目 次

第7回定期総会(石泉閣実質違法報告)
住基ネット差止訴訟和歌山の会発足
住基ネット廃止を求める運動
オンブズマンの基礎知識(交際費)
事務局だより

裁判情報
今後の予定
その他

 

No.37

発行日2003 519


第7回定期総会

石泉閣の実質違法を詳しく報告

対価なき利益の供与

 4月23日、第7回定期総会を和歌山市勤労者総合センターにおいて開催しました。総会では、畑中事務局長がこの間の活動報告として、石泉閣問題を中心に報告。とりわけ、この間に解明した実質的な違法を詳細に報告しました。その大要を掲載します。

 報告は、この間に新しく判明した実質的な違法について次の3点をあげました。

 第1点は、石泉閣建物が、バリアフリーの整備が不可能な福祉のまちづくり条例に反する違法な公共施設であること、

 第2点は、石泉閣建物が、風致条例に反する違法建築物であること、

 第3点は、石泉閣建物の存在に必要な土地について、一部不法に占拠していたことから建物の存在が許されないものであったとするものです。

 そして、第1点目の違法についてこう説明しました。

 県の福祉のまちづくり条例は、一般に不特定多数の人々が出入りする公共施設には、その設置者に、健常者と同じように障害者が参加し且つ、利用できるように整備することを、新築だけに限らず既設建物を活用して新設する場合にも、適用されることから、石泉閣建物もその義務を守る必要があると説明。しかし、石泉閣建物は、本館から西館、茶室、北別館に至る経路には、傾斜や階段があるにもかかわらず、何の整備も施してしていないことから、公共施設に必要なバリアフリーの整備基準に違反しているとしました。しかも、その違法を解消する整備は実質不可能であり、不可能であることを承知で借り上げ、違法の公共施設としたことが明らかとし、このようなことを承知で借り上げ違法な公共施設とする権限は市長と言えども旅田氏にはない、と厳しく断じました。

 第2点目の石泉閣建物が、風致条例に反する違法建築物であることについてはこう説明しました。

 石泉閣のある所は、風致地区に指定される区域に該当。風致地区は、その地域の自然の美しさをもっとも保つ地区として、その地域で許される建物の高さは8メートル、建ペイ率は20%と説明。しかし、現実の石泉閣建物は、鉄筋コンクリート建物が高さ16メートルもあり、その規制に違反していることが一目瞭然で誰にでも明白としました。

 これまで、石泉閣がその法律の施行前に建築されたものであることから違法建築物でないとされてきた理由は、根拠がないと強調。それは、法律の施行後に、その建物の用途を変更した場合にも、この法律の適用があると説明。

 そうすると、石泉閣は、用途の分類ですると「飲食店」から「観覧場若しくは集会場」に用途を変更していることから、風致条例の適用があること明白とし、その結果、石泉閣建物は、違法建築物であり、違法建築物は、本来、存在そのものが許されることのない建物だとしました。

 そして、石泉閣建物が、風致条例に違反する建物であり、存在が許されることのない建物であることは、借り上げる前にも、充分わかり得たことであり、事前にわかり得た、存在が許されることのない違法建物を公共施設とすることが許されるはずもないし、そのような権限は市長といえども旅田氏にはない違法なものと断じました。

 最後の3点目については、図面を示しながら石泉閣所有者らが占拠している土地と不法占拠している土地の位置関係を説明し、石泉閣所有者らが国から借りている土地の範囲を超えて、不法に占拠していたことが分かった、としました。

 また、こともあろうに、石泉閣所有者らが不法に占拠していた部分と、和歌山市が国から直接借り受けていた土地の部分とが同一であることも明らかにしました。

 そして、石泉閣所有者らが不法に占拠していた土地が、「北別館」、「庭」、「法面」、該当するとして、まず、「北別館」が明白に不法占拠した土地上に存することから、「北別館」は本来、存在が許されることのない建物としました。また、「庭」、「法面」も、本館や西館及び、茶室の存在に必要な部分であることを指摘して、それらを不法占拠していたことから本館や西館、それに茶室も、存在が許されることのない建物であるとしました。

