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2001年6月議会
高田由一議員の一般質問と答弁
1―市町村合併について
高田 ことし一月に出された「和歌山県市町村合併推進要綱」では、合併の必要性の理由の一つとして、国や地方の財政難を挙げています。そして、現行の地方交付税制度を初めとする地方財政制度が将来にわたって維持されるかについては極めて不透明な状態と述べています。しかし現在、地方財政がこういう状況に陥ってきたのは、国の責任によるところが大きい。景気対策と称して地方が膨大な借金をつくる、ゼネコン優遇の大型開発政策を進めてきたツケが来ているのです。もちろん、地方交付税制度が財政危機の原因ではありません。その点で、先日、木村知事が鳥取県の片山知事と発表された「最前線から地方財政改革論議に寄せる」という声明は、このことの本質をずばり批判していて、私ども日本共産党県議団としても大いに賛同するものであります。いよいよ国は、なりふり構わず強引に合併を進める姿勢です。ことし三月十九日に総務省は、「『市町村の合併の推進についての要綱』を踏まえた今後の取組(指針)」を知事に通知しました。この内容は、自主的という装いをかなぐり捨て、期限を迫り、強引なやり方で市町村合併を強要するものにほかならないと思います。その中では、「平成十三年中のできるだけ早い時期に、知事を長とする全庁的支援体制」、つまり合併支援本部なるものを設置することを求め、その上で、県内で少なくとも数カ所を合併重点支援地域として指定し、その指定後、一年以内に合併協議会が設置できない場合は知事がその設置の勧告を検討するという仕組みになっている。この三月十九日付の総務省の指針について。1ーこの総務省から示された指針について、どう考えるのか。2ー市町村合併支援本部を設置するつもりか。3ー合併重点支援地域を平成一三年中のできるだけ早い時期に少なくとも数カ所を指定することとしているが、知事の考えは。4ー指定後一年以内に合併協議会ができないときは知事が勧告を行うことを検討するとあるが、こうしたことは市町村の自主性を無視するものではないか。
■木村知事 県においても、合併に向けた機運の醸成を引き続き図るとともに、できるだけ早期に合併支援本部を設置し、合併支援のための諸施策を検討してまいりたいと考えております。また、合併重点支援地域の指定につきましては、市町村の合併議論の動向を踏まえながら、十三年中に複数箇所の指定ができるよう検討を進めてまいりたい。勧告制度は、自主性を無視することのないよう、関係市町村の意見を聞きながら適切に対処してまいりたい。

高田 今、それぞれの市町村長さんは、合併しないことを選択することによって地方交付税が削減されるかもしれない、市町村財政が立ち行かなくなるかもしれないという心配をされている。「市町村合併って?」という国のハンフレットでは「はたして今までどおり、国からのお金を頼りにしていろいろなサービスを提供し続けることができるでしょうか?」と書いており、脅し文句のように地方交付税の削減をちらつかせている。そこで、知事に伺います。合併しないことを選択することによって現状より交付税が減らされるようなことがあってはならないと私は考えますが、知事はどうお考えですか。
■木村知事 交付税は地方の自主財源であり、合併と交付税の見直しは別のものと考えている。

