目 次

新年を迎えて
コスモパーク加太債務負担問題
投稿 『オンブズマン』

裁判情報
今後の予定

 

No.41

発行日2004 120


新年を迎えて


代表 松井 和夫


 21世紀も4年目。この間、内外ともに、悲しい出来事、嫌な出来事がほとんどでした。今年こそ、よい年であって欲しいと願う方も多いと思います。

 しかし、新年早々の小泉首相の靖国参拝や自衛隊のイラク派兵、アメリカの入管での指紋・顔写真強制など暗い幕開けとなってしまいました。私の大好きな平和を基調とする日本国憲法や、自由の国・民主主義の旗手を自認していた国アメリカはどこへ行ってしまったのでしょうか。

 小泉首相は就任当初「政官財のしがらみで、無駄な予算が使い放題に使われていくのを是正したい」と仰いました。八割を超える国民はその言葉を信じ、小泉首相に期待しました。しかし、その期待はことごとく裏切られ、「政官財のしがらみ」は強化され、さらに「政官軍財のしがらみ」に発展しそうです。肝心の改革は進まず、巨大な借金を抱え込み、未だによくなったことなど何一つありません。ぶっ潰すといった「自民党」は健在で、懲りもせず選挙違反を繰り返し、利権争いに明け暮れています。

 和歌山も負けじと、借金まみれ。年末にはコスモパーク加太の巨大な借金まで抱え込むことになりました。銀行は助かり、行政責任は不問。将来の子供たちの肩には国と県市の借金が重くのしかかります。

 最近、国や自治体の情報公開が進む一方で、情報隠しが巧妙になっています。肝心の情報が闇の中。また、住民訴訟を困難にしようとする露骨な動きもあります。

 今、国の財政、対外関係、医療、福祉、教育、環境問題、民主主義など多くの問題で崖っぷちに立たされています。

 この逼塞した状況を打破するためには、諸外国と相互信頼に基づく友好関係を築くよう努力すること、民主主義の原則に基づいた諸改革をすすめることが必要です。そのためには個人情報の保護と徹底した情報公開が不可欠です。行政を透明化させ、腐敗、不正を許さないために、市民オンブズマンが果たす役割はますます大きくなっています。

 会員の皆様に、私たちの運動を支持してくださっている皆様に、いっそうのご尽力ご支援をお願い申し上げます。


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コスモパーク加太債務負担問題 

県議会,県民への巨額の負担を承認

将来にそのツケを先送り

 当会が、経営悪化のツケを、何の責任もない私達の子供や孫に押しつけるものであるとして、その不当性を訴え、県議会での否決を呼びかけていた「コスモパーク加太」事業に関する県土地開発公社の返済不能となった債務問題で、県議会は昨年12月16日、県知事の提案どおりの処理策を認める議案を可決しました。

 これは、公社が返済不能となった金融機関からの借入金438億円について、昨年7月の申立後、和地裁の特定調停において、県が関与し破綻処理を回避することを前提に、債務処理策の話し合いが行われていました。議会に提案された債務処理策は、5社中4社の金融機関の合意が得られた段階で、県と合意者らが求めたことから11月25日に和地裁が「調停に代わる決定」として下したものです。「決定」は、当事者のいずれかが異議を申し立てるとその効力がなくなります。そこで県は、「異議申立をしない」ことの承認を求めて県議会に提案していたものです。

県民に負担を押しつける債務処理策

 県知事らが合意していた和地裁決定の債務処理策は、要約すると次のとおりです。

 まず、438億円について借り換え弁済をする。公社が新たに借り入れる438億円の債務に関し、

@ 県はコスモの土地を20年間借り上げ、県が負担する借り上げ賃料121億5000万円のうちから公社は65億円を返済する
A コスモの土地を2033年3月末までに売却してその代金を返済に充てる。土地には108億円が優先弁済されるよう根抵当権を設定する
B 残債務265億円については県が債務保証する(つまり、弁済期が到来したときに、残債務265億円の範囲で県が弁済するという約束)
C 金融機関は、金利4年分を免除する
と、いうものでした。

 コスモの土地の評価が165億円と言われています。しかし、金融機関はその土地に根抵当権の評価として108億円しか認めていません。つまり、実質の土地の価値は105億円でしかないと見なしているのです。弁済期限が30年後ですが、その間に、その土地の価値が3倍強に高騰して残債務である108億円と265億円の合計373億円(438億円から賃料で支払われる65億円を差し引いた残金)が完済される見通しがあると誰が予想できるでしょうか。まったくの夢物語であり、負担を押しつける県知事もそのようなことは言っていません。

