2000/12/31(日) カイロ市内フリー

昨晩約束しておいた内山さん家族と8時45分に待ち合わせをして市内観光に出かけることにした。ホテルの前に居たドアマンにタクシーを世話してほしいと言うと、どこへ行きたいのか聞かれたので「アタバ・スーク(市場)」と答えた。すると「・・・クルーズド」と聞き取れた。クローズド・・・どうやら日曜で休みだということらしい。金曜は休みということは知っていたが、日曜も休みなのだった。残念。それで予め考えておいたハーンハーリ(お土産やが集まっている)の近くのガーミア(モスク)の名前を言った。私は建物を見ることよりも、どこでもよいからミナレット(塔)に登りたかった。それで帰りに買い物もできるガーミアを考えておいたのだ。ガーミアは市内にはたくさんあるが、そこは見るべき物ではないらしく、ドアマンは強くガーミア・スルタン・ハサンを薦めた。そこはイスラム建築としては傑作らしいがミナレットは82mもあり、登るのはきついと思っていた。ところが、内山息子さんが面白そうだからぜひ行きたいと言ったので行くことになった。ご両親も行く気になっていた。30歳も若い私が行かないというわけにはいかなかった。


VIPが泊まる屈指の名門ホテルマリオット

3時間だというとタクシーの運転手は60£Eだと言った。ガイドブックで1km=1£Eと書いていたので高いと思ったが、一人あたり15£Eになるし、貸し切りだと楽だと思い直し、OKした。運転手は自分はクリスチャンだと言った。それで私は、エジプトのキリスト教はコプトという事を知っていたので「コプト」と言うと彼は嬉しそうに握手を求めてきた。私もクリスチャンかと聞くので、ブッディストだと答えた。それでその話題は終わった。

スルタン・ハサンはマムルーク朝を代表する建築の最高傑作らしい。周りにもガーミアが集まっており、タクシーを下りると四方を見上げてしまった。観光客もいなく、静かで厳かな雰囲気が辺りに漂っている。中へ入ると管理人が靴を脱げと言ったが、入場料はとらない。ミナッレトのことを言うとうなずいた様子だった。管理人はついてくるように手招きしたのでついて行った。案内して説明してくれたが、現地の言葉なのでさっぱりわからなかった。しかし見るだけで充分感動できた。昨日行ったムハンマド・アリとは対照的にシンプルできらびやかな装飾はないが、荘厳な感じがした。私はこちらの方が好きな感じがした。中に居るのは私たちだけというのもよい。中庭からミナレットが見えた。隣の部屋に入ると突然管理人が大きな声で何かを唱えた。声はいつまでも響いた。私たちも真似をしてみた。


ガーミア・スルタン・ハサン前で
後ろは向かいのガーミア

ガーミア・スルタン・ハサンの中庭から

そこでツーリストポリスの腕章をした警官がやってきて、チップを一人5£Eずつ管理人に渡せと言う。言われた通りに渡すと、案内人はどこかへ行ってしまった。そしてその警官は管理人が説明した場所にまた私たちを連れて行き、同じようなことを説明し始めた。それはもういいと断れなくてそのままにしていたら、最後に1£Eずつ払えと言うので、ミナレットは登れないのかと聞くと、今日は駄目だと言う。さっきの管理人はOKしたはずだが、警官が相手なので駄目なのか、それとも、日曜だから駄目なのかわからなかった。いずれにしても、ここではもう無理だと思った。それで1£E渡してその場を後にした。まさか、警官までバクシーシを目当てにしてるなんて思いもしなかった。

ミナレットには登れなかった事を運転手に言った。最初に考えていたガーミアの場所の地図を運転手に見せたが、彼は場所がよくわからないようであった。それでも、なんとなくその方向へ走り始めた。何も言わないのに、豪華なアブディーン宮殿の前を通ってくれて説明してくれたり、イスラム芸術博物館へ入ろうとしてくれた。駐車場に入ったところで、内山さん達がここは見たくないと言って、また車を走らせてもらった。イスラム芸術ならトルコやイランが本場なので内山さん達はそこへ旅行したときに見るつもりらしい。来年トルコへ行くつもりだというような事を先日言っていた。私一人なら多分見ただろう。

ハン・ハリーリ方面へ行ってもらい、私が初めに行くつもりだったマドラサ・スルタン・カラウーンと言っても運転手には通じないようであった。ムイッズストリートを北上し、あるガーミアの前で車は止まった。ガーミア・ハリーファ・イル・ハーキムだった。入り口に居た管理人に運転手は何か言いながら手振りで上を示した。管理人はうなずいたようなのでどうやらミナレットには登れるようだった。

入り口で靴を脱ぎ、ミナレットに登りたいと言うと、管理人は「・・・モスリム・・・」と言う。それでも登りたいと言うと同じ事を言うので、そこで気がついた。どうやらイスラム教の信者でないと登れないということみたいだ。それで、とりあえず礼拝したら登らせてくれるだろうと礼拝をしに行った。このガーミアは新しいらしく、大理石の床も白くて電動でモップをかけていた。ガイドブックによるとここは1013年に建てられ、十字軍の捕虜の牢獄として使われたり、ナポレオンの要塞として使われて荒れ果てていたが20世紀になって再建したということだ。一人熱心にお経を読んでいる若者がいた。隣で我流にお祈りをしてみた。