高田 田辺市を中心とした、龍神村からすさみ町までの十市町村が合併すると、人口は約十四万五千人、面積は何と千三百七十六平方キロにもなる。北海道の広大な面積を有している市町村を含めても全国第二位、北海道を除いては全国第一位になる。山や川、海など地理的にも、また経済・文化圏としても独自の要素が強いそれぞれの地域をまとめて基礎的自治体と言えるのか、甚だ疑問だ。財政的には効率的と言いますが、住民参加という点から見れば、狭いまとまりの方がより効率的であります。例えば議員数は、合併前は全体で百四十八名です。これが合併後には、特例期間を過ぎれば最大でも三十四名と、四分の一以下になります。これを市町村の人口に比例して割り当てる仮定の計算をすると、田辺市で十七名、白浜町五名、上富田町三名、南部町と南部川村が二名ずつ、龍神村、中辺路町、大塔村、日置川町、すさみ町はそれぞれ一名ずつ。これはあくまで試算でありますが、旧町村の地域を代表する者がたった一名程度ということで、果たして議会制民主主義が充実したものになるのかどうか、甚だ疑問だ。また、「要綱」は、合併の必要性の理由に少子・高齢化への対応を挙げているが、きめ細やかな施策をしているのは規模の小さな町村が多い。西牟婁郡では、大塔村は乳幼児の医療費を六歳まで無料にしています。また介護保険でも、ヘルパーの利用者負担は、日置川町とすさみ町は、以前から使っていた人同様、三%に抑えるということをしています。何をもって合併した方が少子・高齢化に対応しやすいと言うのか。もう一つの合併の理由として、地方分権の推進が挙げられています。そのためには、専門的知識を持った職員の確保は大きな自治体の方がやりやすいとありますが、これも実態は逆ではないか。例えば、要綱の作成で参考にした類似団体=合併した後の自治体と姿が似ているであろうと思われる自治体を全国から選んだもの=三重県の鈴鹿市や津市、兵庫県の宝塚市や広島県の呉市、宮崎県の都城市などと保健婦さんの数を比較しました。実数でも、そして全職員に占める割合でも、合併前の十市町村合計の方が類似団体よりも多い。単純に、合併したから専門職が多くなるなどとは言えないと思うのですが、総務部長の見解はどうか。
 要綱で比較している類似団体では、面積が広くても三百五十平方キロです。田辺周辺の十市町村の面積の四分の一。その類似団体の規模どおりに職員を減らせば住民サービスが低下し、周辺地域には人が住めなくなるのではと心配いたしますが、どうでしょうか。総務部長の見解をお示しください。また、合併後、新しい庁舎建設などで新たな負担が出てきた場合、職員数の削減などで得た財政的なメリットが帳消しになるのではないですか。これも答弁をお願いいたします。子供の教育の問題では、現在、田辺周辺十市町村には八十八の小中学校があり、先ほどの類似団体の約二倍から十二倍もの数になっていると思いますが、どうでしょうか。もし合併すれば学校の統廃合が一気に進むのではないか。この合併間題の最後に、住民サービスについて伺います。合併の際、一般的に、福祉などのサービス水準は高い水準に、負担は低い水準に調整すると言われていますが、現在までに既に合併が行われた市町村では、必ずしもそうなっていないと思います。例えば、最近合併した事例で申し上げますと、岩手県盛岡市、茨城県鹿嶋市、東京都あきる野市などありますが、どうなっているでしょうか。具体的にお答えをいただきたいと思います。
■稲山総務部長 議員定数の減少について。市町村の議員定数は、地方自治法において団体の人口規模に応じた定数が定められている、基本的には必要な議員数が確保されているものと考えている。少子・高齢化への対応について。各市町村が創意工夫を凝らしながら、事業を展開している。ただ、大変厳しい財政状況のもとで少子・高齢化は急速に進展いたします。今後、市町村は新たな行政施策の展開が求められることも予想されますし、また行政サービス自体も高度化、多様化するものと考えられます。これらのことに適切に対応していくためには、合併により市町村の行財政基盤の充実強化に努めることが必要であると考えている。類似団体との比較について。人口規模が同程度の六団体の平均の保健婦、土木技師、建築技師の配置数の概数と比較いたしますと、保健婦では類似団体の方が二十六人少ないところでございますが、土木技師は類似団体の方が二十八人多い、また建築技師は類似団体の方が六人多い。また、類似団体の平均の小中学校の配置数は約三十三校。職員数の減による周辺地域のサービスの低下、あるいは学校の統合が進むのではないかという不安や懸念があることも、承知している。合併に際しては、新市町村建設計画の実施によって臨時的な財政需要が発生することも考えられるが、長期的には行政コストの効率化に資すると考えている。行政サービスの水準や住民負担の格差については、合併関係市町村において、適切な行政サービスの水準、あるいは適正な住民負担などを勘案しながら十分検討を行い、調整されることが重要。