返済される見込みのない265億円の保証

 つまり、返済される見込みのない265億円の債務保証は、県民の税金で将来支払うことを約束するものであり、将来にそのツケを先送りして県民に過大な負担を負わせるものです。それでも借り換え前の債務に県が明らかな法的責任をおっているのであれば致し方ないでしょう。しかし、借り換え前の債務には、何の債務保証もしていず、また、公社は県とは別の法人であることから直接責任を問われるものではなかったのです。むしろ、金融機関側には、貸付時に、土地に担保も設定せず債務保証も得ずに、自己の損益計算の下に貸し付けていたことから、返済されず不良債権化しても自己責任の範疇というものでした。

 つまり、県には一切法的な責任がなく、負担の拒否が可能な債務というものでした。そうであったにもかかわらず、県民に巨額の債務負担を負わせるというのですから、如何に反県民性の行為であったかがわかるというものです。そういうことから、議会での否決を呼びかけていた次第です。

反対した7名の県議

県議会では、残念ながら可決されてしまいましたが、44人中、
  雑賀光夫氏、
  藤井健太郎氏、
  松坂英樹氏、
  村岡きみ子氏、
     (以上 日本共産党)

  浦口高典氏、
  玉置公良氏、
  原日出夫氏
    (以上 新生わかやま)

 の7名の県議が反対しました。

 推し進めた県知事と、これを承認した県議らの反県民性を、これからもきびしく追及していきましょう。

 

 


投稿
『オンブズマン』

 
    田 端 宣 貞

 

 大阪府茨木市に引越してきて一年半たった。その間ずっと、引越しするまでその会員だった「市民オンブズマンわかやま」から隔月に発行されている「ニュース」が送られてきた。

 この程送られてきた四〇号には「ラスベガス海外研修旅費返還訴訟」という記事が載っていて「全面勝利判決」という大きな活字が踊っている。その訴訟というのは、オンブズマンが取り組んできた和歌浦の料亭石泉閣に絡む前和歌山市長の不正疑惑の一環で、前市長が石泉閣の若女将や建設業者を伴っての私的な海外旅行に市職員を同行させ公金を支出したことに対する旅費返還請求住民訴訟で、旅田前市長に百四〇万円を和歌山市に支払うよう命じる判決が言い渡されたというものである。

 一方、新聞報道(朝日)によると、石泉閣前市長が関わって背任罪に問われた事件の初公判が行われ、若女将と前市長が三年前の四月頃に「愛人関係」になり、愛人の歓心を買うために石泉閣の借り上げを企て、食費などとして二十四回にわたって計五百万円を渡したこと五回も一緒に海外旅行をしてその費用計四百万円も前市長が準備したことなどが指摘された。「市民オンブズマンわかやま」が旅費返還訴訟を起こした海外旅行も、石泉閣若女将との不倫と建設業者との癒着という二つの野望を満たすために企てた「海外研修旅行」だったのである。

 そして問題の背任罪容疑であるが、その内容は、若女将らの生活の安定のために月額一四〇万円で約二十年間石泉閣を借り上げる契約を市に結ばせ、敷金や賃料など計四九〇〇万円の損害を与えたというものである。

 この初公判で前市長は「和歌浦振興が目的で職務違背はない」と全面否定し若女将川野被告も「背任の行為、認識はなく共謀もない」と主張している。罪状認否で前市長は、市長就任後に和歌浦振興に尽力したこと、彼女を共犯というのは論外、早急に釈放してほしいなどと熱弁を振るったそうだが、「愛人関係」になったことは認めている。どんなに背任の罪を否定したところで、愛人の歓心を買い不倫を続けるために市長の地位と権限を利用し、市議会、市幹部を巻き込んでの汚職・背任容疑であることは誰にでも察しがつく。

 私はこのような不届きな市長の存在を許し不埒な行為に対する十分なチェック機能を果しえなかった市監査委員や市議会議員の無責任さ無能力さにあきれるとともに、こんな者たちに高い給料を与えている和歌山市民が哀れに思えてならない。

