目 次

松下環境空調8千5百万支払う
石泉閣総点検行動
総点検行動に参加して
松下環境、公開質問に拒否回答
裁判情報
今後の予定

 

No.33

発行日2002 913


松下環境空調
判決に従い約8500万円支払う

勝利終結

 当会が和歌山市発注工事の競売入札妨害事件で不正落札した「松下環境空調エンジニアリング」を相手に、談合による損害金を和歌山市に支 払うよう求めた裁判で、7月2日にあった和歌山地方裁判所の判決は、松下環境空調に対し約8100万円を支払うよう命じました。松下環境空調は、この判決に従って、損害金含めて約8572万円を和歌山市にすでに支払いました。


 松下環境空調が和歌山市に支払った金員は、判決と支払日までの利息相当損害金を含めた合計金です。

 支払ったことにより高水準の損害率を認定した判決が確定しました。大きな成果です。この成果は、当会の努力はもとより、これまで全国各地のオンブズマンの方々が追及してきたその努力の蓄積があってなし得た成果です。

 高水準の損害率を認定した判決は、「自由競争なら、落札価格の87%を上回らなかった」として損害率を13%としました。

 そして、その認定に際しては、当会が損害金算出の根拠としていた手法について、「その手法は概ね合理的と考えられる」とし「損害額の認定に当たっては一つの判断資料になりうる」と判示しています。

 当会の手法は、前提として談合による損害は、実際の談合による落札金額と自由競争により形成されるであろう落札金額との差額に相当すると考えました。

 そうするとポイントは、自由競争により形成されるであろう落札金額の算出方法にあります。

 これを、従来から談合の事実を実証するために、用いられてきた談合すると予定価格に張り付き、自由競争によると最低制限価格に張り付くことを落札率の1%毎の分布から二極に分かれることで実証しました。

 また、複数回の入札における一位不動の原則から談合すると予定価格に張り付くことでも実証しました。

 しかもこれらのことをより詳しくするために、予定価格を基準とする落札率に基づく分布は、最低制限価格が設定されているケースとされていないケースと
に分けて分布図を作成しました。すると、最低制限価格が設定されていないケースで下位にくるグループは、最低制限価格より下回ることがわかります。

 さらに、最低制限価格を基準とする落札率に基づく分布図も作成しました。これにより、より最低制限価格に張り付いていることが分かります。

 即ち、成9年度分をもとに予定価格を基準として落札率を見た場合、二極に分かれて下位に位置する156件の分布は、84%7件、83%26件、82%23件、81%43%、80%43件、79%10件という形になります。これが、最低制限価格を基準とする落札率の分布で見ると、100%118件、101%22件、102%11件、103%4件、104%2件になります。このように、下位に位置するグループの大半が100%に集中し、最低制限価格により張り付いていることが分かります。

 そして、その年度毎に下位グループの最低制限価格を基準とした落札率の年平均率をもって、その年度の自由競争によって形成される落札率とみなしたのです。そうすると前述の事例では、100・72%となりました。そして、その率をもとに額を算出したのです。

 この分析は、談合が明らかになった入札の3年分を行いました。そして、3年分の入札件数は、2121件あり、落札金額や予定価格及び最低制限価格などのデーターをパソコンに入力して分析作業を行ったのです。その作業は相当の作業になりましたが、その努力が実りました。携わった会員のみなさん、ご苦労様でした。勝利終結を共に喜びましょう。

 

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石泉閣総点検行動を実施

施錠された蔵に食器・食卓など山積

 当会では、当会が「旅田元市長の建物所有女性との私情による恣意的な料亭まるごと救済」と非難して、公金の差し止めと返還を求めて裁判に訴えている和歌山市が借り上げた料亭「石泉閣」建物について、建物総点検行動を、七月二四日と八月五日の両日おこないました。

 この点検は、建物内に立入禁止と指定された区域内にある市民に開放されていない部屋と蔵などの使用状況やバリアフリーの工事が条例に沿って適切に施されているかなどのチェックを目的に実施しました。

 これは、市民に開放されていない部屋と蔵に、三月の市議会で建物所有者の私物が置かれていたことから、同じく建物所有者の私物が置かれている疑いがあったからです。そして、私物がおかれていれば、それは、公私混同の最たる所産を意味すると考えられたからです。

 当初こちらの日程では、二四日の一日のみの予定でしたが、開放されていない部屋や蔵の開錠を当局が拒否したことから、八月四日の二回目の実施に至ったものです。当局が開錠を拒否する際の説明は、「事前に連絡がなかった」というだけの理由にならないものでした。蔵の鍵について当初、保管していないとの説明もありましたので、鍵が保管していなかったのが実際だった疑いが濃厚です。

