目 次

県・談合損害金監査請求
和歌山市・2件の住民監査請求
旅田前市長の「裏金」プール金と市長室の冒涜
警察の裏金疑惑の点検活動
第11回全国市民オンブズマン函館大会
裁判情報
今後の予定

 

No.44

発行日2004 720


県・談合損害金監査請求
公共工事45件の談合を追及

損害金約3億6800万円を請求

 当会は、7月16日(金)、県監査委員会に対し、樺原組ら7社が県発注・公共工事の指名競争入札の際、入札業者間で事前に受注調整を行うという違法な談合受注による県の談合損害金約3億6800万円を、県知事が当時県海南工事事務所所長であった堀口や受注業者と談合に協力した入札参加業者らに賠償金を求めるように住民監査請求を致しました。

 監査請求は、樺原組が28件、叶川組が4件、日産建設鰍ェ2件、大鉄工業鰍ェ3件、滑ロ山組が3件、神出建設企業鰍ェ1件、和歌山建設鰍ェ4件の合計工事数45件、総請負工事額約18億4055万円にかかる請負工事が談合受注だったとして、損害額合計約3億6811万円(請負金額の20%)の損害賠償するよう求めています。

 これは、01年末ころに表面化した98年〜99年度当時、県海草振興局建設部海南工事事務所長であった堀口芳宏と、樺原組の代表取締役だった中原廣行とにかかる贈収賄事件に関する有罪刑が確定し た捜査記録の供述に明確なもの及び関連資料から談合が判明したものです。

 談合工事は、JR海南駅連続立体交差事業に伴う高架側道工事(JR近接工事を含む)と、日方川床上浸水対策事業に伴う工事として県(海南工事事務所等)から発注された工事及び、樺原組にかかる前述の2つの事業に伴う工事以外に、県(海南工事事務所)から発注された一般舗装工事等にかかるものです。

 JR連立事業関連工事は、樺原組7件、叶川組4件、大鉄工業鰍R件、日産建設鰍Q件を受注しています。

 その内、樺原組、叶川組、日産建設鰍フ3社の受注は、捜査記録上、談合受注したことが明らかです。これらについては、堀口元所長が、意図的に樺原を入札参加業者に選定してやったり、予め落札業者を決めて談合を主導したりあるいは、入札参加業者の選定に談合がやりやすいように5社(受注4社に鉄建建設鰍加えた5社)の選定を繰り返すなどの便宜を図っていました。

大鉄工業鰍ヘ、堀口元所長が、談合がやりやすくする意図をもって選定した入札参加業者たる5社のうちの1社であり、前述の3社の入札の際、同5社で受注調整を行い同社が落札しない形で協力したことが明らかである上、工事場所も、受注業者間で事前に調整したことを示す形で明らかに整然と区別されていることなどから談合と解されます。

 

 日方川浸水対策事業に伴う工事の談合は、樺原組3件、滑ロ山組3件、神出建設企業鰍P件、和歌山建設鰍S件を受注している工事です。

 その内、樺原組の談合は捜査記録上の供述により明らかです。その際、樺原は、事前に業者間で、樺原組の受注区間が、日方川に掛かる新町橋から東橋との間の工事と決まっていたと言います。

 滑ロ山組、神出建設企業梶A和歌山建設鰍フ3社については、前述のように樺原組の受注区間が予め決まっていことからすると、他の部分においても予め受注区間が決まっていた蓋然性が高いと解され、同事業に伴う工事において談合が常態化していた可能性が高いこと。また、樺原組受注分の入札参加業者が当該3社を含む8社あるいは9社であるところ、当該3社の受注分も、同一の8社あるいは9社であること。つまり、8社あるいは9社は、樺原組受注分において談合入札に協力している談合協力グループと言え、当該3社の受注分においても樺原組受注分と同様に談合協力グループで調整していたと解されること。さらに、いずれの落札率も、樺原組が談合落札した落札率と同等の設計価格に近接する高率の落札率であることとを考え合わせて談合と解しました。

