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その日、歳三達の運命が狂った話が入って来た。
「土方さん、幕府が…」「幕府がどうしたんぜぇ?佐之助しっかりとしやがれぇ!」
歳三に差し出されたお茶を一気に飲み
「すみません、あまりの事に取り乱してしまって」「しっかりしやがれぇ!」と笑っていた
歳三の顔が凍りついた。「原田、嘘だろう?まさか幕府が【大政奉還】したっと言うのは」
「冗談では、ありません。将軍・慶喜公が【大政奉還】したって、これ瓦版です」
差し出された瓦版には【慶喜・幕府を帝に返す】との躍りもんくが
「近藤さんは、此れを?」「話しました…しかし幕府が【大政奉還】をするとは」佐之助が
呆れ顔で瓦版を見ていた。
「山南さん、あんたの言った通りになった…新選組は一体どうなるんぜぇ」と
歳三は、この先は戦だな・・・っと思った。
11月15日、近江屋の二階
陸援隊を作り男・中岡慎太郎だ。
「これをみていたら、おまんの名前が入っていないぜよ?」
「儂は、政府みたいなものは好かんき。其れより今日も寒いぜよ」
「寒い!?おまん【風邪】をひいてるきに」
「慎太、しゃもを食べようぜよ。」「しゃも!?儂は【徳川慶喜】の話をしに来たぜよ!しゃもなんど
食べに来た事はないきに!!」怒る中岡。
「みねー!おまん、しゃもを買って来てくれ」「へぇー分かりました」
近江屋を出たみね吉。黒い集団がいる。みね吉は気づかずに行った。
「本当に、坂本を斬るのですね?」「このまま坂本を斬れば【見回り組】の手柄になる!」
「分かりました、遣りましょう【佐々木さん】」
再び近江屋
「のう、慎太 儂は商いをするぜよ!大きな海の上じゃロマンぜよ」と
思いをおこす竜馬。
「儂は、おまんとは付き合いかねん」と笑い出す中岡。
その時「十津川村の郷士の者です」
近江屋の主人に名刺を差し出す男「分かりました。竜馬はんに聞いて来ますわ」と主人
「十津川村の郷士…知らん。会ってみるぜよ!」「やめろ竜馬、おまんの悪い癖じゃ」
「でも、知らん郷士の者でも儂に会いたがっておる!いっぺんおおてみる」
「それより、しゃもは未だかいのぉ…」「おまんは、しゃもも政府もいっしょくたんじゃ」と大声で
笑う中岡。その時である、下の方でどすんっと大きな音がした。
「みねかも分からんき、みねーほたえんな!」っと言った瞬間
障子が開き、黒装束の男が聞いた「坂本先生ですか?」
「そうじゃが…おまん」っと言いかけた時、刺客の刃が竜馬の頭を斬った。
「おまんら!!」と怒る中岡だが天井が低い、刀が抜けない
中岡も刺客に斬られた。
竜馬がピストルに手を欠けるが目が開かない。
刺客の一人が「こなくそ!」と叫ぶ。「伊予の生まれの方言じゃ…」と倒れていた中岡が言った。
刺客達がきえると、ボロボロになった竜馬が倒れている。
竜馬のそばに行きたいが、中岡の体も動けない。
消えていく意識の中、中岡が竜馬に問う
「竜馬!おまんが死んだらいかんぜよ…おまんは日本に大事な人間じゃ…」
「慎太…儂は、もういかんぜよ…頭をやられちょる」刀に自分の姿を消えていく
意識の中で最後に見た自分の姿だった。
維新の功労者・幕末の風雲児【坂本竜馬】享年33才、余りにも若すぎる死であった。
同じく、中岡慎太郎もその二日後に亡くなったという。
「副長…入ってもいいですか?」山崎が問う
「良いぜぇ、へぇんな」と歳三。
「坂本竜馬が近江屋で暗殺されました。刺客の一人が【こなくそ】っと言うたらしいですわ…」
良いにくそうに歳三に言う山崎
「こないな事、言うてわいけませかんが原田さんも伊予の生まれ…」
「おめぇー、佐之助が【坂本】を斬ったっと言いてんだろう!佐之はそんな奴じゃねぇ!」
「でも、これで【新選組】は【土佐藩】まで敵にしてしまったんだなぁ…」
っと言い放つ歳三に
「ほな、すんまへんが 私は探索の仕事があるので」っと言い
歳三の部屋を後にする、山崎
「坂本竜馬!おめぇは立派な奴だったぜぇ…もう一度おめぇさんと酒を酌み交わしたかったぜぇ」
竜馬の笑い顔を思い出しながら、歳三の瞳にキラリっと光るものが流れた。