 一回目の点検では、市民の安全にとって、あってはならないことに遭遇しました。それは、三階の会議室に設けられていた非常口のドアの鍵がかかったままだったことです。これは、もちろん消防法上もあってはならないことです。この非常口の外側は、立入禁止区域でしたから、これまでもずうっと施錠されたままだったことは明らかです。これまでに非常事態が起こっていたらと思うと背筋が寒くなります。しばらくして非常口は、外側から開錠されましたが、続く非難路も迷路で案内されないと出口がわからない状況でした。また、非難通路には、所有者の私物と思われる本棚が置かれていました。

 バリアフリーについては、和歌山市が建物のメーンとして打ち出している木造建築物にはバリアフリーどころかまったくの対策も施されていず、駐車場も、障害者にはまったく役に立たないことも判明しました。また、市がエレベーターを設置してバリアフリーを施したとする鉄筋コンクリート造り部分も、障害者用の案内板や受付までの誘導用ブロックもなく、受付台も障害者が円滑に利用できるようになっていず、バリアフリーとしては不充分はことがわかりました。むしろ、バリアフリーが不充分というよりは、木造建築物は改造できない建物であることを考え合わせると、もとよりバリアフリーが不可能な建物と指摘せざるを得ないものでした。

 二回目の点検では、すべて開錠されてチェックができました。

 その結果、蔵には、料亭時代の食卓や食器などが所狭しと積み上げられていました。また、和室には、ピアノや扇風機などが乱雑に置かれていました。これらの備品は借り上げ目的からは説明のつかない品物です。

 そして、立入禁止区域はかなりの広さにおよび、これらが活用されておらず、むしろ、これらの部屋や蔵が建物所有者の私物の置き場となっている疑いを強くし、計画の杜撰さと「料亭丸ごと救済」と非難している当会の指摘の正しさをより裏付けるものでした。なお、点検の詳しい内容につきましては、報告書という形にまとめて裁判所に提出する予定です。


 

 

総点検行動に参加して

バリアーフリーは落第

 その日は7月末の真夏の暑い太陽の照り付ける昼下がりでした。その暑さを物ともせず点検ツアーの集合場所の新和歌浦駐車場には、早くから会員の方々はもとより各新聞社の記者、テレビ局カメラマンの方々が参集していました。

 この石泉閣につきましては、市予算の使途問題、市長の私的問題等これまで市議会、週間誌、新聞等で絶えず問題になり、其の都度市長は苦しい弁明を繰り返し我々市民の不信感が募るばかりでした。建物の改築目的等についても不可解なことが多く、市の公金を市長個人の目的の為に流用されているのではないかと言う、思いが深まるばかりでした。

 市は、石泉閣を市の迎賓館として使用するため、借り上げて改装。改装にあたっては、絵画、美術品の展示やバリアフリーのためと言っていました。しかし、実際の今の建物には、明らかに最近設置したと思われる玄関が東側に存在し、しかも、この玄関は、迎賓館とする市民の用途には使用されていず、何かすっきりしないことから、オンブズマンわかやまとして、旅田氏が主張する迎賓館にふさわしい立地条件か。内部環境はどうか、又氏が胸を張るバリアフリーの完成度等々について実地検分を行おうと言うことになり、点検ツアーを実施することに至ったのです。

 さて、いよいよ一行は浜の駐車場を出発し、石泉閣へ向かったのです。当日バリアフリー化がどの程度実現しているかを現実にチェックするために車椅子も用意し、足の不自由な方にもご参加頂いて実地見分しました。

駐車場 障害者に役立たず

 先ず困ったことは、駐車場より石泉閣までの間は雑賀崎行きの道路を100米程の登り坂になっていることです。そして、この坂の傾斜が結構きつく、介助者の力添えがなければ昇れなっかたことです。仮に一人で昇れたとしても、この道の海側には一般歩行者用の歩道が設置されていますが、車椅子で道路とその歩道との段差を一人で越して歩道に乗ることがこれまたできず役に立ちません。しかも、石泉閣は、歩道と反対側にあるので、建物数百メートル手前の信号を歩道からおりて横断し、そこからは、車道を昇っていかなければならず、車椅子の方にとってはとても危険でした。

このような状態からすると、足の不自由な人にとっては、この駐車場は利用できないに等しいものでした。また、駐車場から石泉閣までの誘導ブロックも敷設されていず、目の不自由な方々にとっても駐車場は利用できないものでした。足や目の不自由な人にとっては、移動の手段として車は必要不可欠です。そうであるのに、駐車場が使用できないのでは、バリアフリーとしては落第です。

