「甲陽鎮撫隊」は、甲府城には入れなかった。近藤達が江戸で騒いでいる時に薩長に入られたのである。
見事な敗北であった。
そして、勝沼の戦いでも敗れた。
ある日、近藤に不信感を抱いていた 永倉が言った「我々は、隊を辞めたいのですが…」
「新八、隊を辞めれば切腹だぜぇ!!」っと歳三は怒鳴った。
「まだ、切腹などと言っているのですか?貴方は」永倉は笑う。「歳、永倉くんの自由にしてあげたまえ。そして隊を離れたい者が
居れば、遠慮なく言ってくれたまえ」「近藤さん、私も…」っと言ったのは原田だった。
「佐之助、てめーもか!」怒りを抑えられない歳三。
そして、永倉・原田の試衛館時代の友は消えた。

落ち込んでいる、近藤に 新選組でも体の大きい男が居た。【島田魁】である。
「【流山】です」「流山かね…島田君!?」「此処で、薩長と戦いましょう!」「分かった。歳は如何する?」
「おいら、おめーさん以外について行く以外しかねーだろ?」と歳三は笑った。
残りの者達は「流山」をむかう事にした。

「下総・流山」そこで、隊を出動するはずだった、一行だったがまさか薩長に囲まれていたとは…
「此処は、薩長の連中に囲まれているみたいたぜぇ。此処は、まず逃げ延びて【会津】で戦おうじゃねぇーか
近藤さん!」
「嫌、私は此処で降伏するよ…歳。潔くが私の【誠】だ」
「何、言ってやがるんぜぇ!おいら嫌だぜぇ…」まるで子供の様な歳三に諭すように
「私の捕まっている間に、お前達は逃げなさい」「近藤さん…」歳三の目が赤くはれあがっている。
「今まで、世話になったな。歳…さらばだ」っと言い近藤は薩長の中に投降していったのである。
「近藤さん、犬死にはさせねーぜぇ…島田、おいら【勝先生】に嘆願を頼むぜぇ、おめーらは【会津】を
目指して行ってくれ!」

江戸にかけ戻った歳三が【勝海舟】を訪れた。
「おまえさんも野暮な人だね。そりゃ【嘆願】を書けと言うなら書きますけどさ…」
「お願いします【勝先生】」「あのまま、死なせてあげるのも あたしゃ良いと思うのだがね?土方」
「其れより、お前さん達には【北の蝦夷地】を目指してほしいのさ!」
「勝先生…」「宇都宮で【大鳥軍】が戦っていらーね、そいつの援護を頼む」
「分かりました」此れで、近藤とは今生の別れになると悟った歳三であった。

宇都宮で戦っている歳三に【近藤勇・斬首】の話が聞こえてきた。
「近藤さん、おいら お前さんに迷惑ばかり掛けてきたな…あの世で会おうぜぇ」
と心に刻む歳三だった。
近藤勇・新選組局長 享年・35歳。
新選組と一緒に生きてきた、男の生涯だった。
近藤の首は京の三条川原に晒されていたが、首が無くなったと言う。
近藤勇の遺族が持ち逃げ帰ったっとの噂も流れた。

その後を追うかの様に、医師・松本良順ところで治療を受けていた総司だったが
結核の病は良くならない。
近藤斬首の悲報も知らない。
「黒猫がうるさいのですよね…この黒猫を斬ったら【土方さん】達と戦えるのに…」
庭の黒猫を目掛けて斬る仕草をする総司。
でも、足が及ぶつかない。
「如何したんだろ…こんな体では、戦えないや」っと笑うと大量の血を喀血した。
沖田総司・享年27歳。天才剣術師と歌われてきた 男の孤独な死であった。

会津で、総司の悲報を聞かされた歳三は、
「まったく、近藤さんも総司も大馬鹿野郎達だぜぇ」と号泣する歳三に
「土方、今まで【我が会津】を救ってくれてありがとう」と頭を下げる容保に
「殿、母成峠の敗退、すみませんでした」と歳三。
「近藤の墓を作ってあげる事しか、余には出来ぬ…すまぬ土方」
「ありがとうございます。殿」
「此れからは、我々の手で美しい【会津】を守っていこうと思う」と強く念じる容保に
「わかりました。私達は【蝦夷】に向かいます」
「犬死だけは余が許さぬぞ。土方」「ありがとうございます殿」っと言い残し
会津を後にした歳三だった。
「近藤さん・総司、おいら、戦い抜く事しか出来ねーみたいだ」っとくすりっと笑い
でも、頬には涙は隠せない歳三であった。

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