 さらに、不法占拠していた事実から石泉閣所有者らは、国との間で交わしている土地賃貸借契約の破棄が免れないことを意味することから、石泉閣全体の建物の存在が許されることのないものだとしました。そして、建物の存在が許されない建物を借り上げて、国から明け渡しを求められない形にしてやって公共施設とする権限は和歌山市長といえども旅田氏にはない違法なもの、と断じました。

 また、石泉閣所有者らが不法に占拠していた土地を和歌山市が国から直接借り受けていたことから、本来、その部分は、石泉閣建物所有者らが借りてあるべき土地だったと指摘。そして、本来、正当に石泉閣所有者らがその土地を借りていたなら
ば、支出の必要なき土地の賃料を支払っていたことを意味するとして、和歌山市が国から借りた年間約160万円の賃料はまったく支出の必要のなかったもののみならず、その利益は、結果的に石泉閣所有者らにもたらしていると強調しました。

 そして、建物の存在が許されることのない建物は、本来まったく価値がなく、無価値の建物に対し、公金で明け渡しを求められない形にしてやったとしか考えようのない建物の賃料月140万、年間1680万円もの公金の支出は、その正当な対価がなく、対価なき巨額の利益を石泉閣建物所有者らに供与したことになる、と指摘。これらは、市民に対する著しい背信行為であり、「背任」という犯罪行為に該当すると断じました。

 

 

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「住基ネット差止め訴訟をすすめる和歌山の会」

 発起集会を開催

 

   

 5月18日,地場産業振興センターにおいて,発起集会が開催され,「住基ネット差し止め訴訟をすすめる和歌山の会」が発足し,賛同者を募り,原告を呼びかけることが確認されました。

 これは,4月下旬,住基ネットの廃止を求め住基ネット差止め訴訟の原告となって,東京地裁の裁判に参加されている方から,和歌山地裁への提訴をめざして運動しましょう,と当会に呼びかけがありました。その後,準備会をかさね呼びかけ人を募って,発起集会に至ったものです。

 全国的には,東京を中心に進められている差止め訴訟は,4月の第5次提訴で,10地裁(16都府県分)の原告団数162名に及ぶものになっています。この原告団の中に和歌山県民が,第2次東京提訴の2名と,当会から第5次大阪提訴の4名とが加わっています。

 同様訴訟は今後も第6次提訴として,北海道,香川,熊本,沖縄などで準備が進められています。和歌山の会も,7月末もしくは8月初旬の提訴をめざして,進める会の賛同者を募りながら原告団を募集して,提訴に向け準備を進めることが確認されました。

 それぞれの募集要項は下記のとおりですので,みなさんのご協力を訴えます。また,下記のとおり記念講演も行いますので,これにもご参加を訴えます。

 なお,ご協力いただける方は事務局までご一報ください。

募集要項

原告
 原告となる要件は,訴訟費用1万円を添えて原告になることを承諾することです。

賛同者
   賛同していただける方には1口1000円の募金をお願いします。なお,匿名でも可能です。

記念講演

日 時 6月21日PM1時から

場 所 和歌山市勤労者総合センター

講 師 田島 泰彦氏(住基ネット差し止め訴訟を支援する会共同代表:上智大学教授)

参加費 500円

ご協力を訴えます!

 


住基ネット廃止を求める運動

住民票コード削除を求める審査請求


県,私達の請求を認めない「棄却」と裁決!

 

 和歌山市民26名,橋本市民2名,海南市民2名,田辺市民5名,美山村民5名,上富田町民2名の6市町村42名が求めていた住民票コードの削除を求める審査請求に対し,和歌山県は,4月30日,「棄却」と「却下」の裁決をなし,私達の請求を斥けました。

 これは,私達が,住民票コードを付与した処分の取消し及び,同処分についての異議申立てに対し各市町村長が棄却決定したことから同棄却決定の取消しを求めて,和歌山県に対し審査請求に及んでいたものです。この請求に対し県は,処分の取消しについては「棄却」,棄却決定の取消しについては「却下」をなし,私達の請求を斥けたのでした。

 私達は,住基ネットが,国民の自己情報コントロール権を侵害しており,国家が国民の行動を監視するという国民総背番号制に道を開いたことを意味すること,かつ,住基法附則1条2項の「所要の措置」が施行の前提条件になっているにもかかわらず,この前提条件を欠いた違法な施行であることから,住基ネットの廃止を目的として審査請求に及んだものでした。

