目 次

第11回全国函館大会開催
警察の情報公開
全国入札調書の分析結果
和歌山市・談合損害金監査請求記事4
裁判情報
今後の予定

 

No.45

発行日2004 913


第11回全国函館大会開催

警察問題シンポジウム

実名告発の元警察官ら出席
捜査費いったんすべてが裏金に!

 さる8月28と29日に、第11回全国市民オンブズマン函館大会が、「行財政の密室に光を――警察裏金から巨大ダムまで」と題して行われました。全国から約500人が集まった大会には、和歌山から阪本代表はじめ3名が参加しました。

 大会は、1日目に、大谷昭宏氏(ジャーナリスト)による警察問題に関する基調講演があり、警察問題パネルディスカッションが行われました。パネラーに、同大谷氏、佐藤一氏(北海道新聞)、原田宏二氏(元道警釧路方面本部長)、斉藤邦雄氏(元弟子屈署次長)、市川守弘氏(弁護士)を迎え、清水勉弁護士がコーディネイトしました。

 「道警裏金疑惑」の追及は北海道新聞(略して「道新」)が大きな役割を果たしていました。その発端が、昨年11月23日テレビ朝日の「ザ・スクープスペシャル」番組が旭川中央署の内部資料もとに報じた「報償費裏金疑惑」。同じ内部資料を入手した道新は、警察の圧力を恐れず「取材班」を組み、まず捜査報酬費を受け取ったとする捜査協力者にあたります。受領を明確に否定した捜査協力者に加え、旭川市内の男性2人は、報償費が支払われた97年には既に死亡していたことが判明。明らかな偽造。このような取材をもとに、同25日から道新の追及報道がはじまります。

 市川弁護士らも道民として、12月12日に、この「報償費裏金疑惑」について損害補てんを求める監査請求をなし追及をはじめます。

 このような流れをうけて道警最高幹部のひとりだった原田氏が、本年2月10日、報道陣を前に道警で裏金づくりをしていた、と実名告発します。

 道新は、この間100本を越す記事を書いたという。77日間で100本、いかに追及報道が徹底してなされていたかが分かります。

 原田氏は、「証言したきっかけに、『稲葉事件』がある。稲葉刑事が銃器捜査を担当していた。拳銃の情報は金を使わないと絶対とれない。捜査費は裏金に回っている。だからみんな自腹を切って情報をとっていた。とうとう自腹でまかなえず覚せい罪の密売に手を染めてしまったのが稲葉事件。これは捜査費の組織の問題が根本にあるが、彼個人だけの罪にされてしまった。彼を弁護したいと思っていたがうまくいかなかった。ひとりで動いても巨大組織を相手に戦えない。

 組織の是正に、これが最後のチャンスと思い実名公表にふみきった。」、と語ります。

 道警弟子屈署で裏金の「金庫番」だった斉藤氏。裏帳簿をもっていたのです。原田氏告発に触発されて数日後、斉藤氏は、その裏帳簿を道新に提供、裏金づくりの実態を克明に証言します。道新は、「物証」をもとに同2月26日、「弟子屈署で裏帳簿」と報道。この際はまだ匿名でした。しかし、その後すぐに斉藤氏は、実名公表を決意します。 決意してすぐに市川弁護士のもとへ。 市川弁護士は、斉藤氏と2人で弟子屈署の裏金づくりに関し、監査請求という挙に出、記者会見を行います。3月1日のことでした。裏金づくりをしていた当人が裏帳簿を添えて市川弁護士とともに監査請求を行うのですから、道警がいかように否定しても疑惑解明にこれ程確かなことはないでしょう。

 斉藤氏は、「原田さんは『使う人』、私は『作る人』だった。そのために、原田さんは物的証拠を持っていない。自分が口をつぐんだために原田さんの行動が無になったら一生後悔すると思い、公表を決意した」、さらに、「妻や子供から『父さん、やるなら本名名乗ってやらなきゃ』と言われ実名公表を決意した」と言います。

 裏金作りの手口について斉藤氏は、「捜査費は、最初いったん全部裏帳簿にいれて、仮に、正規の支出があった時にもそこから支出するようにした。そうしないと殆どが裏支出なのでうまくいかない。裏と表の二重帳簿を最初から作ると非常に煩雑で管理できないからだ。偽造は、数十本の印鑑を持っていたし、印鑑の濃淡にまで気を遣い、筆跡が同じにならないよう他の部署の人に記入してもらい筆跡を変えた。そのうち、情報提供者が後難を恐れて領収書への署名・捺印を拒否することがあるという手法が開発され、随分楽になった」、とあかします。

