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「おまんが手を授けなかったらどうする?日本は灰になるぜよ」
と桂小五郎に声を大きく響かせて問う男。
そう、昔 歳三と仲良く話しをしていた男【坂本竜馬】だ。
「薩摩は、幕府と一緒になって 我々に盾突いたその薩摩とは手は結べぬ」っと
顔を顰める。
「長州・薩摩っと言う時代じゃないじゃろ!日本は一つじゃ、儂は西郷さんの所に行っている」
西郷隆盛・巨漢な男だ。
「西郷さん、桂の石頭に頭を下げてくれはしてくれないじゃろうか」頼むと頭を下げる竜馬。
「おいで良かったら、なんぼでん頭を下げもうそ」とにこやかな笑みを浮かべる西郷。
「すまん、西郷さん」と言い桂の部屋に行く二人
「西郷さんではないですか!私は薩摩の人とは話しなど出来ぬ」と桂
「蛤御門の戦いでは、すみまもうした。許してくれりゃんせ」と巨体を下げて謝る西郷。
「西郷さん…」と桂も涙ぐむ。「よかよか、長州と薩摩が手を結べば日本が救えるぜよ」
と大声で喜ぶ竜馬。「だが長州には材木を・薩摩には米を差し出す。商いぜよ」
「良いか、桂・西郷どん」と念を押す竜馬。
「わかりました。坂本さん」と桂が頷く
「わかりもうした。竜馬どん!まっこて竜馬どんは商いがうまいでごわす」と大声で笑う西郷。
「これで、日本は灰にならんですんだ」と肩を下ろす竜馬だった。
「なんだって!?薩摩と長州が手を結んだって言うのだな」
探索方・山崎烝から聞いた歳三は耳を疑った。
「ぜぇ、そのくっ付けた えれぇーお人は誰ぜぇ?」
「探索方の小波によりますと、坂本竜馬っと言う浪人です」
「坂本竜馬…昔、俺と総司との知り合いじゃねぇーか!」
「副長のお知り合いですか?」
「遠い、昔の事だがよ」っとカラカラ笑った。
「山崎!その坂本竜馬から目を離すのじゃねぇーど!!」っと
言い探索部屋から離れた。
「最近、山南さんの事があってから 面白くねぇーな…久々に島原に行くとするか」っと思い
島原の馴染みの店を歩いていると
見間違いだろうか、お雪にそっくりの女が居た。
店に入ると「この女を頼むぜぇ!」と遊女屋の女将に言い
待っていると、女が入って来た。
「お待ちいたしました。」
「おめぇーお雪だろ!なんぜぇこんな店で働いているんぜぇー?」
「誰やと思ったら、新選組の副長の土方はんやね…」っと素っ気無い物言い
「おめぇーは、こんな店で働く女じゃねぇー筈だ!」
「池田屋で女中をしていました。でも 新選組が目茶目茶にしてしまって
うち、両親は小さい頃に亡くしましたから 女郎に身を落とすしかありまへん…」
「おいら、おめぇーに惚れちまったみてぇだぜ!おいらが見受けする。そしておいらの女になってくれ…」
「うち、みたいな女子に、新選組の副長はんが。」と笑うお雪に
「おいら、本気だぜぇ!江戸っ子だからよ」と微笑む歳三。
「ほんまどすぇ?信じられまへん」と涙ぐむお雪に
「二人で住む、家を探しておくぜぇ!その代わり、おいらと違う男にはもう抱かれるな。
分かったな、指きりだ」っとお雪の白い小指を絡ませる歳三だった。
「しればまよい しなけれりば迷わぬ 恋の道」
と大声で読み上げる 総司。
「へぇー土方さん、恋をしたんだ。鬼副長がね」とくすくす笑う総司。
「てめぇー、また おいらの俳句を!」と取り上げようとする歳三。
「どこのどなたです!?土方さんの恋のお相手は」
「そんな事より、総司 おいら達と話をした浪人がいるだろう」
「昔、茶屋でありましたよね?そんな事。」
「その浪人、坂本竜馬っと言うのだが そいつがとんでもねぇ事をしやがった」
「とんでもない事ですか?」
「そうだ、薩摩と長州が手を結びやがった「薩長同盟」よ」
「そんな…薩摩は、私達と蛤御門の戦で手を結んでいたでは ないですか!」
「許さねぇーよな、薩摩は!」
と強く睨めつける眼差しの歳三であった。