此処は、生き馬の目も抜くお江戸の町。

「中村さん!!何をくずくずしているのです!!」ヒステリィーに騒ぐ、筆頭同心・田中。
「はいはい、今 行きますよー。」と主水。「田中様、これは辻斬りですな」「みりゃわかるでしょ」
「最近、辻斬りが多くて奉行所でも困っているのです。それなのに、あなたは…」
「はいはい、分かりました。調べれば良いのでしょうが。」

最近、この江戸の町には 辻斬りが多くなっている。

「誰か、良い仕事はないかい。飢え死にしそうだよ」っと言って加代が来た。
「良い、仕事などねーよ。でも、オマエ!そのわりには俺の所の飯を食っているじゃないか!」
「ケチケチするんじゃないよ!あんた、儲かっているんだろ」「飯、食ったら出て行けよな!仕事が残っているんだ!」
「分かったよ!食べたら出て行くよ!!」加代と言い合っているのは、打ち物処・政の看板を上げている
5尺の背の顔の整った【鍛冶屋の政】である。
「おにーちゃん!!」「お光坊か!へーれよ。」「なんだい、子供には甘いのだから」と加代。
「政さん、何時もこの子が迷惑をかけて」と長屋から出てきたのは、先日 長屋に引越しをして来た若後家・おきぬ。そして
六歳になる、このお光だ。「いいんですぜぇー。又、遊びに来な!お光坊!」

此処は、2千石の旗本屋敷。
「殿、もう 辻斬りはこの辺にして下さい。お頼み申す」家老・井関「この、俺に逆らうのか!!叩き切ってやる」
「殿、おやめ下さい。殿…」井関は、無残にも この 斎藤和馬によって、切られたのである。
「誰かー付いてまいれ!今日も この名刀を試すのだ!!」笑いながら、旗本屋敷を出た和馬達である。


「おにーちゃん!今日は縁日なの!!」笑みをいっぱいに話すお光「それは、楽しみだな」っと政が微笑む。

恵比寿・縁日 人ごみで込み合っている。「ほーら、簡単に蝋燭に火が灯る!これを買わなきゃ、そんだよ」と加代。
「これは、結構!儲かる良い仕事だよ。元ではあまりかかっていないしさ」と嬉しそうに喜んでいた。
「きゃー!!辻斬りだよ!それも小さな女の子だよ。」女が騒ぐと、人ごみから少し寂れた辻角で 女の子が死んでいる。
「誰か、お奉行所に!!」町人風の男が叫んだ。慌てて、主水と田中、奉行所の下働きをしている六平がやって来た。
「こんな、小さな子供を辻斬りするなんて!!」「ひでー野郎だな。可哀想だが、この子の親御さんに・・・」っと言う前に
「お光ーーー!!!」おきぬが駆け寄る。

長屋では、お光の通夜が営まれていた。「なんぜぇー!!こんな小さな、お光坊を!!」柱を叩きつける政。

「今日の獲物は、斬るのも勿体無い、子供でしたな…」「本当だ。大人のそれもとしまの女を斬りたい」と和馬。
「殿、あのガキの母親のおきぬっと言う女!良い女でしたぜー!」「今度!そのおきぬを斬ろう!!」

一人娘・お光を失った、おきぬが暗がりを歩いている。和馬達四人に取り囲まれる、おきぬ。
「だれかーー、お助けを!!」と言った瞬間、おきぬは斬られた。
声を聴き付けた、加代がおきぬに駆け寄る「娘・お光は、あいつらに斬られました・・・」「しっかりおし!」手を握る加代。
「この、恨み…晴らして下さい」っと財布を取り出した。「分かったよ!気をしっかりおもち!!」「恨みを・…」と生きたえる
おきぬ。

暗い暗い場所、そう此処は 誰もが立ち寄らない【闇の会】
「依頼人は、この方です」子供の玩具が置いてある。「依頼両は五両です」誰も依頼を受け取らない。
「依頼・お引き致しました」と五両の小判を受け取る加代。

「なに!相手は、2千石の旗本だぞ。この馬鹿!」「俺は、一人でもこの仕事ひきうけたぜ!」
「相手が旗本だと、助っ人がいるな…」女の様に整った顔の男がいった。彼の名は、【組紐屋の竜】
「助っ人か…また、分け前がへるな…」しぶしぶと言ってた主水の元に、何処からか現れた男【壱】
「仕事の匂いがしたので…へへへ」「何処からか、何時も現れる男だね…あんたは。」と言って、壱に一両を渡す加代。

和馬屋敷、「でも、良い女でしたね。殿様!少し遊んでから、始末をしても」「そうだな!今度は、そうする事にするか」
ははははっと大声で笑っている、屋根に、竜が参上!「少し、厠に行ってきます。」と部屋を出た途端、竜の組紐が
相手の喉に絡みつく、苦しがる男。しかし、力尽きてしまった。「あいつ、厠に行くって行って帰ってきませんね。殿!一度
見てきます。」柱の影に隠れていた、壱が参上!喉の骨を砕く。絶命する男。
「だれかー居ないのか!?」と男が叫ぶと、主水!登場「地獄行きは、あっちだぜ」っと小刀で、男のわき腹を刺す。絶命する男。
一人になった、和馬が「皆!何処に行った!!」暗闇から、政!登場「おめーが、おきぬさん親子を殺したのだな!!」っと
言い、手槍を取り出すと「助けてくれ。金ならいくらでもある。命だけは…」「おめーが殺してきた事は、こんなモノではない!」
怒りに燃える、政の手槍が 和馬の首を抑えた。

中村家
せんとりつが座っている。「ただいま、帰りました。」「母上、家の人が帰ってきましたわ。」「早く、婿どのを此方に」
畳の上には、上物の鯛が置かれている。「早く!あなた、お隣から貰った 鯛ですわよ!お食べ下さい。」
「これは、上物の鯛ですな!!母上から、お食べになられては!?」「いえ、代々続く【中村家】をお継ぎした婿どのが先です!」
「そうですか!?お二人には、悪いですな。はははは」っと笑っていた、主水の顔色が悪い。「すみません、少し厠に」っと
席を立つ主水に、「やっぱり、生はいたみますわ…母上。」「婿どのが食べてくれたので良かった!良かった!」と
大喜びする、せんとりつに「いい事など、ありませんよ!これだから、婿養子はつらいなぁ」っと呟く主水であった。

 【必殺仕事人IV】「加代富くじで損をする」にすすみますか??