目 次

10周年総会仙波敏郎さん記念講演
県,補助金不正支出金問題住民監査請求へ
投稿・実名告白 裏 金 (私の場合)
活動の主な成果
10周年記念特集・この間のあゆみ
裁判情報
今後の予定
第10回定期総会案内

No.54

発行日2006 3 13


10周年総会・特別企画

仙波敏郎さんを迎えて記念講演

愛媛県警の裏金問題を内部告発した現職警察官

警察の裏金作りは、長期に渡り、組織的に行われてきたもので、愛媛では年間3億円前後になっていたと思われます。公金を私物化することは明らかな犯罪です。好むと好まざるとのかかわらず、全ての警察官・職員が何らかの形で不正にかかわってきました。根絶しなければならません。単にお金だけの問題ではありません。警察組織が蝕まれ、正しい法の執行が妨げられ、将来に禍根を残すからです。(仙波敏郎 談)

当会は,今年で結成10周年を迎えます。これまでに少なくない是正の成果をあげてきましたが,警察の不正問題は未解明です。そこで,仙波敏郎さんをお迎えし記念講演を行うこととしました。お話は,仙波さんご本人と,仙波さんを支える会代表世話人の東玲治さんから約2時間を予定しています。会内外を問わず広くみなさんにご参加を呼びかけていますので,是非お越し下さい。

 

日 時 4月15日PM1時〜(開場)
場 所 和歌山市勤労者総合センター

 

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県,補助金不正支出金問題住民監査請求へ

約501万円の返還請求と返還後に行う同事業費支出差止を請求

不正金返還の穴埋めとなる公金支出は公益上の必要性がなく違法・不当

2月9日、当会は、支出関係県職員と人権研究所に対して約501万円の返還と、県知事に対し、501万円のうち不正金約445万円を返還させた後、同返還金の実質穴埋めを意味する同事業費の公金支出の差止めを求める監査請求を行いました。

 

 これは、古文書編纂事業補助金不正支出問題に関するものであり、これまで、知事が「実態を解明の上、厳正に対処するよう指示した」という知事の言を信じ、住民監査請求に及ぶまでもないと考えていましたが、公開質問に対する回答が不充分なものであったことなどを踏まえると、厳正な対処が望めないと判断されたことから県民の感覚で追及することにしたものです。

501万円 と市の調査で判明

 監査請求は、まず、約501万円の返還を求めています。この内約445万円について、県は、企画部人権局の調査の結果、正規の補助金としてではなく、真実は、書籍やビデオテープの購入・納品の事実がないにもかかわらず、購入・納品があったかのように作成した虚偽の公文書に基づいて、当該代金相当額を購入先としていた人権研究所が実質的に運営する出版社へ送金し、その後、人権研究所の編纂事業会計へ入金されていたことを明らかにしました。すなわち、公金のカラ購入不正支出を行っていたと言うのです。当該公金支出を県は不適切であったとしましたが、明らかに公文書偽造の不正行為です。

 ところで、和歌山市も人権研究所に対し、立入調査を行っていましたが、それによると、県からとして人権研究所の編纂事業会計に、計501万2500円の入金が確認されたといいます。この立入調査には、公金を受領している人権研究所も立会って確認されたものです。従って、市の調査結果に極めて高い信憑性があります。そうすると、県が不正支出として公表した金額より約56万円が多く存在しますが、このことに関し県は何の説明もしません。市の担当者の説明によると、県の公表額は通帳で確認できたものであるが、当該約56万円は、現金出納簿で確認できた、と言います。従って、なお不正の疑惑が存する約56万円についても解明を求めるため監査請求に及んだものです。

 また、県は、約445万円を返還させた後、改めて正規に、同古文書編纂事業費として人権研究所に対し、補助金交付を行おうとすすめていますので、不正金の返還後に行う同事業費への補助金たる公金支出の差し止めを求めています。

 このような形で公金支出することは、実質的には不正金の返還を 意味しないといえます。真の意味するところは、 不正金の返還で、発生する損金の穴埋めを意味するものであり、結果的に、補助金交付規則に拠らずカラ購入という違法行為を行った支出関係職員らの損害賠償責任の回避を意図したものといえます。

 従って、如何に、正規の手続きを装っても許されることのない公金支出と言わざるを得ません。

 また、違法・不当に公金を支出しても、後日、新たに正規に公金で救済されるようなことがまかり通れば、何のために補助金交付規則が定められているのか意味がなさない結果となるとして、法を無視した違法な手続きを助長させるおそれが多分にあり、県の財政の秩序を乱すこととなるから、許されないとしました。

