目 次

グリーンピア南紀借入金肩代わり問題
県議会コスモパーク加太検討・秘密会で
和歌山市の入札制度改革を問う
住基ネット訴訟和歌山の会記念講演

裁判情報
今後の予定

 

No.38

発行日2003 714


グリーンピア南紀借入金肩代わり問題 
  県の支出差し止めへ

                                        

返済の義務ない
                            

 当会は、財団法人グリーンピア南紀がかかえる葛I陽銀行からの借入金のうち金1億3636万7221円について、県が肩代わり返済するのは違法として、7月10日公金支出の差し止めを求める監査請求をしました。

 県は、裁判所の調停案を受ける形にして出資割合に応じて肩代わりしようとしていました。当会は、この肩代わり返済が違法と判断されることから、支出の差し止めを求めて監査請求を提出した次第です。

 差し止めを求める違法の根拠はこうです。 第1に、県は、グリーンピア南紀のかかる債務は、県が一切債務保証しておらず、団体としても県とは全く別の財団法人であり、その責任を負わねばならない法的義務が全くないからです。

 第2に、貸し手の紀陽銀行は、貸付時に、グリーンピア南紀が独立した法人であり、自主的に運営されているものであることを認識した上で、県の債務保証を得ずに、自己の損益計算の下に、その責任で貸し付けているのですから、返済される目算を誤ったとしても自己責任の問題だからです。

 第3に、公金たる補助金の支出には、地方自治法232条の2にいう「公益上必要がある場合」の要件が必要です。しかし、肩代わり返済に公益性がないからです。

 ちなみに、公益性とは、住民の福祉の増進に有益か否かという観点から判断すべきところ、本件の肩代わりは、すでに閉鎖して営業を一切しておらず、単に、過去に借り入れた債務の返済に支払う財源として交付されると言う性格からすると、県民の福祉が増進されることなど全くないことが明らかだからです。

 最後に、調停の提案を受ける形をとっていますが、基本的には調停も話し合いです。調停では県は、「財団を破産することの影響は計りしれないものがあるため、財団の破産をさけるためには県としても一定の負担をしていく必要があることは否めない」との考えを示しています。これは単に、破産をさけるためを理由に負担を認めることに歩み寄ったと言うものです。つまり、保証しておらず、県とは別法人という立場を最後まで貫いた結果の調停案ではないと見なされるものです。そして、この判断は、木村県知事が代表理事でもあるグリーンピア南紀を「破産させたくない」との思いが転じて、県知事の立場から「破産をさける」ためになったものであり、県民の利益に相反する立場を巧みに利用した結果と判断されるからです。

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 県議会コスモパーク加太対策検討委員会

「秘密会」でまとめ行なう

その妥当性を問う

 県土地開発公社のコスモパーク加太事業に伴う紀陽銀行など3金融機関からの借入金438億円について、県が債務保証を求められている問題で設置された県議会の委員会がまとめた報告書が「秘密会」でまとめられました。あってよいことでしょうか。

 みなさんはご存じでしたか。和歌山県議会の「コスモパーク加太対策検討委員会」の最終委員会が「秘密会」で行われたことを。しかも、その「秘密会」で意見のまとめが行われたことを、です。

 この委員会は、「コスモパーク加太対策検討委員会」と称し、委員長が平越孝哉、副委員長が和田正人、委員が新島雄、小川武、向井嘉久蔵、下川俊樹、井出益弘、宇治田栄蔵、山下直也、浦口高典、中村裕一、村岡キミ子、新田和弘、山下大輔ら14名の県議で構成され、債務保証問題を集中的に質疑するために設置されました。

 そして、「県は必要な範囲の債務を保証し、金融機関は金利の免除など可能な限りの負担をすべきだ」などとする報告書をまとめ、県知事に、必要な範囲の債務保証することに議会のお墨付きを与えたのでした。

 その委員会が、5月20日、26日、6月2日、10日の5回開かれ、1回から3回目までは県民の傍聴を認めましたが、4回目は、マスコミの傍聴を認めたものの県民の傍聴が拒否されました。

 そして、最終回が「秘密会」にされたのです。その「秘密会」で委員会の意見のとりまとめが行われたと言うわけです。

 県民にとって重要な方向性を示す結論が「秘密会」でまとめられたことにみなさんはどう思いますか。県民を代表し執行機関たる知事の執行に対するチェック機能が求められる県議会のその委員会が、「秘密会」にできること自体が大問題でしょう。情報公開の流れに逆行する許し難いものです。秘密のベールの裏側ですることは、県民に知られて困ることが話し合われたに違いありません。だからこそ、一部債務保証を認める結果となったのでしょう。これが、県民監視のもとで行われていたら違った結果になっていたことが充分考えられます。そうではありませんか。

 このようなことから、「秘密会」でまとめられた一部の債務保証を認める内容に妥当性があるとは見なされない、と言わざるを得ないものです。

 県知事も、これらのことを真摯に受け止めるべきです。




和歌山市の入札制度改革を問う

新制度の導入、談合防止になるか?

