目次

談合損害住民訴訟ほぼ全面勝訴
石泉閣賃借金等差止・返還訴訟

松下環境空調に公開質問状
土木事務所カラ出張裁判和解
裁判情報
当面の予定

No.32

発行日2002年 7月15日

 



 当会が和歌山市発注工事の競売入札妨害事件で不正落札した「松下環境空調エンジニアリング」を相手に、談合による損害金約9600万円を和歌山市に支払うことを求めた裁判の判決が7月2日和歌山地裁でありました。

 判決は、「自由競争なら、落札価格の87%を上回らなかった」として損害を13%と認定し、約8100万円の支払いを命じました。

 この判決は、ほぼ全面勝利と評価できる内容ででした。

 それは、裁判が認定した13%の損害率は、過去の事例が5〜10%だったことから比べても高率であり、また、その認定に根拠を示した画期的な内容だったからです。また、当会の請求に際する算出手法についても、概ね認めているからです。

 当会の請求に際する損害金の算出方法は、実際の談合による落札金額と自由競争により形成されるであろう落札金額との差額に相当するとして算出しています。具体的には、談合が行われた96〜98年分のすべての工事を調査した結果、各年度とも予定価格に張り付く一群と、最低制限価格に張り付く一群との二極に大別されることを実証し、最低制限価格に張り付く一群を、自由競争によって形成された一群と見なし、その一群の最低制限価格を基準にした平均落札率を求め、同平均落札率に談合が行われた実際の入札の最低制限価格を乗じて得られる金額が自由競争による落札額と見なし、実際の談合による落札金額から差し引いた残金を損害金としていました。

 判決は、この手法について、「その手法は概ね合理的と考えられる」とし「損害額の認定に当たっては一つの判断資料になりうる」と判示しました。
 そして、損害率の認定にあって判決は、談合による実際の落札金額を基準とした、自由競争によって入札が行われた場合の落札価格率を考察しています。その事例として、当会の請求事例や、97年に摘発された三重県久井市の談合の事例及び、和歌山市の98年度と00年度の平均落札率などを事例にして、自由競争なら、落札価格の87%を上回らなかったと認定しました。

 なお、本件裁判の適法性についても争いがありました。それは、本訴提起の前提である監査請求が1年の制限規定の適用があるか否か、適用があるとして、期間を過ぎていることに関し「正当理由」があるか否かについてです。判決は、制限規定の適用はないし、仮に適用があっても「正当な理由」があると判示しました。

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 当会が和歌山地裁に提起している和歌山市の「石泉閣」事業をめぐる旅田卓宗元市長らを相手にした約8億円の公金支出差し止めと賃借料など支出済みの約6000万円を和歌山市に返還するよう求めている裁判において、「石泉閣建物は、風致条例に違反した建築物」で、同違反建築物を借り上げ改造することは、風致条例の趣旨に反し市長としての裁量権を逸脱した違法なものとする新たな主張を追加しました。詳細を掲載します。

 旅田元市長らは、石泉閣建物について、「建物のうち木造部分は純和風で贅を尽くした貴重な歴史的な建造物」であり、また「建物については昭和8年頃に建てられたもので、木造部分はそれ自体歴史的価値のある建物である」などと主張している。

 これらの主張は、石泉閣建物の木造部分を強調している一方で、鉄筋コンクリート造陸屋根4階建部分については全く触れていない。それもそのはずであり、次に述べるように、鉄筋コンクリート造陸屋根4階建部分は既存建物としては風致地区内における建築等の規制に関する条例第5条の許可基準に違反する違法な建築物である。

 そして、石泉閣建物群の中心は、違法な建築物である鉄筋コンクリート造陸屋根4階建部分であるから、とても歴史的価値のある建造物とは言い難い。

 違法建築物であることを和歌山市議会に秘匿し、違法建築物であるにもかかわらず巨額の金員をかけて改造し、その延命に手を貸すような石泉閣賃貸借契約は、その意味でも違法であり、被告旅田が契約締結に関する裁量権を逸脱・濫用して締結したものということができる。

石泉閣は第1種風致地区区域内に存在

 石泉閣は、昭和45年6月14日和歌山県告示第435号によって指定された第1種風致地区区域内にある。風致地区とは、都市の風致を維持する ため定める地区であり(都市計画法第9条21号)、自然の美しさを保つために、風致地区内での建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為については、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で必要な規制がなされることになっている(都市計画法58条1項)。

