様です。すなわち,最低制限価格に近接する100%〜104%の間に位置するのが157件,最低制限価格から14%以上離れた114%〜120%の間に420件でした。そして,その中間たる105%〜113%の間には僅か4件しかなく,しかもこれらの間には連続性がなく大別されています。

 最後に,平成10年度は,688件のうち同様のケースが654件ありました。その654件の予定価格を基準とする落札率分布状況をみると,予定価格と同額3件を含め予定価格に近い100%〜94%の間に514件と,予定価格から6%離れた87%〜79%の間は137件でした。そして,その中間たる93%〜88%の6%の間には僅か3件しかなく,しかもこれらの間に連続性がなく大別されています。また,この大別は,最低制限価格が設定されていないケース25件の予定価格を基準とする落札率分布状況をみるとよりはっきりします。つまり,100%〜97%の間に23件,予定価格から57%以上大きく離れた57%と50%に各1件という状況で,中間たる96%から58%の39%もの間には1件もなく,大きく大別されているからです。

 また,最低制限価格を基準とする落札率分布によっても同様です。すなわち,最低制限価格に近接する100%〜106%の間に136件,最低制限価格から14%以上離れた114%〜129%の間に514件でした。そして,その中間たる107%〜113%の間には僅か3件しかなく,しかもこれらの間には連続性がなく大別されています。

 なお,同年度には最低制限価格を下回って,落札を許可しているのが1件ありました。仮に実質的な損害がなかったとしても、あってはならないケースであり,管理責任がとわれる事案です。

 以上のとおり落札率の分布状況が大別される結果は,次のことを端的に示しています。

 第1に,予定価格と同額や予定価格に近似するグループが大半を占めていることから談合が蔓延していたこと。
 第2に,工事の規模,種類などにもかかわらず,談合すると「予定価格に近似し」,自由競争によると「最低制限価格に近似する」こと。
 次いで,上記の結果を踏まえて自由競争したグループの最低制限価格を基準とした平均落札率から当該年度の自由競争による落札金額を推定しました。上記平均落札率は,平成8年度100.28%,平成9年度100.72%,平成10年度は,100.99%でした。この平均落札率に当該年度の最低制限価格の合計額を乗すると,自由競争による推定落札額が算出されるのです。

 そうすると,その金額は(以下いずれも税込み額),平成8年度206億7636万9633円,9年度140億8690万1685円,10年度145億8821万2193円となります。そして,現実の落札金額は平成8年度237億2617万8709円,9年度162億6773万2950円,10年度166億1137万0125円ですので,これらの金額から上記算出金額を差し引いた残差額金が談合による市の損害金に相当します。

 つまり談合損失金は,8年度30億4980万9076円,9年度21億8083万1265円,10年度20億2315万7932円で。3年分の合計額はなんと72億5379万8272円に及びます。

 つまり、談合を許している結果,極めて巨額に及ぶ市民の血税がムダに使途されたことがわかります。


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 N.T.生

 2001年と言う21世紀最初の年を振り返って見ると、はっきり言ってろくな年ではなかったと思う。

 ブッシュ米大統領が「戦争だ」と言い「世界を変えた」と言った同時多発テロの突発とテロの首謀者と目されるビンラディン氏及びこれを支えるタリバーン政権への報復爆撃を筆頭に、「構造改革」を呼号して圧倒的多数の支持を誇る小泉政権の誕生とその小泉首相の靖国参拝騒動や侵略戦争美化の意図を秘めた「新しい歴史教科書」の検定合格問題。また自民党政治の末期的腐敗現象としてのKSD事件や参議院選挙で高祖健治前議員支援のための郵政局ぐるみ選挙や田中外相の努力が宙に浮いた外務省機密費問題。そして一年を通じて吹き荒れたすさまじい不況の嵐―倒産、リストラ。失業の多続発、下降一途の平均株価。

 けれども私個人にとっての大事件は、年末に受けた左眼白内障手術である。ちょうど十年前にすませた右眼手術とあわせて、新しくなった両眼で見る世界は青みがかり澄みきっていて、実に新鮮である。