 この住基ネットは,いずれ政府の都合にあわせて国民の情報を管理していくものであり,戦争する国づくりの一環であることから,このようなもくろみを許さず,牛と同じように番号で管理されることを拒否するために,今後もあらゆる機会を通じて同システムの廃止を求めていくことが大事です。

 なお,裁決に対するさらなる不服申立ての方法としては裁判に訴えることしかありません。

 ところで,大阪の見張り番から呼びかけがあったことから,4月1日に大阪で提訴された「住基ネットの差止め訴訟」に当会の会員4名が原告に加わりました。

 その後,東京地裁で,すでに,裁判に参加されている和歌山県在住の方から,和歌山地裁での提訴を呼びかけがありました。その呼びかけを受けて,現在,和歌山地裁への提訴に向けて準備を進めています。

 原告となるためには,訴訟費用の負担がありますが,審査請求した人もしていなかった人も誰もがなることが可能です。是非,原告となって下さることを呼びかけます。

 

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オンブズマンの基礎知識(1)

交  際  費

弁護士 井 上 善 雄

 

1.はじめに

 交際費とは「知事・市町村長,議会議長,その他の執行機関が行政執行上あるいは当該自治体の利益のために,地方自治体を代表し,外部とその交渉するために要する経費」のことである。

 自治体の長だけでなく,監査委員,選挙管理委員会,教育委員会,人事委員会など委員会の長や自治体の部局長らにも予算化されていることがある。

 議長,委員会には,厳密には予算執行権はない(地方自治法148条)しかし,長は事務の委員会等へ委任したり議会にいる職員を補助執行職員として執行させることが出来る(182条の2)ので,議会の交際費は事実上議会議長の意を受けた事務局長の下で予算執行が処理されているし,委員会委員長の意を受けた事務局長(事務職員)の下で予算執行が処理されている。

 交際費は,長らの不当なポケットマネー的使い方があったことと,情報公開がない不明朗な支出の点で市民の批判の眼が集中した。市民オンブズマンの監視と批判が情報公開等を契機に進むとその額も小さくなり,支出範囲も限られていった。また,自治体の長によっては公開への抵抗が続けられたが,長によっては自ら「自主公開」へ転じたり,帳簿自体の写しを公表するところも数多く生まれている。

2.地方自治体の交際費の現状と裁判所の判 断

a 市民オンブズマン,市民の批判と地方財政の危機の下で首長は交際費を抑制せざるを得なくなっている。しかし,その実態は市民の監視によって大きく左右されている。

 すなわち,市民の情報公開請求や住民監査請求,住民訴訟という「外圧」があるほどその予算は小さくなっている。かつては,長は交際費を私的交際費にさえ流用していたが,今日では行政関係者への葬祭,見舞いや祝賀会等会合出席費等に限られるようになっている。

b かつて大手を振っていた@選挙の陣中見舞いA当選祝いB就任祝いC政党新春年賀会や大会参加費D特定政治家の出版祝いEパーティ券の購入 などは裁判でも違法と断じられた(平成14年12月25日大阪高裁第8民事部判決,奈良県西吉野村交際費事件)。

  現在,多くの自治体首長は,上記@〜Eの類いの支出をしているので,少なくともこれらの支出については,住民監査,住民訴訟を検討すべきだろう。

c 冠婚葬祭や見舞いについては,上記高裁は1〜3万円であり「社交的儀礼の範囲にとどまり,妥当かどうかの検討の余地はあるとしても,いまだ違法とまでは認められない」等としたり、1万円の餞別についても「社交的儀礼の範囲内」として,地方自治体法204条3項,204条の2,地公法24条6項,25条1項違反にならないとし,公務員倫理規程上も違反しないとした。

ここにはまだ裁判所も役所としての悪慣行の影が見えない訳ではない。しかし,この点はより市民の社会的通年としての「社交的儀礼の範囲内」への厳しい眼が必要なのであろう。

d 冠婚葬祭見舞いに名を借りた地盤培養的な交際費等の支出は残っている。近年の大阪府のように,「知事交際費の執行及び公開に関する基準」(平成13年7月3日施行)で,弔意,地域の慣習,見舞い1万円,祝い2万円,賛助金3万円,会費 会費相当額,その他は3万円限度で支出 とする項目と支出限度額を定めて見舞いで特段の配慮が必要な場合は非公開としている例がある。程度の差はあるが,岩手,岡山,香川,広島,高知,佐賀,岐阜の県でもホームページで公開がされているが,これらの内容を見ると冠婚葬祭が根強く,交際費から続けられている。公開自治体はほど支出は少なくなっている。この点逗子市のように,市長交際費を平成15年度から全廃したのはまさに画期的である。

