目 次

JR海南駅連立事業等の工事で談合
実名告白 裏金作り
「宝くじ収益で豪華外遊」のテレビを見て
オンブズマンに損害賠償請求の訴え

裁判情報
今後の予定

 

No.46

発行日2004 1119


木村知事に対し住民訴訟提訴
JR海南駅連立事業等の工事で談合

約1億4千万円の支払請求

 去る10月12日、当会のメンバー3名が、木村良樹知事に対し、県発注公共事業の入札において談合がなされた結果、合計約1億4823万円の損害を県が被っているとして、談合をなした関係者らに損害金の支払いを求めよとする住民訴訟を和歌山地裁に提起しました

 談合は、県海草振興局海南工事事務所が発注した次の2種類の事業に伴う工事について指摘しています。

 まず、97年から99年度の間に、JR海南駅連続立体交差事業に伴う側道工事とJR線に近接する工事として発注された10件が対象。

 当時、発注の担当責任者であった県海草振興局海南工事事務所所長の堀口が、海南市にある樺原組をそれまでのお世話になった見返りに入札参加業者に選定し、いわゆる「天の声」を発して特定の業者に発注したり、入札参加業者を10件とも、談合がしやすいように樺原組、粥ヌ川組、日産建設(現、りんかい日産建設梶j、大鉄工業梶A鉄建建設鰍フ5社とする選定を繰り返し、当該5社も業者間で談合を行っていたとします。

 損害は、契約額が、堀口元所長が不正に教示した設計金額を基に落札を許す最高値の予定価格に近接する高額になっていますが、入札が公正に実施されていたならばあり得ない金額とし、一方、公正な入札が実現していた場合、最低制限価格に近接するとして、その価格を最低制限価格と同額とみなして算出。発注総額計約4億5348万円と最低制限額計約3億5327万との差額金約1億20万円に相当するとしています。そして、賠償を求める相手方は、堀口元所長と入札参加業者5社としています。

 次は、99年度に日方川浸水対策事業として発注し、樺原組が落札受注した3件の工事。これは、事前に業者間で談合入札を行い、堀口元所長が不正に教示した設計金額を基に不当に価格がつり上げられているとして、発注額計約2億6246万円と最低制限価格計約2億1440万円との差額に相当する約4803万円の賠償を、落札した樺原組に請求せよとしています。

 この訴訟は、先に監査請求していて棄却されたことから訴訟に及んだものです

トップへ


県の元職員から35年前に裏金づくりに荷担していたという実名による告白文が届きましたので掲載します
 

実名告白 裏 金 作 り
 田 端 宣 貞

元那賀県事務所灌漑排水課主査(当時)

 〇四年十月の新聞に、兵庫労働局の裏金作り、京都府警の裏金作り、大阪市水道局の実態のない業務手当、大阪市交通局の特殊勤務手当などの記事が続け様に載った。
わけても兵庫労働局の裏金作りの記事は、次々に新しい情報が伝えられた。それを読んで、なんと三十五年も昔、私も加わって犯した公金横領がそっくりそのままの形で今も繰り返されている事実を知ってびっくり仰天した。

 兵庫労働局の裏金作りの主役は同局神戸公共職業安定所の雇用指導官である斉藤剛容疑者で、兵庫県警の調べに「裏金を作るポストは前身の県労働部の時代からあった」と供述していて、水増し請求やカラ雇用などで巨額の裏金を捻出する手口が県労働部で長年組織的に続けられてきた疑いがあるとみて経緯などを調べているという。

 兵庫労働局は〇〇年に職業安定課など県労働部に属していた二課と、兵庫労働基準局などが統合して発足した。関係者の証言などによると、県労働部の一部の部署では当時、経理課が裏金を工面していた。出入り業者に提示して事務用品の購入代金を水増しさせたりカラ出張やカラ雇用を繰り返したりして、年間で数千万円を捻出していたと見られる。

 斉藤容疑者は同局発足とともに、職業安定課に設けられた雇用計画係の主任に就いた。事実上裏金作りを担当するポストで、「直属の上司ではない、総務課の幹部らからも裏金作りを指示された」と供述しており、他の部署にも裏金を渡していたと見られる。〇二年斉藤は他の部署に異動したが、この際後任の職員に同様の引き継ぎをし、後任者も裏金作りにあたったという。総額はその任期中で約二五〇〇万円にのぼったともみられる。