 和歌山県では、風致地区内における建築等の規制に関する条例、同条例施行規則を制定し、風致地区の区域を定めている。そして、和歌山市の風致地区内において、木竹の伐採、建築物等の建築、宅地の造成などを行う場合、あらかじめ和歌山市長の許可を受けなければならないと規定されている(風致地区内における建築等の規制に関する条例第2条第1項)。

自然の美しさをもっとも保つ地区

 そして、風致地区内における建築等の規制に関する条例第4条では、風致地区の種別として、第1種風致地区から第4種風致地区まで定めており、とりわけ第1種風致地区は、自然の美しさをもっとも保つ地区として、建築物の新築・改築等についての許可基準がもっとも厳しい区域である。

風致地区内での建築許可基準

 石泉閣は、第1種風致地区内にあり、第1種風致地区内の建築物の新築等の許可基準は次の通りとなっており、これに適合しないものについては和歌山市長は許可をしてはならない(風致地区内における建築等の規制に関する条例第5条)。

  @ 建ペイ率  20%以下
  A 外壁(仕上面)の後退距離  道路界から3m以上、隣地界から1・5m以上
  B 建物の高さ  8m以下

石泉閣建物はすべての基準で違法

 ところが、次の通り石泉閣は前記許可基準に違反しており、違法建築物である。

  @ 建ペイ率違反
  石泉閣の土地面積は2054・06u(敷地面積は1091・84u、庭部分の面積は962・22u)である。他方、建築面積は716・01uである。
  そうすると、敷地面積比で建ペイ率は65・57%、土地面積比でも34・85%あり、許可基準の20%をはるかに超えており、違反している。
  A 外壁(仕上面)の後退距離
  道路界から3m以上要するところ、石泉閣は道路界と石泉閣建物外壁とが約50pしか離れていず、これも明らかに違反している。
  B 建物の高さ 
  8m以下でなければならないところ、石泉閣は16m以上もあり、明らかに違反している。
  このように、石泉閣建物群は第1種風致地区の許可基準に違反しており、自然の美しさや周囲の景観を阻害する違法な建築物である。

違法の鉄筋コンクリート部分が石泉閣建物群の大半

 そして、特に石泉閣建物群のうち東側に建築されている鉄筋コンクリート造陸屋根4階建部分が違法であるが、その延床面積は1412・41uあり、木造建物部分の延床面積572・45uの3倍近くもある。つまり、石泉閣建物群のうち、木造建物部分のみを強調するのは、木をみて森をみないようなものである。大きな違法建築物である鉄筋コンクリート造陸屋根4階建部分が存することによって、自然との調和や景観を損なう状態にある。

 

改造は風致条例の趣旨に反する

 石泉閣建物群は、風致地区内における建築等の上記規制前から存したため、違法建築物であっても存在が許されていたと解されるが、しかし、そのような既存違法建築物を和歌山市が賃借し、しかも、巨額の公金を投入して改造し耐震構造にするなどして耐用年数を高めることは、風致地区に関する建築等の規制に関する条例第5条の趣旨を和歌山市長自身が破るものである(本件石泉閣賃貸借契約による石泉閣の改造は、同条例の新築等に直接該当しないから、同条例第5条に直接違反するとはいえないが、規制の趣旨に反する)。

 したがって、本件石泉閣賃貸借契約は、風致地区内における建築等の規制に関する条例第5条の許可基準の趣旨にも違反する違法なものであって、それにもかかわらず旅田元市長が同契約を締結したのは裁量権の逸脱・濫用であることをさらに裏付けるものである。そして、本件石泉閣賃貸借契約には旅田元市長と石泉閣建物女性所有者との親密な関係が基礎にあるため、旅田元市長は、和歌山市議会に石泉閣建物群が既存違法建築物であることを説明せず、また、今日までの議会においても説明していないのではないかと推測される。和歌山市長としてあるまじき行為である。

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 先の6月議会において,松下環境空調エンジニアリングから、同社職員の椙本良満氏と和歌山市元職員●●●●氏とが共謀して,和歌山市の公金4168万5000円を詐取した公金の使途として,事件発覚当時,和歌山市芦原地区に存する大型作業所に隣接する嶋田製革所の補修工事費に充当していたと説明していた工事費について,当該工事費を金1648万5000円としてその支払請求があったことが明らかになりました。事件発覚当時は,同工事費を4168万5000円としていたもので,金額高額だったことに対する謝罪も,何の説明もなく支払請求されたことに驚愕の念を禁じ得ません。そこで,同会社に対し倫理観ある対応を求めて,公開質問状を発しました。その詳細を掲載します。