 そして、当初に補助の要請を受けながら、カラ購入不正支出という危険を冒したことからすれば、正規の補助金手続きに拠ったのでは、補助事業に該当しないと判断されたとみなされるとして、そのような事業が不正な公金を使途した結果の、完成物の書籍が発刊されてあっても、補助事業とみなすことができないといえます。

 さらに、本来、少額の費用ですむ編纂事業を口実に、過大な計画に仕立て上げて、実際の費用以上の公金を取得しようと企てたという疑いも否定できないことも指摘して、今回の補助金交付は、公益上の必要性がなく裁量権を逸脱した違法・不当なものとしました。

 なお、監査請求後、人権研究所から県に対し、県が不適切とした約445万円の返還があり、問題のある差額金約56万円が県からではなく他団体からの収入だったとする報告があったとして、県は改めてする交付金額を約253万円と公表し、交付手続きを進めています。

補助金規則を無視した違法な手続を助長し、財政秩序を乱すことから許されない!

 


実名告白 裏 金 (私の場合)

 田 端 宣 貞   

 

三,四年前のオンブズマンニュースには、いつも「N.T」のペンネームで投稿していただいていた田端氏より久しぶりに次のような手紙に添えて、「裏金」と題する文章の投稿がありましたので、掲載させていただきます。

◇ ◇      ◇ ◇

いつもオンブズマンニュースをお送り頂きありがとうございます。この度身辺を整理していますと、那賀県事務所かんがい排水課の主査をしていた時の、ささやかな裏金処理簿ともいうべき金銭出納簿がでてきました。このまま棄ててしまってもいいのですが、考えると、ごく特殊なケースながら裏金というものの一つの見本と見ることができますので、文章にまとめました。よろしくお取り計らいいただけますようお願いいたします。


 

 今年五月二十日に私は満九〇歳になる。人生の最終段階である。いくら元気で死ぬような気がしないと言っても、ある日突然思いがけない死魔が現れてあの世へ連れて行かれないとも限らない。

 そのことに思い至ると身辺の整理が急がれ、時々思い出したように脈絡も順序もなく何や彼や取り片づけたりしている。そんな仕事の一環として、もう捨ててしまおうと思っている一冊の見すぼらしい金銭出納簿の始末がある。

 たった四頁分記入しただけで後はブランクである。何の金銭出納簿かというと、私が昭和四十五、六年に、那賀県事務所かんがい排水課の主査をしていたときの裏金の記録である。裏金といっても裏金の裏金と言うべきもので、同居していた農地課のK主査からお裾分けのような形で預かった現金が主な資金源である。

 四十五年一月から始まって翌年五月までに五万円ずつ三回、一万円一回計一六万円預かっている。これとは別に同じかんがい排水課の技術主査のK氏から三回計一万六七四九円預かっているが、これは支出の方に四回三万一六七五円のK主査渡しというのがあるのを見ると、一旦渡したものの不要になったとして返されたものかもしれない。

◇ ◇

 ここで、農地課K主査から預かった金について少し注釈を加えておかねばならない。当時農地課とかんがい排水課はともに県の農林部耕地課の出先機関で、農地関係の法律による土地改良事業や基盤整備事業をしていたのが農地課で、かんがい排水課はそれらの事業に伴う農業用水路敷設の純然たる技術面だけを受け持ち、従って十名ほどの課員のうち事務関係は私一人、あとはみな技術員という構成であった。予算はかんがい排水課独自のものも農地課のものも併せて農地主査のK氏が掌握しており、彼が作った裏金の中からごく一部の金が私に渡されたものである。K主査が作った裏金のうち、県事務所長に上納した分が最も多く、地方新聞への協賛金や本庁職員との飲食費などに使われたものが多かったのではないかと想像する。

 なおこれは裏金といえるかどうか疑問だが、土地改良事業を請け負った土建業者の工事が完成するとその請負金額の千分の四か五を、県営耕地事業推進会なるものを作って召し上げていた。これによって県耕地課も県事務所も関係者はそれぞれ相当に潤っていただろうと思う。このような弊風は今も続けて行われているのだろうか。

◇ ◇

 話は脇道に逸れたが、私が関与した裏金の中には、以上のもののほか食糧費 一万九八〇〇円と開拓パイロット人夫費一万二五〇〇円、東京行旅費三万七五〇〇円及び十月分旅費八二一〇円がある。これらはまさに私が作ったカラ食糧費、カラ人夫賃及びカラ出張費である。

