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2005年09月29日 | 【 3.月刊『お前だえよ!』 】 |
マエオカテツヤの遊び心
ある日週末の昼下がり、ぶらくり丁あたりを走ってると何やら忙しなく人がバタバタしている。気になり、高校時代からの知り合い‘カワサキスポーツ‘の川崎さんに自転車を止めて聞いてみると隣接する住吉神社のお祭りという。思い起こせば落語家を志していた21年前に僕は、ここの夏祭りで人前でおしゃべりするデビューをした。
当時は高校3年生。すでに落語家を目指し公言していた事もあって、子供の頃からよく遊びに行ってたぶらくり丁のおっちゃん達が気を利かせてもらっての事だった。
学校では何気にいちびってやってる行いも、場所が変わると中々照れくさいもの。
考え覚えた事を間違わなくお喋りするだけでやっとの僕だった。だから当然ウケル訳もなく、思った以上マイクを持っていると時が経つのが長く感じた貴重な経験をさせてもらった。以降、プロの落語家としてスタートした僕の節目にはいつもぶらくり丁で応援してる人たちがいた。近頃、思い出したかの様に空いた時間があるとこのぶらくり丁をブラブラする事がいい息抜きになって楽しい。昔ながらの店で食事をしたり、雑貨屋などを見て回る。閉まる店をあれば開店している所もある。身近に時代の流れを感じる事ができるのも商店街の魅力のひとつだといえよう。そして先日、そのぶらくり丁の築映に隣接している住吉神社の夏祭りがあり僕は早速遊びに行った。・・というのも友人であり一緒に落語を作ってる漫画家、マエオカテツヤプロデュースによる昆虫販売をする知っていたからだ。
マエオカさんというのは実に多趣味で昆虫もそのひとつ。夕方ちょっと早いと思いながらも行ってみるとまだ陽が高いにも係わらず、すでに机の上にいっぱいのカブトムシやクワガタがいた。最近、子供達に大人気のムシキングの影響もあり、遠巻きに小学生たちが固唾を飲んで見守っている。準備しながらマエオカさんはそれを誇らしげで楽しそう。しかし関心したのがその品数の多さだった。カブトやクワガタだけじゃなく鈴虫、亀にザリガニまで数十種類。目玉は何といってもヘラクレス。ウン万円はするという貴重な実物に瞳を輝かせながら質問を浴びせる。その姿は時代やモノが変われども子供というものは変わらないものだ。「いっぺん触ってみるか?」「・・これは南アメリカから来たやつや!」などと時間が経つに連れて人だかりが出来てはいるものの売るというより昆虫教室の様にも見えた。子供達が素直に聞き入ってる姿が何とも懐かしくマエオカさんが羨ましく思えた。
昔、町内に必ず居ていた物知りのお兄ちゃん的だったから。僕は、何をする訳も無くじっと見ていたんだけど子供達の行動がとても楽しかった。一時間近くずーとお気に入りを眺めている子供やらさっきどっかへ行ったと思ったら、気になるのかしら又戻ってきて質問する子供。お小遣いで買えるものもあるのに買えない高価なムシばっかり目が行き結局、なにも買わずに帰っていく子供。小さい身体で駆け引きしている姿が何とも意地らしい。そういう事でお金の値打ちを勉強して行くもんやな~と自分の子供の頃を振り返りながら思った。時間が過ぎ、人もまばらになった頃マエオカさんに「どう?売れた?」と聞くと「イヤイヤ!」と言いながらも笑いながらすごく充実した表情。それはきっと売上げでは残らない、子供達に夏休みのいい思い出を作ってあげたという満足感からと察した。後で、お手伝いに来ていたペットショップの人が「今回の値段はお店で買うよりはるかに安いんですよ!」と僕にこっそり教えれくれた。マエオカテツヤの遊び心にあったかいものを感じ得した気分で家路に向った夏の夜でした。
Posted by sisomaru at 2005年09月29日 19:31