公開質問状 本 文

 貴社が,貴社職員の椙本良満氏と和歌山市元職員●●●●氏とが共謀して,和歌山市の公金4168万5000円を詐取した公金の使途として,事件発覚当時,和歌山市芦原地区に存する大型作業所に隣接する嶋田製革所の補修工事費に充当していた旨説明され,その正当性をご主張されていました。このことに関連して、市民の立場から貴社に対し,次のとおり公開質問させていただきます。

 当時貴社は,4168万5000円(税込額:以下同じ)とする同補修工事費見積書を示して,その根拠とされていました。ところが,同見積額は,同費用の積算の基礎となる単価や建物の寸法が異常に水増しされた違法・不当なものであることが,和歌山市の調査や当会の調査によって,すでに明らかになっています。そして,この間和歌山市は,当会による「和歌山市の調査は不充分」とする指摘を受けて,3回も調査を行い,最終の同工事価格を金1274万7539円としました。

 なお,当会は,補修工事費の算出の基礎となる建物の長さが明らかに事実と異なる水増しを指摘して同工事価格金993万3000円とするオンブズマン見積価格を公表した経緯があります。

 ところで,平成14年6月10日付で貴社が,同工事価格金1648万5000円とする工事価格算定書を和歌山市に提出し,同金額を請求されていることが,本年6月議会で明らかになりました。

 しかし,貴社のかかる請求は,どのように考えても納得できません。

 それは,貴社の今回の査定価格が仮に正しい(当該金額より低額はあっても高額はない意味において)としても,貴社の当初提出された見積金額は今回の約2・52倍に相当します。そして,今回の価格提示により,当初の見積額との差額分相当額が水増しであったことを自ら認めものと判断されます。当会が指摘したように建物の寸法を事実に基づかず、今回の貴社の自ら認めた金額からしても極めて高額な水増し行為は明らかに詐欺行為に該当します。

 そうだとすると,貴社の行為は,職員が詐取した公金を,詐欺と言いうる水増しの工事費に充当していたことになり,詐取に詐取を重ねる2重の違法行為だったことになります。このような2重の違法行為にも係わらず,謝罪もなくなお,当該工事費用を請求されようとは,厚顔無恥も甚だしいと驚愕した次第です。公共工事を請け負い社会的責任のある企業として,貴社はどのような倫理観を持ち合わせているのでしょうか。疑わざるを得ません。

 当会は,このような2重の違法行為を行っていた貴社から,あらためて請求が行われるなど考えもしなかったことです。市民の倫理観からすると,あらためて,請求を行う前に,貴社として,先に,なすべきことがあると考えます。それは,4168万5000円の使途が正当だったとする主張のウソが明らかになったのですから,まず,そのことに対する謝罪と,何故,詐欺と言いうる水増しの工事金額になったのか,このことについて,和歌山市民が納得いくよう説明すべきだと考えます。

 そこで,このことに関する説明を求め,別紙のとおり公開質問をさせていただく次第です。誠意あるご回答を期待します。

 なお,ご回答は,2週間以内にお願い致します。

公 開 質 問 事 項

1 貴社は,詐取した公金の使途の正当性として貴社が事件発覚当初説明していた,嶋田製革所の補修工事費に充当したとする同工事の4168万5000円とする見積額ついて,今回見直され,1648万5000円とした見積額であらためて和歌山市に対し請求されました。このことからすると結果的に,貴社が正当だとされた当初の説明がウソだったと解さざるを得ませんが,当該工事金額がそもそも詐欺まがいの水増し金額であったことについて,どのように考えていますか。

2 また,当初の水増しされた詐欺まがいの4168万5000円とする見積額について何故,このような見積金額に至ったのか,その原因と真相について,明確かつ詳細にご説明して下さい。

3 同工事費について,今後も和歌山市に対し,支払の請求を維持されますか。

4 前項の工事費について請求を維持されるのであれば,当会としては,貴社の金1648万5000円とする工事価格について,なお,高額と考えますので,その請求根拠の詳細を開示(ご送付)して下さい。

5 また,当該工事は,貴社の職員と和歌山市元職員双方承知のうえで,正規の手続きによらずしてなしたものであり,貴社にも責任があると考えますが,双方の責任割合について考えるところをお答え下さい。

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 標記の事件について、6月26日大阪高裁において、職員との間において和解が成立しました。和解の内容を含めて同日コメントを発表しましたので、その詳細を掲載いたします