 大会2日目にも「警察改革」の分科会がありました。

 分科会では、参加していた元群馬県警警部補の大河原宗平氏も体験を発表しました。「96年会計担当職員からニセの書類作りを頼まれ、20枚、12万余りのニセ書類を作成した。不正を糺すと交通指導課から交番勤務に左遷された。レッカー業者が配ったビール券の受け取りを拒否した。」と。その頃から県警観察官の監視がきびしくなった大河原氏は、微罪で逮捕され 不当な形で懲戒免職されますが、「こんな警察はおかしい」と言います。

 原田氏が、「警察の圧力はすごい。実名、匿名で告発した警察のOB、現職のネットワークがつくれないか」と発言。これがきっかけとなり大会では、内部告発をした警察官を守るための全国的な ネットワークをつくることを決めました。同時に、新たに捜査費の情報公開請求をし、全国で弁護団を組んで取り消し訴訟を提起することも確認しました。警察裏金疑惑の追及はこれからです。

 

 

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警察の情報公開

非開示のオンパレード

公開制度に値しない
和歌山県警捜査1課激励慰労費支出 不自然

全国大会では、裏金の原資となっている捜査費の全国調査の結果報告がありました。報告は、全国的に支出先を明らかにした警察本部は無く、唯一、北海道警の弟子屈署だけが、偽名領収書の一部を開示しただけにとどまり、警察の隠ぺい体質が明らかになった、と非難しました。

 これは、捜査費支出に関連して公開請求した@支出先とその証拠書類、A偽名領収書、B自主調査の資料にかかる開示状況などの分析です。公開状況は、情報公開制度に値しない、結論付けました。

 とりわけ、@とAは和歌山県警も非開示でしたが全国的にも非開示のオンパレードであった、といいます。唯一偽名領収書の一部を開示した弟子屈署にしても、一面でお伝えした内部告発からやむなく不正支出を認めた部分の開示であり、一部開示した弟子屈署もけっして誉められる開示ではなく、しかも開示された資料では支出の相手方を窺い知ることは不可能なものでした。

 Bについては、自主調査資料を一部でも公開してきた県が新潟、静岡、香川、愛媛の4県でしかなく、東京都を含む6都県が自主調査をしていないことを理由に開示せず、当県や大阪府を含む14府県が作成あるいは取得していないことを理由に非開示でした。いずれにせよこれら20の自治体は、調査自体に極めて無関心であることがわかります。

 この調査結果を踏まえて全国連絡会は、これほど捜査費についての問題が指摘されていながら、多くの県警は特別な調査をしないまま、世論が通り過ぎるのをじっとまっている状況にある、この体質を支えているのが情報の非公開であり、公開されないことが不正の温床となっていると指摘し、非公開の壁を打ち破ることが必要だと、強調しました。

 さて、当会は、和歌山県警から公開された少ないデータを分析しました。その結果を次のとおり報告します。当県警の2課と2署の支出額については、一覧表にして掲載しましたのでご覧下さい。

 まず、支出額に着目すると、平成12年度の支出額が約2400万であるのに対し、平成13年〜15年度が約1000万〜1200万となつており、13年度から半減なっていることが分かります。この半減を、県警全体で考えると相当の高額になるでしょう。そのような高額がなぜ減額できたのか支出の中味が問われます。もともと支出が適正ならば、減額の余地の幅は小さいとみるのが普通です。ちなみに、13年度から警察情報が開示の対象になりましたので、その際、県民に理解されない支出を見直したと見て取れますが、それだけによけい不信がつのります。

 次に、支出先の領収書が添付されている激励慰労費に着目しました。まず、支出額ですが、同費も減額傾向にあることが分かります。2課と2署のうち、捜査1課が3年間合計で約166万円あり1番高額でることが分かります。その支出を年度毎にみると、13年が92万、15年には31万と約3分の1になっており、3分の2に相当する61万もが減額なっています。この減額は何を意味するのでしょうか。信実、必要な激励費ならば、到底3分の1に減額できるとは思えず、信実激励会でないものも含まれていた疑いがあります。

 さらに、激励費の支出で1番高額な捜査1課を詳しく分析します。

 捜査1課は、3年間に激励会を20回(うち13年度12回、14年5回、15年3回)行い、延べ566人が参加、うち昼食激励会11回、夕食激励会が9回となっています。1人当たりの単価が約2807円〜3000円で、3000円ピッタリが11回もありました。 3000円ピッタリが11回あるのも不自然です。と言うのも、これらの開催場所に、「ホテルシーモア」「白浜グランドホテル」「玉姫殿」「魚民」「華月殿」などがあり、このような施設の支払いは、消費税などが別途計算になっており、端数あるのが普通だからです。しかも11回もあったのですから偶然の一致はあり得ず極めて不自然です。