 収入としてほかに立替金六件一万三一四六円、委託費四件一万三五〇〇円、会費五〇〇〇円に「すし幸値引四五〇円」「味覚より返金四二二〇円」というのが加わって合計二九万一〇七五円である。

 これに対して支出は、飲食代二二件一一万二三一八円、香典一七件二万三二七〇円、餞別六件二万〇〇六〇円、交通費二件二五〇〇円、分担金三件一万三〇〇〇円、立替金三件一万九二五五円、新聞賛助金一〇〇〇円、説明会二〇〇〇円、育英資金一〇八〇円、雑八件一一五五円、川尻渡し四件三万一六七五円の合計二二万七三一三円である。

 収入から支出を差し引くと六万三七六二円という残金が出るが、これが曲者で私にはこれを返した覚えがない。また一体誰に、また何処に返したらよいのか。私の裏金の金銭出納簿は誰からもチェックされたことはなく、また誰に報告したということもない。すべては私一人の懐の中で温められ、闇から闇に消え去るべき運命にあったと言うよりほかはない。結局残金六万円余は私の転勤とともに、永久にかんがい排水課とは縁が切れてしまったのである。およそ裏金というもののあり方はどれもこれも私の場合と大同小異の運命をたどり、それに従事した者以外の誰の目にも触れることなく闇から闇に消えて行くというのが大部分の裏金の実態ではなかろうか。

 かつて県のカラ出張や官官接待がオンブズマンによって追及されたとき県は全庁調査なるものを行い、洗い出したという裏金十三億円の不正支出について、県は、不適正な支出であるが組織の運営上必要な経費であると言い、しかし帳簿は破棄して存在しないと言明した。その帳簿とはまさに私がこれまで述べてきた金銭出納簿に類するものに外ならず、「破棄して存在しない」とは、裏金を担当する職員の懐に包まれたまま闇から闇に葬られていったことを意味するのであると私は思う。

◇ ◇

 私が携わった裏金の帳簿であるこの金銭出納簿は、私が死出の旅路に携帯したままあの世へ持って行くべきかどうかについて思案したが、私は文字通り破棄して、すっきりした気持ちであの世へ旅立とうと決めた。ただ私としては、それを闇から闇に葬り去るに忍びず、それの存在したこととその中身のあらましを公表して、裏金とはどんなものかという疑問に答えるべく、その一端の例示として述べさせていただいた次第である。

那賀県事務所かんがい排水課主査時代の裏金金銭出納簿が存在

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活動の主な成果

和歌山県関係

★ 「官官接待」を追及した結果、同費用を支出していた「食糧費」を、予算比で、95年に4億3000万円あったものを98年度には5300万円と約8分の1に減額させた

★ カラ飲食、カラ出張、コピー用紙カラ購入を追及した結果、予算執行調査改善委員会を設置させ、全庁調査の結果94年度〜96年度の3年間に、不適切支出が約13億4400万円もあったとして、利息含め約15億円を返還させた

★ OB県議親睦団体に対する99年度の補助金のうち、約69万円を不適切支出として返還させた

★ 元海南工事事務所所長の贈賄事件に関する談合損失金の回復をもとめて住民監査請求2件、住民訴訟1件を提起するなどしてきた結果、計約1億8234万円(最低制限価格と落札額との差額金)を回復させた。


和歌山市関係

★ 98年8月5日から同7日の日程で行った青森・函館視察研修旅行は、視察に名を借りた「ねぶた祭り」観光旅行だったとして、住民訴訟を起こし勝訴して、当時の弘和クラブの市議らと助役ら21名に、旅費約220万円を返還させた

★ 松下環境空調エンジニアリング鰍ノ対し、同社が平成9年と同10年に落札した3件の公共工事が違法な談合落札だったとして、住民訴訟を起こし勝訴して、落札金額の13%を損害として計約8500万円を返還させた

★ 旅田卓宗前市長に、同前市長が市長当時愛人ら同行の旅行に職員2名を同行させた海外研修旅行は、市長としての出張命令権限を逸脱した違法な命令だったとして、住民訴訟を起こし勝訴して、旅費計約140万円を返還させた

 

 

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10周年記念特集・この間のあゆみ

 

