目 次

新年を迎えて
談合追求住民訴訟
損害賠償請求訴訟書面等を非開示に
第9回全国情報公開度ランキングの文書請求実施
弁護士報酬敗訴者負担法案が廃案
裁判情報
今後の予定

 

No.47

発行日2005 114


新年を迎えて

世話人 弁護士 森 崎 有 治

 古来、変革、変動の年といわれる乙酉年の2005年が始まりました。酉は酒を醸す材料の麹が壷の中にある発酵する象形文字です。ここから変革等を意味するとされています。市民オンブズマンの活躍を地方行政、ひいては国政の革新に結びつけていくことを改めて決意するにふさわしい年です。内政においては年金問題、憲法改正問題など、外交においてはイラク問題、北朝鮮問題、インド洋大津波被災国救援問題など、ますます混迷を深める今日この頃、地方行政においても同様に問題が次々に現れ市民オンブズマンの活動も休む暇もありません。

 行政に欠けるは自浄努力であり、監査請求や住民訴訟といった外圧を契機に重い腰をやっと上げるという構造的な問題が隠れています。談合事件を例にあげれば、昨年10月12日、市民オンブズマンのメンバーが和歌山県知事に対し談合による県の損害を回復すべく談合関係者らに損害賠償請求するように住民訴訟を提起しました。しかも監査請求が棄却されてからの提訴でした。市民オンブズマンが県を提訴して初めて県が重い腰を上げ県政の失態の回復に着手するといったごとく、行政の実態は情報公開等の市民の監視によって大きく左右されます。県側はこの提訴に応じてしかるべく談合関係者らに損害賠償請求することを決めたのです。

 情報公開請求や住民監査請求、住民訴訟などは市民オンブズマンにとってまさに活躍の見せ場とはいえ、未だに後手後手にまわりがちな行政の対応を見逃さず、適時適切に進言していかなければならない状況にあること自体、このような外圧がなければ改善されない状況にあることは悲しむべきことです。

 こうした談合、他に警察等の裏金、県による財団などの債務肩代わり、違法建築物の賃貸借契約、公務に名を借りた職員研修旅行をはじめ不正な公金支出など問題は山積する一方で、今後とも行政に対する市民オンブズマンの監視と批判がますます重要となり、市民オンブズマンとしてもまだまだその役割を果たしていく必要があると痛感させられます。 地域住民の声を行政に反映して、透明性の高い行政、そして地域住民と行政のパートナーシップを確立するため、会員をはじめより多くの方々よりの市民オンブズマンの運動に対する一層のご支援をお願い申し上げます。

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談合追求住民訴訟

当会の請求を認め知事、提訴へ

 昨年、談合損害金の是正を求めて木村知事を相手に提訴した住民訴訟の第1回裁判が12月14日に行われました。

 この日,木村知事の代理人弁護士は、談合業者らや元所長に対して損害賠償請求する方向で準備をしており、県議会の議決を得て裁判を提起すると言いました。

 仮に、知事側が裁判するという中に、当会が木村知事に対して求めた約1億4000万円の請求事項がすべて含まれている場合には、当会の住民訴訟の請求が実現したことを意味しますので、当会が訴えた住民訴訟を続ける必要がなくなります。手続き的には、知事側の訴えの内容を確認した上で、当会の住民訴訟を取り下げて終結させることとなります。

 当会としては、追及の貴重な成果と言えます。 本来、当会のきびしい追及を受けるまでもなく、談合損害金の是正に及ぶような知事でなくては困ります。木村知事には、談合防止にもっと機敏できびしい対応を求めたいものです。

 そして、県民の血税が被った談合損害金の回復は、知事側が提訴する裁判の結果にかかっています。それだけに、今後も知事が提訴する裁判を監視していく必要があると言えます。

 

 


和歌山市長
損害賠償請求の訴訟書面等を非開示に

 大橋市長が私達の監査請求を受けてやっと裁判を提起した詐欺と談合による損害賠償請求訴訟(渇ヘ北建設や同社元代表者と元監査役及び、元市職員辻村壽則に対する裁判)にかかる訴訟書面(市長提出の訴状や主張書面などと、相手方ら提出の答弁書や主張書面など)と裁判の進行状況がわかる資料などについて、情報公開請求を行ったところ、大橋市長は、当該請求にかかるすべての文書を開示しないとしました。

 これは、私達が監査請求で追及するまで詐欺や談合による市民の血税が被った損害を是正を放置してきた大橋市長の対応から考えて、その後の訴訟遂行状況についても監視する必要があると考えて公開請求をしたもんです。請求は、昨年の12月16日に行い、開示しないとする非開示決定は同28日付でありました。