2―すさみ町の廃タイヤ野積み間題について
平成十一年九月議会で私はこの間題を取り上げ、産業廃棄物の保管基準に違反していることを指摘した。当時の大井生活文化部長は、法的措置を含めて検討と答弁した。しかしその後、現実には何も進んでいない。現在は、以前を上回る規模の六百トンとも言われるタイヤが野積みされている。これは、施設の処理能力からして百五十日分に当たる。本来は二週間分しか保管できない。一昨年に指摘があって以後、業の停止や取り消しを含めた法的措置を進めるべきだった。そうすれば、今日のような事態になっていないはず。廃棄物処理法は平成十二年度に改正され、産廃に関して許可の取り消し要件が厳しくなり、措置命令の対象が拡大されるなど大幅な規制強化がされた。また、この五月十五日に出された環境省からの通知では、「従来、都道府県においては、違反行為に対して口頭の注意(中略)といった行政指導を継続し、法的効果を伴う行政処分を講じない場合も見受けられる」とした上で、「積極的かつ厳正に行政処分を実施されたい」と。さらに、「行政処分は将来にわたる行政目的の確保を主な目的とするものであって、過去の行為を評価する刑事処分とはその目的が異なる」とも書いている。
 あなた方はこれまで、たとえ行政処分を出しても結果的にタイヤを取り除くことができない状況ならば、許可を取り消さないで何とか業者に現地で処分させるのが一番負担がかからないのではないかと言ってきました。私も、そういう方法もあり得るかと思うところがありましたが、この間、いろいろ調べて得た結論は、そういう甘やかしが結果的に以前より状況を悪くしたということです。橋本市の産廃と同じだと思います。違法なことをやったら、その時点でシロクロはっきりさせる、これが教訓ではないか。今
まで、なぜ法的措置をしなかったのか。今回のこの指摘を受けて、いつまでに法的措置を実行するのか。
 これまで産業廃棄物に関して、全国で何件の改善命令や措置命令、許可の取り消しや停止命令が出されているか。また、県内では何件か。
県は、平成十一年の時点で二基ある焼却炉のうち古い方が法で定められた構造基準に適合していないことを知りながら、平成十二年三月ごろまで、何らの手を打たずに焼却を続けさせてきた。そのとき、少なくとも使用の停止をするべきだったのではないか。また、業者が平成七年に新しい焼却炉を設置するときに地元とのトラブルが頻発していたにもかかわらず、県がいとも簡単に公害防止のための制度融資を貸し付けています。産業廃棄物処理施設の許可条件には、地元の主民と協定書を結ぶということが書かれております。それが結ばれていない。つまり、焼却炉を動かすための前提となる条件がないのに、県の制度融資を貸し付けている。焼却炉を動かす前提条件がクリアできていないのに、なぜ制度融資を貸し付けるのか。審査が不十分ではないか。
■ 秋月環境生活部長 事業者には、改善を講じるよう平成十一年九月に文書警告を行ったが、再び従前のような状況となった。今後は、これまでの経過を踏まえ、法的措置である許可の取り消し等も含め、改善命令、措置命令を検討する。なお、改善命令は、事業者の法的責任は問えますが、撤去しない場合は廃タイヤが残る。また措置命令は、生活環境の保全に支障がある場合、技術的、経済的に合理的限度において行うことになるため、現在、最善の方策について、他府県の実施事例等を参考にし、検討している。さらに、タイヤの排出事業者責任につきましても、事実確認等を行っており、今年中にその手法について結論を出し、進めてまいりたい。法的措置の状況について。平成十年度では、全国で改善命令百五十件、措置命令四十三件、許可の取り消し三十件、停止命令六十件、本県では許可の取り消し三件。平成元年から現在までの県内の累計では、改善命令四件、措置命令二件、許可の取り消し五件、停止命令一件。焼却の継続について。事業者が使用していた焼却炉につきましては、平成十年十二月に施行された廃棄物処理法の改正に伴う構造基準に適合しなくなり、事業者に対して指導を重ねましたが、改善しなかったため、平成十一年九月に文書で警告を行ってきた。その後、タイヤの搬入減少等、一部指導を受け入れたこともあり、業務停止等法的措置に至らなかった。平成十二年三月で焼却が停止した。業の停止をしなかったことにより廃タイヤがふえたことについては、指導の至らない面もあると認識している。制度融資について。公害防止施設整備融資制度は、中小企業者が施設整備を行うことにより公害の防止を図ることを目的としており、県は融資認定を行った後、金融機関の融資決定を受け、預託を行う制度。議員ご指摘の審査につきましては、公害防止上の有効性について技術的な観点から審査を行い、また関係課等の意見を聞き、融資の認定を行ったもの。今後、審査に当たりましては、関係課等と緊密な連絡を図るとともに、慎重な審査をしてまいりたい。
■ 内田商工労働部長 議員ご指摘の貸し付け審査につきましては、通常の審査以外に公害防止施設との観点から、産業廃棄物処理施設設置許可、及びこの施設自体、公害を防止する施設として特別融資の認定がなされたことを受け、近代化資金の貸し付けを適切に行ったもの。