 また、樺原組受注の一般工事については、98年〜99年度に発注された20件(入札実施分)の工事のうち18件について談合としました。 樺原組は、常態的に談合を行っていたと言います。そして、入札の際、すべての工事について堀口から設計価格の教示を受け、事前に談合が成立した場合には、設計金額に近接する価格を割り出して応札し、一方、談合が成立しなかった場合には、聞き出した設計金額から最低制限価格を予測して、応札していたことを明らかにしています。そういうことから、堀口が海南工事事務所所長として在籍した2年間に樺原が受注した工事のうち、落札率が最低制限価格に近接する70%台が自由競争と言えるし、一方、落札率が90%台が談合と解され、その件数が18件です。なお、80%台は存在しません。

 談合により県が損害を被っていることは公知の事実です。このことは、同種談合損害金追及裁判で当オンブズマンが提起した民訴訟の判決において述べられていることから明らかです。

 次にその損害額が問題となりますが、前述の判決は、談合損害金を落札金額の13%としましたが、その後の他の同種の裁判において20%とする判決が散見されることから、同様20%と見なしました。

 なお、中原は堀口元所長に対し、常態的に指名業者に加えてもらっていたり、設計金額を常に教えてもらっていたなどの便宜を受けて利益を得ていた見返りと今後の便宜を期待して、多額の金品の提供を行っていました。また、中原は、ここ数十年来(事件当時)役所の方々に、とりわけ、堀口の後任者にも高額の付け届けをしたことや、県の出先機関と海南市の職員を中心に、中元や歳暮の時期に必ず付け届けを送っていたことも明らかにしています。中元やお歳暮の提供と受領が直ちに犯罪行為に結びつかないものであるとしても、このような慣行が引いては、贈収賄へと発展する温床となりうるものであり、倫理的にも好ましくないと言えます。このような提供と受領が横行していたことは県民として看過できない事実です。

 談合損害金の賠償を求める行為は、本来知事がすべきです。しないことが違法だとする判決がでていることからも明らかです。本件では、有罪が確定してから相当経過していますが、知事において、未だに何の措置も講じていません。無責任な知事をきびしく非難致します。

 従って、当会で追及することにした次第です。

 

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和歌山市・2件の住民監査請求

詐欺・談合両損害金を追求

市、詐欺損害賠償を提訴へ

 当会は、6月に2件相次いで和歌山市の監査委員に対し、詐取損害金3346万5400円と談合損害金約2400万の損害賠償するよう求める住民監査請求を行いました。

 これらは、いずれも00年ごろに表面化した詐欺及び競売入札妨害や贈収賄事件に関する刑事捜査記録から明らかになったものです。

 詐欺は、公金を詐取したことが明らかな93年から97年の間における5件合計約4300万円のうち、すでに弁済をしていた966万円を除いた金額の損害金です。

 そして、詐欺に関する監査結果が7月12日付でありました。結論は、市長が7月9日に、当該内容の本訴を提起したことから、私達の措置を求める事項が解消されたとして棄却という結論でした。

 なお、私達の損害額は約3346万円でしたが、監査の中で別の詐取金と返還額があったとして、市が被っている損害額は4849万2900円だとしています。

 この監査結果は、実質において私達の目的を達したことを意味しますので監視活動の成果と言えるでしょう。もっとも、私達市民から監査請求されるまで法的措置も採らず放置してきた市長の対応には問題があると言えます。市民の信頼に応えるためには、市民から要求されるまでもなく、損害を被っていることが分かった時点から遅くない時期に法的措置をすべきであったと言えます。このような対応から考えて、裁判の成り行きにも注視していく必要があると言えます。

 談合損害金の監査請求は、 渇ヘ北建設が入札の指名に選ばれる楠見地区だけの工事にかかる93年〜99年の7年間に発注された27件の工事のうち平井と市小路地区の工事として落札した12件のうちの6件について渇ヘ北建設の代表者が談合を認めているものです。損害額は、渇ヘ北建設が落札した12件のうち談合不成立 の6件の平均落札率81.688%をもとに、自由競争による推計落札額を算出して、実際の落札金額との差額金を損害額と見なしました。