 また、ピッタリ11回の年度毎の状況は、14、15年の8回分がすべてそうであり、13年は8回中3回となっています。3000円ピッタリでないのがなくなったのも不自然ですが、次に、13年の3000円ピッタリでない8回分に着目します。この8回は、弁当や飲料を購入して県警本部や各署の会議室などで行っています。これらの購入先に、「むらさきや」とするものが5回ありました。その5回はいずれも昼食会です。署内の昼食会にアルコール類の提供は御法度でしょう。「むらさきや」は、和歌山市内にあったアルコール飲料などのディスカウントショップです。購入は、弁当類を別の所から購入したものと、「むらさきや」だけとがあり、1人当たり約「1860」〜「2997」となっていますが、この高額な購入はアルコール類の購入が疑われます。岩出署の支出と比較してみるとそれが顕著です。岩出署の場合、14年5月15日に昼食会を、同年10月21日に夕食会を開催しています。いずれも1200円台の弁当を別に購入し、飲料物などを「酒のワールド岩出店」で購入しています。その際、昼食会の分は、「お茶、コーヒー茶菓子など」を、1人当たり約738円、夕食会の方は、「缶ビール、つまみなど」を、1人当たり1676円分購入したことになっています。一方、捜査1課が14年1月8日に開催した昼食会は御坊署で昼食会を開催しており、その際、地元の弁当「徳豊」で、1人当たり1000円の、購入物の記載はないが多分弁当を購入。加えて、和歌山市内にある「むらさきや」で購入物の記載がないので何を購入したか不明ですが1人当たり約1990円も購入しています。先ほどみた岩出署が「缶ビール、つまみなど」を購入した1人当たり1676円より高額であることが分かります。和歌山から御坊へ持ち込むことも不自然ですが、ビール等を昼食会に出していた疑いも充分あるといえます。

 なお、「むらさきや」の領収証には、印紙の貼付が必要なものに貼付がないものもあり、その上に、領収証には番号が付されていますが、平成13年8月6日のが「93865」、同9月6日のが「93282」、同10月12日のが「90652」と、日付が進むに従い番号が若くなっているという不自然なものもありました。通常、日付が進むに従い番号も進むと考えられるからです。別の際の領収証を添付している疑いもぬぐえません。

 北海道警では、裏金作りを認め、約6億円を返還するとの報道がありましたが、当県もかなり怪しいとの思いを強くしました。

 


全国入札調書の分析結果

節約可能額 県41億、市10億円

地域要件の撤廃と、
 一般競争入札の徹底を ! !

 また、大会では、入札調書の分析の結果報告がありました。
 報告は、入札改革が進むと全国的には都道府県レベルで約2976億円(和歌山県約41億円)及び、県庁所在市レベルで約500億円(和歌山市約10億円)節約が可能としました。


 分析は、都道府県レベルで、03年度の予定価格1億円以上の入札に関し、予定価格に対する落札価格との比率である落札率を比較して行われました。もっとも低い県が長野県で平均率75・6%、続いて宮城県の81・8%で、一方もっとも悪い自治体は島根県で98・2%でした。和歌山県は93・6%でした。そして、それぞれの落札率の分布において、全体の件数に占める95%以上の件数の割合を算出して「談合疑惑度として順位づけも行いました。県は、落札率95%以上が64件中37件あり、率にすると57・8%であり談合疑惑度順位が47中37位でした。

 節約金額は、もっとも低い長野県なみに入札制度を改革することが可能であり、同県なみの落札率と仮定した場合の金額を算出して節約額としています。当県は、なんと約41億円も可能と算出されました。

 同様に、県庁所在市レベルにおいても予定価格5000万円以上について分析が行われました。和歌山市の平均落札率は86・3%でした。また、 落札率95%以上が60件中9件あり、率にして15・0%であり談合疑惑度順位が35中34位でした。長野県と比較した節約可能額は約10億円でした。 この結果、和歌山県と和歌山市を比較すると市の方が入札改革が進んでいると言えます。

また、昨年と比較した全国平均落札率は、全国平均昨年の95・3%に対し今回94%だったことから下落傾向にあるとしました。当県は昨年95・8だったので少し改善が進みましたが、和歌山市は昨年が81・8%だったので、4・5%後退しました。大橋市長になってからの入札改革について当会は、入札制度の後退かと疑問を投げかけていましたが、その心配が現実のものとなってしまいました。
 この全国分析から、長野県や宮城県のような入札改革先進自治体と旧態依然としている後進自治体との差がますますはっきりと開く傾向にあるが、入札改革先進自治体は、一般競争入札を徹底し、地域要件をなくして、「誰もが入札に参加でき」、「誰が入札に参加しているか分からない」制度を普及しているとして、このような入札制度を全国に波及させようと呼びかけました。

 

 

 

 

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和歌山市・談合損害金監査請求

市長、契機に損害金の賠償請求へ

「 監査結果 」 請求事項は解消と棄却!