3―身体障害者への自動車税減免制度について
高田 身体障害者への自動車税減免制度について。先日、大阪から白浜町へ引っ越されてきた身体障害者の方から相談を受けました。一級の手帳を持っておられて、家族が自動車の運転をされています。伺いますと、大阪では減免になっていた自動車税が和歌山ではかかってくると言うのです。かつて目治省が出した通達どおりでしか減免をしていないところと、都道府県で上乗せをしているところがありました。近畿の中では他府県は、程度の差こそあれ、すべて減免の対象者を拡大しています。障害の等級と申しますのは、例えば腕が二級で足が三級の障害者ということなら、人間全体として見れば合わせて一級というぐあいの判定をするわけですが、自動車税の減免というのは、腕なら腕、足なら足と、部分別で判断するようになっているのです。それで、一級の障害者でも減免にならないという事態が起こってくるわけです。既に地方分権の流れの中で自治省の通達も廃止されており、県の行政の裁量で適切に対応するようになっています。この近畿で最低という状況を変えるべく、制度の拡充を求める。
■ 稲山総務部長 本県におきましても、減免の対象等級等を旧自治省の通達に準拠して定めておりましたが、ご指摘ありましたように、この通達は十二年四月一日に廃止されたところでございます。しかしながら、身体障害者の方々が障害を克服し、支障なく社会生活を営むことができるよう、本県としても引き続き自動車税を減免している。十三二度の当初課税においては約九千台、額として三億三千五百万円の減免を行っております。これは、十一年度の全国の状況では、減免割合としてはほぼ平均的な状況となってございます。ご質問の減免の拡充につきましては、他府県の状況等も考慮しながら検討を進めてまいりたい。

4―土地改良区の自民党費肩がわりと県土地改良政治連盟の会費肩がわりについて
高田 これはKSD問題の農業版とも言うべきものじゃないか。党費肩がわりでは、直近の五年間の調査で五団体、約二十六万円が土地改良区の会計から違法に支出されていた。米価の曇落や大幅な減反で農家が減少し、運営が難しいとか、減反している分の賦課金を払うのはおかしい、あるいは紀の川用水の水を使ってもないのに賦課金を請求されるなど、切実な声が上がっています。土地改良区は、国や地方自治体からの補助金と農家組合員の賦課金で運営される公共法人であり、これが特定の政党やその関連政冶団体の会費を肩がわりして支出することは、明確な違反行為だ。これまでの県の検査のあり方はどうであったのか、また再発防止のためにどういう指導をされるのか、農林水産部長に伺います。
■ 辻農林水産部長 土地改良区に対する検査は、土地改良法に基づいて三年に一度、本庁及び各振興局において実施しているがおりますが、検査の中で今回のようなケースを指摘できなかったことについて、まことに遺憾に思ってございます。再発防止につきましては、検査担当職員に周知徹底を図るとともに、土地改良区の役職員に対しては、より適正な運営を図るよう指導している

5―有田川の河床整備について
高田 有田川の河床整備について。有田川は、年々土砂の堆積がひどくなり、流域住民の不安を高めています。しかも、現在進められている高速道路の四車線化で有田川にも新しい橋がかけられることになって、その区間では、わずか百メートルの間に三本も橋がかかることになり、洪水のとき、うまく水が流れるのかという心配の声があるようです。早期に河床整備に取り組まれることを求める。
■ 大山土木部長 有田川の改修につきましては、流下能力の低い箇所から順次改修を進めている。現在、中小降雨で浸水彼害が発生している支川の天満川での改修を行っている。また有田川本川においても、流下能力の低い狭窄部の解消が先決であるど考えております。なお、橋の計画につきましては、現在、河川計画に支障が生じないように、河川管理施設等構造令に基づき、日本道路公団と協議しております。