入り口に戻ると、管理人が靴を持てと言うので、もう帰れということかと思い、私たちはミナレット、ミナレットと言った。それでも靴を持てと言うので、そこで気がついた。ミナレットに登るのに靴を履けということなのだ。それで靴を持って管理人の後について行った。
階段の前で靴を履くように言われた。本当にミナレットに登れるのだ。石の周り階段を登って行った。映画のワンシーンみたい。塔の外へ出てみた。なかなかよい景色。高さ30mくらいだろうか。足下を見ると、石が欠けて穴が開いていた。踏み外すと大変だ。
階段を下りて行った。が、途中で管理人が入り口をふさぎながらバクシーシと言ってきた。一人5£Eずつと言う。内山息子さんがとりあえず10£E出した。管理人はうんと言わない。息子さんもこれ以上出さないような感じだ。管理人は意外にあっさりと納得して通してくれた。これでも現地の物価からしたら相当なチップだろう。


ミナレットの中 周り階段

ミナレットの中から

ミナレットに登って

目的は達せた。次はどこへ行こうかと相談し、とりあえずハン・ハリーリに行くことにした。地図を見ていたら、近くにアズハル大学があることがわかった。それで内山さんに大学へ行ってみないかと提案したら行こうということになって、運転手にそのことを伝えた。
アズハル大学はガーミア・アズハル(970年創建)と隣接し、イスラム世界最古(988年)の高等学府。中に入ろうとしたら銃を持った人が来て入るなと言われた。門の前には大学らしく本屋があった。世界地図や耳の構造図のポスターなどが店先にあった。パンに野菜やトマトペーストなんかをつけて食べる屋台があった。食べてみたかったが蝿がたくさんたかっているのを見てやめた。日曜なのに店も開いていて果物や野菜、肉を売っていた。


パンに野菜をつけて食べていた
向こうにアズハル大学が見える


鶏肉屋さん
鶏をさばいている

売っているのは
オレンジ、トマト、バナナ等


カイロタワーに行った。登るだけなら30£E。1ドリンク1ケーキ付きで40£E。内山さん達にケーキ食べませんかと言ったら、£Eが足りないと言うのでお貸ししますよと言ってみた。すると待ってるから私だけで食べてきてくださいとの事。そう言われるならということで甘えさせてもらった。多分、内山さん達は、朝食をたっぷり食べていたからお腹が大きかったのだと思う。スポンジケーキはそう美味しくもなかった。オレンジジュースは生で美味しかった。カイロタワーからはギザのピラミッドが見えることもあるらしいが、この日は霞んで見えなかった。展望台にはエジプトジ人のカップルが何組も居た。イスラム社会は男女関係には厳しくてデートでさえ弟や妹のお目付役がついてきてふたりっきりになれないとガイドブックにあったが、ここ都会のカイロではそうでもないようだ。


カイロタワーから

ホテルに戻ったらちょうどよい時間だった。£Eが余っていたので使い切ろうとホテル内の店を回った。空港では£Eは使えないとあったからだ。本を買った。クッションカバーにいいのがあったが、果たして家で使うだろうかと思い直し、定番のTシャツを買った。

ホテルに携帯電話のカバーを売っている店があった。それが専門というわけではなく、とにかくキラキラのビーズやガラスがいっぱいついている物が色々あった。携帯電話はNOKIA社用みたいだった。私たちのガイドもNOKIAの携帯電話を持っていた。それには電卓機能もついていてレート計算をしたりしてくれた。以前、日本の新聞にある有名人が、外国製のなんとかいう携帯電話がいいと書いていたが、多分これじゃないだろうか。日本のにも早く電卓機能がつけばいいのに。アニメとか若者受けばかり狙ってないでほしい。

空港では本は35£Eと表示していた。£Eで買えたのだ。$でと言うと12$と言われた。$になると割高だった。ホテルで買ったエジプト本は古くて観光地で売られていた改訂版がほしかったので高かったが買った。

飛行機は予定通り飛び立った。私たちの世話をしてくれる3人の日本人スチュワーデスさん達は行きの時と全く同じメンバーだった。

1$=113円 1£E=30円

タクシー(3時間貸し切り) 20E£(4人で80E£)
ガーミア・スルタン・ハサン
   バクシーシ
        管理人に
        警官に


5£E
1£E
ガーミア・ハリーファ・イル・ハーキム
   入場料
   バクシーシ(ミナレットに登って)

10£E
2.5£E(4人で10E£)
カイロタワー(ケーキ、ドリンク付き) 40E£
Tシャツ 55E£
エジプト解説本 27E£
エジプト解説本(改訂版) 12$
板チョコ18枚入り2箱 24$
ナポレオン(コニャック) 50$