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「おのれ!会津め。それよりも腹立たしいのは、壬生狼のくせに、我々同士を
池田屋で…「新選組」だ!この恨みを晴らしてやるわ!」と若き長州藩士、頭脳明晰で
あの【吉田松蔭】も、「私の志を、君に託す」と言わしめた若者・久坂玄瑞が叫んだ。
そうだ「新選組が憎い」と、長州藩士達も叫ぶ。
その頃、近藤は 会津藩主・松平容保に呼ばれた「近藤、池田屋での働き大儀であった。で、そちに
頼みたい事があってな…」「頼みとは、殿」「うむ。長州藩の者達・お上に逆らう者どもが集まってな…
そちに、いや「新選組」の力を借りたい」「分かりました。元々この命、殿!会津公・松平容保様に預けて
おります」「すまぬ・近藤…」と容保は言った。
「ぜぇ!俺達が、蛤御門を守りゃー良いんだな。近藤さんよ」「そうだ、今度は戦になるかも知れない。頼む、歳…」
「会津公に頼まれれば、仕方がねーじゃないか!近藤さんよ」歳三は微笑んだ。
「皆に聞いてもらいてぇーが、今回 我々「新選組」は、帝がお住まいになる御所に行く!」
「御所にですか…」と平助が問う。「おめぇーさん、額の傷はぜぇじょぶ(大丈夫)かい!?」
「ありがとうございます。副長、私も!長州が戦を仕掛けてくるのなら応戦します!!」
「そいつは、心強い言葉たぜぇ」と歳三が言うと皆の顔が輝いた。「戦いましょう!長州と」皆の声が響く。
「じゃーそろそろ、出かけようとしようぜぇ!近藤さんよ」と歳三は言った。
「流石、帝が住んでいる所だぜぇ!立派なモノだ。ははは」
「遊びではないぞ!歳。まったく、お前は何時まで経っても 昔の癖が直らない」
「すまねぇーな、近藤さんよ。喧嘩となると、わくわくするぜぇ」
蛤御門では、大砲の音が鳴り止まない。しかし、長州軍は、敗退して行った。
天王山の合戦でも、長州軍が敗北をしたのである。「無念だ!我々の志の何処がおかしい」と
若き長州藩士・久坂は自刃する。久坂と同じく、志を持った 尊皇攘夷派・真木和泉も自刃した。
「本当に、この様な事で良かったのだろうか…」と呟く近藤に「俺達のした事は、間違っていないさ。かっちゃん」と
と肩を叩いて歳三は言った。
「俺は、江戸に帰って隊士を集めに行って来る」と言ってつれて来た男は、色肌白く眉目秀麗だった。
「私を新選組にと、余りにも近藤先生がお誘いになるので…」と笑みを浮かべる男、名は【伊東甲子太郎】と言った。
「そして、私は江戸で道場を開いていたが 私と同じく志を持った者達も連れてきたのです」と仲間達を紹介する
「江戸に行って、つれて来たっと言う奴は、おまえさん達かい。」と眺める歳三。「伊東先生!私です。藤堂平助です!!」
「そうだったね、藤堂くん。久しぶりだね。」と嬉しそうに笑みをうかべる伊東。
「一つ、土方くん!君に言っておきたい事があるんだが良いかね!?」「言いたい事があるのなら、はっきりさせようじゃ
ねぇかい!伊東さんよ。なんだったら、おいら 表に出ても良いんだぇ」と笑う歳三に、「君は、目上の立つ人の事の言葉づかいを
知らないようだね…」と伊東が言い返すと「良いんだ、伊東さん。貴方に無理をさせてしまって…でも、私と土方くんは
これで良いんだよ」「近藤局長が、土方くんの態度に不満がなければ 一々私が口を挟む問題ではないでしょう。今日は
疲れたので、この位で席を立たせてもらいます」と浅く会釈した伊東は、部屋に戻った。