学校給食で
偽装請負疑惑

 自校・直営に戻せ

2009年11月4日
   和歌山市が小学校給食の民間委託をすすめるなか行政自らが法を犯す偽装請負の疑惑が浮上するなどさまざまな問題が噴出しています。保護者や教職員など学校現場を中心に市民から「民間委託計画は撤回せよ」の声が広がっています。

 民間委託ありき

   市は行財政改革の一環として給食自校方式を実施する小学校44校のうち半分の22校の調理業務を民間委託することを計画。今年度から2校を民間委託し、来年度にさらに3校を委託しようとしています。また、自校方式ではない8校(第1、第2共同調理場で調理)では、すでに民間委託が実施済みです。
   こうしたなか保護者や市民、教職員らは「和歌山市の学校給食を考える会」を10月18日結成。結成会では、来年度に民間委託が計画されている高松小学校の保護者が「影響を受けるのは子どもたち。とても心配です。民間委託について何も聞いていません」と不安をのべ、学校栄養士は「給食の調理だけを利益優先の民間に委託して、その大事な学校組織の一部を壊すことは許されません。給食は大切な教育活動です」と訴えました。

   10月24日の和歌山市教育研究集会では、今年度から民間委託が始まった貴志南小学校の栄養士が「時間単位のパートで調理員を雇用するため作業が一連の流れとして成立しない。思いを込めた献立をたてるがそれが作り手に伝わらない」と批判します。
   来年度実施計画の小倉小学校の育友会代表は、育友会長と小倉地区連合自治会長の連名で民間委託計画の白紙撤回を求める署名を集めていることを紹介し「十分な協議も説明もなく、初めに民間委託ありきは許されない」と怒りました。

行政自ら法違反

   市は、学校給食の民間委託に対する批判に「人的部分を民間委託するだけ。食材も献立も従来通り。安心・安全でおいしいものを提供することに変わりない」と説明します。しかし、民間委託で「安心・安全でおいしいものを提供する」ために法的に大きな問題が起こっています。
   9月議会、日本共産党の森下佐知子市議は、和歌山市による学校給食の民間委託が請負の形態をとりながら実態は派遣労働となる「指揮・命令」を行使せざるを得ない内容であり、偽装請負であると追及。市は「偽装請負はない」と断言し、民間委託に固執しました。9月議会前、市調達課からの「労働者派遣法と請負により行われる事業の適正化について」という通達が出されたにもかかわらずの答弁です。通達は和歌山労働局の「助言・指導」を受けてものでした。
   党和歌山市議団は10月26日、大橋建一市長、大江嘉幸教育長に指揮・命令を外せば公的責任を放棄せざるを得ないような民間委託はやめ、自校方式・直営に戻すよう申し入れましたが、市長、教育長とも拒否。法に基づき政務する行政自身が法を犯すことなど許されることではないと党市議団は翌27日、和歌山労働局に、学校給食における請負事業の実態調査と適正化を求める要請書を提出。労働局は、対処を約束しました。


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労働局に要請書を提出する、共産党和歌山市議団(右側)=10月27日、和歌山市