月日
で き ご と
95
4.25
阪本弁護士らで,食糧費に関する情報公開請求を行う
7. 4
県,東京事務所の「官官接待」を分析,実態を暴露
96
3.11
懇談費の相手方の住所・氏名の開示を求めて異議申立
6.26
監査委員事務局のカラ・ムダ出張疑惑の分析結果を公表
9. 4
当会設立準備会が発足
11.20
監査委員事務局のカラ出張の是正を求めて住民訴訟を提起
97
3.17
土木総務課の懇談費(カラ飲食疑惑)の是正を求めて住民監査請求
3.24
土木総務課の懇談費の相手方情報の開示を求めて行政訴訟を提起
4. 5
創立総会
12. 4
県,用地交渉を用務とするカラ宿泊の是正求めて住民訴訟を提起
98
1. 7
県,コピー用紙カラ購入の是正を求めて住民訴訟を提起
4. 4
第2回総会
8.27
県,予定価格等の開示求めて行政訴訟を提起
11.20
和歌山市議,ねぶた祭り見物旅費の是正を求めて住民訴訟を提起
99
4. 3
第3回総会
7.28
県土地開発公社,塩漬け土地分析結果を公表
12.28
市と市長交際費の是正を求めて申し入れ
00
3. 1
市長交際費,地方紙の水増し価格是正を求めて住民監査請求
4.21
第4回総会
8.11
OB県議親睦団体への補助金実績報告書の開示求めて行政訴訟提起
9. 6
OB県議親睦団体への飲み食い補助金是正を求めて住民監査請求
9.20
市,不正流用事件の是正追及にオンブズ工事見積価格を公表
01
4.25
第5回総会
6. 5
市,「楽市楽座」事業内装費の是正を求める住民監査請求
6.22
市,談合損失金の是正を求めて住民訴訟を提起
10. 5
市,石泉閣事業費の是正を求めて住民訴訟を提起
12.21
市,ラスベガス海外研修費の是正を求めて住民訴訟を提起
02
4.24
第6回総会
7.24
石泉閣建物点検ツアー実施
11.18
紀ノ川両岸整備維持工事談合の是正を求めて公正取引委員会へ措置請求
03
4.23
第7回総会
9.29
グリーピア南紀の債務肩代わり支出の是正を求めて住民訴訟を提起
04
4.23
第8回総会
3.16
市,訴訟記録の開示を求めて異議申立
6. 4
市,詐欺損害の是正を求めて監査請求
6.25
市,談合損害の是正を求めて監査請求
10.12
県,談合損害の是正を求めて住民訴訟を提起
05
3. 2
県議控え室個室化計画見直し要望書提出
4.21
県庁舎南別館設備工事の再入札を求める要望書提出
4.22
第9回総会
6.16
県,退職派遣者の復職採用の無効を求めて住民監査請求
11.24
県,古文書編纂事業費不正支出調査結果に対して公開質問
12.13
県議登庁旅費休会日(平日)支給等の是正を求めて公開質問
06
2. 9
県,古文書編纂事業費不正支出の是正を求めて住民監査請求
4.15
第10回総会予定

 

この10年間の取り組みの主なものをピックアップしました。 なお,訴訟に至ったケースは監査請求の記載を省略しました。

 

 

 

 

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グリーンピア南紀損害賠償請求訴訟

控訴審の第2回裁判が2月17日に行われました。 この日で控訴審も終結しました。

判決の予定は,4月28日午後1時15分からです。


石泉閣借り上げ費用返還訴訟

3月14日予定されていた判決が延期になりました。新期日は,3月24日午後1時30分からです。

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3月13日 PM4:00〜
ニュース発送作業

3月22日 PM6:00〜
第6回全員会議

3月24日 PM1:30〜
石泉閣借り上げ事業費返還訴訟判決

4月11日 PM1:30〜
住基ネット差し止め訴訟 判決

4月15日 PM1:00〜
  第10回定期総会

4月28日  PM1:15〜
   グリーンピア南紀損害賠償請求控訴審訴訟 判決

5月24日 PM6:00〜
第1回全員会議

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第10回定期総会のご案内


当会は、今年で結成10周年を迎えます。新たに前進つづけることを決意して1面に掲載したように愛媛県警の不正経理を告発した現職警察官の仙波さんらを迎えて記念講演を行います。会内外のみなさんに広く呼びかけている記念講演とともに総会にも是非お越し下さい

日 時  4月15日   PM1時15分〜 開  演
               PM1時30分〜 記念講演
               PM3時40分〜 定期総会

場 所  和歌山市勤労者総合センター

 

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