 これだけの記事が最初に載り、続いて「机回り『印鑑下さい』、手口判明、裏金作り一体で」という記事、「任意団体隠れみの監査対象外、メンバーに事業報告なし」の記事、「裏金、出向の元上司にも、兵庫労働局逮捕の職員年間二〇〇万円超える」の記事、「キャリアと料亭・温泉へ、人事にらみ裏金接待」の記事、「上司へ十日に一回三〇ー五〇万円、裏金専門の錬金術師、甘い監査カラ出張素通り」の記事、「雇用対策費も着服容疑、講習会実績水増し」の記事、「キャリア『裏金知らぬ』、関与否定四人、沈黙六人、現場の職員らは反発、監督責任を認める声も」の記事と、朝日新聞だけでもこれだけの記事が載った。

 私は不覚にも、十年ほど前からオンブズマン活動が各地方で次々に行ってきたカラ出張やカラ購入などによる裏金作りや談合の不正などに対する住民監査請求が睨みとなり戒めとなって、行政の血税意識が改善されてきたのではないかと思っていたのは甘い期待に過ぎなかったことを思い知らされた。そして三十五年前、私も加わって犯した公金横領がどんなものであったか思い出しそれを語ろうと思う。

 たしか昭和四十二年に県の機構改革があって主任が主査となり、私は伊都県事務所税務課主任から那賀県事務所灌漑排水課主査となった。その課は農地課と同居しており、農地改良事業に伴う灌漑排水の技術面を施工する課で、農地課に付属した形で、予算は農地課主査のK氏が掌握していた。予算査定のとき私はK氏と共に県の係員による査定を受けたが、例えば旅費についての折衝で、年間五〇万円あれば足りるところをK氏は百五〇万円要求する。K氏と気脈が通じているらしい県係員は、要求の内実を知ってか知らずか、やすやすとK氏の要求を呑んでOK。

 農地課、灌漑排水課を通じての予算の執行はすでに述べた通り一切をK氏が掌握していたので私はその実情を知る由もなかったが、ただK氏が県事務所長に上納したり、新聞広告代や餞別香典等の交際費としておびただし額の裏金を作っていたことは疑いを容れない。現に私自身そのK氏から、おすそわけとでも言おうか月に一回か隔月に一回か五万円を手渡され飲食費の支払や餞別香典などに使っていたのだから。その私の灌漑排水課主査としての仕事は、用地買収に伴う契約事務のほかは、毎日十人ほどの課員のカラ出張の書類作りで、カラ出張で浮かした金は課員一人当たり三千円というヤミ月給とでも言うべきものを配ることであった。公金横領と言わずして何と言おう。

 まあ私の罪はそれでも軽い方で、K氏の罪に至っては、規模は小さいとは言えその手口においては、まさにこのたびの兵庫労働局斉藤容疑者のそれに匹敵するものと言わざるをえない。

 そして私の恐れるのは、兵庫労働局における斉藤容疑者の裏金作りが元の県労働部の時からということで、兵庫県と言わず和歌山県と言わず、オンブズマンの目の届かぬ、あるいは手の及ばぬ至る所の職場で暗黙公然の悪事として、悪事であるとの自覚もなく、今も毎日営々として裏金作りが行われているのでは無いかと言うことである。

 市民オンブズマンわかやまの活躍にはめざましいものがあるが、県の出先機関にまでは手が及ばず、これまでに土木出張所を槍玉に挙げただけである。今では地方振興局とか言うらしいが、昔のように農地課や灌漑排水課がまだあるとすれば、何代目かのK主査や田端主査が相変わらず裏金作りに励んでいるのではないであろうか。

 


「宝くじ収益で豪華外遊」のテレビを見て

暖  流 子

 昔より洋の東西を問わず人間社会には役得と言う特権を利用し、うまく世渡りする人が多くおりましたが、この役得が宝くじの分野にも及んでおるとは、私には想像も及ばぬことでした。

 先日十一月十八日のテレビ朝日の昼番組スクランブルで取り上げた「和歌山県町長の宝くじ収益で豪華外遊」との番組を見、初めは何を報道しておるのか戸惑いましたがだんだんに内容が理解できてくると、余りにも杜撰な公金の使い方に怒りを感じました。

 これは、和歌山県内の某町長ら九名が、宝くじ収益金の市町村への交付金を使って、昨年十一月十五日〜二十三日(7泊9日)にかけて、トロント、ナイアガラ、ワシントンDC、ニューヨーク、シカゴ方面へと「研修」名目で実施した海外「視察」と称した旅行のことでした。旅費総額七百二十万円の1人当たり八十万で、飛行機はビジネスクラスだったというから、なんと豪華な旅行か。

