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「松原忠司・四番隊隊長が心中しました」
山崎に聞かされて「あいつは、馬鹿なやろうだ…」っと悲しそうに笑った。
松原忠司・四番隊長 柔道指南役、坊主頭に鉢巻を巻き・体も3釈ある
大男だ。だが「親切者は山南・松原」っと言われるぐらい隊からも好かれていた。
松原の心中は
「あの、浪士・長州の者だな…」
「松原さん、如何しますか?」「長州の浪士を放って置く訳にはならない。斬る!」
浪士は、松原の刃に倒れた。
「この男どうしますか?」四番隊隊士が尋ねると「仕方が無い。この男の家に行こう」
此れが、松原の不運であった。「はい?どちらさまで」女の声がした。
障子をあけると、美しい女がいた「あんた!だないしたん!!」っと夫の亡骸に
しがみ付く女。おみつっと言った「喧嘩をしていて、私が仲裁しようっと思っていたら斬られてしまった…」
「おおきに。あんさんみたいな親切な方がおって、ほんまうちうれしいぞす」
咄嗟に出た嘘が、取り返しのつかない事になった 松原である。
後家の家に通っていた松原にしたら、心の拠り所であったのだろう。
ある日、歳三に呼ばれた
「なぁー、松原 親切面して その女房とねんごろになる武士がいるそうじゃ
ねぇーか?どう思う…松原?」とニヤリと笑う。
「副長は、私とおみつの事を知っているのだ」狼狽する松原。
「そんな、奴は平隊士でじゅうぶんぜぇ!おめぇの事だよ。松原!」と怒鳴る歳三。
悲しみに更ける松原に「松原はん、うち 初めから知っていましたぞす。うちの人を斬ったのは
松原はんやと…」「でも、松原はんが親切にしてくれはるから うち、松原はんの事が好きになりました」
「平隊士に格下げやと、ほんま 土方はんは【鬼】ぞす」「おみつ・…」と松原はおみつを抱きしめた。
「一緒に死にましょ…松原はん」とおみつが短刀を持ち出すと「おみつ……すまない」っと言って
おみつを短刀で刺した。そして、松原も自害した。これが「壬生心中」っと京では広まった。
「山南くん。私は君の分まで働くよ」と心に誓いを胸に思い、小波は「坂本竜馬」を探した。
良い知らせが入った「坂本は寺田屋っと言う旅籠にいるらしい!」
小波が調べていると「坂本はんなら、うちに泊まっております」と女将が言う。としまの艶っぽい女だ。
女将の名はお登勢と言った。お登勢には「土佐藩の者です」っと答え急ぎ屯所に戻った。
小波は、探索方の山崎に言うと「ようやってくれた。おおきに。早速副長に言ってくる」と
足早に歳三の部屋を訪ねた。
俳句を考えていた歳三だったが「よくやったぜぇ!小波には金子を出す」
「そして、おいら 近藤さんの所に行ってくるぜぇ!」と部屋を後にする歳三。
「近藤さん、寺田屋に坂本が居るぜぇ!早速 御用改めだぜぇ」坂本の面影を浮かべながら話す
歳三。「わかった、歳。会津藩邸にこの事を伝えてくる」っと部屋を出た近藤。
「坂本竜馬、おめぇに会えるのが楽しみだぜぇ」と心躍る歳三だった。
「会津公の許しがでた!これから寺田屋に行く!」近藤は隊士の前で言った。
寺田屋の一室
竜馬と三吉と二人だ。この三吉は竜馬の身を安じた【高杉晋作】の進めである。
「今日も、寒いのう、美吉さん 儂は寒がりでいかん」
「そうですね…今日も冷えてきましたね。坂本さん」
新選組と見廻り組の佐々木只三郎とが睨み合いをしている
「坂本を捕らえるのは、我々の仕事だ。壬生浪士は寝てるといい」
「坂本を見つけたのは、俺達だぜぇ!おめぇーこそ会津藩邸に帰れ!」と睨み合いが続く
湯殿に浸かっていた、寺田屋のお龍が気づく。
「なんやら、盗り方でいっぱいや。はよ、竜馬はんに知らせへんと」と
湯殿を飛び出し、着るものの身に付けずに竜馬の部屋へ急ぐ。
その頃竜馬は、薩長同盟の話を三吉に話をしている所であった。
「竜馬はん、逃げておくれやす!盗り方がこの【寺田屋】を囲まれております」
「一寸まってくれ!お龍。なんぜよ!!その格好は」驚く竜馬。
三吉も顔を赤らめている。「うちの事やったら気にせんといておくれやす」
新選組が【寺田屋】を囲んでいる、見廻り組の佐々木が入った所
「よう来たのう。じゃが儂は死なんぜよ」とニヤリと笑うと、高杉から護身にもらった
ピストルを天井目掛けて打つ。一瞬の好きを見て、屋根づたいに上った竜馬と三吉
「よー!土方さん、お勤めご苦労さん」と笑うと、風の様に闇に消えた竜馬達である。
「ちぇ!坂本に逃げられたぜぇ。悔しい」と苛立ちを隠せない歳三であった。
その後、数日が過ぎ 竜馬はお龍と夫婦になった。
「なんせ、この お龍は命の恩人ぜよ」と笑っていたと言う。