 仮に、正面玄関手前の身障者用入り口にたどり着いたとしても、入り口からエレベーター乗り場まで一応車椅子でいけるスロープは設置されているのですが、そのスロープの勾配もきつく、なお途中で180度折り返すスロープですからこれもまた、車椅子の方には大変な負担かと思われました。また、入り口には音声案内もなく、しかも、案内人を呼ぶにもエレベーターのところに設置されているだけで、設置されている位置も障害者に配慮されていませんでした。本来なら、入り口から館内を案内する受付まで、誘導ブロックなどが敷設されていることが必要なのですが、これまた敷設されていませんでした。

北別館、茶室、西別館なども利用できず

 内部に入って見ると、部屋の配置、構造は以前の料理旅館の姿がそのままの様なたたずまいでした。取り分け、木造部分について、何か施したようなこともなく、北別館、茶室、西別館などは障害者に何一つ配慮されていず、障害者らはこれらの建物をまったく利用できないことも明らかになりました。それもそのはずです。何分にも「石泉閣」とは岩から流れ落ちる清水の素晴らしい眺めからその名前が付けられた、と言われているだけに山が海へ迫った急斜面に建てられた建築物群なのです。だから、各別館に到着するには、急斜面に設置された階段を昇る必要があるからです。これでは、鉄筋コンクリート造部分に設置されたエレベーターでさえ、真にバリアフリーを目的に設定されたようには思えなくなりました。

西館の展示場はいかにもみすぼらしい

 バリアフリーに関係なく、特に気になった部屋があります。それは、ロビー左手の階段を上がった純和室の西別館です。非常に展望が良く嘗ては石泉閣一等の部屋と思われる部屋です。この部屋をそのまま展示室としており、安物のイーゼ(絵を書く時の画台)に昔の和歌浦の古い写真を並べて和歌浦、石泉閣の歴史として展示していましたが、有り合わせの物を並べた印象が強く、迎賓館としては、いかにもみすぼらしく心寂しい思いをしました。

 この館の管理は市の観光振興室でなされ絶えず振興室の職員が2、3名常駐して、受付案内等を行っているようで、この日もロビーの受付に2人ほどの職員の姿をみかけましたが、我々が内部に入り点検していますと、1人の責任者らしい職員が我々に内部の写真撮影を止めて、との申し出をしてきました。これに対して畑中事務長がその理由を尋ねたところ、この建物の所有者の了解なしに写真、ビデオ等の撮影される事は困るとの説明でした。畑中氏は所有者はどうであれ、現在、市が借り受けて管理しているのだから、借り受けているあなた方の了解でよいのではないのですか、との反論に、ただ所有者云々の理屈を繰り返すのみでした。

白壁の蔵は施錠のまま

 そして、建物内には、わけの解らない白壁の蔵があって、扉の引き戸には鍵が掛けてあり、一体何が収納されているやら怪しく、開錠を迫りました。当初、鍵は保管していないとの説明でした。借り上げている建物について鍵を保管していないとはなんたることか。

非常口もロック

 また、非常口の戸はロックされていて、内側から開けることもできず、職員にこのことを指摘すると、その鍵を探すのにかれこれ数十分ほどかかり、その結果非常口は内からは開けられず外から開けたようなことでした。内から開けられないようでは非常の時には役にたたない非常口です。そして、その戸を出るとそこは外ではなく細い廊下で部屋、台所、風呂部屋の前を通ってやっと出口が分かるようなありさまで、これで緊急時に役立つのかと不安を感じずにはいられませんでした。

 いずれにしても内部は複雑で各部屋との連絡は階段が多く、到底和歌山市の迎賓館として外部の方々にお見せ出来る建物では無いと思いました。


石泉閣から見た和歌浦湾の眺望
昔の和歌浦湾の面影の片鱗もない

 嘗ての景勝地の新和歌浦地域の活性化の起爆剤とか、歴史的建造物のバリアフリー対策とか、言っていますが、完成した姿を見るかぎりではただのお題目でしか過ぎないまやかしものです。石泉閣から見た和歌浦湾の眺望は、海南火力発電所の巨大な煙突、湾を埋め立てて作ったマリーナシチー、コンクリート岸壁の駐車場、漁連倉庫と連なり人工海岸が見えるばかりです。昔の和歌浦湾の面影の片鱗もなく、ただ虚しさだけを持って帰路につきました。