 白内障というのは「岩波国語辞典」で「眼病の一種,水晶体が灰色にくもる」と説明されており水晶体は、「眼球の前面、角膜の後ろにある凸レンズ形の透明体、光を屈折させて網膜に像を結ばせる」と説明されている。それが年とともに濁ってきて、物の像がぼやけ、遂には見分けもつかぬほどくらくなってしまう。この濁った水晶体を、手術で目に入れた傷から吸い出し、かわりに人工レンズを入れると、目は生まれかわったように新しくなる。

 白内障手術をするまでは、それまで濁って見えていた世界を当たり前の世界だと思っていた。手術をしたあとには素晴らしい世界があることを知らず、これが最高最良の世界だと信じている。世の中の人間の営みは、これに類したことばかりではないだろうか。

 たとえば戦後余りにも長く続きすぎた自民党政治。既得権益維持と利益誘導政治で国民をつなぎ止、うまくいかないと派閥で政権をたらい回しして、小沢一郎氏による政変のとき以外は野に下ったことがない。国民はそれが本当に国民のためのものかどうか、国の将来にとって有利なものかどうかを吟味することなく、選択の余地のないものとして政権を任せてきた。ちょうど、どんなに濁っていても意識の目が濁っているためにこれが当たり前の政治だと思い込んで、これを変えようとはしてこなかったのと同じだ。

 地方自治体の行政もまた同じだ。和歌山県・市のそれなどは典型的である。県・市民の福祉のためよりも、知事・市長、県職員、市職員、県議・市議のための県・市政を続けているにもかかわらず、それを当たり前のこととして、汚れきった県・市政を許してきた県・市民の意識は、白内障にかかっているのと同じである。

 「市民オンブズマンわかやまニュース」28号に見る「各土木事務所における手当(カラ宿泊)とコピー用紙カラ購入にかかる追及裁判」の9月25日の請求棄却判決は何だ。和歌山地方裁判所も県とグルになっているのかとさえ邪推される。真相追及の努力を怠ったとしかおもえない判決は、和歌山いう土地の濁りきった空気を感じさせる。和歌山全体に、白内障手術に等しい意識の変革がどうしても必要なときにきている。

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各土木事務所におけるヤミ手当(カラ宿泊)とコピー用紙カラ購入にかかる追及裁判 

  和地裁で敗訴し,当方が控訴し現在大阪高裁で継続中です。この間,特に裁判の進展はありません。


和歌山県議会補助執行支出公文書(補助金実績報告書等)非開示取消訴訟

 本件は,和地裁で勝訴して,相手方から控訴され,現在大阪高裁に継続中です。

 ところで,本件と同様の裁判で最高裁において,開示を求めるオンブズマン側が敗訴しました。同様の事件において,最高裁の判断が示されたことにより,本件においても厳しい結果があり得ることも予想されます。

 しかし,最高裁のきびしい判決にもかかわらず情報公開の開示を進める大きな流れは押しとどめることはできません。がんばりましょう。

談合入札損害賠償請求住民訴訟

 12月19日に第3回裁判が行われました。

 住民監査請求の請求期間1年間の制限規定の適用を仮に受けるとした場合の「正当理由」や損害金請求の根拠などについて,当方が主張しました。

別掲したように,本件の請求にかかる3年度分について入札執行状況の分析を行い,最低制限価格から損害金を明らかにしました。その結果,当初請求金額より少し増え,新たに弁護士費用も損害金に加えて約9626万円の請求に拡張しました。

 次回期日は,2月28日午前11時30分からの予定です。

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1月15日 PM5:30〜
   ニュース発送作業日
1月23日 PM6:00〜
  第5回全員会議
2月7日 PM1:30〜
  公金支出差止及び返還請求訴訟
    (石泉閣)
2月12日 AM10:20〜
  市職員海外派遣研修費返還請求訴訟
     第1回
2月26日 PM1:20〜
  議会情報非開示処分取消請求控訴審
     第1回 大阪高裁
2月28日 AM11:30〜
  談合入札損害賠償請求住民訴訟
    第4回期日
3月27日 PM6:00〜
第6回全員会議



    次回会員会議のご案内                       

   日 時 1月23日(水)午後6時〜
    場 所 和歌山市勤労者総合センター
    (和歌山市役所西隣 TEL 073-433-1800)

       こぞってご参加下さい


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