 当会が6月25日提出した談合損害金の是正を求める監査請求に対し、その結果が8月5日付けでありました。その内容は、和歌山市長が、かかる談合損害金の賠償請求をすることが確認できたので、監査請求事項は解消していると判断し、棄却とする結果でした。

 当会が6月25日提出した談合損害金の是正を求める監査請求に対し、その結果が8月5日付けでありました。その内容は、和歌山市として、かかる談合損害金の賠償請求をすることが確認できたので、監査請求事項は解消していると判断する結果でした。

 これは、00年頃表面化した競売入札妨害事件に関連する刑事捜査記録から明らかになった談合入札です。落札した渇ヘ北建設は、入札の指名に選ばれる楠見地区だけの工事における93年から99年の7年間に市から発注された27件の工事のうちの平井と市小路地区の工事として落札した12件うち、6件について談合落札と同河北建設の代表者自らが認めているものでした。談合損害金の賠償請求ができる期限が時効ですげてしまいそうなことから監査請求しました。

 監査結果によると、市長は、当会が請求の6件について談合があったものと認識し、和歌山市が被っている損害を補填するため、河北建設などに対し、かかる談合損害金と遅延損害金の賠償を7月20日付で、賠償期限8月20日として内容証明郵便で催告した。また、相手方がこれに応じない場合は訴訟を提起する意思を確認した。市長が損害金として請求している談合損害金の根拠は、契約金額と最低制限価格の差額を基準としており、その合計額は2409万4005円としています。この金額は、当会が請求する2401万1673円を上回っていることから、さらに、損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを勧告する必要がなくなった、としています。また、時効の点も内容証明郵便の催告で問題がないとしました。

 市長自ら損害賠償請求をしてくれることは、これまでも当会が望む方向であったし、喜ぶべきことですが、時効寸前まで放置し、当会が監査請求するまで何の動きも見せなかったことは非難に値します。市長が仮に訴えに及んだ場合にも訴訟遂行を監視する必要があると考えます。

 

 

 

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(この間に進展がなかったので,前号を再掲しています。)

市職員海外(ラスベガス)派遣研修費返還請求訴訟

 5月28日,旅田前市長に対する尋問が和歌山地方裁判所第2号法廷において,大阪高裁の裁判官が出張してきて行われました。その後,7月7日に裁判が行われ,審理が集結しました。9月22日午後1時15分から判決です。


石泉閣借り上げ費用返還訴訟

 この間7月9日に行われました。この件については,旅田前市長が背任容疑の刑事裁判が進行していることから,刑事裁判で明らかとなった事実について,当方の民事裁判において,証拠として活用することを考えていることから,当方の民事裁判の進行を急がせていないという事情があります。

次回は,弁論手続きとして,10月8日午前10時30分からの予定です。

 

グリーンピア南紀損害賠償請求訴訟

 第5回の裁判が7月13日に行われました。相手方に対する反論の主張を行いました。
 なお,相手方は,グリーンピアの債務負担問題について,他の全国各地にあるグリーンピアについて,破産を選択したところがないなどと主張していましたが,高知県にあるグリーンピア土佐横波は,破産申請をし即日破産決定がなされています。また,破産申請する前の段階で,住民から監査請求もなされており,監査委員の意見として,これ以上県民に負担を負わすべきではなく破産を選択すべきとして,銀行からの債務負担についても県民の血税で負担すべきでないとしています。当県の監査結果とは天と地の違いの内容でした。

当日,木村知事の証人調べを要求しましたが保留となりました。次回その判断がなされる予定です。次回は,9月14日午前10時からです。

 

 

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9月13日 PM4:00〜
   ニュース発送作業日

9月14日 AM10:00〜
   グリーンピア南紀損害賠償請求訴訟

9月22日 PM1:15〜
   ラスベガス損害賠償請求控訴事件
   (判決)

同  日  PM6:00〜
第3回全員会議

9月24日 PM7:00〜
    住基ネット事務局会議

10月 8日 AM11:30〜
  石泉閣借り上げ費用返還訴訟

11月 9日  AM11:00〜      住基ネット差し止め訴訟

11月30日  PM6:00〜
第4回全員会議

 

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