6―県単独公共事業費削減のあり方について
高田 県単独の公共事業費削減のあり方について。先日、これは印南町なのですが、山谷川の堤防改修事業が財政難を理由にしておくれていると相談がありまして、現地に行ってまいりました。地元の方に伺いますと、県と地元住民との間で、県道を整備するときに堤防の改修もセットでやるからという約束の上で事業にかかり、道路の整備は終わったようです。しかし、堤防の方は途中までやってきているが、これ以上財政難でやれないということです。しかも、残された未改修の区間は河川の一番曲がりくねったところで、一番大事なところをやり残しているということなのです。もう既に用地買収も済んでいるというふうに聞きます。こうした中途半端なやり残しは、県行政への不信を招きかねません。こうした積み残しとも言うべき箇所については、財政の上からすぐにはやれない、かかれないとしても、期限を明確にして、きちんと住民の意向も同意を得て事業化するべきではないか。
■ 大山土木部長 県単独事業の削減のあり方について。平成十三年度予算におきましては、財政健全化のために策定された財政運営ブログラムUに沿って編成し、投資的事業、とりわけ県単独事業について大幅に削減することとなりました。このため、事業の必要度の観点などから優先順位づけを行うなど、分野間のバランスを図りつつ箇所の絞り込みを行ったところ。今後、財政的にはさらに厳しくなることが予想され、当面休止せざるを得ない箇所については地元の理解を得るよう努める。

再質問
高田 市町村合併について。この合併議論の中で、交付税が減らされるという心配が前提条件のようになっている。先ほど総務部長が、合併後、新しい計画実施による臨時的な財政需要に対して国のいろんな財政支援があると言われた。県の要綱でも、現行の地方交付税制度は将来どうなるか極めて不透明な状況と言いながら、それで合併に関する公共事業などについては起債をして元利償還金の七〇%を後で普通交付税で措置しようということで、交付税を当てにしている。これはご都合主義的な使い分けだ。こういう使い分けはやめていただきたい。
 それから、既に合併した市町村での住民サービスの負担について。私が調べたのを言いますと、九五年に誕生した東京都のあきる野市―、合併調整方針では、やはり「サービスは高く、負担は低く」ということですが、合併の翌年から国民健康保険税の大幅な引き上げが始まりました。二年後の九七年には行革推進委員会が、この「サービスは高く、負担は低く」という合併調整方針は合併時点の考え方であり、行革の第二段階に進もうとしている現在、いつまでもこの考え方が硬直化することを危倶すると書いており、事実上、方針が廃棄されています。その後は、各種の使用料や手数料が大幅に引き上げられて、それまで無料だった公民館が有料化されたりしている一方で、現在、八十七億円という豪華な新庁舎の建設がされています。盛岡市は九二年に合併が行われ、合併当時は五百九十二億円だった借金が九九年末で見ると千四百四十億円と、約二・五倍にも膨れ上がった。そのせいか、保育料は東北で一番高い、在宅福祉の状況も県内でビリから六番。茨城県の鹿嶋市―九六年、鹿島町と大野村が合併―この旧大野村には村内二十八の地区すべてに婦人保健所というのが設置されていたが、合併後、なくしたそうです。合併当初は、国保税、保育料なども低い方の鹿島町の水準に合わせましたが、しかしその後、どちらも値上げが始まっている。水道料については、合併した後、約三割も引き上げられたという事例もある。合併によりサービスの低下や住民負担の増加が実際行われているという事例もちゃんとあるのですから、県もそういう事例を調査していただいて、県民にも情報としてはきちんと伝えていくことが公平な合併論議のためにも必要ではないか。専門職員の配置の問題です。保健婦は合併前の方が多い、しかし土木技師や建築技師は合併後の姿である類似団体の方が多いというふうに言われて、まあ一概に言えないということだったと思うのですが、でも、これは傾向があるというふうに思います。ほかの県で調べた事例ですけれども、人口当たりの専門職員で見ますと、建築技師と土木技師は人口十万人以上の自治体で多いのですが、図書館の司書、学芸員、保健婦、助産婦という専門職は、人口一万人未満の自冶体の方が多い。つまり、小規模な自冶体の方が住民生活に密着した福祉や健康、あるいは教育の分野できめ細やかな専門職を配置しているというのが実際のところだと思う。自動車税です。少なくとも一級の手帳を持っておられる方が減免を受けられないというような状況は、本当につらいと思います。このことはしっかり検討していただけますようにお願いいたします。
■ 稲山総務部長 合併についてのいろいろなデメリットの部分等もよく情報提供することが必要ではないかということにっいてでございます。県において策定した合併推進要綱にも、合併の取り組みにはいろんな課題や懸案もあるということで、その対策等についても盛り込んでいるところでございます。ご指摘のありましたサービス水準や負担の件につきましては、法定合併協議会等でいろいろ十分検討いただいて、その協議内容を住民に情報提供しながら調整するといったことも重要だと思っておりますし、また何事も先進事例から学ぶということも大事であるというふうに考えております。適切な負担とサービス水準の提供という観点から、市町村に対し、引き続き必要な情報提供をしていきたいと考えております。