阪 谷 昇 良

6月24日の朝日新聞和歌山版に「和歌山市一般競争入札を導入」とする記事が掲載されていた。その報道によると6000万円以上の公共工事で従来業者指名の方法として行っていた福引に使う抽選器で指名業者を決めてきた「公開抽選方式」を廃止し、従来20億円以上の建設工事に限り行っていた条件付き一般競争入札方式を採用し、それに伴う業者指名も以前の指名方式に戻し、又従来、予定価格1000万円以上の建設工事についてのみ設定されていた最低制価格を総ての建設工事に採用する事にしたと言う。この指名・入札・契約制度の改革(7月から実施)が市民のための改革になるのか問いかけたい。

ガラガラポンは単純で透明なのに!

市長は、新制度の柱が「透明性の確保」「適正な地元業者の育成」にあり、「一般競争入札にして参加業者を増やしホームページなどで入札透明性をたかめ、談合がしにくい仕組みにした」と説明する。果たしてそうだろうか。「公開抽選方式」、通称「ガラガラポン」方式のどこに問題があったというのだろうか。公開で単純な抽選器を使い、その当り札で指名業者を決定する過程は、何ら不透明な、行為・情実のつけいる隙がないと思われる。参加業者を増やすことは、抽選器の当り札を増やすことでカバーできる。地元業者の育成も、今回の制度に加味された区分や新たなランク付けと市内業者における地区割りの導入によって、充分カバーされるはずである。今回の制度の導入は、むしろ、業者指名決定のプロセスがブラックボックス化される結果になり、指名業者選定の不条理な扱いが可能となることが懸念される。これは業者に対する発注管理者の権威を維持し、特定の業者の排除、参入と言う従来の官民癒着を生む悪弊の復活を意味するものと言えまいか。

「安くてよいものを造る」システムは?

 最低制限価格の設定も復活すると言う。しかも、予定価格の75%に設定すると言う。これは価格の底上げだ。この理由として市は、近年入札時の落札率が低率になっているため公共工事の品質の低下に繋がるからその防止のためと言う。しかし、出来うる限りの少ない税金で工事をしてもらうことに何の問題があろうか。行政に求められることは「安くてよいものを造る」ことにあるはずだ。手抜き工事は価格で防止できるものではない。むしろ、市長は、公共事業の進め方の根本的な問題を忘れているように思う。

 公共工事は、まず計画、調査、設計、見積、予算作成、業者選定、現場説明、入札、契約等の過程を経て工事が始まるのだから安く受注したから工事が手抜きになると言うようなことは起こらないはずだ。業者資格選定段階ではその工事を十分完了出来る技術能力のある業者を選定することが可能だし、工事期間中は市の専門技術者が絶えず監督指導をしているはずだからである。仮に、受注金額が安いことから品質の悪い工事になったとすれば、それは市の管理責任が問われることだと思うがいかがか。

落札率の低下むしろ歓迎

 また、落札率の低率化が何か悪いことのように扱われているが決してそうではない。むしろ、談合防止の上でも歓迎すべきことだと考える。それは、低率での落札には談合がまず考えられないし、むしろ、価格を調整する談合を破る結果の入札と考えられるからだ。つまり、最低制限価格の設定されていないことが談合防止に役立っていると言える。

 それを今回廃止して、新制度に改革するというが果たして改革になるのだろうか甚だ疑問に思う。むしろ逆行する制度の導入だと思えてならない。その思いが杞憂であることを願う。

 

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住基ネット差し止め訴訟をすすめる和歌山の会

田島泰彦教授を招き講演会

コードなくそう 『監視社会と住基ネット』

「住基ネット差し止め訴訟をすすめる和歌山の会」は6月21日,和歌山市内で第1回記念講演会を開催しました。講師に上智大の田島泰彦教授(メディア法専攻)を招き、同教授は、「監視社会と住基ネット」と題して講演しました。

 田島教授は、住基ネットの危険性についてこう解説しました

 「国家機密法と同じ法を意味する防衛秘密法が自衛隊法改正という形で制定」され、「有事関連法制も成立された」など、日本は、「戦争する国へと制度を整えつつある」として、「戦争と監視社会とはリンクする」といいます。それは、「戦争を遂行するときには国民の様々な権利は一切認めない」し、「国民に戦争反対といわせないようにする」ことが求められ、いざというそのときに備え、「平時から国民の動向を管理することが必要」であることから、「徴兵のシステムも平時のうちに構築を考えている」と言うのです。そして、これらを可能にするのが「住基ネット」と指摘します。結局、「こんな恐ろしい仕組みを作らせてならない」と強調しました。