 非公開決定は、「現在執行中の事件であり、公開することにより、当該事務事業に関し係争中の裁判に予期せぬ影響をもたらすことが危惧されるため」を理由に挙げています。しかしながら、当該理由は、まったく理由になっていません。すなわち、訴訟は公開の法廷で行われているのであり、公開の法廷で陳述した訴状や答弁書などの訴訟用書面はすでに公開した資料と言えるものであるところ、すでに公開していると言える文書を開示することに何の支障もないからです。当該文書を、ことさら、裁判に予期せぬ影響をもたらすことが危惧されるとして非開示にすることは、単に、「ため」にする理由でしかないと言えます。いずれにしても、かかる資料を隠すこと自体何か怪しい。市民に知られては困る情報を隠そうとしているのではないか、と疑いたくもなります。むしろ、これらの情報は、訴訟の成り行きも含めてオープンにして市民の監視のもとで解決をすすめるべきことと言えます。それは、市民の血税が被った損害を回復させる手続きであるからです。そこに何の秘匿すべき意味合いもあり得ません。

 このような対応をしている限り、大橋市長が情報公開に背を向けていると言わざるを得ず、批判に値します。私達は、これらの情報についてもきびしく公開を求め行く必要があると考えています。

 

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第9回全国情報公開度ランキング
対象公文書の請求を実施

県警捜査費、
少年課と交通指導課対象 !

今年で第9回目になる情報公開度ランキングを実施することになり、私たちも、従来通り、和歌山県と市で参加することにしました。そして、そのための資料請求を、12月6日に行いました。

今回のランキングの対象科目などは次のとおりです。

a 交際費 

 交際費は、昨年の8〜10月に支出した県知事と総務部長交際費が対象です。経年でチェックしている科目です。

 なお、和歌山市には部長交際費が存在しませんでしたので、水道局長交際費を対象にしました。

b 政務調査費 

 政務調査費は、議員や議員の会派に支給されるもので、これも過去数回に至ってチェックしてきた科目です。ねらいは、議員の公金支出の使途を公開させる意味があり、支出を示す領収書などの開示の促進にあります。

c 入札結果調書 

 入札結果調書は、本庁がA4コピー用紙の購入契約に関し昨年実施した入札結果調書(予定価格、入札価格、落札価格のわかるもの)と、県警が警察官(本官)の制服の購入契約に関し昨年実施した入札結果調書とを対象にしています。ポイントは、予定価格の公表です。

 なお、コピー用紙の単価について、昨年、和歌山市が全国一高額であることが分かり、批判を受けて改善させるという成果がありました。

d 住宅供給公社

 昨年度末現在の住宅供給公社の保有土地一覧表の開示情報から、県が公金を出資する団体の公開度をチェックします。なお、和歌山市には住宅供給公社が存在しませんので、土地開発公社にしました。

e 県警の捜査報償費(県費) 

 捜査報償費(県費)については、警察本部少年課と交通指導課の平成12年度及び同15年度を対象にチェックします。また、少年課や交通指導課は捜査費が少なくて済むと考えられる部署です。そこでの使途の状況や、同じ捜査費でも、領収書の添付の必要がない捜査諸雑費とに分けてチェックする予定です。

 ところで、県は、昨年全国3位でした。今年も上位をキープできるか注目に値します。また、ランキングで公開請求する捜査費に関し、非開示が見込まれることから開示を求める一斉情報公開訴訟の呼びかけがあります。当会の対応については今後検討することにします。

 



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弁護士報酬の敗訴者負担法案が廃案に

 民事裁判において、裁判に負けた側が勝った側の弁護士報酬も負担するという、弁護士報酬敗訴者負担制度の導入をねらった法案が、先の臨時国会で廃案となりました。

当会は、地方自治体の不正を追及する住民訴訟などのような訴訟の場合、当初から勝訴が見込める場合が極めて少なく、そのような際、「負けた場合を考えて、財力のない市民や弱者は裁判を訴えることができなくなる」と訴えて、この制度の導入に反対してきました。 みなさんにも、反対署名を訴えてご協力いただきました。みなさのお力で、同制度を導入する法案が廃案となりました。引き続き、市民にとって利用しやすい司法の実現を求めていきましょう。

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市職員海外(ラスベガス)派遣研修費返還請求訴訟

 旅田元市長が上告し、審理が最高裁に係属しています。最高裁は書面審理のみですので、進捗状況がよく分らず、最高裁からの連絡待ちの状態です。

石泉閣借り上げ費用返還訴訟

 裁判は11月19日に行われました。この日で、双方の主張や反論についてはほぼ整いましたので、証拠調べの検討に入っています。とりわけ、石泉閣に関連してなされている刑事裁判の裁判資料などの取り扱いについて検討しています。次回は1月27日午後4時30分からの予定です。

グリーンピア南紀損害賠償請求訴訟

第7回裁判が12月14日に行われました。

 この日双方の主張等を陳述し書面で提出しました。今後の進行について裁判長は、県側に、公金支出に到る事情に詳しい人を証人として調べたい意向を示し、人選を促しました。県側は次回までに、人選をして証人申請する予定です。次回は、2月25日午後3時30分からの予定です。

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1月17日 PM4:00〜
ニュース発送作業

1月25日 AM11:00〜
住基ネット差し止め訴訟

1月26日 PM6:00〜
第5回全員会議

1月27日 PM4:30〜
石泉閣借り上げ事業費返還訴訟

2月25日  PM3:30〜
   グリーンピア南紀損害賠償請求訴訟

同 日 PM3:40〜
談合損害賠償請求訴訟

 3月18日
第9回全国ランキング発表予定

3月23日 PM6:00〜
第6回全員会議

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