 テレビ番組は、冒頭、和歌山県市町村振興協会の事務局長がいきなり画面に現れ、「僕自身(海外に)行って来てこれは観光じゃないこれは研修だと僕は胸をはって言える」との記者との会話から始まります。そして、主催者の振興協会側に、この旅行の参加者名を尋ねるが、同行者に迷惑がかかるからそれだけは勘弁願いたいとの返事。それでは町村名だけでもと言っても、一切明らかにせず詳細隠しに終始します。次で、同行参加者を朝日テレビが独自に探し、直接、その方にインタビユーする画面に。その参加者(町長)が、カメラから自身の顔を書類で隠して対応する姿勢に、記者から「貴方の旅行が疚しいことがなければ、なにも顔を隠さなくてもいいのではないのですか」、と指摘されて初めて正常な体勢でカメラに向かいインタビューを受けるという状態でした。これらのシーンだけでも、事務局長の、観光ではなく研修だと胸をはって言える、という言葉は、信じがたく、単なる観光旅行だったのではないか、との疑いの念を抱くに充分でした。そして、この疑いは、旅行目的に対する対応でより強くしました。

 事務局側の発表によると、トロントでゴミ処理問題の研修をし、ナイヤガラでバリヤフリー問題の研修が旅行の目的だったと言う。これに対し町長の言はこうでした。アメリカ(トロントはアメリカと思っていのだろう)は広いからごみで埋め立てをしておって参考にはならない。ナイヤガラは、古い町の保存が行き届いておるので、その見学だった、と言う。つまり、カナダのトロントへ行ってそこはアメリカと思い、行って見れば広かったので参考にはならない、と言い、バリヤフリーの状態を視察したはずなのに、古い町の保存状態を評価する始末でした。

 出発前にどんな調査や研究をしたのだろうか。視察に値するためには、よく事前調査や研究をし、視察に関する問題意識をもって行うべきと考えますが、町長の言辞からはそれがうかがい知れず、研修旅行とはほど遠く、単なる観光旅行だったのか、との思いを強くせざるを得ませんでした。

 宝くじは、50%を配当に使い40%を収益金として市町村に交付され、その交付金は公共事業等に使ってよいと宝くじの券の裏に明記されていますが、単なる観光旅行に使途してよいとは書かれていないのです。もちろん、収益金は、公金ですから、単なる観光旅行が許されるはずもありません。このようないい加減な「視察研修」旅行は即刻廃止が当然です。

 今年のオーストラリアへの同様の「視察研修」旅行は中止になったようですが、今日まで、テロのため1回中止となったものの14回毎年繰り返してきたといいます。

 宝くじ収益金という公金の別の財布で、使途の詳細な情報を提供せず、いわば県民から見えないところでお役人の役得がいまだに続いていた事をかいま見て、お役人に対する不信感は募るばかりです。せめて、信頼回復に、昨年度の分も含めてですが、これら14回分の「視察研修」旅行に関する詳細な情報を県民に提供し、県民の検証に付すべきであると言いたい。

 いずれにしても、宝くじ収益金の他の使われ方も推して知るべしであり、宝くじの売上金の40%もピンハネして、こういう使われ方をしているかと思うと2度と宝くじは買うまいと思うが、そう思うのは私だけではないでしょう。

 

 

 

トップへ


オンブズマンに損害賠償請求の訴え
  住民訴訟を敵視するものと反訴

 8月30日付けで、和歌山市の元助役であった小橋義實から、こともあろうに石泉閣事業にかかる住民訴訟の原告となって訴えた当会のメンバー4名に対し、当該住民訴訟が不当訴訟であるとして、慰謝料等630万円を支払えとする民事裁判が提起されてきました。

 これに対し、訴えられたメンバー4名は、住民訴訟を不当という訴訟こそ不当訴訟であるとして、逆に、それぞれに慰謝料等100万円ずつ支払うよう求める反訴請求を行いました。

 これは、当会の活動として、メンバー4名が原告となって、旅田元市長が背任罪で刑事責任が問われている石泉閣事業に関して、損害賠償請求した住民訴訟において、相手方の被告とした旅田元市長と小橋元助役のうちの小橋元助役から、不当に被告として訴えられたとしてメンバー4名に対し、慰謝料30万円と石泉閣事業住民訴訟の弁護士費用600万円(着手金200万円、成功報酬400万円)の合計630万円を支払えと訴えてきたものです。

 住民訴訟が不当訴訟だということについて小橋元助役は、「訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときは、訴えの提起自体が違法となる」という最高裁の判例を引用しながら、不法行為責任の要件事実となるべき具体的な事実を示すことなく、原告(小橋元助役)が助役であったことだけを理由にして責任追及をしているものであり、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く違法な裁判として、経済的、精神的負担を余儀なくされたといいます。