 また住基ネットは、「全国民に一生涯一つの番号を付し、一元管理するシステム」であり、「全国民の情報を一元管理するシステムは世界に類をみない」ものだと言います。「もし、不正に使われたり漏洩したら、全国民の情報の流出という深刻な被害を被る」ことになり、本来、「全国民のデータベースは作らない」のが国の姿勢だと指摘しました。そして、住民票コードたる番号が、「国民に生涯一つの番号ゆえに整理しやすく」、「汎用性があり、番号をもとに結合しやすい」し、「検索しやすい」ことが危険と言います。しかも、利用について、「限られた事務にするとしていたが、すでにいとも簡単に96事務から264事務に拡大」され、「今後もどんどん拡大される」危険が大きいと言います。やがて、住民票番号が「納税者番号や社会保険番号」となり、その番号で「教育歴や犯罪歴、病歴までもが管理されるようになる」と。そうなると、管理する側が「キー一つでその人間がどういう人間かが瞬時にわかる」ようになり、国民は、「私生活がなくなり、丸裸になる」と指摘しました。そして、「個人情報保護関連法が成立したが実質的な保護は整っていない」と批判します。また、「いくら保護する仕組みができても、住基ネットは許してならない」、と強調しました。

同会では、住基ネットの差し止め訴訟の原告と「すすめる会」の会員を募集しています。問い合わせは事務局まで。

 

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  市職員海外(ラスベガス)派遣研修費返還請求訴訟

 この間,6月10日に裁判がありました。通算13回目です。

 この日,職員で2人目の同行者である北野壽彦氏の尋問が行われました。

 この日の北野氏の証言には,不自然な証言が随所で見受けられました。

 とりわけ,旅行費用の支払について北野氏は,最初の旅行日程ができた3月23日以前には旅行費用が確定していないので支払っていない旨証言。しかし,当方が入手していた旅行会社の旅行費用の領収書には,3月21日に旅田氏から全額また,同日に北野氏が40万円受け取ったことになっていました。この証拠を阪本弁護士から法廷で突きつけられた北野氏は,一時証言不能に陥るという印象的な場面もありました。

 また,楠本建設の社長や石泉閣建物所有女性とはじめて出会ったのは,手荷物検査をした後,近畿ツーリストの係の人に案内されたコーヒーラウンジだったと証言します。しかし,この証言は事実と明らかに矛盾します。それは,手荷物検査を受ける際には搭乗券が必ず必要です。ところが,近畿ツーリストの人は搭乗券がないのでここを通過して以降の所には入れないからです。このように北野氏の証言は随所で矛盾に満ちたものでした。

 そして,裁判所は,引き続く証人調べについて,当方が申請していた旅田元市長や楠本建設社長と,泉閣建物女性所有者らの採用をすべて,必要ないとして「却下」しました。
 次回,最終弁論を行い結審の予定となりました。次回裁判は,8月5日午前10時からです。

 

石泉閣借り上げ費用差し止め及び返還訴訟
                                     


 6月19日AM11:00〜に,11回目の裁判が行われました。この日も,弁論準備手続きでした。

 この間に,これまでもお伝えしてきました公金支出差し止め請求を取り下げる手続きをなし,損害額の請求額については拡張をなしました。請求合計額は2億5454万0146円となりました。これは,今年の3月末で,同事業が廃止されたことに伴ってなした手続きであり,請求額は,廃止までに支出された総合計となっています。但し,石泉閣に出向していた市職員の給与部分は含まれていません。

 旅田氏側は,この請求に対し全額が損害にならないとする主張を詳細に準備するとして次回日程が少し先になりました。

 次回期日は,9月3日AM10:00〜の予定です。


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7月14日 PM4:00〜
   ニュース発送作業日

7月16日 PM7:00〜
   住基ネット差し止め訴訟をすすめる和歌山の会事務局会

7月23日 PM6:00〜
  第2回全員会議

8月 1日 PM2:00〜
住基ネット差し止め訴訟提訴

8月 5日 AM10:00〜
市職員海外派遣研修費(ラスベガス)  返還請求訴訟
最終弁論,結審予定

8月30日〜31日
   全国大会  於:仙台 

9月 3日 AM10:00〜
公金支出差止及び返還請求訴訟
(石泉閣事業)
9月24日 PM6:00〜

第3回全員会議


 

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