井上壮一、阪谷昇良記

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松下環境空調
公開質問に対し拒否回答

 前号でお知らせしました松下環境空調エンジニアリングに対する7月15日付の公開質問状に対し,同社から拒否回答がありました。

 これは,松下環境空調エンジニアリング社員の椙本良満氏と和歌山市元職員●●●●氏とが共謀して,和歌山市の公金4168万5000円を詐取した公金の使途として,事件発覚当時,和歌山市芦原地区に存する大型作業所に隣接する嶋田製革所の補修工事費に充当していたと説明していた工事費について,当該工事費を金1648万5000円とする支払請求が,市に対し,6月10日付で松下環境空調からなされたことから5項目の公開質問に至ったものです。

 公開質問は,当初の高額な詐欺まがいの見積額をどのように考えているか,また,今回の見積額と比較して何故そのような高額な見積額になったのか原因と真相などの質問をし回答を求めましたが,質問には一切応えない回答が7月26日付けでありました。

 拒否回答の対応は,極めて和歌山市民に対し不誠実な対応と厳しく非難します。今回の減額された見積額も,詐欺まがいの見積書の材料数値をそのまま採用しており,合理性のないものであることが判明しています。しかし,このことはさておくとしても,同じ工事の見積額として何故約1648万円のものが約4168万円もの額になったのか,このことに関する真相を,和歌山市民に対し説明することは,たとえ,和歌山市と協議中であったとしてもできることであり,犯罪行為を正当化するかのように高額な見積書を示したのだから,よりなされて当然です。それをなさない松下環境空調には,誠意が見られないと厳しく糾弾致します。

 先にもふれましたが,今回の約1648万円の見積りも使用材料について詐欺まがいの高額見積の際の数値をそのまま踏襲している不誠実なものです。そのような見積りを前提に進める協議もどのようなものか推しはかれると言うものです。当会は,今後も厳しく監視し,市民に不誠実な対応についてはその都度対処していきます。

 なお,回答の全文は次のとおりです。


回答内容


 公開質問状において,ご指摘の平成14年6月10日付の当社の工事価格算定書については,当社と和歌山市との間で懸案となっている事項について協議を進める中で,協議の前提として必要である旨和歌山市より 要請があったため,そのような前提のもとで提出したものです。

 公開質問事項については,現在当社が和歌山市と協議継続中の内容におよぶものですので,回答は差し控えさせて頂きたいと考えます。

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市職員海外派遣研修費返還請求訴訟

 この間8月28日に7回目の裁判が行われました。

 この日は,弁論準備手続きで,相手方から新たな主張の書面の提出がありました。内容は,アルスター大学とバブソン大学だけを視察したとすると航空運賃が26万1800円高くつく。だから今回のような行程を組んだのであり効率的な行程となっている,としています。しかし,この主張はまやかしです。何故なら,現実の搭乗便はオランダ航空だったのに,日本航空(JL)で見積もっているからです。航空会社によって費用の違いがあり,JLの高額なことは誰もが知るところです。

 次回も弁論準備手続きです。相手方が職員の主張事実を詳細に報告書という形にして提出することになっています。

 なお,期日は,9月25日AM10〜の予定です。


石泉閣借り上げ費用差し止め及び返還訴訟

 この間9月5日に6回目の裁判が行われました。この日は,弁論準備手続きでした。

 相手方は,旅田氏が選挙に落選し,新たな市長が誕生したことから,新市長と打ち合わせができていず,少し日時を要するとのことでした。

 当方は,石泉閣所有者と和歌山市が,それぞれ国と土地賃貸借契約している関係書類の取り寄せを申請したところ,即,採用されました。これらの書類から,石泉閣建物所有者らは国の土地を一部(北別館の敷地と庭園部分)不法占拠状態で使用していたことを立証する予定です。

 なお,新聞報道によると,今年度いっぱいで石泉閣賃貸借契約を解除する旨伝えられています。もちろん,当該新市長の決断には敬意を表します。そして,旅田氏がこれまで主張してきた長期継続契約からすると,何の障害もなく,解除できるはずのものです。私達は,契約解除だけに止まらず,外部の人による調査委員会を立ち上げて真相の究明にも取り組み不正行為を暴き,徹底的に追及してほしいと思いますが,みなさんはいかがでしょうか。

 次回期日は,10月30日PM3:30〜の予定です。

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9月13日 PM4:30〜
   ニュース発送作業日
9月14日
〜 全国オンブズマン大会
15日
9月25日 AM10:00〜
市職員海外派遣研修費返還請求訴訟
第4回
9月25日 PM6:00〜
第3回全員会議
10月30日 PM3:30〜
公金支出差止及び返還請求訴訟
(石泉閣借り上げ契約)
11月27日 PM6:00〜
  第4回全員会議

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