1998年8月19日(水) ロイヤルアルバートホール

ケンジントン宮殿へ行った。バスをどこで降りたらいいのかわからず、少し行きすぎて、また反対方向に乗ってじっと外を見て多分ここだろうという所で降りたら当たってた。

ケンジントンパークを北向いて歩いて行ったら宮殿が見えてきた。ヴィクトリア女王の白い像がここにもあった。彼女の像はバッキンガム宮殿の前とウインザー城の前にもあった。宮殿は地味な感じであるが、門は豪華だった。その前にはゆりの花束が1つ置かれていた。鉄棒の塀は簡単に乗り越えられそうだった。見張りの人もいなかった。車が出入りする門には3人の警備員がいた。ダイアナ妃はこの門を自分で運転して外出したのだろうか。

その後また公園を横切ってロイヤル・アルバート・ホールまで行った。ここでは7月半ばから9月半ばまで毎日安くクラシックが聞けるプロムスという催しをしている。そしてチケット売場の前まで行ったら今晩のSTALL席の券を持ったおじさんに声をかけられた。20£のところを15£でどうかと言う。しかし、なんだかよくわからないのでチケット売場へ行き、今晩のチープチケットがほしいと言ったら、16£の席しかないという。ここはBOX席で正面だった。クレジットで払えるという。さっきの外の券の事を思ってもう1度外へ行き券を見せてもらったら本物らしかった。でもやはり慣れない外国のこと、中へ入って買った。クレジットカードを出したら封筒を出してドレス何やらというので正装せよと言ってるのかと思った。でもよく考えてドレスではなくアドレスと言ってるのだと気づいた。でもどの住所かわからなかったのでジャパン?と聞いたらジャパニーズと答えたので書いた。チケットが買えたのでうれしかった。

ハイドパークの方まで歩いて行った。天気がよかったし、みんな呑気にしてたので私も池のそばのベンチに座ったりしてぼーとしてた。公園にはデッキチェアーがたくさんあるが、これを利用するとどこからか70ペンス徴収しにくるらしい。公園の樹木はプラタナスが多い。清掃車が公園の中のゴミ箱を掃除していた。大きなホースでゴミを吸い取り、その後おじさんは強いシャワーを吹き付けた。1つ1つしてるので結構時間はかかるだろうが完璧にきれいになると思った。それでなくても公園内にはゴミは落ちていなくて美しい。犬のフン専用箱が置かれていた。犬を散歩させている人もいるがフンが全然ないところを見ると、皆マナーを守っているのだろう。こういう所が私は好きだと思った。イギリス人のエスカレータの1列とか、「sorry」と謝ってくれるところとか、きちっとしたところが私は好きだ。私は居心地のいい国だなと思った。

パンク発祥の地キングスロードから文化人が多く住むというチェルシーへ行った。パンクの名残は微塵もなかった。チェルシーは静かな通りで落ち着いた雰囲気がある住宅街だった。18世紀の歴史家トーマス・カーライルの家の前まで行った。

夕飯を食べに前から安くておいしそうに思ってたピカデリーサーカスのピザ屋へ行った。1.5£でボリュームがあり、おまけにサラダフリーという事なのでトマトやキュウリ、レタスをできるだけ紙の皿にのせて店の前で立ったまま食べた。少々恥ずかしかったが、ここは外国、大丈夫と思って全部食べた。この旅で1番得した気分になった食事だった。ピカデリーは同じバーガーキングのチーズバーガーでもヴィクトリア駅よりずっと安そうなので夜食用に買った。ここでは1£だったが、ヴィクトリア駅では1.47£だった。

現金の持ち合わせを考えると少し足りないようなので10£をワールドキャッシュでおろした。そして午後7時プロムスを聞きに行ったら、ドレスアップした人がおおぜい居た。どうやら安い席の入り口へはジーンズの人も入っているが、私が買った席の入口にはそんな人はいない。私は、ジーンズだったので躊躇してしばらく様子をうかがっていたら、一人ジーンズの人が入って行った。私も今しかないと思ってついて入った。プログラムを2£で買った。入口でチケットを見せたら行き先を告げられ、右階段を上がって行った。そして席に近いトイレへ入ったらジーンズの女性が手を洗っていた。よかった。そしてBOXへ入ったら、2列に計5つの席があり、どこへ座ればいいのかわからないので、一人1番前に座っていたおばあさんにチケットを見せて聞いたら、1番後ろだというので座った。BOX席は初めてなのでこういう点でも感激した。なかなか他の3人が来なかったので、そのおばあさんは前へ座ったら?と言ってくれた。でも私は遠慮していた。時間ぎりぎりになって二人のおばあさんとおじさんが入ってきた。これで席は埋まった。他の席もほとんど埋まっていた。舞台真ん前は立ち見である。1番いい場所が立ち見なのだ。すり鉢の底という場所だ。ここで3£だ。最初の曲はベートーベンだった。2曲目と3曲目の間に15分位休憩があった。1番前のおばあさんは私に「Did you like?」と聞きにきた。演奏がよかったかと聞いたのだと思ったので「Good. I Like it.」 と答えた。そしたら「Very good.」と言った。ミュージカルでもそうだったが皆休憩でワイン等をよく飲む。そのおばあさんは小さいワインのビンとサンドイッチをバーで買ってきて席で食べていた。全部で4曲、演奏は2時間だった。立ち見の人たちは動きもせず、ずっと立ったままだった。演奏そのものより会場の雰囲気、初めて経験したBOX席、貴重な経験をしたと思う。帰りは歩いて地下鉄の方まで行く人が多かったが近いバス停に並んだ。そんなに待たなくても2台目のバスに乗れた。年寄りが多かったので座るのは遠慮した。10時までには宿に帰れた。
8月20日へ