 私は一昨年の「市民オンブズマンわかやま」で一緒にこの問題にとりくんだ日々のことを思い出す。オンブズマンは「ニュース」発行と同様に隔月に開かれていたが、一昨年のそれは、県のカラ出張やカラ購入問題は一段落して、焦点は和歌山市に向けられ、入札談合や市議員の市政調査費問題とともに、市長の石泉閣に絡む不正疑惑が重点的に取り上げられていた。

 順序はよく覚えていないが、前市長が市職員を引き連れて海外研修旅行をしたその日程と研修内容が問題になった。旅行会社から手に入れたスケジュールを見ると、一週間ほどの日程で、研修の目的であるオランダの大学とアメリカの大学を視察したのは数時間に過ぎず、ほとんどアムステルダムの運河巡りやラスベガスの賭博見物を含む、明らかに観光旅行と分かる日程だった。それが後に旅費返還訴訟として結実するのだが、その問題追及の過程で、前市長が愛人と建設業者をも同行させたことも分かってきて、モウモウと黒い霧が立ち込めてきた。

 その問題と重なるようにして、市が和歌浦の料亭石泉閣を迎賓館として利用するための借り上げ計画が進んでいるが、その裏に前市長がそこの若女将と不倫の関係にあるらしいこと、その愛人らの生活補償のための借り上げ計画であるらしいことも分かってきた。

 そんな折も折、週刊誌に前市長が女性とホテルで密会している写真が載せられ、その写真のコピーが例会で皆にみせられ、一同呆気に取られたこともあった。

 そのように、真剣に前市長の汚職・背任容疑の追及に取り組み、メスをいれてゆき腑分けしていって、白日の下に曝すように究明していったのは、オンブズマンが市民の税金をムダ遣いさせはしないぞとの、執念にも似た固い意志の現われであった。

 なるほど和歌山市議会で公費によるアムステルダムやラスベガス観光旅行の疑いや料亭石泉借り上げ問題が取り上げられて辞職勧告もされたことはあったが、前市長を窮地に追い詰めることはできず、前市長は辞職勧告などどこ吹く風とあざ笑い、嘗めきっていたではなかったか。

 これまで述べてきたような、「市民オンブズマンわかやま」の熱心な取り組みがなかったならば、前市長の汚職・背任容疑もこれほど明確な形で浮かび上がってはこず、あるいは曖昧な形でうやむやに終ってしまったかもしれない。

 広い和歌山県で、総選挙の民主党立候補者がたった一人にしか過ぎないという遅れた政治風土や、不正や不公平が充満していても諦めに徹しているような無気力な精神風土の中で、一人「市民オンブズマンわかやま」が強靭な良心と正義感で屹立している。

 

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市職員海外(ラスベガス)派遣研修費返還請求訴訟

 一審勝利判決後,昨年の11月12日付で,旅田ら相手方3名から控訴の申立がありました。と言うことから引き続き大阪高裁において審理が行われます。すでに相手方らの控訴の理由書が提出され,それに対する答弁書等を当方が準備しているところです。

 控訴審の第1回は,2月18日10時30分から予定されています。

 なお,相手方らには新たに2名の弁護士が代理人となりました。

 

石泉閣借り上げ費用返還訴訟

 この間11月26日と1月13日にありましたが,1月13日については,相手方の弁護士らが病気等を理由に出席できず,事実上延期されました。
 相手方には2名の大阪の弁護士が新たに代理人となりました。上記の2名と同じ弁護士です。

 次回期日は,2月5日午後1時30分からです。

 

グリーンピア南紀損害賠償請求訴訟

 第1回の期日が12月16日にありました。この日は,訴状とそれに対する相手方の答弁が陳述されました。相手の詳細な主張はこれからです。

 次回3月2日午前10時と決まりました。少し先の期日になりましたが,相手方がそれまでに完璧な主張を準備するということから,日時的な余裕を確保したということです。

 

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1月20日 PM4:00〜
   ニュース発送作業日

1月27日 PM1:10〜
  住基ネット差し止め訴訟

1月28日
  第5回全員会議

2月 5日 PM1:30〜
  石泉閣事業費返還請求訴訟

2月18日 AM10:30〜
  ラスベガス旅費返還請求訴訟(控訴審:大阪高裁に於いて)

3月 2日 AM10:00〜
   グリーンピア南紀損害賠償請求訴訟

3月24日 PM6:00〜
  第6回全員会議

 

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