「おいら、おめぇーとの家を探したのだが来てくれるか?」っと照れながら言う歳三。
歳三に見受けをされたお雪が恥ずかしながら頬を赤らめて言う。
「へぇ。喜んで、土方はんの所なら何処へでも 着いていきます」
「お雪、その土方はんは止めてくれねぇか。おいらの名前歳三で良いぜぇ!」
「歳三はん、なんか うち夢みたいやわ」と笑みを交わす二人。
家に入ると、二間の部屋に中庭がついている。
「気に入ったか!?嫌だったら 別のを探すが…此処は屯所から近い、近藤さん・総司
そして、何か情報が入ったら 山崎にも来てもらうが 良いか?」
「山崎はん…」と一瞬、お雪の顔色が変わったが直ぐに微笑み
「おおきに、歳三はん」っと照れた声で言った。
「おめぇーは、本当に可愛いよ。おいら、照れるぜぇ」っと言い お雪の白い額を人差し指で軽くつっいた。

川合耆三郎、
伊東一派の篠原泰之進・伊東の片腕だ。その篠原が
川合に「金子50両を貸してくれないか?」と言われ
「お金の貸し借りは【局長法度】で決められています。無理です!」
「お前、伊東さんが急用でいるんだ、貸せ」っと無理やり50両を持っていった。
「まぁ、明日になれば 伊東さんも返してくれるだろう…」っと思ったのが不運だった。
「急な用で、大阪八軒屋の京屋に金がいるんだ、今いくらある?」と歳三が尋ねると
咄嗟に、川合は「500両です」っと答えた。
「じゃ、500両貸してくれねぇーか!」と歳三。50両が足りない。
「おめぇー、50両が足りねぇじゃねぇか!」
「家の実家から、50両を借りてきます」っと言い飛脚を飛ばした。
「三日だ!川合。三日経っておめぇさんが、50両持ってこなかったら【首】がとぶぜぇ!」と歳三が怒鳴る。
川合は待った。飛脚の来るのを。首を長くして待った…だが三日経っても飛脚は来なかった。
歳三に呼ばれた川合「おめぇさん、三日経ったぜぇ! 三日経ったら勘定方として、責任を取ってもらうぜぇ」と言われた。
川合は、頭が真っ白になった。「どうして、飛脚は来ない…」
「斬首だ!」「副長…」涙声で声にならない。「本当に飛脚は来なかったのですか…」っと
言う途中で、川合の首がとんだ。皮肉なことに、三日目に飛脚が届いた。
「耆三郎…」っと亡骸にしがみ付く、川合の母親「土方さん、あんた本当に【鬼】やね…耆三郎の事を
信じてあげられなかったん…」と歳三を睨む母親。
何も言い返す事の出来ない歳三だった。


慶応五年、伊東甲子太郎が言い出した。
「我々は、高台寺と言うものを作りたいのだが、如何でしょう?近藤さん」
「おめぇーさん、屯所を出るって言う事は 分かっているんぜぇ?」と歳三が問いただすと
「此れは、隊を離れるのではないよ…土方くん。高台寺と新選組で、京の探索をするのだよ」と不適な笑みの伊東。
「仕方が無い。歳…伊東さんとは、離れて守ろう」「分かったぜぇ。おめぇさんが言うのだから
おいら、何もいわねぇーよ」と歳三が言った。
「我々と、志をもった者は集まってほしい!」伊東が叫ぶと「私、行きますよ」と微笑みを浮かべる平助。
「平助…おめぇ」と声が出ない歳三「私が、兄の様に慕っていた 山南さんが亡くなったのです」っと冷たく
言い放つ平助。此れが、まさか 歳三も平助の最後の姿を見るとは思わなかっただろう…
「私も行きます」普段は無口な男・斎藤一である。
そして、歳三と一瞬目配せをした 斎藤である。

伊東と分離をした近藤であったが、会津から嬉しい報告を聞き喜び勇んだ
「歳!私は【旗本】になったぞ!」まるで、子供に玩具与えられたように喜ぶ近藤に
「よかったな…かっちゃん、おいらは70表五人扶持だ」と笑みを浮かべる歳三。
「歳、ようやく武士になったぞ!」と喜ぶ近藤を 眺めて居た歳三であった。

ある日、山崎を歳三が呼ぶと「武田観柳斎の野郎が殺されたそうじゃねぇか」
「お気づきでしたか?副長…」「あんな、頭の固ぇー奴は殺されて当然よ」と笑みを浮かべた
「まさか…副長命令だったのか」っと思う山崎だが
「ほんまですわ。奴は薩摩と手を結ぼうと…そして此処だけの話ですけど
伊東にも、近づいていたみたいですわ…」
「伊東甲子太郎ねぇ」と冷たく笑う歳三に、流石の山崎も背筋が凍った。

 進む。