復旧早く
和歌山台風被害
1階泥だらけ
がれきそのまま
再び大雨なら…不安
2011年9月15日
死者46人、行方不明者11人、全壊146、半壊70、床上浸水2,904、床下浸水2,004―歌山県がまとめた9月15日現在の台風被害ですが、実際の被害に数字は追いついていません。「町内で3分の1程度の家屋が浸水したが、カウントできる状況にない」(寺本真一那智勝浦町長)というのが現状です。さらに現場に入れば、今大雨が降ればひとたまりもない状況に慄然(りつぜん)とします。台風シーズンのなか早急な復旧が求められています。 (和歌山県・川崎正純)
9月4日未明、新宮市相筋地区でごう音とともに山が崩れ、つぶされた家に安波花子さん(73歳)が閉じ込められました。
雨の音にビクビク
携帯電話で孫に助けを求めましたが、そのとき同地区は、山から注ぎ込んだ大量の泥水と熊野川の氾濫により道沿いの家は1階天井近くまで浸水。避難した先が浸水し再び別の避難所へ逃げるなど混乱を極めていました。安波さんが救出されたのは閉じ込められてから7時間が経過していました。
安波さん宅のすぐ下に住む柴崎寿美子さん(52歳)は「ものすごい音に外を見たら安波さんの家がつぶれていた」と当時の恐怖を振り返ります。
「行けるものならどこかに行きたいが、行くところがない」という柴崎さんは1階が泥水に漬かり、使えないので2階で暮らしています。9月10日から12日にかけ新宮市では断続的に雨が降りました。
「雨の音を聞くとビクビクする。山崩れを想像してしまって夜、寝ることができない」と訴えました。
遅れるがれき処理
那智川中流の那智勝浦町井関地区は大部分が浸水。家々には泥が詰まり、樹木が突き刺さっています。
1本だけしかない進入路は、救助活動、復旧活動を優先するため一般車両は1日に3回、30分間だけしか通行できません。
行政のゴミ収集が機能しないなか住宅街のがれきなどの搬出は住民が自力でするしかありません。しかし同地区八反田の三隅玄也区長(自治会長)(52歳)は「まだまだゴミが出るが、一度ゴミを放りに行ったら交通規制で帰って来られない。それにどこの処理場も満杯だ」とのべ、駐車場などにうずたかく積まれたがれきや泥まみれの家財道具に苦渋をにじませます。
住宅街の溝は完全に泥でふさがれていますが、家の泥をかき出すので精いっぱいの住民らに溝の泥を取り除く余力はなく、同地区にボランティアはまだほとんど入っていません。那智川は那智山から流れ落ちた巨大な岩やがれきが河床を押し上げています。橋にからまった立木やゴミは洪水時に容易に流れをせき止めます。住宅街の排水能力はゼロ。疲れ切った住民らの不安がつのります。
国・県に党が要請
同地区を視察した山下芳生参院議員は「東日本大震災で東北はがれきの広域処理をやっています。県が音頭をとってやる必要がある。国には私が、県には党県議団が提案します」と住民らを激励しました。
日本共産党県委員会と同県議団は9月13日、ひきつづく土砂くずれなどの二次災害の安全対策、がれきの広域処理など被災者支援を県に申し入れました。→(9月13日記事)
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