 しかしながら、小橋元助役の前記主張は次に述べるとおり明らかに誤っています。

 すなわち、第1に、小橋元助役が引用する最高裁の判例は、民事事件という私人間の法的紛争の解決を対象にしたものであり、住民訴訟を対象にしたものではないので引用としても誤っている、

 第2に、住民訴訟は、住民全体の利益を保障するために法律によって特別に認められた参政権の一種であり、訴訟費用は自己で負担しながら、自己の個人的な利益のためでなく、公益目的のために地方行政の適正化を目的に行うものであるから、そこには、住民訴訟提起の動機・目的において不当性がない、

 第3に、住民訴訟は、小橋元助役がいうような助役であったことだけを理由にしたものではない。助役はもう一人存在したが、相手としていないし、小橋元助役は、旅田元市長とともに、違法な石泉閣建物の賃貸借契約の締結に際し、決裁をしているという事実があるから被告にしたのである、

 第4に、小橋元助役の精神的負担については、住民訴訟が、行政の職務遂行に関するものであって、私的行為を問題にしているのではないのであるから、想定ずみの精神的負担であって、受忍すべきものといえる。むしろ、住民訴訟を提起されたこと自体を真摯に受け止めるべき問題である、

 第5に、経済的負担たる弁護士費用についても、小橋元助役が勝訴すれば市で負担してもらえるのであるから損害とはならないからです。

 そして、前述の理由からすれば、小橋元助役が提訴してきた民事訴訟こそ不当訴訟といえます。

 すなわち、小橋元助役の訴えは、理由もなく、これを不当訴訟といって損害賠償までしてくるのは、オンブズマンの活動を敵視し、住民訴訟という一種の参政権の行使を妨害し、萎縮させるものであるから、小橋元助役らが引用する最高裁判例の、訴えが裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に該当し、不法行為に該当するからです。

 よって、メンバー4名の損害として各自の弁護士費用50万円(着20万円、報酬30万円)と、名誉を毀損したことによる慰謝料として各自50万円の合計100万円ずつを支払えとする反訴請求を行いました。

   (畑中 正好)

 

トップへ

 

 


 

市職員海外(ラスベガス)派遣研修費返還請求訴訟

 9月22日にあった高裁判決は, 公金から使途した職員2名分の旅費の返還を旅田元市長に返還を命じました。和地裁の1審判決は,旅田元市長と旅行した職員2名に対し,同様の旅費の返還を命じていましたが,旅行した職員2名の責任は認めませんでした。

 これは,当会が,愛人と指名業者同行の私的旅行に職員を同行させた研修旅行には公務性が認められないとして,職員2名にも責任を求めたものでしたが,高裁判決は,職員2名の旅行の公務性を「一応」認めたからです。

 高裁判決も旅費の全額について返還させることに変わりがないことなどから,上告は,しないことにしました。しかしながら,旅田元市長が上告しましたので,現在,最高裁に係属中です。


石泉閣借り上げ費用返還訴訟

 さる10月8日に弁論準備手続きが行われました。前回同様,進行協議が行われ,具体的な進展はありませんでした。

この件に関連して,小橋元助役から本件の訴えが不当訴訟だとして,原告らの当会メンバー4名に対し,それこそ不当な630万円の支払を求める損害賠償請求の訴えがなされてきましたが,その訴訟も,本件と同時に進行することに決まりました。この民事訴訟は,住民訴訟を不当という訴訟こそ不当訴訟であり,住民訴訟を敵視するものと言わざるを得ません。なお,詳細は,本書5ページに掲載していますので,ご参照下さい。

次回は,同様,弁論手続で,11月19日午後3時からの予定です。


グリーンピア南紀損害賠償請求訴訟

                                   

 第6回の裁判が9月14日に行われました。 この日,裁判長が相手方の県に対し,破産を回避したことについて,どのようなことを念頭におき,どんなことを考慮したのかもう少し具体的に出して欲しいとの意見を示しました。県は,このことについて次回までに準備することになりました。

次回は,12月14日午前10時からの予定です。

トップへ


11月16日 PM5:00〜
住基ネット街頭宣伝

11月19日 PM3:00〜
石泉閣借り上げ費用返還訴訟
    同  日 PM4:00〜
  ニュース発送作業

11月30日  PM6:00〜
第4回全員会議

12月 1日 PM7:00〜
    住基ネット事務局会議

12月14日 AM10:00〜
   グリーンピア南紀損害賠償請求訴訟
同  日  AM10:15〜
  談合損害賠償請求訴訟

 1月25日 AM11:00〜
住基ネット差し止め訴訟

 1月26日 PM6:00〜
第5回全員会議

トップへ


Click