〔お断り〕
当記事は,2003年4月7日付 市民オンブズマン(大阪)ニュース 41に掲載されたものを転載しまし た。

 

 

 

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【事務局だより】

・ 2003年度の会費,多くのみなさんからご送金いただいています。ありがとうございました。なお,まだご送金いただいていない方は,是非,ご送金を お願いします。

・ 会では,機関紙の作成や発送実務をボランティアお手伝いをして下る方を募っています。ご協力いただける方は是非ご一報下さい。

・ いま県議会で,県に対し,金融機関から土地開発公社のかかえる債務について保証を求められていることが浮上しています。その債務はなんと438億円 です。一括返済を迫られると県が倒産しかねない金額です。しかも,土地開発 公社は,すでに破綻していますので,債務保証すれば,いずれその債務を負担 せざるを得ないことが明なものです。金融機関の責任も問わずに,県民の血税で土地開発公社の債務の肩代わりを簡単に認めさせる訳にはいかないでしょう。 そこで,各県議会議員に公開質問状を送ることを考え,準備を進めているところです。

 

 

 

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市職員海外(ラスベガス)派遣研修費返還請求訴訟

 この間,5月13日に裁判がありました。通算12回目です。

 この日,出張者本人(職員)の坂本安廣氏の尋問が行われました。

 坂本氏は,あくまでも市長(旅田氏)と北野部長の3人の旅行と思っていて市長の友人の市民2名が同行することは知らなかった。また,関西空港で市長から紹介されたが,その時も,見送りかと思っていた。その後,同じようにゲートをくぐったのではじめて同行することが分かったなどと,証言。きわめて不自然と感じざるを得ない証言でした。それは,旅行会社と打ち合わせを同氏が行ったものであるし,5名が全行程同行の形で旅行を行っていることからすると,旅行会社には,市長の友人2名の分も事前に申し込まれていて,計画段階から5名で計画されたものであったとしか考えられず,そうだとすると,旅行会社との打ち合わせ段階で話がでないことなど考えられず知らないはずがないからです。

 次回は,6月10日午後1時30分〜午後4時30分です。この日は同じく出張した北野部長の尋問が行われます。

 是非,傍聴をお願いします。

石泉閣借り上げ費用差し止め及び返還訴訟

 4月16日AM10:00〜に,10回目の裁判が行われました。この日も,弁論準備手続きでした。

 この日,1面でもお伝えしました内容を,報告書という形にして裁判所に提出しました。 なお,前号でもお伝えしましたが,訴えの内容について,石泉閣事業が廃止されたことから,公金支出差止めの分を取り下げざる得ず,損害賠償請求だけの形になります。この手続きをこの間に行う予定でしたが,行うことができませんでした。それは,廃止された同事業に伴う和歌山市の支出額の確定に手間取っているからです。支出額が損害額になりますので,その支出額の確定後に裁判手続きの変更を行うことになります。ところが,支出額の確定が5月末頃と言うことから遅れている訳です。しかし,次回までには,その手続きも行えるでしょう。その後,実質審理に進む予定です。

 次回期日は,6月11日AM11:00〜の予定です。

 

 

 

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5月18日 PM1:00〜
  住基ネット差止め訴訟を進める和歌山の会発足集会

5月19日 PM5:00〜
   ニュース発送作業日

5月28日 PM6:00〜
  第1回全員会議

6月10日 PM1:30〜
市職員海外派遣研修費(ラスベガス)  返還請求訴訟 北野部長尋問

6月19日 AM11:00〜
公金支出差止及び返還請求訴訟(石泉閣事業)

6月21日 PM1:00〜
   住基ネットに関する記念講演
 


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次回会員会議のご案内

日 時 5月28日(水)午後6時〜
場 所 和歌山市勤労者総合センター
(和歌山市役所西隣 TEL 073-433-1800)

こぞってご参加下さい

 

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