 本日、大阪高裁において用地交渉を用務とするカラ宿泊費返還請求控訴事件とコピー用紙カラ購入費返還請求控訴事件の和解が成立しました。和解の内容は、和歌山県予算執行調査委員会が1997年8月5日発表した予算執行状況調査結果報告書の基礎となった調査資料を調査結果発表後間もないうちに破棄してしまったことについて被控訴人(職員)らも遺憾の意を表明すること、そして、将来、再びこのような公金の不適正支出が行われることのないよう和歌山県に、本件和解の内容と趣旨を伝えること、これらを踏まえて、被控訴人(職員)らに対する請求を放棄すること、です。

 この裁判は、1997年8月5日発表した予算執行状況調査結果報告書の基礎となった調査資料を調査結果発表後間もないうちに破棄したと主張したため、その調査結果の検証と和歌山県における不適正な公金支出の是正を求めて提起しました。

 2001年9月25日にあった和歌山地裁判決は、私達が返還されていないと主張した不適正支出金について、返還を示す直接的な証拠はないとしながらも、間接証拠などから含まれて返還したことを認め私達の主張を不当にも斥けました。

 もともと、県が調査資料を破棄せず保管して県民に開示さえしておれば、このような争いが生じることなどありませんでした。

 裁判に於いても、県は、破棄したという主張を述べ、証人尋問において破棄したことの不自然性の一端がかいま見えました。それにもかかわらず、和歌山地裁が私達の主張を認めなかったのは極めて残念でした。しかし、今回の裁判を通じてある程度調査の過程と調査結果を検証ができたこと、調査資料の破棄が証拠隠滅行為とでもいうべきものであるとともに、県民に対する情報隠しであり、情報公開の理念に反することが明らかになったこと、公金使途が従前よりは改善されるとともに、公金の適正な使途について県民の監視の目が光っていることを自覚させたこと、裁判は、職員個人に対する損害賠償という形を取らざるをえなかったものの、決して本訴の職員個人のみの責任ではなく、県庁組織ぐるみの責任を問うものであったこと、さらには、和地裁判決は、損害賠償請求は認めなかったものの、監査請求期間の1年を超えた監査請求について、正当理由を認めており、これは、オンブズマンなどのボランティアによる市民の調査、追及に相当程度時間を要することを斟酌しており、正当な判断であることなどを考慮し、大阪高裁の勧告もあって和解を成立させました。

 私達は、今後とも、県民の税金が県民のために適正に使われ、二度とこういうことが繰り返されないようオンブズマン活動を続けてゆきます。

なお、同日、職員から本件和解の内容と趣旨伝えられた県は、同じく廃棄したことについて「遺憾の意」を表明しました。

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各土木事務所におけるヤミ手当(カラ宿泊)とコピー用紙カラ購入にかかる追及裁判

 詳細は6ページに掲載しているように,6月26日大阪高等裁判所において和解で解決しました。97年の提訴以来約5年近く経過しました。原告のみなさんお疲れさまでした。

談合入札損害賠償請求住民訴訟

                                  

 この件についても詳細は1ページに掲載しているように,7月2日判決があり,こちらの主張をほぼ認められたと評価できる勝利判決でした。内容的にも画期的なもので,全国的にも今後活用できる貴重な判決と言えるでしょう。

 

市職員海外派遣研修費返還請求訴訟

                                  

 この間7月17日に6回目の裁判が行われました。この日は,弁論準備手続きで,相手方の主張書面の提出がありました。。次回も弁論準備手続きです。相手方が主張事実の詳細を報告書という形にして提出することになっています。

 なお,期日は,8月28日PM4〜の予定です。

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7月15日 PM4:30〜
   ニュース発送作業日
 17日 PM4:00〜
   市職員海外派遣研修費返還請求訴訟  第4回
 24日 PM6:00〜   第2回全員会議
9月 5日 PM3:30〜  公金支出差止及び返還請求訴訟(石泉閣借り上げ契約)
9月14日〜15日  第9回全国大会 宇都宮
  25日 PM6:00〜  第3回全員会議



次回会員会議のご案内

   日 時  7月24日(水)午後6時〜
   場 所  和歌山市勤労者総合センター
      (和歌山市役所西隣 TEL 073-433-1800)

       こぞってご参加下さい


第9回全国大会のご案内

 下記のとおり,第9回全国大会が予定されています。
  会員の方ならどなたでもご参加できます。ふるってご参加下さい。
  但し,旅費等の参加にかかる諸費用は,一部援助金が会からでますが,
 基本的には自己負担です。ご了承ください。



日 時   9月14日(土) 〜15日(日)
    場 所 宇都宮

 ★ なお,詳細は事務局にお問い合わせ下さい。
TEL 073-433-2241(畑中)

 

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