8月1日(日) ブダペスト

夜中の2時半に目が覚めた。すぐに眠ることができたが,4時半再び目が覚めた。今度は眠ることができなかった。7時になり次第,朝食場所へ行った。そして8時,野澤さんと出発した。(その後,ブダペストにいる間,ずっと野澤さんと共に行動をすることになる。)3日券を地下鉄の駅の窓口で買い,デアーク広場まで行き,そこから歩いてくさり橋まで行った。ここは一番の観光名所。写真を撮りあった。そこから,トラム(路面電車)に乗って川沿いを国会議事堂まで行った。ドナウ川は青くはなかったけれど,風が気持ちよかった。

国会議事堂ガイドツアーに参加したかった。並んでいる人たちを見つけ,その方へ行ってみた。そこにいた係の人にチケットを買いたいと言ったら,鎖をはずしてくれて彼はチケット売り場を指さした。20mほど歩き,ドアを開けると女性が一人いた。日本語のツアーはガイドブックにはないとあったが,確かめてみたくて日本語のツアーはないかと訊いてみた。しかし,やはりなかった。英語によるツアーが10時からあった。チケットを買い,10時までしばらく待った。

ガイドの英語はネイティブではなかったが,やはりほとんど理解できなかった。野澤さんは私よりは理解しているみたいだった。国会議事堂はネオゴシック様式で外は壮麗,内部も豪華絢爛だった。1000年の初代国王イシュトヴァーンから950年にわたり代々受け継がれた王冠があった。ツアーは50分間だった。地下鉄の駅が工事中だったので臨時バスに乗ってデアークまで戻った。シナゴーグ(ユダヤ教会)に行きたかったが迷ってしまった。大通りを入ったところにあるインフォメーションへ行った。辺りは小便臭かった。浮浪者がいた。インフォメーションでシナゴーグの場所を訊くと地図が少し違っていた。100mほど歩くと,ダビデの星が目に入った。柵や建物に星が飾られていた。中に入ってみた。展示館にはさまざまな品が飾られていたが,虐殺の写真もあった。野澤さんは「気持ち悪くなっちゃった」と言って早く出たいようだった。

昼食はピザハットにした。2人でパスタ,サラダ,ガーリックパン,ペプシ,ビールを頼んで3500Ftだった。量がとてつもなく多かった。欧米では日本とは違い,一人で入っても2人分くらい持ってくる。今回もそうだった。もしかしたら,3人分くらいはあったかもしれない。サラダはすり鉢みたいなものと材料を持ってきて目の前で和えてくれた。パスタはチリソースが辛すぎた。結局,半分以上残してしまった。
地下鉄でモスクワ広場まで行き,そこから城バスに乗ることにした。そこで野澤さんがお腹の調子が悪くなった。それでトイレを探しにいく間,しばらくポツンと待っていた。彼は帰ってくると,お腹は普段から弱い,さっき飲んだビールが原因だと言っていた。(しかし,彼はその後もビールを食事ごとに飲んでいた。それもグラス3杯以上。)

城バスは王宮を一周する。私達はマーチャーシュ教会で降りた。それから漁夫の砦,王宮(国立美術館)と観光の王道を行った。美術館には有名な作品はなく,私はさっさと出たかった。しかし野澤さんは絵が好きなようでじっくり見ていた。朝からの観光で疲れが出始めていた。王宮の前の日陰で腰掛けて疲れをしばらく癒した。

城バスでモスクワ広場に戻り,地下鉄に乗って英雄広場まで行った。両側に美術館があって片方ではピカソ展をやっていた。野澤さんは9日,ここへ来ようかなと言った。やはり美術館が好きなようだ。しかし,私は「9日は月曜で美術館は休みですよ。」と言ったら残念がっていた。私達は8日までは共に行動するが,9日,私はウィーンへ行き,彼はそのままブダペストに残ることになっていた。

そこからセーチェニ温泉まで歩いた。ハンガリーの温泉は以前テレビで見たことがあり,ぜひ入りたいと思っていて水着,タオルも持ってきていた。時刻は17時を過ぎたばかりだった。ガイドブックに時刻が遅いほど料金は安くなると書いていた。はじめに1300Ft払った。着替えは個室になっていて係の人に鍵を開けてもらう。鍵の番号を書いた札をもらい腕にはめる。中は広かった。いくつも部屋があり,それぞれに大きな浴槽があった。ジェットバスになっていて人々が同じ方向に歩いている所はなんだか楽しそうだったが私達は通り抜けて行った。外へ行きたかったのだ。大きな露天風呂があった。風呂というよりプールという方が似合っているかもしれない。その周りは明るい色の美しい彫刻で飾られていた。私達はしばらく湯の中でじっとしていた。一日歩き回って疲れた体が回復していくのを感じた。のぼせてきたので私は眼鏡を野澤さんに預け,一人で隣のプールの方へ行ってみた。皆,同じ方向に泳いでいた。湯は温かい。私も泳いでみたかった。しかし,よく見ると泳いでいる人は皆キャップをかぶっている。私はそれは持っていなかった。私はあきらめて野澤さんが待っている所に戻り,再び湯につかった。すると大きな笛の音が聞こえた。音がした方向を見ると,若い女性が照れくさそうにプールから上がってくるのが見えた。彼女たちはキャップをかぶっていなかった。見張りの人に見つけられたのだった。私達は着替えの場所に戻り,鍵を開けてもらって着替え,出ていった。入るときもらったレシートを窓口の人に見せた。お金が戻るかもしれないと思ったが,お金は戻らなかった。退場は入場から1時間を少し過ぎていた。もし1時間以内だったらお金は戻ったのだと思う。

すっきりした気分でホテルに戻り,中のレストランで夕食を食べることにした。午後6時半だったが,客は私達の他には誰もいなかった。ハンガリーでぜひ食べたいと思っていたグラーシュ,パプリカチキン,それに私は水,野澤さんはビールを注文した。グラーシュは塩辛くお世辞にも美味しいとはいえなかった。またチキンの味付けも私には合わず,残してしまった。水も硬水で悲しくなった。ちなみに昼間王宮美術館で買った水は400Ftと高かったが,よく冷えた軟水で美味しかった。Nさんはやはりビールの小瓶を3本飲んだ。食べ始めた時,外はまだ明るかったが,食べ終わったときは夕闇が迫っていた。今晩も早く寝た。