高田
 産廃です。すさみ町の廃タイヤの問題ですが、ことしじゅうに結論というふうに言われましたけれども、住民感情からしても、もう待てないというのが実際のところです。この問題に対してはもう今まで県がいろいろやってきたけれども、この間も地元へほかの議員さん方と呼ばれて行きましたが、本当に何をやっているのだというおしかりの声もありました。県行政が断固とした態度で臨むんだという姿勢を示すためにも、この業者は施設の面だけから見ても業を継続できるような状態になっていないですから、やっぱりすぐ停止命令なりなんなり、もうできるところから法的な手を打っていくということが大事だと思います。その点についてもう一度答弁をお願いしたいと思います。制度融資の問題です。商工労働部長は適正な貸し付けだった、公害防止施設の融資なのだから、それで特別融資の認定がなされたために適切に貸し付けたと言われましたが、それは違うと思うんです。産業廃棄物の焼却炉を新しいものにつくりかえるというときには、いろんな融資を使います。それはそれでいいと思います。しかし、融資の面から見れば、公害防止施設とか、みんなきちんとしたものにしていくということなんですが、まかり間違えば今回のように住民との大きなトラブルのもとをつくっているということになりはしないか。県が出した許可の条件に、地元と協定書を結んだ上で許可をしますと。許可の条件として書かれている。その条件がクリアできていないのに、何で貸し付けするのですか。それが適正なんですか。


■ 秋月環境生活部長 事業者からの五月の事情聴取におきましても、事業者はまだ事業継続を希望しておるというふうな事情もございます。しかし、県の方では、地元町とも協議しながら、先生のおっしゃるようにできる対応からやっていきたい、最終的には法的なことも検討していきたいと考えております。
■ 内田商工労働部長 あくまで施設の設置許可があり、また公害防止施設特別融資の認定がなされたことを受け、当部所管の近代化資金の貸し付けを行っていますので、貸し付けについては適切に行われたと考えてございます。公害防止施設の特別融資につきましては、県の方で、焼却炉の構造等、公害防止に適切な施設であるという認定を行いまして、取扱金融機関で融資の蕃査を行い、決定されたものであると。そういうことで、当時としては、我々はできる限りの審査を行ったということで考えております。

再々質問
高田 すさみ町のタイヤの問題で、あくまで融資が適切なんだというお話なのですが、全く新しく事業をやる方がそういう制度融資を申し込んで、それでそういう許可をしたよということじゃないんですよね。もう住民との間でずっとトラブルを引きずっていた人が制度融資を申し込んで、それで協定書を結ばれていないでしょう。それを見逃すなんて、信じられません。あくまで適正だというふうに言われるのは、これはおかしいんじゃないですか。どうですか。まだご見解を変えるつもりはないんですか。こういうことを議事録に残していいんですか。後で恥ずかしいと思いますよ。
■ 秋月環境生活部長 この事業者につきましては、平成元年ごろから焼却炉をもってタイヤの焼却もやっておったというふうに聞いてございます。その間、平成七年までの間に、一部地元でもそういうことが問題となり、新しい焼却炉をやりたいということで、その焼却炉については当時の基準に適合していたことから、こういうことの審査は適正にさせていただいたと。しかし、議員おっしゃるように、結果としてその焼却炉が動いていないということについては、我々としても今後、審査の中でもこういう教訓を生かして取り組んでいきたいと考えております。
■ 内田商工労働部長 先ほど環境生活部長からも答弁ありましたが、我々、環境生活部門の仕事の範疇については通常存じ上げてございませんので、先ほども申し上げました環境生活部が特別融資の認定をするということの上で、我々も融資決定をしたということです。それともう一つは、設傭近代化資金の規則にのっとった対象企業、対象設傭であるという観点からも融資を行ったところでございます。

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