 すでに7月9日に意見陳述が行われました。その際、談合損害金の請求権が時効により消滅するおそれがあることから、仮に消滅時効にかからしめた場合には、大橋市長に賠償を求める勧告も追加して陳述しました。

 なお、意見陳述が地方自治法が改正されたことから公開の場で行われるようになりました。 

 

 

 


旅田前市長の「裏金」プール金と市長室の冒涜

 S  生

 暴力団組長とのビデオ問題、石泉閣借り上げ問題、愛人との公務に名を借りた海外旅行、不老館用地買収を巡る収賄問題、収賄と背任容疑による逮捕、拘置所内からの市議会議員立候補、同トップ当選等々。嘗ての新聞紙上を毎日のように賑わし我々市民を怒りと失望に落としいれ、一躍和歌山市の悪名を全国津々浦々にひろめた旅田前市長。

 和歌山市民であることの恥ずかしさを思い知らされて、少しは汚名も消えかけていると思っていた矢先の新聞紙上の社会面に、「旅田前市長」、「市長室引き出しに3300万円」との文字が躍っていて目に飛び込んだ。覚めかけた悪夢の再来か。彼の市長時代、当選祝いなどの現金3300万円を税務申告もせず市長机の引き出しに入れていて、愛人との海外旅費に充てていたことを、公判廷で認めたというのである。

 とんでもないことである。脱税行為も許せないが、単なる所得隠しによる脱税行為と済まされる問題でもなかろう。「表」に出さないで個人の裏金として市長机の引き出しにプールしていて、不純な使途に使うこの感覚。また、それが許されてきた環境についても問いかけてみる必要があると思う。市職員の採用に絡む収賄問題で辞職した尾崎元市長が、贈収賄の黒い金のやりとりを市長室で行っていたことを思い出すにつけ尚更そう思う。

 3300万円もの現金。一般庶民にとっては多額の金である。多くの庶民には、一生働いても蓄えかねる金額ではなかろうか。そのような額を単に当選祝いだけで、蓄えられたのだろうか。祝い金の常識的な金額(市民感覚では多くても5万円)でそんなに集まるとも思えないがいかがだろう。むしろ、祝い金の常識をはるかに超える金額を受領していたからの蓄積と見られる。仮に、常識をはるかに超える金額の受領があったならば、それは寄付に値し、政治資金規正法に抵触する問題となろう。もっとも、先の尾崎元市長のような黒い金が含まれている疑いも払拭できないのである。

 いずれにしても、市長室が、黒い金のやりとりや個人の不純な「裏金」の隠し場所として2代の市長に悪用されてきたことも直視する必要があろう。市長室が、真正な場所ではなく、不正、不純を覆い隠す場所だったのであるから、ことは重大である。市民が外から見えるガラス張りの市長室もあながちないがしろにできない。作り替えることも検討に値しよう。
 もっとも、根本的には、不正をしない清潔な市長を選ぶことにあろう。そう言う意味においては選ぶ側にある市民の責任が重たい。耳障りのよいことをいって市民を騙す候補者の方が悪いと言えるが、選ぶ際、その人の資質を見抜く力も必要と言えよう。

 市長室を冒涜してきた旅田前市長には、もはや市長や議員としての資質のかけらもないと思うが、いかがか。

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警察の裏金疑惑の点検活動

情報提供を呼びかけ資料請求

偽名領収書などを公開請求

 全国市民オンブズマンでは、北海道や福岡県、高知県などの警察で裏金疑惑がある捜査費(国費と県費)の公開請求を各地のオンブズマンに、また、関係者に情報提供の呼びかけを行っています。

 当会も、公開請求を和歌山県警に対し、これまでに3回行いました。1回目は、捜査1、2課及び、岩出署と新宮署を対象に、98〜03年度(過去6年分)の支出明細資料とその証拠書類、2回目は、偽名領収書の資料、3回目は、捜査費が適正に支出されたかどうかの自主調査の資料の公開を求めました。

