歳三が、四条通りを歩いていると「この前は、ほんまにおおきに」と女の声が聞こえた。
振り返ると、お雪だった。「おめーさん、あの時の」と歳三。「あの時は、ほんまに助かりました」
「今日は、うちに奢らせて下さい。此処のあもは、ほんまに美味しいぞす。」「あもって言うのかい、そのあもを食べさせて貰おうじゃ
ねーか」笑みを浮かべる歳三。「これぞす!」と嬉しそうに笑みを浮かべる、お雪に「あもって、これかい!?」と歳三。
「京では、餅の事を あもって言うのか…でも、お雪の手前では食べねー訳ねーよな」と黙っている歳三に子供のような
可愛げな笑みを浮かべるお雪「うめーな、この【あも】は」と歳三。普段は、甘いモノを食べない男が、顔を硬直しながら
食べている姿を、通りかかる京女達が笑っていた。「今日は、お武家さんの名前を教えておくれやす。」とせがむお雪に
「土方歳三だ。これ以上の事は言えねーな!」「土方はん・ええ名前や。おおきに」名前を誉められて、歳三も良い気分だった。


終に、その日は来たのである【俺たちの新選組】の日が、その日は、歳三は山南と手の内の話しをした。
「分かりました。やりましょう!土方さん」「今日は、長げー一日になりそうぜぇ」と不適な笑みをこぼす歳三だった。
「まずは、新見からだ。」「誰が行くのです?」「まぁーおいらに任してくれねーか!」
島原遊郭で、酒を飲んでいる新見「良い気持ちで飲んでいる所、すいませんがねぇー」「無作法だぞ!!土方」といきり立つ
新見。「おめーさん【局中法度】に背いた事をしているな…おめーさんには悪いが腹を切ってもらう」「俺を誰だと思っているのだ
いい気になるのも、ほどほどにしろ!」っと立ち上がると襖のむこうに人影がみえる。「分かった、おまえ達!百姓に出来ぬ事だな!」
と叫ぶと新見は、倒れた。「ふん!ったく厄介に野郎が一人減ったぜぇ」とニヤリと歳三は笑った。
「何!新見くんが…」慌てた芹沢。「面白くない、酒を飲みに行くぞー!!そうだ、近藤くん!君は、下戸だそうだが…今日の俺の
酒には、付き合ってくれるのだろうな…」とニヤニヤしながら近藤に言った。「近藤さん、今日は芹沢局長と一緒に行って下さい」
目配せをする歳三。「わかった、芹沢先生!一緒に行きましょう」と近藤達は出かけた。
決行・粛清は今日なのだ。その日は、夕方から雨が降り出し、大雨になった。
「芹沢を斬るのは、おいらと近藤さん・井上さん・そして総司!おめーもだ」「私は暗殺なんて、嫌です!」っとふくれる総司に
「おめーは、ヤットウの方は腕が立つからな。へへへ兎に角、付いて来い」「分かりましたよ。強引なんだから!土方さんは」
近藤は、歳三と山南に【芹沢暗殺】を聞かされていたので、先に壬生・八木宅に帰って来た。
夜も更けた頃、芹沢は酒臭い声で「お梅を呼べ!」と呼ばれたお梅もたまったモノではない「こんな、夜遅くに呼ばれて
うち、ほんま!迷惑どすえ」「構わない、俺の部屋に来い!」芹沢・お梅が寝静まった時、黒装束に身を包んだ男達がいた。
「寝静まったようだな」「本当に暗殺をするのですか?」「うるせー、へーるぜぇ、近藤さん、あんたは手を汚さなくて良い!手を汚すのは
おいら、一人で良いんだ」襖を開ける、芹沢とお梅が寝ている。屏風越しに、総司が芹沢を一突き斬りかかる、吃驚した芹沢は
「貴様らは!」と隣の部屋の文机で倒れた。斬りつける歳三と総司。「貴様は、近藤だな…」っと言って絶命した。
無残にも、お梅も血だらけの寝間で死んでいた。
「近藤さん、芹沢の葬儀を盛大にしようじゃねーか!」「歳…」
芹沢鴨の葬儀は盛大なものであった「芹沢先生は、人望もあつく…」と読み上げている近藤。
芹沢一派だった、平山も 山南・原田に暗殺されている。平間は、行方不明に…
「近藤さん!これで【俺たちの新選組】になった。おいら、あんたと一緒についていくぜぇ」っと心に思う歳三だった。


 進む。「山崎烝」失礼しました〜。