 公開請求に対し県警は、98〜00年度の3年分を門前払いにしました。これは、公開条例の適用開始以前の年度分であることから適用対象外ということを理由にしてます。しかし、仮にそうだったとしても任意に公開することに何の支障もないことから公開する気があれば任意提供して公開することは充分可能でした。また、公開の対象となる年度の01〜03年度分にしても、警察官らで飲み食いした激励費のみ証拠書類とともに一定公開しましたが、その他の捜査費に関する個別支出名、用途名、金額及び、証拠書類はすべて非開示でした。公開すると捜査に影響を及ぼすおそれがあると言うのが主な理由です。そのような「おそれ」が、実際的にはあるのか理解しがたく、むしろいかにも抽象的であり具体的なおそれがあるとも思えません。「おそれ」を奇貨として、見せたくないのが本音と思われます。

 偽名領収書の公開請求は、文書が特定できないとして非開示とされました。

 自主調査資料の公開請求は、偽名領収書が特定できないとする判断を、自主調査をした上でなしたか否かを確認するために行ったものです。これに対し県警は、「作成していない」として非開示にしました。つまり、自主調査を行わず、偽名領収書が特定できないことを認めたことを意味します。とんでもない怠慢です。

 なお、これらの結果は、全国で集計し8月の全国大会で報告する予定です。


   情報の提供先は次のところです。
   HPアドレス (クリック) 
   電  話  073-433-2241(担当・畑中)

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 第11回 全国市民オンブズマン函館大会
 行財政の密室に光を

警察ウラ金から巨大ダムまで

2004年8月28日〜29日 函館

  詳しくは 道南市民オンブズマン実行委員会のサイト (クリック) をご覧ください

  参加申し込みは事務局まで(連絡先073−433−2241 畑中)

 

 

 

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  市職員海外(ラスベガス)派遣研修費返還請求訴訟

                                   

 5月28日,旅田前市長に対する尋問が和歌山地方裁判所第2号法廷において,大阪高裁の裁判官が出張してきて行われました。その後,7月7日に裁判が行われ,審理が集結しました。9月22日午後1時15分から判決です。

石泉閣借り上げ費用返還訴訟

 この間7月9日に行われました。この件については,旅田前市長が背任容疑の刑事裁判が進行していることから,刑事裁判で明らかとなった事実について,当方の民事裁判において,証拠として活用することを考えていることから,当方の民事裁判の進行を急がせていないという事情があります。
次回は,弁論手続きとして,10月8日午前10時30分からの予定です。

グリーンピア南紀損害賠償請求訴訟

 第5回の裁判が7月13日に行われました。相手方に対する反論の主張を行いました。
 なお,相手方は,グリーンピアの債務負担問題について,他の全国各地にあるグリーンピアについて,破産を選択したところがないなどと主張していましたが,高知県にあるグリーンピア土佐横波は,破産申請をし即日破産決定がなされています。また,破産申請する前の段階で,住民から監査請求もなされており,監査委員の意見として,これ以上県民に負担を負わすべきではなく破産を選択すべきとして,銀行からの債務負担についても県民の血税で負担すべきでないとしています。当県の監査結果とは天と地の違いの内容でした。
当日,木村知事の証人調べを要求しましたが保留となりました。次回その判断がなされる予定です。次回は,9月14日午前10時からです。

 

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7月20日 PM4:00〜
   ニュース発送作業日

7月28日 PM6:00〜
第2回全員会議

8月 3日
    住基ネット事務局会議

8月10日
    住基ネット学習会

8月28日〜29日
  第11回全国大会 於:函館 

9月 7日 PM1:30〜
住基ネット差し止め訴訟

9月14日 AM10:00〜
   グリーンピア南紀損害賠償請求訴訟

9月22日  PM1:15〜
   ラスベガス損害賠償請求控訴事件
   (判決)

同  日 PM6:00〜
第3回全員会議

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